2014年01月30日

小児集団における医薬品の臨床試験に関するガイダンス(2)

今週は「小児の治験」について見ていきます。

ICHのガイドラインで「 小児集団における医薬品の臨床試験に関するガイダンス 」というのが下記にあります。
  ↓
http://www.pmda.go.jp/ich/efficacy.htm
  ↓
http://www.pmda.go.jp/ich/e/e11_00_12_15.pdf

以下、ICHのガイドラインから重要な個所を抜粋します。


2.2 小児用製剤

小児に対して正確な投与を可能にし,コンプライアンスを高めるためには小児用製剤が必要である。

経口投与では,各国において異なった種類の製剤,味や色が好まれるであろう。

様々な製剤,例えば液剤,懸濁剤やチュアブル錠が種々の年齢の小児患者に対し必要もしくは望まれる。

これら種々の製剤において異なる薬物含有量が必要となることもある。

代わり得るドラッグデリバリーシステムの開発も考慮すべきである。

注射用製剤では,投与量が正確かつ安全に投与されるような適切な濃度の製剤を開発すべきである。

一回使用のバイアルとして供給される医薬品については,適切な一回投与の包装形態を考慮すべきである。

ある種の添加物によっては,その毒性は小児の年齢群間又は成人との間で異なることがある。

例えばベンジルアルコールは早産児で毒性が発現する。


医薬品の有効成分や添加物によっては,新生児に対する医薬品の適切な使用のために,新たな製剤や既存の製剤の希釈に関する適切な情報が必要となるであろう。

製剤の添加物やバリデーション手順の受入れに関する国際的調和により,各国の小児集団に対しても適切な製剤が使用できるようになるであろう。





2.3 臨床試験の開始時期

臨床開発の過程における小児臨床試験の開始時期は,医薬品,対象疾患の種類,安全性に関する考慮,そして代替治療の有効性と安全性に基づくであろう。

小児用製剤の開発は困難で時間を要することがあるので,医薬品開発の早期から小児用製剤の開発を考慮することが重要である。


2.3.1 主として小児患者又は小児患者のみを対象にする医薬品

この場合,すべての開発計画は,通常成人で得られる初期の安全性及び忍容性データを除いて,小児集団を対象に実施される。

成人での試験で有益な情報がほとんど得られないか,成人に対して不適当なリスクを生ずるような医薬品については,初期段階から小児集団でのみ臨床試験がなされるのは適切であろう。

例としては,早産児の呼吸窮迫症候群に対するサーファクタントや小児集団に特有な代謝あるいは遺伝性疾患を対象とした治療が挙げられる。




2.3.2 成人及び小児患者の重篤な又は生命を脅かす疾患の治療を目的とした医薬品(これまで治療法がないか,あっても選択肢が限られている場合)

重篤な又は生命を脅かす疾患に対し,当該医薬品が治療上重要な進歩をもたらす可能性がある場合には,小児の臨床試験は,早期に開始することが望まれる。

この場合,医薬品の開発は初期の安全性データと有益性の可能性を示す合理的な根拠を評価した後,小児集団における開発が早期に始められるべきである。

小児臨床試験の成績は,承認申請資料の一部となるべきものである。

これが可能でない場合,小児の成績が得られていないことの妥当性を詳細に示すべきである。





2.3.3 その他の疾患や病態の治療を目的とした医薬品

通常,小児患者に使用されるであろうが前項に比べ開発の緊急性が低い医薬品の場合,小児での臨床試験は開発のより後期に開始されるであろう。

あるいは安全性上の懸念があるならば,成人において十分な市販後の経験を積んだ後に実施される。

企業は小児臨床試験の明確な計画と開始時期の理由を持つべきである。

小児集団におけるこれらの医薬品の臨床試験は通常,成人での第2,3相試験以降に開始されるであろう。

ほとんどの場合,承認申請時は小児に関するデータは非常に限られたものであるが,市販後には,より多くのデータが期待される。

多くの新規化合物では,成人での第T相や第U相の試験において有効性が示されなかったことや許容しがたい副作用を有するため,開発中止となる。

それゆえあまりに早期に臨床試験を開始することは,なんら有益性のない化合物を小児患者に不必要に曝露させることになる。



重篤でない疾患の場合であっても,当該医薬品が小児集団に対し多大な治療上の進歩を示すなら,臨床試験は開発段階の早期に始められるべきであり,申請時に小児の成績が提出されることが期待される。

成績が得られていない場合は,その妥当性を詳細に示すべきである。

このように臨床試験の開始時期を決定するにあたっては,注意深くベネフィット/リスクと治療の必要性を勘案することが重要である。




う〜〜〜ん、頭で考えているだけだと、難しすぎるぞ〜〜!!

これはやっぱり、一度、小児の治験を担当するプロジェクトマネジャーになるべきだね。



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2013年12月31日

「原本紛失」の対処方法

製薬協「治験119」
   ↓
http://www.jpma.or.jp/information/evaluation/tiken119/
   ↓
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質問番号:2013-42 SAE報告書原本の紛失(373頁目)

当院で重篤な有害事象(SAE)が発生し、治験責任医師が作成したSAE報告書原本を、IRB審議資料準備過程で紛失しました。

紛失した旨を治験責任医師に報告し、原本を再度作成し、再度作成したものが、原本と相違がないことを保証する旨を治験責任医師が記載・署名し、顛末書とともに保存することとしました。

しかし、SAE報告書原本は、実施医療機関の長、治験依頼者宛てに2部作成されています。

今回紛失した原本は、実施医療機関の長宛のものであり、治験依頼者宛て原本は既に治験依頼者に提出されています。

また、実施医療機関の長宛て原本を紛失する前にコピーも取ってありました。

上記より、原本を再度作成する必要はなく、コピーに原本と相違がないことを保証する旨を治験責任医師が、記載・署名し、顛末書とともに保存することが最善策ではなかったのかと改めて考えました。

実施医療機関および治験依頼者双方に原本、コピーいずれも存在しない場合のみ、再度原本を作成すべきなのではないかと考えました。

今後は、原本の取り扱いについて見直し、紛失を防ぐことが第一ですが、万が一このような事態が発生した場合、どのような対応が最も望ましいのかをご教授いただきたく存じます。

     ↓

【製薬協の見解】

SAE報告書の内容が正確であり、原本紛失と対応についての経緯を説明が可能であれば、ご質問にありましたいずれの方法でもよいと考えます。

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【上記を要約すると&その他の背景】

    ↓

●同じ「原本紛失」と言っても「同意書」の原本紛失と「SAE報告書」の原本紛失とではその重大性が異なる。

●その治験関連資料の重要性や存在意義を考えて、原本紛失した場合の対応をケースバイケースで考える。



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2013年05月16日

治験薬概要書の改訂

今週も引き続き、治験の進め方のポイント、モニタリングの基礎です。(第6週目)



●治験薬概要書の改訂

・モニターは新たな情報が得られた場合等には、治験薬概要書の改訂に先立って、治験責任医師、医療機関の長、規制当局にこれらの情報を報告する(GCP省令8条ガイダンス)。

依頼者は、開発段階に応じて、また、被験薬に関連する新たな情報が国内外から得られた場合等には、SOPに従って少なくとも年に1回治験薬概要書を見直し、必要に応じて改訂すること。

(見直した結果、改訂の必要が無かった場合は、その旨の記録を残しておく。これはちょっとしたコツ。こうすることで、監査や当局の人に「治験薬概要書は見直していますか?」という質問に「はい。このとおり、見直しましたが、改訂の必要が無かった、という記録があります」と答えられる。)


治験薬概要書の改訂箇所を責任医師に説明するとともに、IRB審議資料として、書類を治験事務局に提出する。


IRBにて改訂が承認された後、治験関係者(分担医師、CRC、治験薬管理者)への情報提供を行う。

また、安全性情報による改訂の場合、同意・説明文書の改訂が必要な場合もある




●治験薬概要書の改訂版の作成に代えて、該当部分だけを記載した追補版の作成で対応しても特に問題ないでしょうか?     

    ↓

新たな重要な情報が得られた場合、当該情報としてまとめて責任医師等に提供することに、特に問題はありません。

ただし、追補版の情報を見落とさないようにするために本体とセットで取り扱われる工夫(例えば、バインダー綴じによる保存)が必要です。

そして、少なくとも年1回の治験薬概要書見直しの際に、原則として追補版の情報を本体に組み入れて改訂すべきです。
           
【GCP関連 Q&A網羅集 平成14年4月版より抜粋】




●IRB審査対象文書の追加・更新・改訂

・治験依頼者は治験期間を通して、IRB審査の対象となる文書のうち、依頼者が提出すべき文書が追加、更新または改訂された場合、その全てを速やかに医療機関の長に提出する。



・IRB審査の対象となる文書のうち、依頼者が医療機関の長に提出すべき文書は以下のものがある。(GCP省令第10条第1項ガイダンス)

1)プロトコル(分冊を作成しており、当該分冊に記載された当該医療機関以外の実施医療機関に特有の情報を改訂する場合は不要)

2)治験薬概要書 

3)CRFの見本(記載内容がプロトコルに記載されている場合は不要)

4)同意・説明文書

5)責任医師の履歴書およびその他の文書、分担医師の氏名リスト(求められた場合は履歴書)

6)予定される治験費用に関する資料(被験者への支払い(支払いがある場合)に関する資料)

7)被験者の健康被害に対する補償に関する資料

8)その他の必要な資料


これら審査対象文書に連動して、変更の可能性のある文書(例えば、契約書等)が発生する場合があるので注意が必要。




●「その他の必要な資料」とはどのようなものがあるでしょうか?

    ↓

分担者・協力者リスト、IRBに提出する契約書(案)、会社を説明するもの(パンフレット等、必要に応じて)、被験者募集のポスター(募集する場合)、モニターの履歴書(必要に応じて)、モニター指名書(必要に応じて)、企業との連携がある場合、利益相反に関する資料等があります。




明日へ続く。


●医薬品ができるまで」は下記
http://chiken-imod.seesaa.net/

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http://archive.mag2.com/0000102664/index.html

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2013年04月12日

データモニタリング委員会に関するガイドラインの意見募集の結果(5)

●今日のテーマとも関連しますが、「データモニタリング委員会に関するガイドラインについて」(薬食審査発0404第1号:平成25年4月4日:厚生労働省医薬食品局審査管理課長)が正式に出されましたので、下記のページにリンクを張っておきました。

このブログは毎週、土日に作成して、自動投稿していますので、上記の最新のガイドラインを反映していませんので、ご了承ください。
    ↓
https://sites.google.com/site/zhiyanniguansurutongzhiji/detamonitoring


●さらにGCPガイダンスの改正がありました。

「「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」のガイダンスについて」の一部改正等について」(薬食審査発0404第4号:平成25年4月4日:厚生労働省医薬食品局審査管理課長)について下記のページにリンクを張ってきました。

https://sites.google.com/site/zhiyanniguansurutongzhiji/home


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今週は「データモニタリング委員会に関するガイドラインの意見募集の結果について」を見ていきます。

ガイドラインの案と意見の結果のリンクは下記のページに張ってあります。


●データモニタリング委員会に関するガイドラインの意見募集の結果について
(データモニタリング委員会に関するガイドライン案に対するパブリックコメントの結果)
   ↓
https://sites.google.com/site/zhiyanniguansurutongzhiji/detamonitoring


今日も独断と偏見で気になるパブリックコメントとその回答を見ていきましょう。




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【意見】

「実際に中間解析を行った統計家も公開審議に参加することができる。」とありますが、独立性維持の観点から中間解析の結果を知っている統計家が同席するべきではありません。



【回答】

御意見を踏まえ、当該記載は削除しました。

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うむうむ。当然と言えば、当然ですかね。

中間解析の結果を知っている統計家が入ると(その他の人でも)、バイアスが入ってきますものね。

このあたりは「独立データモニタリング委員会」で、多々、発生しますね。

データモニタリング委員会のSOPで、そのあたりは、しっかりと情報が漏えいしないような適切な処置をとっておく必要があります。






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【意見】

治験依頼者は勧告そのものではなく、勧告に対する治験依頼者の決定事項を伝達することを記載すべきです。

治験依頼者が伝達すべきなのは勧告そのものより、それに基づく治験依頼者の判断と考えられるためです。

また、勧告に対しては実運用上はすべて伝達されるものと思いますので、「必要に応じ」という表現も削除してよいのではないでしょうか。



【回答】

御意見を踏まえ、修正しました。

また、必ずしも全ての状況で各組織等への伝達がなされるとは限らないこと、不必要な情報伝達もバイアス混入につながることが考えられるため、「必要に応じ」という記載を残しています。

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う〜〜ん。このあたり、難しいなぁ。

実際にDMCを初めて体験する治験依頼者はまごつくでしょうね。

ですので、今週の頭にも書きましたが、下記のシンポジウムがあるようですので、可能な方は是非、参加してみましょう!  
  ↓
日本製薬工業協会主催公開シンポジウム「データモニタリング委員会に関するガイドライン」の理解を深める
  ↓
http://www.jpma.or.jp/event/information/130419.html


ガイドラインの文字を読んでいるだけでは、分かったつもりでも、実際に、じゃ、やってみましょう、となると、結構、細かい所で、「これって、一体、どうするの?」というのがあると思います。

一度でも体験していると分かるのですが、新参者には理解可能でも、現実化は困難、というのが多々あります。

こういう時って、業界内の『人脈』が結構、大事で、他社の人に「ね、これって、具体的にはどうするの?」と経験者に聞くのが一番です。(と言っても、その「経験者」が必ずも「正しい」とは限らないところが、怖いのですが。)



一歩ずつ勉強していきましょう。

大事なことは「難しいから」と言って、「投げる」ことです。(せっかくの自分の成長も投げ出してしまうことになりますからね。)


今週は気になる点だけ、それもごく少数だけピックアップしていましたので、全項目を読まれることを強くお勧めします。

統計解析家って、重要なんだ、と再認識させられます。(今さらですが。)

例えば、以下のようなパブリックコメントが続きます。


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【意見】

中間解析を実施する統計家と、DMC委員の統計家両者の区別がわかりにくといため、配慮をすればこれらを一人の統計家が兼ねることも可能である旨を記載してはいかがでしょうか。




【回答】

他の御意見も踏まえ、両者が異なる役割を持ち、本来異なる者が担当するべき点を主旨とする記載としました。

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【意見】

DMCの統計家の独立性が保たれない場合は、結果にバイアスが混入する可能性が高くなるため、その重要性を強調する必要があると思います。

具体的には、「中間解析を担当する統計家は独立性に配慮する必要があり、試験デザインの設計はもとより、試験デザインの変更についての意思決定や試験の運営管理に関与させないことが適切である。」のように下線部の文言を追記してはいかがでしょうか。

中間解析を担当する統計家は、解析計画書に基づいて淡々と業務を遂行することがミッションであり、必ずしもデザインに関わる必要はかならずしもないと思われますが、さらに厳しく独立性を求める意見があった、とご理解ください。

実務上は、多くの場合、プログラマレベルのスタッフを解析担当に任命することで厳しく独立性を担保することも可能と思われます。



【回答】

御意見を踏まえ、修正しました。

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【意見】

「中間解析を担当する統計家以外の者が盲検解除されたデータを閲覧することがないよう、」という記載は、非公開審議の記述と矛盾します。

個別症例の割り付け内容を対象としているのだと思いますが、データには中間解析結果(群間比較結果)やSAE等がどちらの群かなど様々なものが含まれます。

DMCは独立、非公開であるのですから、「盲検解除されたデータ」という表現ではなく、具体的に意図するものを記載すべきと思います。



【回答】

御意見を踏まえ、DMC委員を除いては中間解析を担当する統計家のみ盲検解除されたデータの閲覧が可能とする旨に修正しました。

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【意見】

「早期中止」を「被験治療の有効性に基づく早期中止」に修正してはいかがでしょうか。

被験治療の有効性に基づく早期中止を判断する場合は、記載の通り、複数回の統計学的検定を実施することに基づく第一種の過誤確率の上昇を考慮に入れる必要があります、有効性における無効中止や、安全性を理由とした試験の早期中止を判断する場合は、検定以外の解析結果に基づく方法により判断を行い、いわゆる第一種の過誤確率を気にしない場合があります。



【回答】

御意見を踏まえ、追記しました。

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はい、出てきましたね。「第一種の過誤」。「第一種の過誤」とは何でしょうか?

第一種過誤とは(α過誤、偽陽性)、帰無仮説が実際には真であるのに棄却してしまう過誤である。

換言すれば、これはテスト結果が対立仮説を支持しているように見えるために起きる過誤である。

つまり、統計的に有意でないのに有意な差があると観測される場合に発生する。

(ウィキペディアより)

「第二種の過誤」というのもあります。どんな過誤のことでしょう? 調べてみましょう!





話は戻ります。


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【意見】

「DMCの統計家は、これら中間解析特有の統計的問題点を踏まえて、臨床試験の計画時に統計解析計画(中間解析の実施時期、実施回数、統計解析手法等)の妥当性について治験依頼者と協議しておく必要があり、また、DMCがより適切な意思決定ができるように、DMCに報告される中間データの有効性及び安全性の解析結果やその提示方法を適切に規定しておく必要がある。」とありますが、下線部のような記載では独立性が保たれないのではないでしょうか。

誤解のないよう「妥当性について治験依頼者と協議」ではなく、「妥当性をレビューし、治験依頼者に必要な勧告をすべき」というような記載にすることはいかがでしょうか。


【回答】

御意見を踏まえ、修正しました。

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いかがでした?

統計解析家って重要ですね。

統計解析に転籍してみますか?

でも、難しそうだよな・・・・統計解析って・・・・・・・・。

下記の本で勉強してみません?
   ↓
●いまさら誰にも聞けない医学統計の基礎のキソ 第1巻 まずは統計アレルギーを克服しよう!
   ↓
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4904307240/horaihonoyomu-22/ref=nosim/





今週は「データモニタリング委員会に関するガイドラインの意見募集の結果について」を見てきました。

是非、皆さんは、DMCを活用し、治験を科学的に進めていかれますように。




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2012年05月17日

糖尿病の治療(2)

経口血糖降下薬(OHA: oral hypoglycemic agent)は、2型糖尿病において血糖値を正常化させることで慢性合併症のリスクを軽減させる目的にて処方される薬物の総称である。

1994年までは米国でも使用できた薬物はインスリン分泌促進薬のみであったものの、2008年現在、日本ではインスリン分泌促進薬、速効型インスリン分泌促進薬、ブドウ糖吸収阻害薬、インスリン抵抗性改善薬という4種類の薬物が入手可能である。



インスリン分泌促進薬としてはスルホニルウレア剤 (SU薬)、速効型インスリン分泌促進薬としてはフェニルアラニン誘導体、ブドウ糖吸収阻害薬としてはαグルコシダーゼ阻害剤 (αGI薬)、インスリン抵抗性改善薬としてはビグアナイド剤 (BG薬)、チアゾリジン系誘導体(TZD薬)が知られている。

また最近、ペプチジルペプチダーゼ4 (DPP4) 阻害剤という新しいジャンルの治療薬が登場し、期待を集めている。



1998年イギリスでUKPDSという大規模比較試験が行われて以来、糖尿病慢性合併症予防目的にてこれらの薬は用いられている。

特にインスリン分泌が残存している2型糖尿病のインスリン非依存状態において有効である。

2型であっても、重篤な感染症の様にインスリン需要の多いとき、清涼飲料水ケトアシドーシス(ペットボトル症候群)の様に分泌を上回るブドウ糖摂取があるとき、周術期や妊娠などはインスリン治療が必要である。

BG薬やαGI薬による境界型糖尿病の糖尿病型への進展予防効果が報告されている。

日本では2009年10月にαGI薬のひとつ、ベイスンが、糖尿病発症予防の保険適応を取得している。




●インスリン分泌促進薬、SU薬とその関連薬

抗生物質の開発中、副作用の低血糖が起きて、薬効が発見された。

1950年代から使用されている。


開発された順に第一世代、第二世代、第三世代と分類される。

第一世代にはトルブタミドなど薬理学的には重要な薬物も含まれているが、近年新規に処方される薬は殆ど第二世代と第三世代なのでそれらを表にまとめた。



作用機序としては膵臓のランゲルハンス島β細胞のSU受容体のSUR1サブユニットに結合しATP依存性Kチャネルを抑制することによってインスリン分泌を促進させる。

SUは経口投与可能であり、肝臓で代謝される。

おもな副作用はインスリン過剰分泌による低血糖である。

したがって交感神経機能が障害されている患者、意識障害がある患者、低血糖を認識できない高齢者、低血糖に対して適切に対応できない患者は慎重投与する必要がある。

また、グリベンクラミド及びグリメピリドは活性代謝物の腎排泄性が高いために、糖尿病性腎症の進行に伴う腎機能低下により、遷延性の低血糖を起こしやすい。

したがって、腎機能低下が認められた場合、代謝物の活性が低いグリクラシドやミチグリニドカルシウム水和物、超持続型以外のインスリンの自己注射への変更を考慮していく必要がある。



SU薬は基本的にはインスリン基礎分泌を促進する薬であるため食前に低血糖を起こしやすく、インスリン追加分泌を促進しないため食後高血糖のコントロールが困難になりやすい。

このためHbA1cといった平均値のみで効果判定を行うとコントロール良好であったにも関わらず心筋梗塞といった大血管障害が起こる可能性がある。

インスリン分泌を高めることは同化反応を亢進させ、体重増加を起こしインスリン抵抗性を悪化させることもある。

これも空腹時低血糖により過食となり食事療法が乱れた場合との区別が難しい。



第三世代のアマリールは従来のSU薬が持つインスリン分泌作用のほかインスリン抵抗性改善作用があると考えられており、副作用による体重増加が少ない。

そのため、空腹時低血糖による食事療法の乱れなども発見しやすく好まれる傾向がある。



2008年現在SU薬は軽症糖尿病の場合はあまり用いられなくなっている。

重症糖尿病の場合は高血糖の持続がβ細胞の破壊という糖毒性を起こし、またインスリン抵抗性の悪化よりSU薬の効果がなくなる二次無効という現象が知られている。

日本の場合、緩徐進行1型糖尿病 (slowly progressive IDDM) が多いため、抗GAD抗体測定といった精査が必要だが、2型糖尿病で二次無効ならば多剤併用療法を考慮する。

空腹時低血糖を起こしやすいため、そのような時間帯に悪心、強い空腹感、倦怠感、発汗、震えを感じたら食事療法関係なく、糖分の補給が必要であることの説明が必要である。

αGI併用時はブドウ糖を補給しなければ低血糖の治療にならないことに注意が必要である。

空腹時低血糖は意識障害を招くだけでなく、虚血性心疾患や網膜症を増悪させる可能性がある。

かつての大規模比較試験UGDPではSU薬と虚血性心疾患の危険についての指摘があった。

1976年、米国でSU薬のひとつであるトルブタミド(ジアベン)が心血管疾患による死亡率を増大すると報告された。

この研究に対して批判も多かったが、その後クロルプロパミド(ダイアビニーズ)、グリベンクラミドなどをもちいたいくつかの研究でその結果が確認されている。

SU薬が、膵β細胞だけでなく心臓の動脈(冠動脈)にも作用し、心筋梗塞などの経過に悪影響を与えることが原因とする説がある。

この考えにもとづくと、グリメピリドやグリニド系の薬剤は心臓に作用しにくいことがわかっているので、これらはこの観点からは安全な薬剤と考えることもできる。

あまり知られていないが、UKPDS34ではメトホルミンとSU薬を併用することによって心血管イベントのリスクが増加するという指摘がある。

大血管障害は食後血糖値が増加するといった血糖値の大きな振れが影響しているという説もあり、決着はついておらず次の大規模比較試験の報告によって解釈は変わりうることに注意が必要である。

糖尿病患者が心筋梗塞といった大血管障害を起こした場合、その原因が原疾患のコントロールの悪さによるものか、薬の副作用によるかは厳密には区別ができず、少なくとも医療過誤ではない。

ガイドライン上も積極的に血糖値をコントロールすることが合併症の予防には効果があるとされている。




●速効型インスリン分泌促進薬、フェニルアラニン誘導体 (グリニド系)

フェニルアラニン誘導体 (グリニド系) はSU構造は持たないもののSU薬と同様膵臓のランゲルハンス島β細胞のSU受容体(SUR1)に作用し、インスリン分泌を促進させる。

食後は吸収が悪くなるので食直前に内服する。

5-15分で薬効を来たし数時間で作用消失する。

この早く効いて、早く効果がなくなるという点がSU薬と大きく異なるところである。

食後血糖降下薬ともいわれ、SU薬がインスリン基礎分泌の促進、グリニド系がインスリン追加分泌の促進と考えられている。

インスリン療法の超速効型インスリンと中間型インスリンの対応に似ているが、SU薬とグリニド系の併用は保険診療上認められていない。

なお、ナテグリニドは活性代謝物の腎排泄性が高いために、糖尿病性腎症の進行に伴う腎機能低下により、遷延性の低血糖を起こしやすい。



●ブドウ糖吸収阻害薬、αグルコシダーゼ阻害剤 (αGI薬)

アルファ・グルコシダーゼ阻害薬 (αGI薬) は食物性糖質の1000倍も親和性の強い糖質類似物質(アナログ)である。

糖質が吸収されるためには澱粉のような多糖類から消化酵素の作用を得て二糖類(麦芽糖や蔗糖)、単糖類(ブドウ糖や果糖)に分解される必要がある。

その酵素、α-グルコシダーゼを阻害し、消化吸収を緩徐にすることで、血糖の上昇をおさえるので、食後過血糖改善薬ともいわれる。

これらの薬物は血糖値の食後のピークを減少させ、食事とともに摂取すると有効であるが食事以外の高血糖の治療には有効ではない。

鼓腸、膨満感、腹部不快感、下痢などの副作用がよく報告される。

これらの原因は消化されずに腸管にのこった糖類が醗酵し発生するガスによるものである。


αGIの継続的な使用によってこれらの副作用は軽減していく傾向がある。

しかし炎症性腸疾患の患者では禁忌である。腸閉塞様症状に至る場合もあり糖尿病性神経障害で消化管蠕動障害がある場合は留意する。

体質的に、肝障害を来す例があるので肝トランスアミナーゼの定期的な観察を行う。

肝障害は薬物の中止とともに可逆的に改善する。

αGIに体重増加作用はないため、食事療法の妨げにならない。

少量から開始し、体を慣らしていくことで、消化器症状によるQOL低下を防止できる。

αGI薬の使用中に低血糖が発現したときは、澱粉や蔗糖では血糖上昇に時間が掛かるのでブドウ糖や清涼飲料水に砂糖の代用に使われているブドウ糖果糖液糖を低血糖の処置に用いる。




●インスリン抵抗性改善薬、ビグアナイド系 (BG薬)

肝臓に作用して糖新生を抑え,筋肉での糖の取り込みを促進、さらに腸管でのブドウ糖吸収を抑制すると考えられている。

詳細な作用機序は不明であるが、分子標的はAMP依存性プロテインキナーゼ(AMPPK)と考えられている。

インスリン抵抗性改善薬であるので、体重は不変から減少傾向となり、食事療法の妨げにならない。

かつて副作用である乳酸アシドーシス(乳酸ピルビン酸が蓄積しやすくなるため)に対する懸念からあまり用いられることはなかった。

しかし、実際は乳酸アシドーシスの頻度は低いことが英国でのUKPDSでの再評価によって判明した。

乳酸アシドーシスを起こしやすい病態、すなわち、肝障害、腎障害、心障害の既往がある患者には使用をさける。



塩酸メトホルミンが主流である。

塩酸ブホルミンは塩酸メトホルミンに比べて薬効が低く、乳酸アシドーシスを起こしやすいといわれている。

2008年現在、インスリン抵抗性のある患者に広く使われるようになりTZDとの合剤も海外では販売されている。

その他の問題点は軽度の胃腸障害であるが、これは一時的なもので少量から開始し、ゆっくりと漸増すれば軽減できる。

発熱時、下痢など脱水のおそれがあるときは休薬する。ヨード造影剤使用の際は2日前から投与を中止する。




●インスリン抵抗性改善薬、チアゾリジン系 (TZD薬)

ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体γ (PPAR‐γ) 作働薬やインスリン抵抗性改善薬とも呼ばれる。

核内受容体のひとつであるPPAR-γに結合し、インスリンの抵抗性を悪化させる様々な因子の転写調節をする。

主として末梢組織のインスリン抵抗性改善にあたる。有効性及び安全性に性差を認め、女性で浮腫を来し易い一方で、小用量で血糖降下作用を見る事が多い。

脂肪細胞に作用しブドウ糖の取り込みを増やす事で血糖が低下する。

その代わり肥満を助長しやすくなる。塩酸ピオグリタゾン(商品名:アクトス)だけが現在、国内で上市されている。

最初に商品化されたトログリタゾン(商品名:ノスカール)は肝障害の死亡例が相次ぎ、その原因の一つとして肝臓での薬の代謝に関わるグルタチオン抱合酵素GSTT1とGSTM1の変異が重なると特に副作用の発症率が高い事が示された。


類薬ではトログリタゾン程の肝障害は報告されていないが留意して使用するのが望まれる。


副作用として浮腫や貧血を合併することがあるが、腎でのインスリン感受性亢進のため、Naの再吸収を促進するためだといわれている。

脂肪細胞を分化誘導する一方で骨芽細胞の減少により骨折のリスクが増加するのではないかと云われている。

副作用に浮腫があるために心不全の既往がある患者には禁忌となる。

浮腫が出現しなくとも効果が出ると体重が増加する傾向があるため、食事療法のコントロールに気をつける必要がある。

大血管障害の既往を有する2型糖尿病患者に対して、心血管イベントの発症の抑制、およびインスリン治療の導入を遅らせるという欧州での成績がある。




●ジペプチジルペプチターゼ(DPP)IV阻害薬

消化管ホルモンでグルコース依存性にインスリン分泌を促すインクレチンの分解酵素のDPP-IVを阻害する事で、インクレチンの血中濃度を上昇させる。

その結果インスリン分泌が促進される。

GLP-1には胃排泄能低下作用があり血糖上昇が穏やかになり、インスリンを産生するランゲルハンス島β細胞の増殖を促すのでは無いかと期待されている。

低血糖の副作用が少ない。


▼シタグリプチンsitagliptin (MK-0431/ONO-5435) 米メルク社が開発。

腎排泄性。上気道感染症・尿路感染症の副作用が3%に見られたが、膵疲弊の軽減の結果かHOMA-βやプロインスリン/インスリン比の改善をもたらした。

151名の日本人患者による実薬偽薬間検討でもHbA1c 1.05%の低下をもたらした。

2007年、アメリカで販売を承認されている。

2009年12月11日、日本で上市された。(小野薬品工業からグラクティブとして、MSD株式会社からジャヌビアとして)



▼ビルダグリプチンvildagliptin (LFA237, Galvus)

メトフォルミンに比べて消化器症状が低く( m 43.7% vs v 21.8%)、ロシグリタゾンでは1.6kgの体重増加があったのに対してビルダグリプチンは1kg以上の体重減少があったとしている。

スイスノバルティス社から「エクアR」として発売された。




▼アログリプチン (SYR-322) 2型糖尿病治療薬としての第3相臨床試験において、1日1回の経口投与で、単独療法および2型糖尿病の主な治療剤であるメトホルミン製剤、チアゾリジン系製剤、インスリン製剤やスルフォニル尿素剤(SU剤)との併用療法において、プラセボと比較し、統計学的に有意差をもってHbA1cを低下させた。

武田薬品工業。



●開発中の糖尿病の薬


★ジペプチジルペプチターゼ(DPP)IV阻害薬

SK-0403 三和化学研究所

BI-1356 ベーリンガーインゲルハイム

ABT-279 アボット など



★SGLT阻害薬

Na + -ブドウ糖共輸送体(SGLT: sodium-dependent glucose transporter 2)は尿細管内腔にあり糸球体で、ろ過された原尿には血漿と同じ濃度含まれているブドウ糖をナトリウムと共に尿細管細胞内に再吸収する。

この蛋白のお陰で尿糖閾値までブドウ糖が外に失われずに済む。

尿糖を増やせば血糖がへる。

血糖が正常化すれば、膵でのインスリン分泌の負担が軽くなり、糖毒性が取れるのではないかというコンセプトで、SGLT阻害剤の開発が進められている。

同じ蛋白は小腸上皮粘膜細胞にあり 腸管からの糖の吸収に携わっている。

田辺製薬 T-1095

サノフィ・アベンティス AVE-2268

キッセイ薬品工業 KGT-1251

アステラス製薬 YM543などがある。



★フルクトース1, 6ビスホスファターゼ (FBPase: Fructose 1,6-bisphosphatase) 阻害剤

糖新生を妨げる事で血糖の上昇を抑えようと言う機序の薬品である。

メタベイシス社と第一三共が CS-917の開発を進めている。


★Aktリン酸化薬

インスリン受容体から細胞内に情報を伝達する経路にあるAkt(セリンスレオニンキナーゼ)のリン酸化により、インスリンに類似した効果が期待出来る。


★コレセベラム (colesevelam HCl)

脂質降下薬のひとつ、胆汁酸と結合しコレステロールの腸肝循環を妨げ排泄させるが、pleiotropic effectとして、インスリン併用2型糖尿病患者のHbA1cが0.5%程度下がり米FDAに承認申請。


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posted by ホーライ at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 参考にした図書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする