安定性試験ガイドラインの改定について
医薬審発第0603001号
平成15年6月3日
厚生労働省医薬局審査管理課長
http://www.pmda.go.jp/ich/q/q1ar2_03_6_3.pdf
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
2.1.8. 安定性試験の確認のための試験の実施(コミットメント)
原薬の承認の時点で、基準ロットの長期保存試験成績が、リテスト期間を保証する期間まで得られていない場合には、申請されたリテスト期間を確認するために、承認後、長期保存試験を継続する。
実生産スケールで製造された3 ロットを用いて実施され、リテスト期間を通して実施された長期保存試験成績に基づいて申請される場合には、承認後に長期保存試験を実施する(コミットメント)必要はない。
その他の場合にあっては、以下に掲げるもののうち、1つの試験を実施する。
1.添付資料として実生産スケールで製造された3ロット以上のロットの安定性試験の成績に基づき申請される場合には、リテスト期間中試験を継続し、安定性を確認する(コミットメント)必要がある。
2.添付資料として実生産スケールで製造された3 ロット未満のロットを用いた安定性試験の成績に基づき申請される場合には、当該試験をリテスト期間中継続する(コミットメント)必要がある。
また、実生産スケールで製造されたロット数の合計が3 以上になるよう、実生産スケールで製造されたロットを追加し、リテスト期間を通じて長期保存試験を実施し、安定性を確認する(コミットメント)必要がある。
3.添付資料として実生産スケールで製造されたロットを用いた安定性試験の成績が提出されない場合は、実生産スケールで製造される最初の3ロットについて、リテスト期間を通じて長期保存試験を実施し、安定性を確認する(コミットメント)必要がある。
コミットメントとして、安定性の確認のために実施される長期保存試験は、科学的に妥当性がない限り、承認申請時(基準ロット)と同一の安定性試験プロトコールを使用して実施する。
2.1.9. 評価
安定性試験は、3ロット以上の原薬について実施し、必要な物理的、化学的、生物学的及び微生物学的試験等で得られる安定性の情報を適正に評価することにより、同様の条件で製造されるすべてのロットに適用できるリテスト期間を設定するものである。
将来生産されるロットがリテスト期間を通じて規格に適合する確かさは、各ロットのばらつきの程度に影響される。
得られたデータから原薬がリテスト期間中ほとんど分解せず、変動もほとんどないことが示され、申請するリテスト期間が十分保証される場合は、通常、正式な統計解析を実施する必要はないが、解析を省略する正当性を記載する。
経時的に変化する定量的測定項目のデータからリテスト期間を求める場合、母平均の曲線の95%片側信頼限界が判定基準と交差する時期をもって決定する。
ロット間の変動が小さいことが統計解析から明らかな場合は、全ロットのデータを一括して評価し、全体として一つのリテスト期間を求めるのが有益な方法である。
この解析は、個々のロットの回帰直線の傾き及び縦軸切片に対して適切な統計解析を適用することによって行うことができる(たとえば、棄却の有意水準として0.25 より大きいp値を用いる)。
また、全ロットのデータを一括して評価することが不適切な場合は、個々のロットのリテスト期間のうちの最短の期間をリテスト期間とする。
直線回帰分析のためにデータを変換する必要があるかどうかは、分解曲線の形によって決まる。
通常、分解曲線は算術目盛あるいは対数目盛で時間の1 次、2 次又は3 次関数によって表わされる。
個々のロットのデータ又は全ロットを一括したデータが、推定された分解直線又は曲線に適合するかどうかは統計解析により検定する。
正当化できれば、承認時に、長期保存試験の成績を外挿することにより、実測範囲以上にリテスト期間を限られた範囲で延長することができる。
分解機構について明らかになっていること、加速試験の成績、数式モデルの適合性、ロットサイズ、参考資料の存在等に基づいて正当化することができる。
ただし、この外挿は実測期間を超えても同一の分解曲線が継続するとの仮定に基づいている。
含量のみならず、分解生成物の量やその他の適切な測定項目についても評価する必要がある。
2.1.10. 取扱い上の注意/表示
貯蔵方法は、関連する国内/地域の基準に従った表示をするために、原薬の安定性評価に基づいて決めなければならない。
必要に応じ、個別の指示が付される。凍結してはならない原薬については特に注意を要する。
「成り行き温度」、「室温」等の用語の使用は避ける。
リテスト期間は安定性試験成績に基づいて定められる。再試験日は容器ラベルに適切に表示する。