↓
●「第8回(平成24年度第1回)臨床研究・治験活性化に関する検討会」
今日は「臨床研究・治験活性化5か年計画2012 アクションプラン(案)」を見ます。
↓
●「臨床研究・治験活性化5か年計画2012 アクションプラン(案)」
このアクションプラン(案)は大きく言って、次の10個の項目になっています。
●●●1.「9年間の活性化計画を踏まえた更なる飛躍と自立」
●(1) 症例集積性の向上(主に企業主導治験)
●(2)治験手続の効率化(主に企業主導治験)
●(3) 医師等の人材育成及び確保(企業主導治験、医師主導治験、臨床研究に共通)
●(4)国民・患者への普及啓発(企業主導治験、医師主導治験、臨床研究に共通)
●(5) コストの適正化(主に企業主導治験)
●(6) IT技術の更なる活用等(企業主導治験、医師主導治験、臨床研究に共通)
●●●2.「日本発の革新的な医薬品、医療機器等創出に向けた取組(イノベーション)」
●(1)臨床研究・治験等の実施体制の整備
●(2)臨床研究等における倫理性及び質の向上
●(3)開発が進みにくい分野への取組の強化等
●(4)大規模災害が発生した際の迅速な対応
・・・・・・というように全部で10項目あります。
では、●(1) 症例集積性の向上(主に企業主導治験)を見ましょう。
この項目では、特に「治験ネットワーク」に主眼が置かれています。
■□■ 以下引用 ■□■
【目標】
・国内における優良な治験ネットワークが3ネットワーク以上存在している。
●具体的な取組内容
・国は関係機関と協力し、学会、研修会、その他の機会等において、積極的に周知を図る。
・治験実施医療機関、SMO、治験依頼者等は、「治験等の効率化に関する報告書」の内容を理解し、実行するよう努める。
・国は、厚生労働科学研究費補助金による研究班等を設置し、治験ネットワークの取組等に関する調査等を実施し、症例集積性や事務手続の効率化、迅速化等の点で優良な治験ネットワークの要件を定めた上で、要件を満たす治験ネットワークを厚生労働省のウェブサイト等で公表する。
・上記の調査結果や、「治験等の効率化に関する報告書」内容を踏まえて、治験ネットワークに参加する医療機関は、ネットワークを実行性のあるものとし、症例集積に努める。
・治験依頼者等は、優良な治験ネットワークの積極的活用に努める。
■□■□■□■□■□■
ここでのキモは「治験ネットワークの取組等に関する調査等を実施し、症例集積性や事務手続の効率化、迅速化等の点で優良な治験ネットワークの要件を定めた上で、要件を満たす治験ネットワークを厚生労働省のウェブサイト等で公表する」です。
今も各地に治験ネットワークという名称がつくものがたくさんありますが、効果的に運用されているかどうか微妙です。
そこで、ネットワークが活発化されるよう、国が調査して、その中から優良なネットワークを公表するというのはとてもいいと思いますし、治験依頼者としても目安になって助かります。
また、「ネットワークを『実行性』のあるもの」にする努力とシステムも必要です。
そのためには、後述しますが、ネットワークの中心になる事務局担当者の強力なリーダーシップとマネジメント能力が要求されます。
さらに必要なのはネットワークに参加している全ての医療機関の担当者の「協力しよう・ネットワークをもっと良いものにしたい」という気持ちです。
ひとつの企業の中ですら、こういう「協力体制」を整えるのは大変。
それが、複数の医療機関をまとめようというのですから、それはもう並大抵のことではありません。
複数の病院が「あたかも1つの病院であるかのように」機能させようというのですから、これが成功したら大歓迎です。
■□■ 以下引用 ■□■
・「新たな治験活性化5ヵ年計画」の中で形成された治験ネットワークは、複数の医療機関があたかも1医療機関のように機能できる体制に再構築するとともに、引き続き自主的に治験ネットワークの促進に取り組む。
・特に、特定疾患等治験基盤整備事業選定病院、臨床研究中核病院等予算事業において採択された医療機関は、以下の機能を有するよう速やかに対応を開始し、継続して取り組む。
1.標準業務手順書の作成と各種様式等の統一
2.質の高い審査を行える共同IRB(Institutional Review Board:治験審査委員会)等の設置及びその活用
3.治験ネットワーク事務局の積極的なマネジメント
・各治験ネットワークはその活動状況(受託治験数、実績等)をウェブサイト等で公表し、医療機関や治験依頼者に積極的にアピールする等、治験ネットワークの活性化に取り組む。
■□■□■□■□■□■
上記にたったひと言「治験ネットワーク事務局の積極的なマネジメント」とありますが、じゃ、どうすればマネジメントできるのか、そもそも「積極的なマネジメント」とは何なのか、どうなったら、「積極的なマネジメント」をやっていると言えるのか、ということが難しいですね。
治験依頼者側から見ると、ネットワークの窓口になっている事務局に足を運べば、他のネットワーク傘下の病院を訪問しなくても大丈夫、という状態になっていると、「マネジメントされているな」と勝手に思うのですが。
治験の手続きにしろ、症例の集積にしろ、プロトコル説明会にしろ、全て、窓口の事務局に行けば済むという、今、はやりの言葉で言うと「ワンストップ」の事務局が理想なのですが、そこまで求めるのは酷というものでしょうか?
少なくとも、治験ネットワーク傘下の病院に治験を依頼する時、ネットワークに入ってからのほうが事務手続きが煩雑で、却って時間を取る、前のほうが良かったというようなことだけは避けてほしいですね。
■□■ 以下引用 ■□■
・国は、厚生労働科学研究費補助金による研究班等を設置し、治験ネットワークの促進のため、以下の調査等を実施し、厚生労働省のウェブサイト等で公表する。
1.全国の治験ネットワークと主な活動内容(過去の治験受託実績等)
2.各治験ネットワークが有している機能等(共同IRB,地域の医療機関・診療所との連携(患者紹介システム)等)
3.各治験ネットワークの取り組み等(治験を実施する医師や治験に協力する医師に対するインセンティブ、医療機関間の情報共有・教育の機会等)
また、調査結果を踏まえて、医師等に対して治験を実施するインセンティブを与える工夫についても検討を行う。
・国は、厚生労働科学研究費補助金による研究班等を設置し、治験ネットワークの取組等に関する調査等を実施し、症例集積性や事務手続の効率化、迅速化等の点で優良な治験ネットワークの要件を定めた上で、要件を満たす治験ネットワークを厚生労働省のウェブサイト等で公表する。
・治験依頼者等は、優良な治験ネットワークを積極的に活用する。
・日本医師会治験促進センターは、治験ネットワークフォーラム等の開催や、治験ネットワークの取組事例の紹介等、治験ネットワークを推進する活動を引き続き実施する。
■□■□■□■□■□■
上記で言うと、「全国の治験ネットワークと主な活動内容」が一括で確認ができるサイトができるということですよね。
とても助かりますが、大事なことは「継続して更新している」ことです。
それと、「どういう情報が欲しいか」というニーズをつかむことです。
今でも、全国のIRBの情報が総合機構のサイトにあります。
↓
http://www.pmda.go.jp/operations/shonin/info/chikenkanren.html
ここに載せている情報は全てニーズに応えていますが、だからと言って、全てのニーズに応えているかどうか不明です。
また、この情報が活用されているのかも不明です。(アクセス数とアクセス者を調べると、ある程度の活用度が分かるのですが。)
また、そもそもこの「IRBの情報」がここに集約している理由ですが、それはここに記載されています。
↓
http://www.pmda.go.jp/operations/notice/2008/file/1001013.pdf
上記の通知の最後に「広く国民に周知されるよう実施するものである」とありますが、この目的が達成できているかは不明です。
せっかくの情報を集約してウェブサイトに掲載して頂くのはいいのですが、ニーズに応えられていて、活用されているかを調査する必要がありそうです。
さらに「治験依頼者等は、優良な治験ネットワークを積極的に活用する」ということです。
是非、活用していきましょう!
活用することにより、「役立っている!」という気持ちをサイトの運営を担当している人に持ってもらうことが重要です。
「日本医師会治験促進センターは、治験ネットワークフォーラム等の開催」とありますね。
このフォーラムの様子はこちらからご覧になれます。
↓
http://www.jmacct.med.or.jp/jma/act20091111.html
●週刊「モニターとCRCのためのGCPメルマガ」
●日刊「モニターとCRCのためのGCPメルマガ」
●医薬品ができるまで(治験に関する話題)
●塚田 淳彦 (ホーライ) facebook
http://www.facebook.com/atsuhiko.tsukada