2012年11月29日

治験におけるITのパラダイムシフト(ホーライ製薬編:その1)

今日と明日のテーマは極めて個人的なテーマでなおかつマニアック、しかも「自慢話し」なので、「ホーライ製薬」にご興味の無い方はスキップしてください。

これまでのホーライ製薬のネット戦略の変遷です。


僕が初めてネットを通じて「治験」関係の情報を発信したのは、「医薬品ができるまで」(サイト版)というサイトをヤフーの「ジオサイト」内に立ち上げてからだ。(2000年6月17日)

今では、当時の「医薬品ができるまで」(サイト版)は残っていない。(掟破りなことをしてヤフーの逆鱗に触れ、丸ごと削除された。)

今ある「医薬品ができるまで」(サイト版)はこちら。
    ↓
http://iyakuhin.web.fc2.com/index.html



ヤフーの「ジオサイト」は無料でホームページを簡単に作れるサービスで、今もある。
    ↓
http://geocities.yahoo.co.jp/

このサービスを使うと、ホームページの知識が無くても、簡単に「それなり」のサイトが作れる。


僕の2000年当時は、自分が働いていた製薬会社が合併し、ひと段落して、ちょっと気が抜け、「何か、面白いことないかな?」と思っていた。

この合併の時に、僕は一方の会社の臨床開発部署の「合併隊長」みたいなことをやらされて、無茶苦茶、笑いたくなるぐらい、超多忙だった。

また、2000年当時の日本の治験環境は、「ICH-GCP」が導入され、「答申GCP」と「新GCP」が出て、日本国内の治験が空洞化していた。

この治験の国内空洞化は当然、当事者の間で問題視されていて、それをなんとか打破しようという試みが検討されていた。

その検討課題のひとつとして、「治験を一般市民に啓発する」というのがあった。


で、話は「ジオサイト」に戻りますが、「何か、面白いことないかな?」と思っていた僕は、「ヤフージャパン」という雑誌の中で、「あなたも簡単にホームページが作れます。簡単な質問に答えるだけで、すぐに自分のホームページが作れます」という記事が目に入ってきて、「へ〜!ちょっとやってみよう」となった。

その「簡単な質問」の中に「日記を付けますか?」というのがあり、「はい」を押していくと、日記機能つきのホームページができた。

そこで、日記をつけるといっても、何を書く? と悩んだ。

日記を長く続けるためには、それだけの知識や経験や体験、想いがないとだめだよな、と考え、それなりの知識があるのは、今、仕事をしている「治験」についてだなと思った。

その自分の思いと、当時の「治験を啓発していこう」という業界の流れから、「医薬品ができるまで」の諸々を徒然に書いていこう、と決定したわけだ。


この思い付きが、今に至っている。

今でこそ、僕(ホーライ)と言えば、「ホーライ製薬のシャチョー」と呼ばれることが多いけれど、実は僕自身としては「医薬品ができるまで」が原点だと思っている。

その思い付きから、そもそも新薬はどういう過程で誕生するのか、治験のステップは3つのステップから成り立っていますよ、とか、GCPという規則があってただの人体実験ではありませんよ、「ヌードマウス」なんていう動物がいるんですよ、とか、そんなこんなを書いていた。

当時は、個人のサイトはおろか、製薬会社や厚生労働省、総合機構。製薬協などの大きな治験関係者の中でも治験について説明しているサイトは無かった。

だから、治験のリンク集で有名な「治験ナビ」の管理者から、「まさか、個人で治験のサイトをやっている人がいるなんて思いませんでした」という書き込みを頂いた。

●「治験ナビ」」
  ↓
http://www.chikennavi.net/



さて、ホームページを持つと、アクセス数を増やしたくなるのが人情だ。

では、僕の場合、どうやってアクセス数を増やしたかというと、まずは「知り合い」にメールで、こんなサイトを作りましたと連絡する作戦に出た。

次にいろんなポータルサイトの「掲示板」に書き込みを行なった。

今は「掲示板」というと2チャンネルだけど、当時はいろんなポータルサイトに掲示板があった。

今でも、ヤフーには掲示板がある。
  ↓
http://messages.yahoo.co.jp/

こういう所で「病気」などのジャンルに自分のコメントを書いて、ついでに自分のサイトのURLを書き込んだ。

僕が好きだったのは実は「インフォシーク」の掲示板だった。

今はインフォシークには掲示板のサービスはない。

「インフォシーク」
  ↓
http://www.infoseek.co.jp/


ちなみに、ネットで注意しないといけないのは、急に「サービス」が終わることだ。

僕は無料でホームページを作るサイトを色んなところで作ったが、そのうちの多くがサービスが終了して、今はもう残骸すらない。

これが「無料」の痛いところだ。

「インフォシーク」や「ライコス」というポータルサイトを使って「新薬誕生」等を使って、薬に関する様々な情報を発信していた。

治験に限らずGMPのことや「薬草」のことなども。

それらも、全て、今はもうない。

ただし、運がいいと見つけることがある。

どういうことかというと、昔のネットのサイトを「ほとんど保存」しているサイトがあるのだ。
   ↓
http://archive.org/index.php


上記のサイトに僕の昔の僕の「医薬品ができるまで」のジオサイトのURLの http://www.geocities.co.jp/Technopolis/9874/ を入力すると当時のサイトの一部を見ることができる。
 ↓
http://web.archive.org/web/20010821014841/http://www.geocities.co.jp/Technopolis/9874/


おおお!上記に表示される「保存されていた」僕の「医薬品ができるまで」のサイトから、リンクも生きている!!

僕の一番最初の治験日記も読めるぞ!

これ(↓)が、僕が始めてインターネットに発言した記念すべき日記です^^;

■■■■■■■■■■■■■■■■■

漢方薬には副作用がない?

民間療法の奥が深くなったものが漢方薬(何しろ中国3000年の歴史!)

漢方薬は、効果がマイルドで体質そのものを改善してくれるので、ファンも多いはず。

でも、やはり副作用は無いとはいえません。

効果の裏には必ず、副作用がつきものです。

現代では、薬の効果と副作用を確かめるために、治験(臨床試験)が必ず行われています。

治験のことは、後日、詳細にご説明します。


2000年06月21日 20時12分02秒

■■■■■■■■■■■■■■■■■



別のサイトへのリンクも、一部、生きている!

これは知らなかったな。

絶対に、二度と見られないと思っていた「新薬誕生」のサイトまで見ることができる。
  ↓
http://web.archive.org/web/20020924050853/http://isweb40.infoseek.co.jp/family/horai01/

上記のサイトにある「モニターの1日」が、のちの「ホーライ製薬」の元になったアイデアだ。


げげげ〜〜!「新薬誕生」から、ライコスのサイトに作った「治験と私たち」も一部、見れる!

「悪魔の辞典(治験版)」も生きている。
   ↓
http://web.archive.org/web/20020925223006/http://isweb40.infoseek.co.jp/family/horai01/devil_dic/devil_dic.html


このサイトはもう二度と見られずに死ぬもんだとさえ、思っていたのに。

すごい技術があるものだ。






ついでに、もう1つ便利なサイトの紹介。

長いURLを短縮してくれるサイトです。
  ↓
http://tinyurl.com/

このサイトをどう使うかですが、たとえば下記のように長いURLがあったとしましょう。

http://www.amazon.co.jp/%E9%A2%A8%E3%81%AE%E6%AD%8C%E3%82%92%E8%81%B4%E3%81%91-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E6%96%87%E5%BA%AB-%E6%9D%91%E4%B8%8A-%E6%98%A5%E6%A8%B9/dp/4062748703/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1353659624&sr=8-1

上記のURLはアマゾンで村上春樹の「風の歌を聴け」を検索した結果です。

別にこのままでもいいのだけれど、「かっこ悪い」とか、下手するとメールで送った時に途中でURLが切れたりすることがあります。

そんな時に上記のサイトの真ん中にある空欄に上記のURLをコピペして、「MakeTinyURL!」をクリックします。

すると、「このWebページがページがクリップボードへアクセスすることを許可しますか?」と聞いてくるので(場合によっては聞かれない)、「アクセスを許可する」をクリックします。

すると、真ん中に「http://tinyurl.com/abuptkw」のような新しいURLが出ています。

これをそのままメール等で送ったり、facebookに使っても、それをクリックすると、ちゃんと、「風の歌を聴け」に飛んでくれます。




他にも似たようなサイトがあるので「長いURLを短縮する方法」で検索してみてください。


ネットの「無料」サイトは本当に気をつけないといけない。

フリーメールって、あるでしょ?

たとえば「ヤフーメール」とかね。

その昔、なんと! 「朝日新聞」も無料のフリーメールのサービスをやっていた。

もちろん、今はない。

インフォシークのメールもサービスをやめている。

このブログだって、いつ無くなるか分からないし、ミクシィだってfacebookだって分からない。



さて、その他にアクセス数を増やす方法としては、「既にアクセス数が多いサイトに相互リンク」のお願いをすることが、当時の定石だった。

ちなみに、僕はある病院に相互リンクのお願いをしたら、「個人がやっているサイトは認めていません」という連絡をもらったことがある。

他には、インフォシークのサイトに「プロフィール」というサービスがあって、誰でも簡単な日記が書けて、いろんな人と繋がれるという、ミニミクシィみたいなサービスがあった。

その中で、いろんな人と知り合って、そこから「医薬品ができるまで」にリンクを張って、「治験とは関係の無い一般市民」の人たちに治験のサイトを観てもらうという作戦を使った。


さらに、治験に全く興味が無い人にも僕の「医薬品ができるまで」にアクセスしてもらう方法も考えた。

その詳細は下記のサイトに書いてある。
  ↓
「治験でブログ、ブログで治験」
  ↓
http://www.geocities.jp/horai_blog/


結論を書くと、「治験と最も距離の遠いこと」を同じサイトに載せる、ということだ。

たとえば、「医薬品ができるまで」の中に「ブラームス」のページや「エンヤ」のページや「クリムト」のページを作った。

すると、「ブラームス」で検索して、僕の作ったページに来て、そこからホームページに行くと、なんと!「治験」のサイトでした、というもの。


ところで、ある時、僕はある事情により、「医薬品ができるまで」を閉鎖したことがある。

そのあたりのことは「津村ゆかり」さんのブログにも書いてある。
  ↓
http://ytsumura.cocolog-nifty.com/blog/2004/04/post_5.html


「医薬品ができるまで」を閉鎖したのが金曜日の深夜だったのだが、次の土曜日に、僕(ホーライ)のメール(horai_japan@hotmail.com)に多くの人から「残念です」というメールを頂いた。

その多くは「勉強になりました」というものだった。

でも、その頃はもう、ネットの世界でも「治験」に関する情報を発信しているサイトも増えていたし、「治験ナビ」もあるし、治験を勉強できるサイトはあるので、まぁ、やめてもいいなと思っていた。

ところが、ある女性からもらったメールが僕の気持ちを変えた。

そのメールにはこんなことが書いてあった。

「ショックです! 昨日、部長に叱られたあとに、いつも見に行っている「医薬品ができるまで」が閉鎖されていて、ダブルのショックでした。私は落ち込むといつもホーライさんのサイトを観に行って、心の支えにしてました」


これは、嬉しいことこの上ないのだが、それよりも、僕自身は「誰かの心の支え」になるために書いているつもりではなかったけれど、そういう読み方をしてくださっている人もいるんだと思った。

だから、金曜日の夜、閉鎖したけれど、2日後の日曜日に復活させた。

それ以来、「どんなことがあっても、たとえ、更新してなくても、閉鎖や削除は絶対にしない」と自分で決めた。


さて、ここから言えるのは、「あなたが思っている以上に、あなたは誰かの心の支えになっている」ということ。

「あなたは(特にCRCは)、あなたが思っている以上に、患者から頼りにされている」ということを再認識したほうがいい。



ところで、僕のサイトの変遷にもどりますが、一般市民の皆さんむけに書いていた「医薬品ができるまで」だけど、そのうちに、どんどん、「今の日本の治験の問題」を取り上げるようになった。

このあたりから、一部の治験関係者に知られるようになった。

また、学生から「新薬開発の仕事につくにはどうしたらいいのですか?」とか、はたまた「●●大学の大学院を受験するつもりですが、新薬開発職に希望するのに有利ですか?」なんてメールもやってきた。

さらには、「●●という抗がん剤は本当に効きますか?」というメールも多かった。

当時、いかに、その手の情報が無かったかが分かる。

今では、もう、その手の情報に溢れていて(玉石混合だけど)、さすがに、この手のメールは無くなった。



さらに、興味をひくために、当時、流行だった新聞の全面を使った「治験広告」(本当は「広告」ではなく「キャンペーン」というのだけれど)のデジタル写真を集めて「コンクール」や、「製薬会社のホームページ」の人気投票などもやった。

また、「医薬品ができるまで」のサイトに簡単な「アクセス解析」を使ってみたところ、当局関係者も頻繁に見に来ていることが分かったので、それを意識して書いたりもした。


その後、僕自身もモニターから監査になり教育担当者やSOP担当者に変わっていったので、自ずと「治験日記」にもその影響が色濃く出てきた。

そこで、思い切って、「新人モニター」と「モニターの教育」に特化したサイトを作ってみた。

それが、「モニターへの道」だ。
   ↓
http://monitorhenomichi.web.fc2.com/index.html


この「ある分野に特化する」というのは「ヤフー」のサイト登録に登録されやすかったり、アクセス数を増やす手段としても効果がある。

最近、あるモニターから、こんな話を聞いた。

「僕がモニターになりたてのころ、治験の申請や契約書を作る時に正しいかどうかチェックするためにパソコンのウインドを2つ開けて、ひとつには「モニターへの道」を表示させ、もうひとつに治験関係の書類を表示させ、両者を比較しながら、資料を作成していました」と。

この「モニターへの道」は僕自身にも便利で、メールで「モニターの勉強方法を教えてください」とか「モニターの教育方法で困っています」という問い合わせがあると、このサイトを見てください」と「モニターへの道」を紹介するだけで済む。

また、ブログ等である特定のテーマについて不連続に書いていたものを、まとめて保存する際にも「モニターへの道」は役立っている。


ここまでが、僕のインターネットを使った治験啓発作戦の前半です。


長くなったので、続きは明日へ。





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2012年11月28日

治験における「パラダイム・シフト」(業界編)

僕が治験業界に関わり合ってから経験した、最大のパラダイムシフトは、もちろん「ICH-GCP」の導入だ。

その中でも、最もインパクトが大きかったのは「SDV」が実施可能になったこと。

「ICH-GCP」導入による日本の治験業界のパラダイムシフトの流れは今でも続いている。

その大きな流れの中にも、大きな山がうねりながら進んでいる。

CRCの導入。

CRO、SMOの台頭。

EDCの導入。

電子カルテとリモートSDV。

ALCOAの原則の流れ。

サンプリングSDVの試み。

・・・・・・など等。

成功したものもあるし、失敗したものもある。

いまだ試行錯誤のものもある。


また、製薬会社の経営戦略のパラダイムシフトとしても海外展開が、ここ10年で一挙に加速した。

今では、海外での営業成績が国内製薬会社の営業成績に直結している。

今後、加速化が予想されるのは国内製薬会社同士の合併だ。


ちなみに、国内企業の「グローバル化」を本気で考えるならば、日本国内の社長や研究所所長、営業部長、人事部長、臨床開発事業部長クラスに外国人を採用するのが一番、手っ取り早い。

また、日本の治験環境を一気にグローバル化するなら、厚生労働大臣と総合機構の理事長を外国人(特に欧米人)にするのが最も確実で速い。


治験業界のパラダイムシフトは常に「外圧」によって起こされてきた。

その一番の事例が「ICH」関係。

なお、ICHガイドラインについては下記を参照してください。
    ↓
http://www.pmda.go.jp/ich/ich_index.html


「外圧」に弱いお役所を動かすために日本にある外資系製薬企業が本国の会社を通して、例えばアメリカ側から「治験環境の改革」を要求させる、という手もある。

僕たちは今までも多くの治験におけるパラダイムシフトを経験してきた(その多くは「翻弄されてきた」とも表現可能だ)。

ただし、それが患者のことを考えて改革されてきたとは言い難い。

「ICH-GCP」が導入された時期に国内製薬会社が、国内での治験を避け、海外での開発を優先させたように。

それが、今、「ドラッグラグ」という「つけ」として、国内の「患者」に回ってきている。

この「つけ」が張本人の「企業」ではなく、「患者」にきている、という点に注意しよう!


今、起きている、あるいは、これから起こそうとしているパラダイムシフトが日本国内の患者のためになるのか、そこを考えていこう。

そうしないと、10年後に、また、「患者」につけが回ってくる。

その時の「患者」とは「あなた」であり、「あなたの最愛の人」であることを忘れないように。





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2012年11月27日

治験に関するパラダイムシフト(企業編)

今日の話題に入る前にご連絡。

このブログで書いた「ALCOA」についての話題とネット上にある「ALCOA」について考えるヒントになる資料をあつめて●「「モニターへの道」」に保存しました。


さて、本題です。

今日は治験に関するパラダイムシフトの企業編です。

昨日も紹介した「政策研ニュース No.37」の「Patient Reported Outcome と新薬開発−患者による直接評価に焦点をあてた新薬の臨床評価−」
    ↓
http://www.jpma.or.jp/opir/news/news-37.pdf

こういうレポートを読んだ時、製薬会社の「臨床開発そのもの」を考える部署の人(例えばプロジェクトマネジメント部等)の人たちは、これからのトレンドにどう反応するべきかを考えないといけない。

あ、そうそう、忘れないうちに書いておくけれど、上記の「政策研ニュース No.37」の中には「国内新薬における創出企業の国籍と治験実施国」とか「医薬品市場における日本の製薬企業の存在感」というレポートもあるので、読んでおくと参考になります。


で、こういうパラダイムシフトによって業界が大きく変わった時に生き残れる企業の条件とは「資金の多さ」や「優秀な人材が多い」とか「新薬開発パイプラインが多い」ではない。

世界が、社会が、業界が大きく激変した時に生き残れる製薬会社とは「その変化に対応できる」会社だ。

例えば、他業種で言うと、デジカメ時代に対応できなかった「コダック」が倒産するとか、携帯・ネットワークへの対応が遅れた「任天堂」の苦戦だ。

かつての世界のリーディングカンパニーと言えども、社会や業界の変化に対応できなけれれば、容赦なく業績が悪化、下手すると倒産する。


しかし、難しいのは、そのタイミングだ。

トレンドを先読みして、パラダイムシフトに他社に先駆けて方向転換すれば、業界をリードできる。

ところが、「これからはこれだ!」とトレンドを読んだつもりが、全然、その方向に社会や業界が行かずに、せっかくの先行投資が無駄になる。

だから、内資系の製薬会社は「よその出方を見よう」とか「様子待ち」することが多い。

一方で外資系は自らがトレンドを作り、自らが業界のパラダイムシフトの仕掛け人になることが多い。

パイオニア精神に富んでいるからだ。


以前にも書いたことがあるけれど、僕が外資系で働いていた時と内資系で働いていた時に、同じ言葉が全く真逆にとられる、という経験をした。

何か斬新なことをやろうとすると、「よそはどうしてる?」と外資系でも内資系でも聞かれる。

で、「よそはまだやってません」と言うと、外資系では「よし。じゃ、やろう。」となるけれど、内資系では「じゃ、他社の動向を探って、しばらく、様子を見よう」となる。


パラダイムシフトが起こると、もう、元には戻れない。(治験の総括医師に復活なんてありえない。)

変化に対応できない組織は撤退するか、多大なるエネルギーを使って、世の中の流れに追いつくかしないといけない。

ただ、注意しないといけないのは「流行」と「真のパラダイムシフト」を見分けることだ。

最近の製薬業界の「流行」は「顧みられない熱帯病」だね。

もちろん、そういう社会に役立つことは製薬業界の使命だからいいのだけれど。

「企業」という立場にたつと「アンメット・メディカル・ニーズ(Unmet Medical Needs)」とか、昔で言うと(今でももちろんあるけれど)「オーファンドラッグ」とか、本来の目的を見失って、ただ「流行しているから」という姿勢だけで、それを追いかけていると、企業としては失敗する。

いくら世の中に役立つと言っても、企業として失敗すると、それは結果的には世の中に役立っていないことになる。


急激なパラダイムシフトが起こった時に、企業に求められる重要なものとして「スピード」もある。

素早く、変化に対応しないと、その組織・企業は死滅する。

「稟議書」を待っていては遅い。

また、お役所に見られるような「縦割り社会」「縄張り争い」をやっていると、その間に世の中は激変する。

繰り返しますが、パラダイムシフトに生き残れる組織の条件は「優秀な人材がいる」や「資金が豊富だ」ではない。

「変化に素早く対応できること」だ。




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2012年10月05日

治験の効率化・サンプリングSDV・人材育成

今週は「第8回(平成24年度第1回)臨床研究・治験活性化に関する検討会」の資料を見ていきましょう。
     ↓
「第8回(平成24年度第1回)臨床研究・治験活性化に関する検討会」


今日も「臨床研究・治験活性化5か年計画2012 アクションプラン(案)」を見ます。
    ↓
「臨床研究・治験活性化5か年計画2012 アクションプラン(案)」




次は「(2)治験手続の効率化(主に企業主導治験)」です。


■□■ 以下引用 ■□■

<短期的に目指すこと>

(治験等の効率化に関する報告書の徹底)

・国は関係機関と協力し、学会、研修会等において、周知を図る。

・治験実施医療機関、SMO、治験依頼者等は、「治験等の効率化に関する報告書」の内容を理解し、実行するよう努める。

・国は、これまで治験中核病院・拠点医療機関・橋渡しネットワーク拠点を対象に実施してきた「治験中核病院・拠点医療機関等基盤整備状況調査」について、治験等の効率化に関する報告書にて提言されている事項のうち、特に重要と思われる事項を追加し、その結果を厚生労働省のウェブサイトで公表する。

■□■□■□■□■□■


「治験等の効率化に関する報告書」
    ↓
www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/chiken/dl/110630b.pdf


そうですよね、医療機関も治験依頼者もみんな、無駄なことはしたくないはず。

臆病にならずに、大胆に進めていきましょう。

これもいいですよね。
  ↓
「国は、これまで治験中核病院・拠点医療機関・橋渡しネットワーク拠点を対象に実施してきた「治験中核病院・拠点医療機関等基盤整備状況調査」について、治験等の効率化に関する報告書にて提言されている事項のうち、特に重要と思われる事項を追加し、その結果を厚生労働省のウェブサイトで公表する。」

いいアイデアはどんどん追加し、その結果を公表していってください。





■□■ 以下引用 ■□■

・国は、厚生労働科学研究費補助金による研究班等を設置し、以下の内容について検討を行う。調査結果は、厚生労働省のウェブサイト等により周知を図る。

1.IRB審査資料の電子化推進及び問題点に関すること。

2.電子化されたIRB資料の治験依頼者と医療機関の授受に関すること。

3.電子媒体のIRB審査資料のセキュリティに関すること。

4.サンプリングSDV等を活用したモニタリング業務の実施状況について、情報収集を行い、効率化について、モデルとなる治験実施医療機関を指定し、研究を実施し検討する。

■□■□■□■□■□■


上記のうち、私が最も興味を持ったのが最後の「サンプリングSDV」です。

論議を呼びそう。

治験依頼者側の反応として最も考えられるのが、「サンプリングSDVを果たして、当局(総合機構)は受け入れるのか?」という言葉。

別に受け入れてもらう必要は無いと僕は思うのですが。

いちいち、お上にお伺いを立てないと先に進まないという体質は改善してゆくべきです。


監査は通常、サンプリングで「品質保証」していますが、治験で監査が初めて行われた時、そのサンプリングという手法を当局から受け入れてもらったのでしょうか?

治験依頼者は、「私たちは、この方法(サンプリングSDV)でデータの信頼性を確認しています」と胸を張って言ってしまえばいいと思うのですが。(別に胸を張る必要はないのですが。)


ただ、「本当にサンプリングで大丈夫か?」 という「自分たち(治験依頼者)」の不安をまず払拭する必要はあると思います。

参考になる資料
  ↓
●SDVの効率化検討
http://www.jpma.or.jp/about/board/evaluation/allotment/sdv.html

●サンプリングSDVへの挑戦
http://www.moni2.org/moni2/PDF/20100522-komiyama.pdf






■□■ 以下引用 ■□■

・特に近年、国際共同治験が増加しているが、治験実施医療機関・治験依頼者ともに負担が大きいとの意見が多いため、効率的に取り組んでいる事例について、臨床研究・治験活性化協議会等で情報共有し、厚生労働省のウェブサイト等で公表する。

■□■□■□■□■□■


いらぬ作業はお互いのためになりませんからね。

ちなみに「治験実施医療機関・治験依頼者ともに負担」というところが泣けます。

特に「治験依頼者も」というところ。

治験依頼者も会社の方針として国際共同治験を実施することになったのはいいけれど、担当者は・・・・ですね。

国際共同治験は、何故、どこが、負担になるのかをじっくり考えてみましょう。

いちど、FDAにかけあいますか?(誰が?)





■□■ 以下引用 ■□■

(治験ネットワーク事務局機能の強化)

・治験ネットワークは「治験等の効率化に関する報告書」に基づき、必要とされる機能や効果的な契約形態、運用手順等について整備し、必要な人員や人件費の確保に取り組む。

また、契約の一元化については、治験ネットワーク事務局が傘下の実施医療機関の契約窓口として機能することがGCP省令上は可能であり、必要に応じて、各ネットワークで検討を行う。

■□■□■□■□■□■


契約の一元化、助かります。

是非!!



以下、僕が興味を持ったところだけ抜粋。


●治験ネットワークに参加する医療機関は、少なくともネットワークを通じて依頼された治験においては共同IRB等を積極的に活用し、重複審査をさけるよう努める。


●国は、医師主導治験の運用状況を確認し、平成24年度中に予定されている薬事法施行規則及びGCP省令の一部改正がなされた後、周知を行うとともに、更なる医師主導治験の活性化を図る。


■□■ ホーライの独り言 ■□■

「医師主導治験」ですが、医師主導の治験が可能になった頃に比べれば、はるかに状況は良くなっています。(特に医師主導治験の治験届第1号の頃に比べたら飛躍的に改善されています。)

別に過去と比べて良くなっているから、もうこれ以上、良くならなくてもいいということではありません。

ここまで来るには関係者の相当なご苦労があったはず。

頭が下がります。

■□■□■□■□■□■■□■□■




●厚生労働省、各職能団体等によるCRC等養成研修について、適切な見直しを行いつつ、引き続き実施する。


●国は、厚生労働科学研究費補助金により、研究班を設置し、初級者CRC、上級者CRCについて、どのような人材が求められているのかを明確化した上で、標準的なカリキュラムを検討・作成し、研修を実施する。


●国は、厚生労働科学研究費補助金による研究班等を設置し、医師主導の多施設共同治験において重要な役割を担う治験調整医師や、国際社会において我が国が臨床研究・治験をリードできる研究者に求められる知識や能力について明らかにし、それらを育成できるe-learning等の教育プログラムを作成する。
その際には、倫理面の教育も併せて行う。

●関係学会において、臨床研究・治験に関する認定医制度等の導入について検討する。



■□■ ホーライの独り言 ■□■

どんなに素晴らしいシステムがあっても、しょせん、最後は「人間」です。

だからこそ、「教育」が必要。

その中でも「情熱」を持っている人材を育成することが必須です。

「教育」でそんな人(情熱を持っている人)を育てられるのか? という反論もありますが、企業の中ではやっています。

「マインドの醸成」です。

情熱を持たせるための画一的なカリキュラムは一般化できないのですが、ただ言えることは「教える人が情熱を持っている」ことが必須です。

「情熱」を持っていない人が「おまえは情熱を持てよ」と言ったところで、誰も聞きはしませんからね。


■□■□■□■□■□■■□■□■


・・・・・・と言うことで、今週は主に「臨床研究・治験活性化5か年計画2012 アクションプラン(案)」を見てきました。

今後に、絶対に期待しましょう。


もし、時間が有ったら「治験中核病院・拠点医療機関等 治験・臨床研究基盤整備状況調査結果要約」も読んでおくといいですよ。
   ↓
「治験中核病院・拠点医療機関等 治験・臨床研究基盤整備状況調査結果要約」

これまでの努力が果たして実を結んできたのかどうかが窺いしれます。


さ、今日も頑張ろう!




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2012年10月04日

臨床研究・治験活性化5か年計画2012 アクションプラン(治験ネットワーク)その2

今週は「第8回(平成24年度第1回)臨床研究・治験活性化に関する検討会」の資料を見ていきましょう。
     ↓
「第8回(平成24年度第1回)臨床研究・治験活性化に関する検討会」


今日も「臨床研究・治験活性化5か年計画2012 アクションプラン(案)」を見ます。
    ↓
「臨床研究・治験活性化5か年計画2012 アクションプラン(案)」



■□■ 以下引用 ■□■

治験にネットワークについて

<中・長期的に目指すこと>

(疾患に応じた治験ネットワークの構築)

・国は、厚生労働科学研究費補助金による研究班等を設置し、以下の内容等について検討を行い、厚生労働省ウェブサイト等で公表する。

1.疾患レジストリーの定義、ネットワークの特性、目的に応じた疾患レジストリーの在り方について

2.特に求められている疾患分野や情報収集する項目

3.個人情報保護に配慮した情報提供方法 等


■□■□■□■□■□■


「疾患レジストリー」という言葉があります。

たとえば、どういうことでしょう?

「レジストリー」とは登録ということですから、病気ごとの患者ごとにデータを登録してデータベースにするというようなことになるのでしょうか、よく分かりませんが、「疾患レジストリー」で検索すると、だいたい、そのようなことを説明しているサイトがヒットします。

今後はそういう疾患別のネットワークも検討していくということでしょうね。

治験に限らず、そういう方向性は進んでいるようです。

たとえば・・・・
 ↓
腎臓病総合レジストリー
 ↓
http://www.jsn.or.jp/member/registry/registry.php





■□■ 以下引用 ■□■

・治験ネットワークは、研究班の報告を踏まえて、疾患レジストリーの構築につとめるとともに、症例集積に取り組む。

・治験ネットワークは得意領域を明らかにするほか、必要時に速やかに情報を収集できる機能を用意しておく。

また、収集された情報は、治験依頼者にとって真に有用なものであり、また、医療機関に必要以上に負担をかけないものとする。

・各臨床研究グループにおいても、治験に限らず臨床研究に活用できる疾患レジストリーの構築について検討する。

・難病に関する研究班や医薬基盤研究所、難病情報センターが所有している情報を確認し、疾患毎や地域毎等にどのような情報があるのかを整理する。

■□■□■□■□■□■


「医薬基盤研究所」
   ↓
http://www.nibio.go.jp/index.html


「難病情報センター」
   ↓
http://www.nanbyou.or.jp/


上記の引用文で最も重要なのは「治験依頼者にとって真に有用なものであり、また、医療機関に必要以上に負担をかけないものとする」ですね。

「真に有用」な情報とは何か? 今後、論議が待たれるところです。

また、どんなに素晴らしいシステムが構築されても、それが誰かに過度な負担をかけるようでは、継続しません。

難しいですけれどね、負担を過度にかけないというのは・・・・・・。

少なくとも最初の立ち上げは相当な負担が関係者にかかると思いますが、それが継続し続けると、システムの更新ができなくなります。

いち企業の中でも同様ですから。

担当者のボランティア精神が通用するのは、最初だけです。

その後、人事異動があったり、仕事の割り振りが変わってもシステムが継続するためには、「ヒト」に仕事を割り振るのではなく「組織」に割り振ることです。



以上が治験ネットワークに関連する部分で、なおかつ、私が個人的に興味を持ったところだけ抜粋しました。




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