2014年10月22日

安定性試験の確認のための試験の実施(コミットメント)

今週は下記のガイドラインを見ていきます。

安定性試験ガイドラインの改定について

医薬審発第0603001号
平成15年6月3日
厚生労働省医薬局審査管理課長

http://www.pmda.go.jp/ich/q/q1ar2_03_6_3.pdf

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2.1.8. 安定性試験の確認のための試験の実施(コミットメント)


原薬の承認の時点で、基準ロットの長期保存試験成績が、リテスト期間を保証する期間まで得られていない場合には、申請されたリテスト期間を確認するために、承認後、長期保存試験を継続する。

実生産スケールで製造された3 ロットを用いて実施され、リテスト期間を通して実施された長期保存試験成績に基づいて申請される場合には、承認後に長期保存試験を実施する(コミットメント)必要はない。

その他の場合にあっては、以下に掲げるもののうち、1つの試験を実施する。


1.添付資料として実生産スケールで製造された3ロット以上のロットの安定性試験の成績に基づき申請される場合には、リテスト期間中試験を継続し、安定性を確認する(コミットメント)必要がある。


2.添付資料として実生産スケールで製造された3 ロット未満のロットを用いた安定性試験の成績に基づき申請される場合には、当該試験をリテスト期間中継続する(コミットメント)必要がある。

また、実生産スケールで製造されたロット数の合計が3 以上になるよう、実生産スケールで製造されたロットを追加し、リテスト期間を通じて長期保存試験を実施し、安定性を確認する(コミットメント)必要がある。


3.添付資料として実生産スケールで製造されたロットを用いた安定性試験の成績が提出されない場合は、実生産スケールで製造される最初の3ロットについて、リテスト期間を通じて長期保存試験を実施し、安定性を確認する(コミットメント)必要がある。

コミットメントとして、安定性の確認のために実施される長期保存試験は、科学的に妥当性がない限り、承認申請時(基準ロット)と同一の安定性試験プロトコールを使用して実施する。






2.1.9. 評価

安定性試験は、3ロット以上の原薬について実施し、必要な物理的、化学的、生物学的及び微生物学的試験等で得られる安定性の情報を適正に評価することにより、同様の条件で製造されるすべてのロットに適用できるリテスト期間を設定するものである。

将来生産されるロットがリテスト期間を通じて規格に適合する確かさは、各ロットのばらつきの程度に影響される。


得られたデータから原薬がリテスト期間中ほとんど分解せず、変動もほとんどないことが示され、申請するリテスト期間が十分保証される場合は、通常、正式な統計解析を実施する必要はないが、解析を省略する正当性を記載する。


経時的に変化する定量的測定項目のデータからリテスト期間を求める場合、母平均の曲線の95%片側信頼限界が判定基準と交差する時期をもって決定する。

ロット間の変動が小さいことが統計解析から明らかな場合は、全ロットのデータを一括して評価し、全体として一つのリテスト期間を求めるのが有益な方法である。

この解析は、個々のロットの回帰直線の傾き及び縦軸切片に対して適切な統計解析を適用することによって行うことができる(たとえば、棄却の有意水準として0.25 より大きいp値を用いる)。


また、全ロットのデータを一括して評価することが不適切な場合は、個々のロットのリテスト期間のうちの最短の期間をリテスト期間とする。

直線回帰分析のためにデータを変換する必要があるかどうかは、分解曲線の形によって決まる。

通常、分解曲線は算術目盛あるいは対数目盛で時間の1 次、2 次又は3 次関数によって表わされる。

個々のロットのデータ又は全ロットを一括したデータが、推定された分解直線又は曲線に適合するかどうかは統計解析により検定する。


正当化できれば、承認時に、長期保存試験の成績を外挿することにより、実測範囲以上にリテスト期間を限られた範囲で延長することができる。

分解機構について明らかになっていること、加速試験の成績、数式モデルの適合性、ロットサイズ、参考資料の存在等に基づいて正当化することができる。

ただし、この外挿は実測期間を超えても同一の分解曲線が継続するとの仮定に基づいている。

含量のみならず、分解生成物の量やその他の適切な測定項目についても評価する必要がある。




2.1.10. 取扱い上の注意/表示

貯蔵方法は、関連する国内/地域の基準に従った表示をするために、原薬の安定性評価に基づいて決めなければならない。

必要に応じ、個別の指示が付される。凍結してはならない原薬については特に注意を要する。

「成り行き温度」、「室温」等の用語の使用は避ける。

リテスト期間は安定性試験成績に基づいて定められる。再試験日は容器ラベルに適切に表示する。



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2014年10月21日

ガイドラインの適用範囲

今週は下記のガイドラインを見ていきます。

安定性試験ガイドラインの改定について

医薬審発第0603001号
平成15年6月3日
厚生労働省医薬局審査管理課長

http://www.pmda.go.jp/ich/q/q1ar2_03_6_3.pdf

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1.2. ガイドラインの適用範囲

本ガイドラインの適用対象は、医療用医薬品のうちの新有効成分含有医薬品である。

本ガイドラインは、現時点において、それ以外の申請区分の申請のために提出すべき試験を対象としていない。

特定の製剤等に対する検体の採取及び試験方法についての詳細は、本ガイドラインの対象としていない。

新剤型並びに生物薬品(バイオテクノロジー応用製品/生物起源由来製品)についてのガイダンスはICHガイドラインQ1C及びQ5Cにそれぞれ記載されている。




1.3. 一般原理

医薬品の承認申請における安定性試験は、温度、湿度、光等の様々な環境要因の影響の下での品質の経時的変化を評価し、原薬のリテスト期間、製剤の有効期間及び医薬品の貯蔵条件の設定に必要な情報を得るために行う試験である。

本ガイドラインに定義されている試験条件はEC、日本及び米国の3 極における気象条件の影響を分析した結果に基づいて選択されている。

世界各地の平均キネティック温度は気候データから求めることができ、そして世界を四つの気候区域T-Wに分けることができる。

本ガイドラインは気候区域TとUを対象にしている。本ガイドラインに従って実施され、かつ、表示が国内/地域の基準に合っている場合には、EC、日本及び米国の3 極のいずれか一地域で行われた安定性に関する試験の成績は、原則として、他の二つの地域においても添付資料として使用できることとされている。






2 .ガイドライン

2.1. 原薬

2.1.1. 一般的事項

原薬の安定性に関する資料は、その医薬品の安定性を系統的に評価するために欠くことのできないものである。

2.1.2. 苛酷試験

原薬の苛酷試験は、生成の可能性がある分解生成物を同定するのに役立ち、それによって分解経路や医薬品本来の安定性を明らかにしたり、安定性試験に用いる分析方法の適合性を確認することができる。

個々の原薬及び製剤の種類により、苛酷試験の内容は決まる。

苛酷試験は、通常1ロットの原薬について行い、加速試験の温度条件よりも10℃ずつ高くなっていく温度(例えば、50℃、60℃、…)、適切な湿度(例えば、75%RH 以上)、酸化及び光分解による影響を検討する。

さらに、溶液又は懸濁液中では、広い範囲のpH領域における加水分解に対する反応性を検討する。

光安定性試験は苛酷試験のうち、不可欠な構成要素である。

光安定性試験のための標準条件は、ICHガイドラインQ1Bに述べられている。


苛酷条件下での分解生成物を調査することは、分解経路を確立したり、適切な分析方法の開発ならびに適合性の確認に役立つ。しかし加速試験又は長期保存試験で生成しないことが示されれば、その分解生成物について特に検討する必要はない。これらの試験成績は、行政当局に提出される資料として必要となる。






2.1.3. ロットの選択

正式な安定性試験(長期保存試験及び加速試験)は、3 ロット以上の基準ロットについて実施する。

検体は、パイロットスケール以上で製造されたロットとし、生産ロットで適用される最終的な方法を反映する製造方法及び製造工程で製造されたものとする。

安定性試験に使用するロットの品質は、実生産スケールで製造されるものの品質を反映するものである。

他の安定性試験成績は参考資料として提出できる。




2.1.4. 容器施栓系

検体の容器施栓系は、申請するものと同一のもの又はそれに準ずるものとする。


2.1.5. 規格

規格、即ち測定項目、分析方法及び判定基準は、ICHガイドラインQ6A及びQ6Bに記載されている。

原薬中の分解生成物の規格は、ICHガイドラインQ3Aで論議されている。

安定性試験は、保存により影響を受け易い測定項目及び品質、安全性又は有効性に影響を与えるような測定項目を選定する。

試験には、原薬の物理的、化学的、生物学的及び微生物学的測定項目を適切に含める。測定方法としては、安定性試験に用いる方法として適合性が検証された分析方法を採用する。

測定の繰り返しの必要性及び回数は、バリデーション試験の結果に基づき決定する。





2.1.6. 測定時期

長期保存試験における測定時期は、原薬の安定性の特性を十分に把握できるように、1年以上のリテスト期間を設定する原薬については、通常、1 年目は3 カ月毎、2 年目は6カ月毎、その後はリテスト期間を通して1 年毎とする。

また、加速試験にあっては試験開始時と終了時を含めて、6 カ月の試験につき3 回以上(例えば、0、3、6 カ月)行うことが望ましい。

開発時の経験に基づいて、加速試験の結果に品質の明確な変化が示されることが予想される場合には、測定終了時において検体数を増やして試験を行うか、又は試験計画に4 番目の測定時点を加えることにより、増強した試験を行う。

加速試験において品質の明確な変化が示されたために、中間的な条件での試験が必要になった場合には、試験開始時と終了時を含めて、12 カ月の試験につき4 回以上(例えば、0、6、9、12 カ月)行うことが望ましい。





2.1.7. 保存条件

一般に、原薬の安定性は、熱安定性と必要であれば湿度に対する安定性が試験できるような適切な保存条件において評価されるべきである。

保存条件及び試験期間は、貯蔵、流通及びそれに続く使用を十分考慮にいれたものとする。

長期保存試験は、申請時において、試験の途中であっても3 ロット以上の基準ロットの12 カ月以上の期間の試験成績をもって承認申請して差し支えないが、申請されるリテスト期間を保証する十分な期間継続する。

承認申請後引き続き実施した成績は、行政当局の求めに応じて提出する。

加速試験成績又は必要に応じて中間的な保存条件で試験された成績は、輸送中に起こりうる貯蔵方法からの短期的な逸脱の影響を評価するために利用される。


原薬の長期保存試験の保存条件、加速試験の保存条件及び必要な場合の中間的試験の保存条件の詳細は、下記に示す。後続の項に該当しない原薬は、一般的な原薬として取り扱う。根拠があれば、他の保存条件を採用することができる。





25℃±2℃/60%RH±5%RH で長期保存試験を行い、加速試験において、6 カ月の試験のいずれかの時点で、「明確な品質の変化」が認められた場合、中間的な条件で追加の試験を実施し、「明確な品質の変化」の基準に対して評価しなければならない。

中間的試験は、別に何か根拠がない限りすべての試験を実施する。

承認申請時には、中間的な条件で実施される12 カ月の試験より、6 カ月以上の試験成績を提出する。

以下、原薬についての「明確な品質の変化」とは、規格からの逸脱が認められた場合をいう。



2.1.7.2. 冷蔵庫での保存の場合

冷蔵庫での保存の場合の試験成績は、以下に示された場合以外は、本ガイドラインの「評価」の項に従って評価する。

加速試験において、測定開始後3 カ月から6 カ月の間に「明確な品質の変化」が認められた場合、リテスト期間は長期保存試験から得られる試験成績(リアルタイムのデータ)に基づいて設定する。

加速試験において、測定開始後3 カ月以内に「明確な品質の変化」が認められた場合、輸送中や取り扱い中等における貯蔵方法からの短期的な逸脱の影響に関する試験成績を用意する。

この場合、適切ならば、1 ロットの原薬につき3 カ月より短期間に、通常より多い測定時点で追加試験を行うことにより説明してもよい。

測定開始後3 カ月以内に「明確な品質の変化」が認められた場合、あえて6 カ月まで試験を継続する必要はない。





2.1.7.3. 冷凍庫での保存の場合

冷凍庫での保存の場合のリテスト期間は、長期保存試験で得られる試験成績(リアルタイムのデータ)に基づいて設定する。

冷凍庫での保存の場合は、加速試験がないので、輸送中や取り扱い中等における貯蔵方法からの短期的な逸脱の影響を説明するため、上昇させた温度(例えば、5℃±3℃又は25℃±2℃)で適切な期間にわたる試験を1 ロットについて実施する。




2.1.7.4. -20℃以下での保存の場合

-20℃以下で保存される原薬は、個別に妥当な保存条件の下で試験を実施する。


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2014年10月18日

安定性試験ガイドラインの改定について

今週は下記のガイドラインを見ていきます。

安定性試験ガイドラインの改定について

医薬審発第0603001号
平成15年6月3日
厚生労働省医薬局審査管理課長

http://www.pmda.go.jp/ich/q/q1ar2_03_6_3.pdf

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安定性試験ガイドラインの改定について

平成11年4月8日医薬発第481号薬務局長通知に規定する医療用医薬品の新有効成分含有医薬品の製造(輸入)承認申請に際して添付すべき安定性試験成績についての取扱いについては、「安定性試験ガイドラインの改定について」(平成13年5月1日医薬審発第565号医薬局審査管理課長通知)により示されているところですが、今般、日米EU医薬品規制調和国際会議(以下「ICH」という。)での合意に基づき、別添のとおり「安定性試験ガイドライン」を改め、下記により取り扱うこととしたので、御了知の上、貴管下関係業者に対し周知徹底方ご配慮いただくようお願いいたします。



1.適用

(1)医療用医薬品の新有効成分含有医薬品の安定性試験は、本通知日以降、別添「安定性試験ガイドライン」(以下「本ガイドライン」という。)に従って行われるものであること。



2.留意事項

(1) 次に示す各項において、中間的保存条件が「30℃±2℃/60%RH±5%RH」から「30℃±2℃/65%RH±5%RH」に変更されたこと。

ア.「2.1.7.1. 一般的な原薬」の項における保存条件


イ.「2.2.7.1. 一般的な製剤」の項における保存条件

ウ.「2.2.7.3. 半透過性の容器に包装された製剤」の項における保存条件

エ.「3.用語集」中の「中間的試験」の項



(2)次に示す各項において、長期保存試験の保存条件「25℃±2℃/60%RH±5%RH」に代えて「30℃±2℃/65%RH±5%RH」の保存条件を採用することができること。

ア.「2.1.7.1. 一般的な原薬」の項における保存条件

イ.「2.2.7.1. 一般的な製剤」の項における保存条件



(3)「2.2.7.3. 半透過性の容器に包装された製剤」の項において、長期保存試験の保存条件「25℃±2℃/40%RH±5%RH」に代えて「30℃±2℃/35%RH±5%RH」の保存条件を採用することができ、相当する水分損失の比率の例に加えられること。



(4)試験の途中で、中間的保存条件を「30℃±2℃/60%RH±5%RH」から「30℃±2℃/65%RH±5%RH」に変更することはできるが、それぞれの保存条件及び変更日時を明確に記録し、承認申請において記述しなければならないこと。



(5) 本ガイドラインがICHの各国において通知されてから3年以降に承認申請する際には、中間的保存条件「30℃±2℃/65%RH±5%RH」が適用できる場合は、全期間にわたって「30℃±2℃/65%RH±5%RH」で行った試験で得た試験成績をもって申請することが推奨される。


(6)原薬の安定性試験を考慮し、有効期間の代わりにリテスト期間を設定し、申請することができる場合があること。その場合には、備考欄にその旨を明記すること。


(7)新有効成分含有医薬品については、製剤のみの承認申請を行う場合においても、原薬に関する安定性試験成績を提出すること。


(8)安定性試験に関する資料の提出にあたっては、以下の点に留意すること。

ア. 試験資料は、邦文で記載する。なお、当該資料が翻訳されたものである場合には、その全文を翻訳し、翻訳前の原文も併せて提出する。また、参考として、翻訳者及び最終的に吟味した専門技術者の氏名及び所属を記載する。ただし、原文が英語で記載されたものであれば、その原文を提出することで差し支えない。

イ. 安定性試験に使用したロットについて、ロット番号、製造スケール、製造年月日及び製造場所を記載する。



1.1. ガイドラインの目的

本ガイドラインはICH安定性ガイドラインの改定版であり、EC、日本及び米国3極内において新有効成分含有医薬品の原薬及び製剤の承認申請を行うときに必要な安定性試験成績を示したものであり、3 極以外の地域における承認申請や当該地域への輸出のための承認申請のための試験を対象とすることを必ずしも目的としているものではない。

本ガイドラインは、新有効成分含有医薬品の原薬及び製剤の安定性試験成績の主要部分を示したものであるが、試験対象となる物質の特性や特殊な科学的理由のために実際に直面しうる状況に対して柔軟に対応する必要がある。科学的に妥当な理由がある場合には、本ガイドライン以外の適切な実施方法を用いてもよい。


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2014年10月17日

意見を受けて指針 案を見直すもの を「◎」で示す

●意見を受けて指針 案を見直すもの を「◎」で示す

今日は「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(案) のパブリックコメントの結果について」を見ます。
     ↓
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000060613.pdf

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e-Govを通じて意見募集行ったところ、 130名 の意見があった。

御意見を受けて指針 案を見直すもの を「◎」で示す。

◎「学問・研究の自由は憲法上保障されており、〜」の記載は適当でない。

◎ 「また、研究者等が研究機関の長の許可を受けた研究計画に基づき研究を適正に実施することを、研究機関の長が研究実施前に研究責任者が作成した研究計画の適否を倫理審査委員会の意見を聴いて判断することを求められる。」という文章が分かりにくい。

◎ 研究計画書の記載事項は、@から㉕まで全て必要か。

◎ 研究の登録は、「侵襲(軽微を除く)を伴う研究であって介入を伴うもの」を対象にしているが、ヘルシンキ宣言で登録しなければならないとしている範囲より狭い。

◎ 研究結果の公表について、人権・知財の観点から例外規定(非公開)を設けるべき。

◎「次に掲げる手続に従って、あらかじめインフォームド・コンセントを受けなければならない」とあるが、当該手続の中に「必ずしもインフォームド・コンセントを要しない」との表現があり、整合していない。

◎ 軽微な研究計画の変更は、ICを受け直す必要はないのではないか。

◎ 説明事項は、@から㉑まで全て必要か。

◎モニタリング及び監査の実施は、現在の国内の臨床試験実施体制においては困難であり、この方向性が正しいが、各施設の体制を整えるまでの猶予期間を設けておくべきではないか。





その他、僕が気になった点。

第 20 モニタリング及び監査

○ICH-GCPではモニタリングは必須であるが、監査はオプションであり行わなくても良い行為と規定されている。

当指針における「監査」は、試験ごとに第三者監査を必須としているのは、厳しすぎないか。

ICH-GCPよりも厳しい要件を適用することとなり、日本の臨床研究を衰退させることにならないか。


○ 医師主導の臨床試験に、膨大な人的パワーとそのための費用を要するモニタリングと監査を義務付けても、実際にはきちんと行える可能性は低く、形骸化する。

ある程度研究ごとに柔軟な対応のできるようすべきでないか。


○「モニタリング」や「監査」という言葉だけが記載されているが、研究に関連するリスクに応じて、中央モニタリングやサンプリングSDV(Sourse Data Verification: 原資料との照合・検証)、全例のSDV等、実施レベルについて一定の基準を示すべき。

○「モニタリングに従事する者」「監査に従事する者」を具体的に示してほしい。

○ 指針でなく法的な規制を行う必要がある。



以上


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2014年10月16日

(CRC)を配置する場合の倫理性保持(確保)について言及してはどうか

今週も先々週に続き、下記のパブリックコメントのQ&Aを見ていきます。

●「臨床研究に関する倫理指針」の改正案に関する意見募集の結果について

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495080030&Mode=2


いつものとおり気になる点だけピックアップしています。

是非、全文を読まれることをお勧めします。

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Clinical Research Coordinator (CRC)を配置する場合の倫理性保持(確保)について言及してはどうか







GCPにおいてもCRCの配置に関する御指摘の規定はありません。

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現在は、私が所属している大学病院ですら、研究環境は必ずしも十分とはいえない。

診療、研究、教育の3つを同時にこなす使命を全うするために、努力しているが、それでも現状では診療に最も多くの人員と時間をかけざるを得ず、しかも診療への偏重は、前述の3つの機能のバランスを欠いてしまっているといわざるを得ない。

このことは、研究機関でもある国立大学病院長会議常置委員会の調査結果(「今後の地域医療における国立大学病院の役割に関する調査」http://www.univhosp.net/guide_cat_03_4.pdf)で、診療や教育に比べ研究についてはあまり取り組まれていないとする回答が多いこと、診療、教育、研究のうち最優先で取り組むのは診療とする回答が最も多く、研究は優先度が低くなっていること、が客観的に示している。

したがって、今ほど、臨床研究の推進と規制のバランスが、臨床研究の現実を踏まえたものとして議論されることが望まれる時はなかったものと考えている。

具体的に言えば、規制に少しでもバランスが傾きすぎると、臨床研究を推進する意欲がそがれ、研究者は診療のみに従事する傾向が強まり、わが国の臨床研究能力が低下することを、懸念するものである。







臨床研究の基盤整備に引き続き努めてまいります。


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最近では、医師の過重労働の実態が社会に認識されるに至っている。

単純計算では常に増加しつつある医師数ではあるが、診療科の偏在や地域の偏在の問題を超えた、実数の不足という問題としてとらえられるように、社会はもとより政府も認識が変化しつつある。そのため、経済財政改革の基本方針2008、いわゆる骨太の方針2008においても、医師不足や勤務医の就労環境の改善を重要課題として位置づけているところである。

このような、診療に多くの人員や時間を必要とする状況は、大学病院とて例外ではない。

前述の調査結果は、その現実を、忠実に物語っている。

産科や小児科の医師不足は、すでによく知られる事実となり、崩壊というような形容詞が使われるまでにいたっている。

私の診療分野ではないものの、現在の産科や小児科において、高い臨床研究能力を獲得していくことは容易なことではないと考えられる。

そこで、改めて、臨床研究の推進と規制のバランスに関しては、慎重な対応が必要であることを社会には是非ご理解いただきたいとともに、行政府には慎重な判断をお願いしたい。







法制化に関する意見については、様々な意見を検討して慎重に対応します。

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今回の意見募集においては、(1)改正指針案の全文が公表されない、(2)専門委員会最終回の資料・議事録が意見募集開始時に公表されない(本意見の案を提出前に公表した直後に議事録は公開された)、という二点において公正性を欠く。

他の意見募集においても同様であるが、概要のみが公表され、審議記録が未公表の段階で意見募集開始する慣習は改めるべきである。

このため、今般の意見募集を経て改正された指針の全文および審議記録を公表した上、再度意見募集を行うべきである。







(1)改正の内容は概要で網羅しています。

(2)資料・議事録も意見募集中に公表されており、公正性を欠くとは考えていません。


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1.臨床研究に関する倫理指針の改正の方向性について

・ 本改正案では,「臨床研究は,研究者及び研究機関の長の責任の下で実施するべき」とありますが,ICH-GCPで規定する「Sponsor」に関する記述を考慮すべきであろうと考えます.

一般論として,臨床研究が適切に実施されるためには,「Sponsor」を明確に規定し,その役割と責務を適切に果たさす必要があると考えます.

治験では,Sponsorは明確ですが,市販後の臨床研究では,このSponsorの位置付けやその役割並びに責任等が余りに不明確であります.

今回の改正案には,「簡潔な手順書を作成」とありますが,臨床研究に関係する全ての関係者(Sponsor, Investigator, CRC, Biostatistician等)がそれぞれの標準業務手順書(SOP)の下で業務を遂行することが肝要だと考えます.







「臨床研究に関する倫理指針」においては、臨床研究は各臨床研究機関の責務の下で行われることとなっております。

外国での「sponsor」の語意は、臨床研究の責任を有する者であり、必ずしも資金提供者ではありません。

したがって、本指針においては、そのようなsponsorの定義を考慮すると、臨床研究機関の長及び研究責任者が、それに相当する機能のものと考えられます。



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最後に,Q&Aとして検討して頂きたいと考えますが,

Q1) 医師主導型臨床研究を計画する際に,限られた製薬企業から経済的支援を受けることは問題ありませんか?

Q2)医師主導型臨床研究を計画する際に,研究グループや施設への寄付金を受けて実施することは問題があるでしょうか?

Q3) 再審査期間中に,製薬企業が製造販売後臨床試験以外の臨床試験を実施することは問題ありますか?







Q1、Q2につきましては、実施する際は、適切な利益相反管理を行ってください。

利益相反管理については、本指針「第4の1(1)細則」に記載されている文部科学省及び厚生労働省の利益相反管理についての報告や指針に留意してください。

Q3薬事法のもとで実施される治験や製造販売後臨床試験は本指針の対象とはなりません。

また、再審査期間中であっても臨床研究を実施することは可能です。


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