2012年08月21日

臨床研究中核病院:名古屋大学病院の例

今週は●「平成24年度臨床研究中核病院整備事業の公募結果について」を見ています。

今日は、●「名古屋大学病院」を見ていきましょう。

名古屋大で目を引くのは「国内最大級の関連病院間ネットワーク(名大関連病院間ネットワーク)と中部先端医療開発円環コンソーシアムのもつ広大な臨床研究フィールドの活用」です。

ネットで検索したら、次の資料が見つかりました。

「中部先端医療開発円環コンソーシアム」

中部先端医療開発円環コンソーシアムとは愛知医科大学、金沢大学、岐阜大学、名古屋市立大学、名古屋大学、藤田保健衛生大学、三重大学が参加しているコンソーシアムなんですね。

もし、このコンソーシアムが100%、力を発揮したら、たいしたものが出てきそうです。

中部先端医療開発円環境コンソーシアムの事務局を名大病院先端医療・臨床研究支援センターが担うようです。

こんなニュースもありました。
  ↓
「中部の7大学、先端医療で協定」


名古屋大に話を戻しましょう。

名古屋大の「新規研究シーズの発掘と支援」ですが、以下のようになっています。

*************

名大病院では毎年、新しい研究シーズの発掘と支援のために病院収益の一部を投資しているが、本事業を通してその方向性をさらに強化する。

なお、プロジェクトの選考は、病院執行部及び診療科代表者からなるプロジェクト選考委員会が行っている。

1.臨床応用を目指した基盤研究支援:先端研究支援経費
近い将来臨床研究を実施する可能性のある有望な基礎研究の支援
10件程度(毎年募集)

2.臨床研究支援:先端医療・臨床研究支援センター経費
出口に近い有望なプロジェクト
10?20件程度(3年に1回募集)

3.高度医療・治験支援:先端医療開発等経費
高度医療または治験申請を目指すプロジェクトの支援(診療費用免除を含む)
5-10件程度(毎年募集)

*************

おおまかに言って、基礎の支援と、もうすぐ市場に出せそうな(出口に近いプロジェクト)の支援を行うようです。

そして、研究シーズの進捗管理方法は「プロジェクトマネージャー」が行っています。

この「プロジェクトマネージャー」というのは、企業においてもとても重要な役割を担っていて、プロマネ(プロジェクトマネージャー)の良し悪しが、プロジェクトのスピード、成功の鍵を握っています。

「プロマネ」は無茶苦茶、大変な仕事です。

予算の管理から、人事管理、そしてプロジェクトの管理、複数の部署を有機的に結び付ける能力。

これから、自分で一旗揚げてみたい!と思っている人は、是非、「プロマネ」を目指してみましょう。

日本プロジェクトマネジメント、という協会もあります。

参考にしてください。
  ↓
「日本プロジェクトマネジメント協会」


話は脱線しまくりですが、名古屋大のさらなる特徴が「Design Buildup Team(DBT)」というもの。

私たちが「DBT」というと、つい、「二重盲検試験(Double blind test)」を思い出してしまうのですが・・・・

******************

●病院内では臨床研究に携わる医師、看護師、薬剤師、PMDA経験者等が、病院外では名大病院以外の研究者、企業人、弁理士等が、開発当初からひとつのチーム、すなわちDesign Buildup Team(DBT)を組織することを目指す。

●DBTが開発当初から企業の選定、製剤・機器の目標設定、規制当局への対応を検討し、承認を得るために必要な研究テーマ(戦略的研究)をデザインし、実施することで成功確率を高める(戦略的アプローチ)。

******************

ちなみに、スライドの中に「死の谷」とありますが、

死の谷とは研究戦略、技術経営、プロジェクトマネジメント等において、研究開発が、次の段階に発展しない状況やその難関・障壁となっている事柄全般を指す用語です。

「創薬」と「死の谷」については、こちらをご覧ください。
  ↓
「創薬・医療技術基盤プログラムの始動に向けて 創薬イノベーションにおける“死の谷”の橋渡し役として 」

「米国では、アカデミアと製薬企業の間をつなぐ機能として、バイオベンチャーが充実しているものの、日本では、これが決定的に不足している。」というわけです。

この「死の谷」を埋めることが、日本における緊急の課題です。

しかし、「死の谷」はちょっとやそっとではクリアできません。

だからこそ、今から進めていかないといけないんですね。

おっと、またまた脱線しましたが、名古屋大の話です。

その名古屋大のスライドの3ページ目に「死の谷」といっしょに書かれているのが「規制当局の壁」というのがあります。

説明まで記載されていませんが、なんとなく、分かりますね(笑)。

でも、民間企業が感じている「規制当局の壁」と大学等の研究機関が感じている「規制当局の壁」って、少し違うような気がします。

民間企業の場合は、新薬の承認申請に関する「規制当局」とのつきあい方も馴れていますが、大学等では、そもそも「何を申請すればいいの? どういう規制があって、どうやってそれをクリアすればいいの?」という感じかなと僕は思います。

もし、そうならば、大学関係は、もっと積極的にPMDAや厚生労働省と人材交流をはかり、そもそも治験をどう進めたらいいのか、新薬の承認申請にはどんなデータが必要なのか、そのためには、どんな治験が必要なのかを学ぶといいでしょう。

もちろん、そういうアドバイスやらコンサルティングを民間企業に求めるのでもいいと思います。


最後に名古屋大では「名大病院が実施または支援する臨床研究のダブルスタンダードからの脱却」を目指しているようです。

今までは「臨床研究」から「先進医療」と「医師・企業主導治験」と分かれていたものを、「先端医療と治験」を一本化したいようです。

このあたりは、僕も詳しく知らないのですが、そのためにも「名大病院が実施する臨床研究においては、5年後にICH-GCP化率を100%にする。」そうです。

さ、私たち民間企業も「ICH-GCP100%」を目指しましょう!(今さらですが・・・・・・。)




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臨床研究中核病院:千葉大学病院の例

今週は●「平成24年度臨床研究中核病院整備事業の公募結果について」を見ています。

今日は、●「千葉大学病院」を見ていきましょう。

千葉大病院の特徴は次です。

【人材育成として】

●大学トップの決断と 新部局の設置 未来医療教育研究センター

●学長のリーダーシップとグランドデザイン

●臨床研究の中核的研究拠点を担う人材の育成

●教授を配置し臨床試験部を実践の場とする


新しい部署として「未来医療教育研究センター」を作る予定です。

どんなことをやるんでしょうね?

ところで「大学トップの決断」と書かれています。

これは新規プロジェクトを立ち上げる時の定石ですね。

企業でも社長や事業部本部長クラスを巻き込むことが重要なポイントになります。

でも、トップを巻き込んだら、それで安心というわけにはいかず、当然ですが、現場で強烈なリーダーシップを発揮する人が必要です。



さらに、千葉大では以下のことが特色です。

【規制当局との高度な 連携】

1.PMDAへ医師6名派遣、薬学研究院からPMDAへ50名以上入職

2.厚労省出身の教員5名

3.PMDA連携大学院(H24設置、医療行政学講座)

4.レギュラトリーサイエンスの発展


うむ。企業とPMDAや厚生労働省との人材交流は難しい(天下りとか、審査を特定の企業に有利にする恐れ等)ですが、大学関係との交流は比較的、容易にできそうです。

是非、人材交流を活発にして、大学での創薬をアドバイスして欲しいものです。


次に千葉大で力を入れているのが以下のものです。

●Global ARO Net. のJapan leading AROとしての活動

グローバルARO という組織が分からないのでネットで検索したのですが、やっぱり、よく分かりませんでした^^;

とりあえず、国際的にAROを進めましょうという組織ですかね。

ARO主導型臨床試験の計画・立案・実施を行っていくようです。

そして、●明確な成果の実現へとして「承認申請」を挙げています。

そうですね。

是非!!新薬の承認申請まで持っていって欲しいものです。

論文発表でとどまらずに。


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2012年08月17日

そもそも臨床研究中核病院とは?

今週は「臨床研究中核病院」について見ていきましょう。

ところで、そもそも臨床研究中核病院とは?

*************

厚生労働省のページ

「平成24年度臨床研究中核病院整備事業の公募結果について」


国際水準の質の高い臨床研究や難病等の医師主導治験を推進し、日本発の革新的な医薬品・医療機器を創出するためには、複数病院からなる大規模なネットワークの中核となり、臨床研究の拠点となる機関が必要です。

厚生労働省ではこのたび、この課題に対応するため、臨床研究中核病院整備事業の対象として、次の5機関を選定しましたので公表いたします。

●北海道大学病院
●千葉大学医学部附属病院
●名古屋大学医学部附属病院
●京都大学医学部附属病院
●九州大学病院


1.事業概要

●日本発の革新的な医薬品・医療機器の創出等を目的に、国際水準の臨床研究、難病等の医師主導治験及び市販後臨床研究等(以下「国際水準の臨床研究等」)の中心的役割を担う「臨床研究中核病院」を整備する事業。

●選定された機関は、以下の基盤構築を行う。

・自ら国際水準の臨床研究等を企画・立案し実施するとともに、他の医療機関が実施する臨床研究を支援できる体制
・倫理性、科学性、安全性、信頼性の観点から適切かつ透明性の高い倫理審査ができる体制
・関係者への教育、国民・患者への普及啓発、広報体制  等

●各機関から提出される整備計画に基づき、1機関当たり5億円程度を上限として基盤整備に必要な事業費を補助する。
●整備事業と連動して、国際水準の臨床研究等を行うための研究費を補助する。
●補助期間は平成24年度からの5年間を予定。


*************

臨床研究中核病院整備事業および日本主導型グローバル臨床研究体制整備事業における各整備対象機関の整備目標について標記について、当該機関の整備に関する目標を公表いたします。

「厚生労働省の治験のサイト」

************



さて、その病院ですが、次の5施設です。

「北海道大学病院」

「千葉大学病院」

「名古屋大学病院」

「京都大学病院」

「九州大学病院」


さらに、ついでに「日本主導型グローバル臨床研究拠点」という施設も剪定されています。

「北里研究所・大学病院」

「先端医療振興財団」


さて、まず、最初は本質的なことではないのですが、それぞれのパワーポイントの資料を並べて読むと気づくことがあります。

それは「キーワード」です。

たとえば「●●から世界へ」というもの。

「北海道から世界へ」とか「名古屋・中部から新しい医療を世界へ」とか「京都から世界へ」等ですね。

さらに「出口戦略」「出口を見据えた」というもの。

「出口」って何でしょう?

多分、思うに、「結果を重視した・見据えた戦略」というようなことでしょうか。

何も考えずに「シーズありき」ではなく、「これはどのように開発していくのか、そのシーズを結局、何に繋げるのかを初めからきちんと考えてやりましょうね」というあたりなのかな。

パワポの資料だけでは何とも読み取れないですが。


さらに「ICH-GCP準拠」も臨床研究中核病院の共通したキーワードになっています。

なんか、今さら? という感じですが、もちろん、今からでも遅くはないので、是非、ICH-GCP準拠の臨床研究を実施して頂きたいものです。

もちろん、ICH-GCPに準拠することで臨床研究のデータの信頼性や科学的な質が向上する、海外の申請に耐えうるデータが集まるという効果が一番なのですが、それともうひとつ重要な効果として期待できるのは、医師(病院)が実施する臨床研究をICH−GCPに準拠して実施して頂くことで「企業主導治験」に対する理解も深まっていき、今後の治験がスムーズに進行してもらえるのではないか、というものがありますね。

「モニタリング」とか「監査」とか「ALCOA」とか、普段、何故、企業は色々とうるさいことを言ってくるのか、それを身を持って経験してもらえるわけです。

あるいは逆に企業がうるさいことを言ってきたときに「あれ?そんなことGCPで言っている?それは過剰でしょ!」と言えるようになります。

さらにさらに、これから「医師(病院・大学)主導で国際共同治験」を実施して頂けると、日本の臨床研究も本当に世界レベルになると思います。

企業主導の国際共同治験に「いち施設、いち治験責任医師」として参加したぐらいでは、本当の国際共同治験の難しさなんて分かりません。

ここは、やっぱり、医師(病院・大学)自らが世界各国の臨床医をマネジメントしてリードして頂くことで、新薬の世界同時開発を体験して頂きたいものです。

なんか、上から目線ですが(いつものこと)。


ほかにも共通したキーワードは「シーズを見出し、育てる」「人材育成」「病院長をまきこんで、病院を一体化して」「AROの強化」というあたりがあります。

まぁ、どうでもいいのですが、このように複数の病院が出してきた資料なのに、多くのキーワードや発想が重なっているのは何故でしょう?というのも考えてみると面白いかも。

企業の場合ですと、一大プロジェクトを発足するにあたり、「ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)」のようなコンサルタントファームを使うことがあります。

すると、発表用のパワポの雛型をコンサルタント会社が用意し(その時に、ある程度のキーワードが既に記載されている)、そこに自分たちのメッセージを記載していく、という手法をとります。

今回の臨床研究中核病院の資料も、ある程度、誰か(厚生労働省とか、コンサルタントファームとか)が用意し、そこに個別の病院の担当者が情報を追加していったのかな、という気がします。(本当に、どうでもいい話で、すいません)



では、今日は北海道大学病院を見ていきましょう。

臨床研究中核病院としての北海道大学病院は、次の5つを目標を定めています。(5ヶ年計画)

●病院長の責任下での体制の確立

●出口を見据えた臨床研究体制の整備

●ICH-GCPに準拠した臨床研究の実施

●多施設共同研究体制の整備

●国民の理解に基づく臨床研究の実施

うん、いいですね。

ちなみに、中核病院のスライドを見て思ったのですが、どこも「組織・体制」がえらく込み入っていて、これは相当、リーダーシップを強く発揮して、マネジメント能力にも長けた人がいないと、とっても大変だなと思いました。

ちょっと見、こんな組織体制が本当にできるの?といらぬおせっかいなのですが、予算をしっかりと獲得して、優秀な人材を集めてくださいね。


さて、北大病院の特徴ですが、それは「陽子線治療装置の開発」です。

これは「がん」の「サイズ」「体内の動き」「放射線感受性」に合わせたテーラーメイドの放射線治療を実現することを目指したものです。

最近はこのような「陽子線」や「重粒子線」を使った「がん」の治療が盛んに研究されていますね。

私どもの会社(リアルに僕が働いている会社)でも(と急にセールスマントーク)、鹿児島の指宿に「重粒子線治療」の施設を持っています。
   ↓
「メディポリス医学研究財団」

ちなみに「粒子線治療を受けられる病院(施設)は全国で8箇所です」
   ↓
「粒子線治療を受けられる病院」



北大病院に戻りますが、北大病院ののターゲットですは、「難治性神経疾患の治療法開発」と「心不全治療のあらたなエビデンス創出」があります。

是非、期待しましょう!

特に「難治性神経疾患」については是非、頑張ってほしいものです。




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2012年06月29日

医療イノベーション5か年戦略(5)

さて、ということで今週は「「医療イノベーション5か年戦略」(2012年版)」を見てきました。

いかがでしたか?

本当にここに記載されていることが100%実現したら驚異的に素晴らしいことです。

50%の出来だとしても、画期的です。

ところで、ここで大事なことはこれらのことを他人事として捉えない、ということ。

お上がやってくれるんでしょ? なんて決して思わないこと。

これらは紛れもなく、「私たち」がやっていくことなのです。

自分たちの手で「時代」を作っていきましょう。

日本が医療の分野で世界一になり、各国からその医療を受けるために患者がやってくる、となって欲しいものです。

そうなったら、どんな日本になるのでしょか?

ちょっと、ワクワクしませんか?

世界中から患者さんが日本に来るようになったら、どんな国からも武力的に攻撃されることもなく、自衛隊もいらなくなるかもしれませんね(そう単純ではないか)。


それはともかく、「医療イノベーション5か年戦略」にみんなで協力していきましょうね。

一刻も早く、「ドラッグラグ」なんていう流行語が死語になることを祈ってやみません。





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2012年06月28日

医療イノベーション5か年戦略(4)

今週は「医療イノベーション5か年戦略」を見ていきます。
   ↓
「医療イノベーション5か年戦略」(2012年版)

医療イノベーション会議(平成24年6月6日)のものです。



さて、民間企業においても「イノベーション」の必要性が強調され、社内に「イノベーション委員会」なんていうのがよく立ちあがったりします。

そこで最も難しいのは「本当にイノベーションが進んだのか?」という評価方法です。

たとえば、製薬会社なら「以前に比べて治験に移行する新薬の卵が2倍になった」とか「フェーズ1から承認申請まで30%の時間短縮を達成した」というような数値に反映されればいいのですが、そう簡単にはいきません。

そこで、「医療イノベーション5か年戦略」(2012年版)の報告の中には具体的な数値として、次の項目があります。


***********************

@ 「がん対策推進基本計画」に基づき、がん対策を総合的かつ計画的に推進することにより、がんによる死亡率を20%減少させる。(平成17年の75歳未満の年齢調整死亡率に比べて平成27年に20%減少)(毎年度実施する。:内閣官房、内閣府、文部科学省、厚生労働省、経済産業省)


C 日本発の革新的な医薬品を創出するため、難治性がんや希少がん等を中心にがんペプチドワクチンをはじめとしたがん免疫療法や抗体医薬等の分子標的薬、核酸医薬等の創薬研究に関し、GLP準拠の非臨床試験、国際水準の臨床研究・医師主導治験を推進し、5年以内に日本発の革新的ながん治療薬の創出に向けて10種類程度の治験への導出を図る。(毎年度実施する。:厚生労働省)


***********************

注目すべきは「5年以内に日本発の革新的ながん治療薬の創出に向けて10種類程度の治験への導出を図る」という点です。

どうですか?

かなり「イノベーティブ」ですね。

さらに、こんなことも記載されています。


***********************

W 実行の枠組み

1 モニタリング、啓発、コンセンサス形成を含む好循環形成

医療イノベーションはグローバルに進展していく。

5か年戦略の進捗状況についての「工程表」等に基づく数値目標の達成状況の把握などのほか、重要な医療技術や疾病分野別の取り組みが、グローバルな視点からどのような位置づけにあるのかについても「モニタリング」を行い、それらの情報を公開し、新しい技術が生み出す可能性と課題を広く啓発するとともに社会で共有する施策を行ない、メディア・市民の医療リテラシーの向上を目指す。

***********************


この報告書に何回も出てくる「医療リテラシー」とは何でしょう?

ネットで検索すると次のように解説されていました。

***********************

●医療リテラシーとは医療情報を理解し、それを使って、自身の健康とケアの良い意志決定をするための能力のことです。

***********************


分かったような分からないような・・・・・・。


さて、医療イノベーションの実行についての続きです。
  ↓
************************

2 目標の達成を目指した「工程表」の策定によるPDCA の実践

医療イノベーションのビジョンの実現に向けて、あらかじめ具体的かつ明確な目標を設定し、医療技術の主な分野別に立てられる戦略や個別のプログラム、重要課題・疾病別の個別重点戦略とそのプログラムをもとにした、ビジョン実現のための工程表を策定する。

各プログラムの進捗状況や目標達成状況を把握できる計測可能な指標を個別に設定し、計画推進の段階での達成目標値を定める。

計画の進行管理に当たっては、これらの指標を計測し、内閣官房医療イノベーション推進室に報告するとともに、指標の計画と実績に差異がある場合には、その情勢の変化や進捗状況を把握し、更なる加速や中断、中止を含めた計画変更の要否を判断の上、医療イノベーションビジョンの実現に向けて、必要な施策の見直しを行うこととする。

*************************



「PDCA」とは?

新入社員の皆さん、「PDCA」について、もう学びましたか?

PDCAとは「事業活動における生産管理や品質管理などの管理業務を円滑に進める手法の一つ。

Plan(計画)→ Do(実行)→Check(評価)→ Act(改善)の 4 段階を繰り返すことによって、業務を継続的に改善する。」ということです。

仕事をやり放し、評価もしないし、次への改善も検討していない、というのは、このPDCAサイクルに合致していません。

どんな業務もプロジェクトもタスクもこのPDCAを回転させることで、次へと結びつきます。



ちなみに、「目標を設定する」ときのコツは「SMART(スマート)」に目標を設定することです。

「SMART」とは下記の全ての要素を含んだ目標設定の指標です。

◆要素1:Specific(具体的に)

誰が読んでもわかる、明確で具体的な表現や言葉で書き表す


◆要素2:Measurable(測定可能な)

目標の達成度合いが本人にも上司にも判断できるよう、その内容を定量化して表す


◆要素3:Achievable(達成可能な)

希望や願望ではなく、その目標が達成可能な現実的内容かどうかを確認する


◆要素4:Related(経営目標に関連した)

設定した目標が職務記述書に基づくものであるかどうか。と同時に自分が属する部署の目標、さらには会社の目標に関連する内容になっているかどうかを確認する


◆要素5:Time-bound(時間制約がある)

いつまでに目標を達成するか、その期限を設定する

日本企業では曖昧なことが多く、その為のトラブルが多く発生しています。

目標を掲げても単なるお題目に終ってしまい、うやむやにさせないためには、目標と具体的アクションをしっかり組み合わせることが重要です。


「スマートの原則とは」他にもいろんな定義があります・・・・・・

■Specific=テーマ・表現は具体的か?

■Measurable=第三者が定量的に測定可能か?

■Achievable=現実的に達成可能か?

■Result-oriented=「成果」に基づいているか?

■Time-bound=期限がついているか?


いずれにしても、医療イノベーションをやるなら、何をいつまでにどうするのか、を明確にしないと予算の無駄ですからね。


さらに「医療イノベーション5か年戦略」(2012年版)の54ページにこんな記載があります。
   ↓
***********************

V−4 戦略期間に新たに議論する必要のある医療イノベーション推進方策

(1)臨床研究中核病院については、その整備状況を見つつ、その機関の特性に応じて、革新的な医薬品・医療機器の創出、ドラッグラグ・デバイスラグの解消等を図る観点から、治験等に係る特例を持たせる等の機能を検討する。


***********************

上記に「治験等に係る特例を持たせる」という言葉がありますね?

これって何でしょう?

どんな特例が出されるのでしょうか?

ちょっと興味深いです。

どんな「治験に係る特例」が出てくるのか、待ちましょう。(ほんとに、何だろう?)




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    ↓
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