2012年10月03日

臨床研究・治験活性化5か年計画2012 アクションプラン(治験ネットワーク)

今週は「第8回(平成24年度第1回)臨床研究・治験活性化に関する検討会」の資料を見ていきましょう。
     ↓
「第8回(平成24年度第1回)臨床研究・治験活性化に関する検討会」


今日は「臨床研究・治験活性化5か年計画2012 アクションプラン(案)」を見ます。
    ↓
「臨床研究・治験活性化5か年計画2012 アクションプラン(案)」


このアクションプラン(案)は大きく言って、次の10個の項目になっています。

●●●1.「9年間の活性化計画を踏まえた更なる飛躍と自立」

●(1) 症例集積性の向上(主に企業主導治験)

●(2)治験手続の効率化(主に企業主導治験)

●(3) 医師等の人材育成及び確保(企業主導治験、医師主導治験、臨床研究に共通)

●(4)国民・患者への普及啓発(企業主導治験、医師主導治験、臨床研究に共通)

●(5) コストの適正化(主に企業主導治験)

●(6) IT技術の更なる活用等(企業主導治験、医師主導治験、臨床研究に共通)


●●●2.「日本発の革新的な医薬品、医療機器等創出に向けた取組(イノベーション)」

●(1)臨床研究・治験等の実施体制の整備

●(2)臨床研究等における倫理性及び質の向上

●(3)開発が進みにくい分野への取組の強化等

●(4)大規模災害が発生した際の迅速な対応


・・・・・・というように全部で10項目あります。


では、●(1) 症例集積性の向上(主に企業主導治験)を見ましょう。

この項目では、特に「治験ネットワーク」に主眼が置かれています。


■□■ 以下引用 ■□■

【目標】

・国内における優良な治験ネットワークが3ネットワーク以上存在している。


●具体的な取組内容

・国は関係機関と協力し、学会、研修会、その他の機会等において、積極的に周知を図る。

・治験実施医療機関、SMO、治験依頼者等は、「治験等の効率化に関する報告書」の内容を理解し、実行するよう努める。

・国は、厚生労働科学研究費補助金による研究班等を設置し、治験ネットワークの取組等に関する調査等を実施し、症例集積性や事務手続の効率化、迅速化等の点で優良な治験ネットワークの要件を定めた上で、要件を満たす治験ネットワークを厚生労働省のウェブサイト等で公表する。

・上記の調査結果や、「治験等の効率化に関する報告書」内容を踏まえて、治験ネットワークに参加する医療機関は、ネットワークを実行性のあるものとし、症例集積に努める。

・治験依頼者等は、優良な治験ネットワークの積極的活用に努める。


■□■□■□■□■□■


ここでのキモは「治験ネットワークの取組等に関する調査等を実施し、症例集積性や事務手続の効率化、迅速化等の点で優良な治験ネットワークの要件を定めた上で、要件を満たす治験ネットワークを厚生労働省のウェブサイト等で公表する」です。

今も各地に治験ネットワークという名称がつくものがたくさんありますが、効果的に運用されているかどうか微妙です。

そこで、ネットワークが活発化されるよう、国が調査して、その中から優良なネットワークを公表するというのはとてもいいと思いますし、治験依頼者としても目安になって助かります。

また、「ネットワークを『実行性』のあるもの」にする努力とシステムも必要です。

そのためには、後述しますが、ネットワークの中心になる事務局担当者の強力なリーダーシップとマネジメント能力が要求されます。

さらに必要なのはネットワークに参加している全ての医療機関の担当者の「協力しよう・ネットワークをもっと良いものにしたい」という気持ちです。

ひとつの企業の中ですら、こういう「協力体制」を整えるのは大変。

それが、複数の医療機関をまとめようというのですから、それはもう並大抵のことではありません。

複数の病院が「あたかも1つの病院であるかのように」機能させようというのですから、これが成功したら大歓迎です。





■□■ 以下引用 ■□■

・「新たな治験活性化5ヵ年計画」の中で形成された治験ネットワークは、複数の医療機関があたかも1医療機関のように機能できる体制に再構築するとともに、引き続き自主的に治験ネットワークの促進に取り組む。

・特に、特定疾患等治験基盤整備事業選定病院、臨床研究中核病院等予算事業において採択された医療機関は、以下の機能を有するよう速やかに対応を開始し、継続して取り組む。

   1.標準業務手順書の作成と各種様式等の統一

   2.質の高い審査を行える共同IRB(Institutional Review Board:治験審査委員会)等の設置及びその活用

   3.治験ネットワーク事務局の積極的なマネジメント

・各治験ネットワークはその活動状況(受託治験数、実績等)をウェブサイト等で公表し、医療機関や治験依頼者に積極的にアピールする等、治験ネットワークの活性化に取り組む。

■□■□■□■□■□■


上記にたったひと言「治験ネットワーク事務局の積極的なマネジメント」とありますが、じゃ、どうすればマネジメントできるのか、そもそも「積極的なマネジメント」とは何なのか、どうなったら、「積極的なマネジメント」をやっていると言えるのか、ということが難しいですね。

治験依頼者側から見ると、ネットワークの窓口になっている事務局に足を運べば、他のネットワーク傘下の病院を訪問しなくても大丈夫、という状態になっていると、「マネジメントされているな」と勝手に思うのですが。

治験の手続きにしろ、症例の集積にしろ、プロトコル説明会にしろ、全て、窓口の事務局に行けば済むという、今、はやりの言葉で言うと「ワンストップ」の事務局が理想なのですが、そこまで求めるのは酷というものでしょうか?

少なくとも、治験ネットワーク傘下の病院に治験を依頼する時、ネットワークに入ってからのほうが事務手続きが煩雑で、却って時間を取る、前のほうが良かったというようなことだけは避けてほしいですね。





■□■ 以下引用 ■□■

・国は、厚生労働科学研究費補助金による研究班等を設置し、治験ネットワークの促進のため、以下の調査等を実施し、厚生労働省のウェブサイト等で公表する。

1.全国の治験ネットワークと主な活動内容(過去の治験受託実績等)

2.各治験ネットワークが有している機能等(共同IRB,地域の医療機関・診療所との連携(患者紹介システム)等)

3.各治験ネットワークの取り組み等(治験を実施する医師や治験に協力する医師に対するインセンティブ、医療機関間の情報共有・教育の機会等)


また、調査結果を踏まえて、医師等に対して治験を実施するインセンティブを与える工夫についても検討を行う。

・国は、厚生労働科学研究費補助金による研究班等を設置し、治験ネットワークの取組等に関する調査等を実施し、症例集積性や事務手続の効率化、迅速化等の点で優良な治験ネットワークの要件を定めた上で、要件を満たす治験ネットワークを厚生労働省のウェブサイト等で公表する。

・治験依頼者等は、優良な治験ネットワークを積極的に活用する。

・日本医師会治験促進センターは、治験ネットワークフォーラム等の開催や、治験ネットワークの取組事例の紹介等、治験ネットワークを推進する活動を引き続き実施する。

■□■□■□■□■□■


上記で言うと、「全国の治験ネットワークと主な活動内容」が一括で確認ができるサイトができるということですよね。

とても助かりますが、大事なことは「継続して更新している」ことです。

それと、「どういう情報が欲しいか」というニーズをつかむことです。

今でも、全国のIRBの情報が総合機構のサイトにあります。
  ↓
http://www.pmda.go.jp/operations/shonin/info/chikenkanren.html

ここに載せている情報は全てニーズに応えていますが、だからと言って、全てのニーズに応えているかどうか不明です。

また、この情報が活用されているのかも不明です。(アクセス数とアクセス者を調べると、ある程度の活用度が分かるのですが。)


また、そもそもこの「IRBの情報」がここに集約している理由ですが、それはここに記載されています。
  ↓
http://www.pmda.go.jp/operations/notice/2008/file/1001013.pdf

上記の通知の最後に「広く国民に周知されるよう実施するものである」とありますが、この目的が達成できているかは不明です。


せっかくの情報を集約してウェブサイトに掲載して頂くのはいいのですが、ニーズに応えられていて、活用されているかを調査する必要がありそうです。

さらに「治験依頼者等は、優良な治験ネットワークを積極的に活用する」ということです。


是非、活用していきましょう!

活用することにより、「役立っている!」という気持ちをサイトの運営を担当している人に持ってもらうことが重要です。


「日本医師会治験促進センターは、治験ネットワークフォーラム等の開催」とありますね。

このフォーラムの様子はこちらからご覧になれます。
  ↓
http://www.jmacct.med.or.jp/jma/act20091111.html





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2012年10月02日

治験・臨床試験の活性化、文部科学省の取組み

今週は「第8回(平成24年度第1回)臨床研究・治験活性化に関する検討会」の資料を見ていきましょう。
     ↓
「第8回(平成24年度第1回)臨床研究・治験活性化に関する検討会」


今日は「「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」に係る文部科学省の取組み」です。
    ↓
「「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」に係る文部科学省の取組み」


上記をご覧頂くと分かるのですが、パワーポイントで作成されているので、ベタ打ちしてみます。


■□■ 以下引用 ■□■

「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」に係る文部科学省の取組み(文部科学省研究振興局ライフサイエンス課)

日本発の革新的な医薬品、医療機器等創出に向けた取組


●橋渡し研究に関する文部科学省のこれまでの取組み

(1)橋渡し研究支援の推進のための取組みについて

文部科学省では、平成16年度開始のがんトランスレーショナル・リサーチ事業に続き、平成19年から「橋渡し研究支援推進プログラム」を開始し、医療としての実用化が見込まれる有望な基礎研究の成果を開発している大学等のアカデミアを対象に、開発戦略策定、薬事法を前提とした試験物の製造といった橋渡し研究の支援を行う機関を拠点的に整備してきた(全部で7拠点(※))。

※7拠点:北海道臨床開発機構(札幌医科大学 北海道大学 旭川医科大学) 東北大学 東京大学 京都大 大阪大学、先端医療振興財団、九州大学


その結果、GMP基準等に準拠した支援設備(細胞調整設備(CPC)、試験物製造施設等)の構築、任期付任用により拠点支援に必要とされている専門性の高い職員(治験コーディネーター、生物統計人材、データマネージャー)の配置等の整備が進み、「橋渡し研究支援拠点」の基礎が構築されつつある。

さらには、当初の目的である「各拠点、2件の研究シーズを治験段階まで移行」は達成できる見込みである。

一方で、当該拠点の出口を見据えたマネージメント等のシーズ育成機能が不足していることから、当該機能を強化し、恒久的な拠点を確立させる必要がある等の課題が明らかとなった。


■□■□■□■□■□■


「橋渡し研究支援拠点」についてはこちら
   ↓
http://www.tr.mext.go.jp/


最近、東京大学発のベンチャーが倒産した。(名前は忘れました。)

ビジネスはそう甘くはない。





■□■ 以下引用 ■□■

●概要

画期的な医薬品・医療機器等を効率的・効果的に国民へ還元することを目指し、大学等発の有望な基礎研究成果の臨床研究・治験への橋渡しをさらに加速するため、全国7ヶ所の橋渡研究支援拠点のシーズ育成能力を強化するとともに、恒久的な橋渡し研究支援拠点を確立させることを目的としている。


●実施内容

シーズ育成機能の強化:

・拠点内外のシーズを探索し、途切れないR&Dパイプラインを確立する
・様々な開発段階にあるシーズを戦略的に最適な規模の資金で支援
・国際展開に関する支援


拠点の自立化:

・自立的に運営できるよう人員の定員化や自己収入等で充当可能な体制へ移行
・ライセンスアウト収入等の外部収入基盤の確立

●ネットワークの構築

・拠点間のネットワーク化によるシーズの実用化の加速を図る


●7拠点間のネットワークの構築による研究加速


■□■□■□■□■□■


さて、ここで重要なのは「成果」だ。(流行りの言葉で言うと「出口戦略」か。)

そこんところをしっかりとフォローして、「成果」をしっかりとアピールして欲しいものです。


上記の「橋渡し研究支援拠点」のサイトにも「事業の成果」というページがあるが、「平成22年」が最後で、それっきりです。
   ↓
http://www.tr.mext.go.jp/report/index.html


やれやれ。


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2012年09月28日

治験・臨床試験の活性化、厚生労働省の取組み

今週は「第8回(平成24年度第1回)臨床研究・治験活性化に関する検討会」の資料を見ていきましょう。
     ↓
「第8回(平成24年度第1回)臨床研究・治験活性化に関する検討会」



今日は「厚生労働省における臨床研究・治験活性化への取組み」です。
    ↓
「厚生労働省における臨床研究・治験活性化への取組み」


上記をご覧頂くと分かるのですが、パワーポイントで作成されているので、ベタ打ちしてみます。




■□■ 以下引用 ■□■


●厚生労働省における臨床研究・治験活性化への取組み(厚生労働省医政局・研究開発振興課)

●臨床研究・治験の推進について(1)

(1)臨床研究・治験の推進のための取組みについて

平成24年3月30日、「臨床研究・治験活性化に関する検討会」において、「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」(文部科学省・厚生労働省)が策定された。

検討会では、日本がリーダーシップを発揮できる国際共同臨床研究体制の確立やICH-GCP水準の臨床研究の実施などについて議論が行われ、平成24年度予算案においても関連する事業に必要な経費を計上している。


(2)臨床研究・治験活性化に係る施設整備等

(「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」より抜粋)

○ 早期・探索的臨床試験拠点の整備(平成23年度〜)

日本発の革新的な医薬品・医療機器の創出を目的に、世界に先駆けてヒトに初めて新規薬物・機器を投与・使用する臨床試験の拠点を整備する。


○ 臨床研究中核病院の整備(平成24年度〜)

我が国で実施される臨床研究の質を薬事承認申請データとして活用可能な水準まで向上させることを目的として、早期・探索的臨床試験や市販後の大規模臨床研究等も含めた国際水準(ICH-GCPやISO14155:2011準拠)の臨床研究や医師主導治験の中心的役割を担うとともに、他の医療機関に対する支援機能も有する病院を整備する。


○ 日本主導型グローバル臨床研究体制の整備(平成24年度〜)

国内の医療機関と海外の医療機関が共同で臨床研究を実施する体制を我が国が主導して構築し、かつ円滑に運営することを目的として、グローバル臨床研究を企画・立案するとともに、研究を実施する医療機関に対し、研究開始から終了までの過程を支援する体制等を整備する。


■□■□■□■□■□■


上記のポイントは・・・・

●早期・探索的臨床試験拠点を整備する

●臨床研究中核病院を整備する

●日本主導型グローバル臨床研究体制を整備する

以上の3点に集約される。

●●●早期・探索的臨床試験拠点●●●

●早期・探索的臨床試験拠点整備事業

「世界に先駆けて臨床試験を実施し、日本発の革新的な医薬品・医療機器を創出する」

◎ヒトに初めての臨床試験を可能とするインフラを整備

(重点分野の例)

・がん
・神経・精神疾患
・脳心血管領域

●国立がん研究センター
(医薬品/がん分野)

●大阪大学医学部附属病院
(医薬品/脳・心血管分野)

●国立循環器病研究センター
(医療機器/脳・心血管分野)

●東京大学医学部附属病院
(医薬品/精神・神経分野)

●慶應義塾大学病院
(医薬品/免疫難病分野)



●●●臨床研究中核病院●●●

さらに、「臨床研究中核病院を平成23年度から3年間で15か所程度創設する」とのこと。

○ 我が国で実施される臨床研究の質を薬事承認申請データとして活用可能な水準まで向上させることを目的として、国際水準(ICH-GCP準拠)の臨床研究や医師主導治験の中心的役割を担う臨床研究中核病院(仮称)を5か所(平成24年度)整備する(体制整備に必要な人件費、設備整備費等を支援する)。

※ 社会保障・税一体改革成案において、臨床研究中核病院を平成23年度から3年間で15か所程度創設することを明記。


○ 臨床研究中核病院で実施する、大学等発シーズ(開発を引き受ける企業がまだ決まっていないもの)を用いた国際水準の臨床研究や、患者数の少ない小児・難病等の医師主導治験、医療の質向上(治療ガイドラインの作成等)に資するエビデンス創出のための臨床研究を支援する。

●大学等の研究機関の臨床試験・・・課題:研究を支援するインフラがないため国際水準を満たせず、臨床研究で得られた成果を有効活用できない。

●医師主導治験・・・課題:小児疾患や難病など、患者数が少なく企業が開発し難い治験を実施できていない

●有望な成果が出れば、企業治験へのスムーズな移行と薬事承認申請データとしての利用が可能

現在、決まっているのは・・・・・

● 北海道大学病院

●千葉大学医学部附属病院

●名古屋大学医学部附属病院

●京都大学医学部附属病院

●九州大学病院



●●●治験中核病院●●●

ちなみにさ、「治験中核病院」というのもあって、紛らわしいよね。

治験中核病院は下記の病院。


「治験中核病院」

●独立行政法人国立がん研究センター中央病院

●独立行政法人国立循環器病研究センター

●独立行政法人国立精神・神経医療研究センター

●独立行政法人国立国際医療研究センター

●独立行政法人国立成育医療研究センター

●千葉大学医学部附属病院

●大分大学医学部附属病院

●北里大学医学部

●慶應義塾大学医学部

●国立病院機構本部





●●●日本主導型グローバル臨床研究拠点●●●

そいでもって、さらに「日本主導型グローバル臨床研究拠点」というのがあります。

●日本主導のグローバル臨床研究拠点の整備(平成24年度より開始)

●現在のグローバル臨床研究→ 欧米のニーズに応じた疾患が中心

●今後のグローバル臨床研究→ 日本・アジアに特有な疾患のエビデンス確立へ

●グローバル臨床研究における日本のリーダーシップ〜 メンバーからリーダーへ〜

●臨床研究成果の世界的権威のある医学系雑誌への論文発表→ 診療ガイドラインの根拠

●学校法人北里研究所北里大学病院

●公益財団法人先端医療振興財団





う〜〜む、それぞれの拠点病院で何をやるのかよく分からないのですが、丹念に資料を読むと書かれています。

分かりやすい表にしてもらえると助かるんだけどね。


一体、誰が、これだけの「拠点」をコントロール、あるいはマネジメントするんだろう?

僕には絶対にできないね。(誰も、おまえにやれ、とは言わない。)


ちなみに、●「厚生労働省における臨床研究・治験活性化への取組み」の2ページの右下にこっそり書かれているのが下記のこと。

◎医師主導治験を実施する場合

以下の費用を補助

・治験薬の製造(GMP対応)
・プロトコール作成
・データ管理業務
・治験相談費用  等


へ〜〜!「治験薬の製造」についても補助がでるんだ。

さらに同じページに「●整備費(クルマ)と研究費(ガソリン)を連動し開発促進」とある。

こういう比喩は単純だけど、分かりやすくて、結構、効果的なんだよね、プレゼンの時には。





■□■ 以下引用 ■□■


臨床研究・治験の推進について(2)

(3)その他

○ 特定領域治験等連携基盤の整備(小児ネットワーク)(平成22年度〜)

○ 臨床研究(試験)情報検索(国立保健医療科学院)(平成19年度〜)

○ 倫理審査委員会報告システム(平成22年度〜)


■□■□■□■□■□■


「小児の治験や臨床試験」って、なかなか進まない。

いろんな理由があるんだろうけれど。(例えば、製薬会社は成人で新薬の承認を取れば、とりあえず、それでしばらくは「潤う」。で、小児の治験では、なかなか親の同意が得られない、とかね。)

そんな中、「小児ネットワーク」は重要です。


●●●小児治験ネットワーク●●●

●国立成育医療研究センターを中心に

●特定の疾患や患者集団における複数の医療機関の連携が必要な治験等において、

○治験依頼者との連絡、窓口機能の一元化

○中央治験審査委員会(IRB)機能

○実施中の治験等の進捗管理等の機能を果たす病院を整備









■□■ 以下引用 ■□■

●●●臨床研究登録情報検索ポータルサイト●●●

●近年、臨床研究情報の登録・公開が世界的に求められている。

現在日本では・・・

*大学病院医療情報ネットワーク(UMIN)

*財団法人日本医薬情報センター(JAPIC)

*日本医師会治験促進センター(JMACCT)

・・・の3機関があり、それぞれ臨床研究、企業治験、医師主導治験を中心に登録。

●国立保健医療科学院臨床研究登録情報検索ポータルサイト

3機関を横串に検索

●わかりやすく結果を閲覧


■□■□■□■□■□■



本当にさ、いろんな所で臨床研究やら治験の登録サイトがあって、研究者も患者も、どこを見たらいいのか、さっぱり分からない。

それを丁寧に解説しているサイトもない。

今後は「国立保健医療科学院臨床研究登録情報検索ポータルサイト」に期待したいです。
   ↓
http://rctportal.niph.go.jp/

ただね、言えることは、どれも「患者さん向け」ではないということ。

患者はいつでも「置いてけぼり」です。




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2012年08月24日

臨床研究中核病院を成功させるポイント

今週は●「平成24年度臨床研究中核病院整備事業の公募結果について」を見てきました。

私たちとして期待するのは、これらの病院が確実に機能してくれることです。

今週、何度も書きましたが、このようなプロジェクトが成功するかどうかは「リーダーシップとマネジメントの両方に長け、かつ情熱の塊のような人材」の存在です。

私も何十年も民間企業で働いてきて、この手の社内プロジェクトに数多く関わってきましたが、成功するかどうかはプロジェクトリーダーにかかっています。

プロジェクトマネジメントというのは、ちょっと特殊な知識とスキルが必要なのですが、これらは、まぁ、教育でなんとかなります。

教育でなんとかならないのが(なりにくいのが)「情熱」です。

ひとつの大きなプロジェクトにはリーダーの下にサブリーダーがいて、そのサブリーダーの下にいくつかのユニット(チーム)が存在します。

もちろん、これらの現場のチームメンバーやサブリーダーの「働き」と「情熱」も大切なのですが、なんと言っても、総リーダーです。

5年という長期計画ですと、さらに心配なのが、チームメンバーの「モラル(士気)」です。

計画は立派でいいけれど、どうせ、絵に描いた餅さ、という白けた気分にさせないためには、プロジェクトチームが立ち上がって、すぐに「成功例」を作ることです。

小さなことでもいいので、何かしらかの「成功」があると、他のチームも、頑張る気になります。

臨床研究中核病院における最終目的は「新薬の承認申請」でしょうが、その前にマイルストーンとして「フェーズ1が問題無く終わりました」とか「フェーズ2に入りました」という成功をプロジェクトメンバーに広報していくことです。


さらに、臨床研究中核病院プロジェクトに置いても、各病院のスライドを見ると分かりますが、民間企業(製薬会社とかベンチャー企業)の協力も不可欠です。

そういう意味で、この「臨床研究中核病院プロジェクト」は、創薬業界共通の目標です。

患者にとっては、自分の病気を治療してくれる新薬が製薬会社がリードして作ったものか、それとも中核病院がリードして作ったものなのか、なんて関係ありません。

患者の興味のまとは、「いつ、治療薬ができるなのか」の一点です。

ひょっとしたら、製薬企業・ベンチャー企業の「モラル(士気)」が、臨床研究中核病院の成功に一番、大きく貢献するのかも。

少なくとも「他人ごと」のように「遠い目」で見ないことです。

「よ〜〜し、中核病院を利用尽くすぞ!」ぐらいで丁度いい。

製薬企業の社内に「臨床研究中核病院活用対策チーム」なんていうのが出来てもいいくらいです。





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2012年08月23日

臨床研究中核病院:京都大学病院と九州大学病院の例

今週は●「平成24年度臨床研究中核病院整備事業の公募結果について」を見ています。

今日は、●「京都大学病院」を見ていきましょう。

京都大学病院の特徴は「臨床研究総合支援センターによるナビゲーション」ですね。

「シーズ」の創出から「新薬承認」までを「臨床研究ハイウェイ」と言っているあたりが、新しいと言えば新しい^^;

さらに「臨床研究中核病院 進捗管理委員会」を設置するようです。

これはグッドアイデアですね。

絶対に必要です。こういう進捗を管理して、お尻を叩く人(組織)は。

研究シーズの例としては、以下を記載しています。

●難治疾患・がん等の医師主導治験等
 *多発性骨髄腫
 *ダウン症患者のアルツハイマー病に対する新規AD治療薬の開発
 *乳がん等を対象とした新規histon deacetylase(HDAC)阻害薬の臨床開発
 


上記の「histon deacetylase(HDAC)阻害薬」については、下記をご覧ください。
  ↓
●Histone Deacetylase(HDAC)阻害剤を利用した効果的がん化学療法の開発
  ↓
「Histone Deacetylase(HDAC)阻害剤を利用した効果的がん化学療法の開発」


さらに、京都大のスライドの5ページを見ると、「出口戦略」があります。

そして6ページに「ICH-GCP」があります。

その5ページと6ページを見て思ったのですが、「パワポのスライドからは何も分からない」ということです。

研究班や厚生労働省のお役人にプレゼンするときは、この程度でいいと思いますが、私たち「国民」はまるで理解できません。

臨床研究中核病院の担当者は、きれいにまとめたパワポのスライドではなく、是非、ワード等で詳しく文章化してネットで公開するのが義務ではないでしょうか?(税金でやるのだから)

それに、中核病院を活用したい、という企業や他の病院の方々に対する情報提供が必要です。

いったい、お宅の病院では何をやってくれるの? というのが分からないと、とても「オープンアクセス」できません。

今後は、このあたりをもっと積極的にセールスしてください。

でないと、せっかくの「想い」が「絵に描いた餅」になりかねません。


今日は、もうひとつの●「九州大学病院」も見てみましょう。

九大には「ARO次世代医療センター」という組織があるみたいですね。

「次世代に最新最適医療と希望を伝えるAROの構築」だそうです。

九大のプロジェクトが5つのキーワードとして挙げているのは以下のものです。

●GCP

●高品質試験

●中央IRB

●ネットワーク

●ARO

上記の5つのキーワードを達成するために多くのユニットを設置するようです。

「ネットワーク調整室」や「プロジェクト管理ユニット」、「モニタリングユニット」等

九大が他の大学と違って目をひくのは、そのユニットの中に「メディカル ライティング ユニット」がある(これから作る)点ですね。

この「メディカル ライティング ユニット」の働きは「総括報告書作成」等です。このあたりは民間企業と同じ役割です。

さらにスライドの5ページにある「単施設・多施設における被験者の安全管理体制」も目をひきます。

病院で行う臨床試験・治験ですから、その安全管理も病院が本来はしっかりとやらないといけないのですが、企業主導治験の場合は、あまりそうはなっていませんでした。

今後は、このような安全管理は医師主導治験やAROの臨床試験では絶対に必須ですね。

九大では「PV担当者」も設置するようです。 PV=ファーマコビジランス: pharmacovigilance


九大のスライドの6ページを見ると、「医師主導治験」がけっこう、活発にやられているのが分かります。(時代は変わったもんだ。)

8ページを見ると、流行の(^^)「出口戦略」がありますね。

「出口戦略を見据えた支援体制」です。かなりの部署が全面的に支援することが分かります。

このスライドを見て思ったのですが、今後は、製薬企業やCROから病院のこういった支援体制に転職も「あり」ですね。(給与面がちょっと心配ですが^^;)

スライドの10ページを見ると「その他特に強調したいこと」があります。

そこにこっそり書かれているのですが、重要なこととして「中央IRBでの審議結果は参加医療機関 のIRBでは審議結果報告として 取り扱われ二重審査は行われない」とあります。

いいですね。中央IRBの場合、この「二重審査」が心配なのですが、それがないと、治験依頼者も助かります。

さらに、このスライドに「九州臨床研究支援センター」と「治験ネットワーク福岡」の文字が見えます。

「九州臨床研究支援センター」・・・ちなみに僕のPCでは、このサイトを見ようとするとエラーが・・・何故?

「治験ネットワーク福岡」


今では、全国にこの手の「治験ネットワーク」が数多くありますが、有効に活動しているのはどれくらいでしょうか?

仕事でも趣味でも一緒ですが、立ち上げるのは簡単です。

それを継続的に活動させるのが、超むずかしい。

ネットワークがうまく働かない理由として考えられるのは、リーダーシップとマネジメントの両方に長け、かつ情熱の塊のような人材の欠如です。



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医薬品ができるまで(治験に関する話題)
posted by ホーライ at 09:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 治験の活性化 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする