2014年06月12日

並行群間比較用量―反応試験

今週は下記のガイドラインを読みます。


「新医薬品の承認に必要な用量―反応関係の検討のための指針」について

薬審第494号 平成6年7月25日 厚生省薬務局審査課長
   ↓
http://www.pmda.go.jp/ich/e/e4_94_7_25.htm


今週も僕が興味を持ったところだけコピペしているだけなの、ご興味の無い方は今週はスキップしてくださいね。

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●2)個々の試験デザイン

用量―反応関係を評価するためには,種々の試験デザインを用いることができる。

同じ方法は,血中濃度―反応関係の測定のためにも用いることができる。

網羅的なリストにすることを意図してはいないが,妥当な用量―反応情報を導くために役立つであろう方法を以下に示す。

本指針に概説されているデザインの中には比較的確立されているものと,されていないものがあるが,どの方法も考慮に値するものである。

これらのデザインは,確立された臨床的エンドポイントの試験にも,あるいは代替のエンドポイントの試験にも適用できる。



● 1 並行群間比較用量―反応試験

数用量の固定用量群への無作為割付け(無作為化並行群間比較用量―反応試験)は概念的に単純であり,広く用いられ,十分な成功を収めてきたデザインである。

その場合の固定用量とは最終用量あるいは維持用量のことである。

患者はすぐにその用量を投与されるか,あるいは漸増法の方がより安全と思われれば(「強制的に」漸増するスケジュールで),その用量まで徐々に漸増される。

いずれの場合も,用量―反応の比較が可能になるように最終用量を十分な期間維持すべきである。




用量―反応試験ではプラセボ群を含めることが望ましいが,全ての場合に理論的にプラセボ群が必要というわけではない。

プラセボ群がなくても,用量―反応の正の傾きが存在すれば医薬品の有効性の証拠となる。

しかしながら,医薬品の効果の絶対的な大きさを測定するためには,通常はプラセボあるいは目的とするエンドポイントに対して極めて限られた効果しかない比較対照薬が必要である。

さらに,プラセボ群との比較により有効性が明確に示されるので,用いた用量全てが高過ぎたために用量―反応の傾きが見られなかった試験においても,全ての用量がプラセボより優れていることを示すことにより部分的ではあるがその試験を救うことが可能になる。




原則として,全ての群のデータを用いて用量による反応の傾向(用量が増えると反応が増すこと)が統計的に有意であることを示せるならば,用量群間の対比較において統計的に有意な差が検出される必要はない。しかしながら,試験された最低用量を推奨用量にしようとするときには,その用量が統計的に有意な,かつ臨床的にも意義のある効果をもつことを証明すべきである。
 


並行群間比較による用量―反応試験では,群(対象母集団)の平均的な用量―反応関係が得られるが,個々の患者の用量―反応曲線の分布あるいは形状は得られない。
 
並行群間比較用量―反応試験が終った時点で全ての用量が高過ぎた(用量―反応曲線のプラトー上にある),あるいはどの用量も十分ではなかったということが判明することがよくある。



正式に計画された中間解析(またはその他の多段階デザイン)を用いることにより,このような問題を発見し,適切な用量範囲の試験を実施することが可能になると思われる。

用量―反応関係の指針267 プラセボ対照をおいた試験と同様に,一つあるいはそれ以上の実薬対照を含めた試験もまた有益であろう。



プラセボ群と実薬対照群の双方を含めると「分析感度」の評価が可能になり,群間に差が認められなかった場合に医薬品が効果をもたない場合と検出力がない(価値のない)試験であった場合との区別が可能になる。

試験薬と対照薬の用量―反応曲線の比較は,まだ一般的なデザインではないが,2つの医薬品の単一用量の比較よりも,より妥当かつ情報に富む有効性,安全性の検討のための比較試験となるであろう。
 

要因試験は並行群間比較による用量―反応試験の特別な場合であり,併用療法を評価するときに考慮すべきである。

双方の医薬品が同じ反応変数に作用することを期待する場合(例えば利尿薬と他の降圧薬),あるいはある医薬品が他方の医薬品の副作用を軽減することを期待する場合には,要因試験が特に役立つ。

これらの試験は,それぞれの成分の組合せの有効性を示すことができるばかりでなく,その医薬品を単剤で用いた場合および併用した場合の用量に関する情報も得ることができる。
 


要因試験は,並行群間比較による固定用量試験であり,各々の医薬品についてそれぞれ用量範囲を設定し,それらの用量の組合せのいくつかあるいは全てを用いる。

症例数は,対比較において単一のセルを相互に区別するに十分なほどには大きい必要はない。

なぜなら,それぞれ単剤で用いた場合および併用した場合の用量―反応関係,すなわち用量―反応曲面を導くために全てのデータが使用できるからである。

従って,これらの試験の規模は中規模のものとすることができる。




市販にあたって承認されうる用量および用量の組合せは,試験で実際に投与した用量そのものに限定されないが,試験された用量あるいは組合せの範囲には含まれるものとなろう。

用量を選択するにあたって反応曲面分析の結果のみには頼れない例外的な場合があろう。

用量範囲の下限において,試験に用いた用量が単剤において有効であると認められた用量よりも低いならば,通常はその組合せの用量がプラセボより優れていることを対比較により示すことが重要である。

これを示すための一つの方法は,要因試験における最も低い用量の組合せの群およびプラセボ群の症例数を他の群より多めに設定することであり,もう一つの方法は,別の試験でその低い用量の組合せをプラセボ群と比較することである。

また,用量範囲の上限においては,全体の効果に対して各々の成分が寄与していることを確認する必要があろう。


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僕たちが普通にやっている「至適用量検索試験」って、実は、奥が深いんだな・・・・・・

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2014年06月11日

用量―反応関係と時間との相互作用

今週は下記のガイドラインを読みます。


「新医薬品の承認に必要な用量―反応関係の検討のための指針」について

薬審第494号 平成6年7月25日 厚生省薬務局審査課長
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http://www.pmda.go.jp/ich/e/e4_94_7_25.htm


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●5)用量―反応関係と時間との相互作用
 
個々の患者に対する投与量の選択は,しばしば投与頻度と関連している。

一般に投与間隔が薬物の消失半減期に比べて長い場合には,選択した投与間隔を薬力学的に説明することに注意を向けるべきである。

例えば,同じ投与量について投与間隔が長い場合と,より小刻みに分割して投与する場合との比較が挙げられる。

その場合は,可能であれば次の投与時まで期待している効果が持続するかどうか,および血中濃度のピークに伴う副作用を観察する。

一回の投与間隔の中でみるとピークおよびトラフの時点の血中濃度における用量―反応関係が異なることがあり,用量―反応関係が選択した投与間隔に依存しているこ262Topic E4 ともありうる。
 


用量―反応試験においては,他の様々な面からも時間を考慮に入れるべきである。

医薬品の効果発現の遅れが薬物動態学的,または薬力学的因子の結果である場合でも,所定の用量を用いた試験期間は,最大の効果が発現するのに十分な長さとすべきである。

朝方の投与と夕方の投与とでも用量―反応関係が異なることもある。

同様に,投与初期の用量―反応関係とそれ以後投与を継続した後のそれとが異なることもある。

反応が一日用量ではなく,むしろ累積用量,投与期間(例えばタキフィラキシー,忍容性,または履歴現象)あるいは投与と食事との関係に関係していることもありうる。







●●3.用量―反応を評価するための試験デザイン

●1)総論

用量―反応試験のデザインおよび試験対象母集団の選択は,開発の段階,治験対象としている適応症,および目的とする患者母集団における疾患の重症度に左右される。

例えば,不可逆的な結果をもたらす致死的あるいは重篤な状態に対して適切な救命療法がない場合は,忍容される最大用量より下の用量を用いた試験を実施しなくても倫理的に問題はないであろう。



均一な患者母集団であれば,各々の治療を受ける患者が少数であっても試験の目的を達成することが一般に可能であろう。

一方,多数かつ多様な母集団の場合には,重要になるかもしれない共変量の影響を発見することができる。
 


一般に有用な用量―反応情報は,数種の用量を比較することを目的として特別にデザインされた試験から得るのが最もよい。

単一の固定用量で実施した2つあるいはそれ以上の比較対照試験の結果を比較すると,例えばそれらの対照群が類似しているならば,時には有益な情報が得られることもある。

しかしそのような場合であっても,異なる試験では試験間の差異が多く存在するので通常はこの方法では不十分である。




固定用量の試験で得られた多様な血中濃度データから血中濃度―反応関係を回顧的に導くことが可能である場合もある。

このような分析は,疾患の重症度あるいは他の患者因子と交絡する可能性はあるものの,そこから得られる情報は有用であり,その後実施される試験の手引きとすることができる。

臨床開発の初期の段階で用量―反応試験を実施することは第V相試験での失敗を減らすことになり,結果として医薬品開発の速度が上がり,開発に用いる資源を節約できることになると思われる。

用量―反応関係の指針265 用量―反応試験の用量を選ぶに当たって薬物動態学的情報を用いることにより,得られる血中濃度―反応の値の適切な広がりを確保し,得られる血中濃度の間の重複を減らす,あるいは避けることができる。

薬物動態学的な変動が大きい医薬品の場合には,用量の間隔を広くしたり,患者数をより増やすことを選択してもよい。

あるいは,各用量群内で薬物動態学的な共変量を指標として個々の患者について調整してもよい(例えば体重,除脂肪体重,あるいは腎機能を指標とした補正)。

または,血中濃度による比較対照試験を実施してもよい。
 


実際問題として,連続変数またはカテゴリー変数で測定される反応で治療開始後比較的速やかに発現し,かつ治療中止後比較的速やかに消失するような反応(例えば血圧,鎮痛,気管支拡張)の場合には,かなり容易に妥当な用量―反応データを得ることができる。

この場合には,より広範な試験デザインを使用することができ,比較的小規模で単純な試験から有用な情報を得ることができる。

例えば,医薬品の開発の初期の試験の多くで典型的に用いられるプラセボ対照をおいた各個人毎の漸増デザインは,適正に実施および分析(母集団と個々の患者の用量―反応関係のモデルを作り,算定する定量的な分析)されれば,より決定的な並行群間比較による固定用量の用量―反応試験を行うための手引きを得ることができるし,あるいは漸増デザイン自体で結論が出せることもあろう。
 

逆に,試験のエンドポイントや副作用が遅延して発現したり,持続したり,あるいは不可逆であったりする場合(例えば脳卒中や心臓発作の予防,喘息の予防,反応の開始が遅い関節炎治療,癌における生存,うつ病の治療)は,通常は用量を漸増すると同時にそれに対する反応を評価するようなデザインは不可能であり,並行群間比較による用量―反応試験が必要である。


用量―反応曲線がベル型の場合,そのために有効な用量を見逃すことがあるが,並行群間比較による用量―反応試験ではその恐れがない。

ベル型曲線は,高い用量が低い用量より有効でない場合(例えば,作用と拮抗の混合によって起こりうる反応の場合)にみられる。
 



用量―反応または血中濃度―反応関係の評価を目的とする試験は,治療群間の比較可能性を保証するため,ならびに患者,研究者,および分析者に起因する偏りを最小限にするために,無作為化および(盲検化が不必要かあるいは不可能でない限り)盲検化を用いた適切な規模のよく管理された比較対照試験とすべきである。
 
臨床的に意義のある差異を識別するために,実施可能性および患者の安全性を両立できる範囲内で広い用量を選択することが重要である。

用量を決めるための初期の手引きとなるような薬理学的なエンドポイントも,妥当とみなせる代替のエンドポイントもない場合には,この点が特に重要である。


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2014年06月10日

血中濃度―反応情報の利用

今週は下記のガイドラインを読みます。


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●3)血中濃度―反応情報の利用
 
血中濃度のモニタリングをしなければ医薬品を安全かつ有効に使用できない場合は,血中濃度―反応情報の重要性は明らかである。

その他の場合は,血中濃度―反応関係の確立は常には必要ではないが,薬物―疾患(例えば腎障害)相互作用または薬物間相互作用による薬物動態の相違,あるいは新剤型(例えば徐放性製剤)または新しい投与方法により変化した薬物動態の影響を評価する場合の臨床的な影響の大きさを確かめるために使用できると思われる。

前向きの無作為化血中濃度―反応試験は,血中濃度モニタリングによる治療の適切な範囲を決めるために不可欠であるが,患者間の薬物動態の相違が大きい場合にも役立つ。

後者の場合,原則として標準的な用量―反応試験に比しより少ない対象患者を用いた前向き試験により血中濃度―反応関係が認められるであろう。

血中濃度―反応情報を集めることは,医薬品を適切に投与するために治療用量―反応関係の指針261中の血中薬物濃度モニタリングが必要になるということを意味するわけではない。

血中濃度―反応関係は用量―反応関係に置き換えることが可能である。

代わりとして,もし血中濃度と観察された結果(例えば,望ましくない薬理作用あるいは望ましい薬理作用)との関係が明らかにされるならば,それ以上血中濃度のモニタリングを実施しなくても患者の反応を調節することができる。

血中濃度―反応情報があれば,(それぞれの用量によって得られる血中濃度の範囲に基づき)望ましい反応が最も確実に得られそうな用量を選ぶことが可能になる。







●4)漸増法の問題点
 
有効性を証明するために広く用いられている試験デザインとして,何らかの有効性あるいは安全性をエンドポイントとした用量漸増法が用いられる。

このような漸増デザインは,注意深い分析をしない限り通常は用量―反応関係に関する有益な情報を提供するものではない。

多くの試験において時間経過に伴う自然経過によって症状の改善する傾向が見られるが,それと増量したこと,または投与期間が長くなったことによる改善とを容易には区別できない。

そのため,このような試験で用いられた用量の中で十分忍容性があると認められた最大の用量が,推奨用量として選択される傾向が生ずる。

過去を見ると,この方法は真に必要な用量をかなり上回る用量へ導いてしまうことがしばしばあった。

その結果として,例えば高血圧症に用いられる利尿薬の用量が高かったという事例のように,望ましくない効果が増大することがある。




早急に答えを出すことがとりわけ重要な場合には,忍容できる最大用量まで漸増する方法が容認できる。

なぜなら,必要な患者数がしばしば少なくて済むからである。

例えばAIDS患者の治療に対するジドブジンは,当初は高用量での試験成績に基づいて承認されたが,後の試験でより低い用量でも同様に有効であり,しかも忍容性がはるかによいことが示された。

初めての有効な抗HIV療法が緊急に必要であったために(市販後にさらにデータを追加するという条件付きで)承認の時点では用量―反応情報が不十分でも可とされたのである。

しかし,緊急性が低い場合にはこのような方法は認められない。



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2014年06月08日

「新医薬品の承認に必要な用量―反応関係の検討のための指針」について

今週は下記のガイドラインを読みます。


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薬審第494号 平成6年7月25日 厚生省薬務局審査課長
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1.はじめに

1)用量―反応関係の検討の目的

医薬品の用量,血中濃度および臨床での反応(有効性および副作用)の3者の関係を知ることは,個々の患者に対して医薬品を安全かつ有効に使用するために大切なことである。

この情報は,適切な開始用量,特定の患者の必要性に合わせて用量を調整する最もよい方法や,また,増量してもそれ以上有益性が期待できないか,あるいは増量すると忍容できない副作用が発現すると思われる用量を見いだすために役立つ。

用量―血中濃度,血中濃度―反応,用量―反応に関する情報は,当該医薬品の用法・用量を決める際の参考となる。

さらに,用量―反応関係の情報を得ることで,各国の規制当局が医薬品の承認の可否を判断する際に共通のデータベースを用いることも可能になり,世界的にみた医薬品開発を経済的に進めることにつながるであろう。




過去をみると,後に過剰用量とみなされるような用量(すなわち期待する効果に関する用量―反応曲線のプラトー部分に十分に達している用量)で当初医薬品が市販されたことがあり,時には有害な結果(例えば,高血圧症に使われるサイアザイド系利尿薬で起こる低カリウム血症およびその他の代謝障害)が生じたこともあった。

このような状況は,有用な効果が認められる最低の用量,あるいは有益な効果がそれ以上は認められなくなる最大の用量の探索の試みにより改善されてはきた。

しかし,これらの用量を正確に決定するための実施可能な試験デザインは存在しない。

さらにその後の情報により,最小有効量および最大有用量の考え方では個体差は十分に説明できず,また複数の用量における有益な効果と望ましくない効果の比較はできないことが示された。どの用量についても望ましい効果および望ましくない効果が混在し,全ての患者にとって必ず至適となるある決まった用量は存在しない。


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「全ての患者にとって必ず至適となるある決まった用量は存在しない。」だよね〜〜。

そんなの存在しないのだ。




●2)用量選択における用量―反応情報の利用

医薬品の開始用量を選択する際に最も役立つことは,望ましい効果および望ましくない効果の双方について母集団の(群としての)平均的な用量―反応曲線の形状および位置を知ることである。

この情報に基づき,さらに望ましい効果と望ましくない効果の相対的重要性に関する判断を加味して用量を選択することが最も望ましい。

例えば,有用な効果を示す用量範囲と望ましくない効果を示す用量範囲との間に大きな分離が見られるような医薬品の場合,あるいは急速に進行する疾患であるために即効的な治療が要求される場合には,開始用量を比較的高く(有効性の用量―反応曲線上のプラトーの上,またはその近く260Topic E4 に)設定することが推奨される。

しかし,有用な効果を示す用量範囲と望ましくない効果を示す用量範囲との間の分離が小さいことが判っている医薬品の場合には,開始用量を高く設定することは薦められない。

このような場合は,少なくとも患者母集団の一部においては臨床的な有効性が認められる程度の低い開始用量が推奨され,医薬品が十分忍容される限り用量を漸増することが最もよいと思われる。

開始用量の選択は,ある血中濃度における薬力学的反応の患者間での相違,あるいは非線形動態,代謝の多型性または薬物動態学的な薬物相互作用等から生じうる薬物動態の患者間での相違によって左右されるであろう。

これらの場合,血中濃度が高くなる患者に対しては低い開始用量を用いた方が安全であろう。

同じデータを用いてもリスク・ベネフィットを異なった観点からみるために,適切な開始用量,投与量の漸増の刻み,および最大の推奨用量について医師によりあるいは規制当局によってですら異なった選択をすることがありうる。

用量―反応データが妥当ならば,このような判断が可能となる。


ラベル:ich
posted by ホーライ at 01:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 用量―反応試験ガイドライン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする