2014年04月25日

ヘルシンキ宣言を読む。「ヘルシンキ宣言は実践してなんぼじゃ!」

今週は「ヘルシンキ宣言」(2013年版:フォルタレザ総会(ブラジル)で修正)を見ていきます。
   ↓
http://dl.med.or.jp/dl-med/wma/helsinki2013j.pdf


2013年改訂版の焦点は、以下とおり。
   ↓
http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20131030_21.pdf

なお、「フォルタレザ総会でのヘルシンキ宣言の見直しについて(パブリックコメントのための改訂草案)」は以下のところにあります。
   ↓
http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=145967&name=2r98520000032v61_1.pdf


ちなみに1つ前の「ソウル版」は下記のページの下のほうに保存してあります。
   ↓
https://sites.google.com/site/zhiyanniguansurutongzhiji/herushinki


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今週は「ヘルシンキ宣言」を見てきました。

治験に関わっていると「GCP」の中に「ヘルシンキ宣言に従う」というような文言があるので、「ヘルシンキ宣言」という名称だけはご存じですよね。

でも、なかなか全文を読む時間がないので、「はしょったり」して・・・・・・・。

今回の改訂で、僕も久々に読みましたが(^^;)、やっぱり、読みにくいですよね。

英語のヘルシンキ宣言を無理矢理、日本語訳にしているところも読みにくい一因です。

英語のヘルシンキ宣言の原文を読んだ方が分かりやすい、というようなところもあります。
   ↓
http://dl.med.or.jp/dl-med/wma/helsinki2013e.pdf



●ヘルシンキ宣言のなかで重要な基本原則は以下のようなものですね。

1.患者・被験者福利の尊重。

2.本人の自発的・自由意思による参加。

3.インフォームド・コンセント取得の必要。

4.倫理審査委員会の存在。

5.プロトコルの作成


ヘルシンキ宣言も科学の発展等で、何度か改訂しています。

「ゲノム関係」とか「プラセボの使用」とか「バイオバンク」、「健康被害に対する補償」など等。

今後も科学、医学の発展、社会情勢や倫理観の時代的変化等により改訂があるでしょう。


ヘルシンキ宣言の中の「研究登録と結果の刊行および普及」等を読むと、昨今のデータの改ざん疑惑につい想いがいきます。

ヘルシンキ宣言は「名目」ではなく「実践」してこそ、その価値を発揮するものです。


ヘルシンキ宣言に関連するものとしては以下のものがあります。

●ニュルンベルク綱領
   ↓
http://med.kyushu-u.ac.jp/recnet_fukuoka/houki-rinri/nuremberg.html


●ジュネーブ宣言
   ↓
http://www.med.or.jp/wma/geneva.html


●リスボン宣言
   ↓
http://www.med.or.jp/wma/lisbon.html


1年に1回は「ヘルシンキ宣言」を読み、考え、自分の行動について振り返りたいと思います。

必要ですよね?

なお、こんなのも出ています。
     ↓
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●製薬企業による臨床研究支援の在り方に関する基本的考え方
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http://www.jpma.or.jp/event_media/release/pdf/20140422.pdf
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     ↓
2014 年4 月22 日

製薬企業による臨床研究支援の在り方に関する基本的考え方

日本製薬工業協会


1. はじめに

昨年8 月厚生労働大臣のもとに「高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会」が設置され、問題事例の検証・真相究明とともに、再発防止に向け、我が国の臨床研究の在り方全般について検討が行われてきた。

昨年10 月8 日には検討委員会としての中間とりまとめが公表され、また本年4 月11 日には報告書「高血圧症治療薬の臨床研究事案を踏まえた対応及び再発防止策について」が取りまとめられたが、この検討の過程においては、製薬企業に対しても、今後の臨床研究支援の在り方に関し、指摘や要請が行われている。

今般、これらの論点について、当協会の考え方を「製薬企業による臨床研究支援の在り方に関する基本的考え方」として以下のとおり取りまとめた。

なお、この基本的考え方については、現在見直しが進められている「臨床研究に関する倫理指針」(厚生労働大臣告示)や、臨床研究に係る法制化の検討状況等も見極めながら、必要な場合には修正を加えるなど、柔軟かつ適切に対応していくこととする。



2. 臨床研究への支援の在り方に関する基本的考え方

(1)自社医薬品に関する臨床研究に対する資金提供や物品供与等の支援は、契約により実施すること。

また、契約の中で臨床研究に使用されなかった資金や物品は適切に企業に返還されるべき旨を明確にしておくこと。

なお、臨床研究に関わる労務提供については、データ解析業務等研究結果や研究の中立性に疑念を抱かせるような労務提供は行わないものとする。


(2)臨床研究における客観性と信頼性を確保するためには、研究者の独立性が極めて重要であることを認識し、利益相反関係に十分留意の上、支援を行うこと。


3. 奨学寄附金の提供の在り方

奨学寄附金は本来の趣旨に則り適切に提供することとし、今後自社医薬品に関する臨床研究に対する資金提供の支援方法としては用いないこと。

また、奨学寄附金提供に当たっては、社内の営業部門から独立した組織において利益相反を十分確認の上決定することとし、奨学寄附の経緯等の記録を作成し、適切に保管しておくこと。

なお、奨学寄附金により自社医薬品に関する臨床研究が行われていることを知った場合は、できる限り早期に契約に切り替えること。


以 上

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2014年04月24日

ヘルシンキ宣言を読む。「研究結果の倫理的責務にスポンサーも追加」

今週は「ヘルシンキ宣言」(2013年版:フォルタレザ総会(ブラジル)で修正)を見ていきます。
   ↓
http://dl.med.or.jp/dl-med/wma/helsinki2013j.pdf


2013年改訂版の焦点は、以下とおり。
   ↓
http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20131030_21.pdf

なお、「フォルタレザ総会でのヘルシンキ宣言の見直しについて(パブリックコメントのための改訂草案)」は以下のところにあります。
   ↓
http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=145967&name=2r98520000032v61_1.pdf


ちなみに1つ前の「ソウル版」は下記のページの下のほうに保存してあります。
   ↓
https://sites.google.com/site/zhiyanniguansurutongzhiji/herushinki


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今日は「プラセボの使用」、「研究終了後条項」、「研究登録と結果の刊行および普及」、「臨床診療における未実証の治療」を見ます。

なお、条文の数字のあとに「旧1項」等とあるのはソウル版の時のヘルシンキ宣言の項目番号を示しています。

ヘルシンキ宣言のソウル版とどこが違うのかが分かると思います。

ヘルシンキ宣言(ソウル版)と比較ができます。

旧項目番号の次にヘルシンキ宣言の改訂箇所も簡単に記載しています。



■■■ プラセボの使用 ■■■

33. (旧32項。下記の文章中の「」で括ったところが改訂箇所)

新しい治療の利益、リスク、負担および有効性は、以下の場合を除き、最善と証明されている治療と比較考量されなければならない:

証明された治療が存在しない場合、プラセボの使用または無治療が認められる;

あるいは、説得力があり科学的に健全な方法論的理由に基づき、「最善と証明されたものより効果が劣る治療」、プラセボの使用または「無治療」が、その治療の有効性あるいは安全性を決定するために必要な場合、そして、「最善と証明されたものより効果が劣る治療」、プラセボの使用または無治療の患者が、「最善と証明された治療を受けなかった結果として」重篤または回復不能な損害の「付加的リスク」を被ることがないと予想される場合。

この選択肢の乱用を避けるため徹底した配慮がなされなければならない。




■■■ 研究終了後条項 ■■■

34. (旧33項。試験後のアクセス問題の明記と補強。)

臨床試験の前に、スポンサー、研究者および主催国政府は、試験の中で有益であると証明された治療を未だ必要とするあらゆる研究参加者のために試験終了後のアクセスに関する条項を策定すべきである。

また、この情報はインフォームド・コンセントの手続きの間に研究参加者に開示されなければならない。




■■■ 研究登録と結果の刊行および普及 ■■■

35. (旧19項。修正なし。)

人間を対象とするすべての研究は、最初の被験者を募集する前に一般的にアクセス可能なデータベースに登録されなければならない。


36. (旧30項。倫理的責務を負う人に「研究者」と「スポンサー」を追加。)

すべての研究者、著者、スポンサー、編集者および発行者は、研究結果の刊行と普及に倫理的責務を負っている。

研究者は、人間を対象とする研究の結果を一般的に公表する義務を有し報告書の完全性と正確性に説明責任を負う。

すべての当事者は、倫理的報告に関する容認されたガイドラインを遵守すべきである。

否定的結果および結論に達しない結果も肯定的結果と同様に、刊行または他の方法で公表されなければならない。

資金源、組織との関わりおよび利益相反が、刊行物の中には明示されなければならない。

この宣言の原則に反する研究報告は、刊行のために受理されるべきではない。





■■■ 臨床診療における未実証の治療 ■■■


37. (旧35項。医学的措置を今後の研究対象とするための条件を強化。)

個々の患者の処置において証明された治療が存在しないかまたはその他の既知の治療が有効でなかった場合、患者または法的代理人からのインフォームド・コンセントがあり、専門家の助言を求めたうえ、医師の判断において、その治療で生命を救う、健康を回復するまたは苦痛を緩和する望みがあるのであれば、証明されていない治療を実施することができる。

この治療は、引き続き安全性と有効性を評価するために計画された研究の対象とされるべきである。

すべての事例において新しい情報は記録され、適切な場合には公表されなければならない。


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上記の中で大事なことは以下のとおりです。

二重かっこ(『』)で囲ったところが、特に重要です。


●33. プラセボの使用または無治療が、その治療の有効性あるいは安全性を決定するために必要な場合にはプラセボの使用が認められる

●34. 『試験終了後』のアクセスに関する条項を策定すべきである。

●36. すべての『研究者』、著者、『スポンサー』、編集者および発行者は、研究結果の刊行と普及に倫理的責務を負っている。←最近のデータ偽装疑惑を考えさせられますね。

●37. この治療は、『引き続き』安全性と有効性を評価するために計画された研究の対象とされるべきである。


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2014年04月23日

ヘルシンキ宣言を読む。「倫理委員会の透明性の問題を追加」

今週は「ヘルシンキ宣言」(2013年版:フォルタレザ総会(ブラジル)で修正)を見ていきます。
   ↓
http://dl.med.or.jp/dl-med/wma/helsinki2013j.pdf


2013年改訂版の焦点は、以下とおり。
   ↓
http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20131030_21.pdf


なお、「フォルタレザ総会でのヘルシンキ宣言の見直しについて(パブリックコメントのための改訂草案)」は以下のところにあります。
   ↓
http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=145967&name=2r98520000032v61_1.pdf


ちなみに1つ前の「ソウル版」は下記のページの下のほうに保存してあります。
   ↓
https://sites.google.com/site/zhiyanniguansurutongzhiji/herushinki


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今日は「研究倫理委員会」、「プライバシーと秘密保持」、「インフォームド・コンセント」を見ます。

なお、条文の数字のあとに「旧1項」等とあるのはソウル版の時のヘルシンキ宣言の項目番号を示しています。

ヘルシンキ宣言のソウル版とどこが違うのかが分かると思います。

ヘルシンキ宣言(ソウル版)と比較ができます。

旧項目番号の次にヘルシンキ宣言の改訂箇所も簡単に記載しています。



■■■ 研究倫理委員会 ■■■

23. (旧15項。研究倫理委員会の透明性の問題を追加。)

研究計画書は、検討、意見、指導および承認を得るため研究開始前に関連する研究倫理委員会に提出されなければならない。

この委員会は、その機能において透明性がなければならず、研究者、スポンサーおよびその他いかなる不適切な影響も受けず適切に運営されなければならない。

委員会は、適用される国際的規範および基準はもとより、研究が実施される国または複数の国の法律と規制も考慮しなければならない。

しかし、そのために本宣言が示す被験者に対する保護を減じあるいは排除することを許してはならない。

研究倫理委員会は、進行中の研究をモニターする権利を持たなければならない。

研究者は、委員会に対してモニタリング情報とくに重篤な有害事象に関する情報を提供しなければならない。

委員会の審議と承認を得ずに計画書を修正してはならない。

研究終了後、研究者は研究知見と結論の要約を含む最終報告書を委員会に提出しなければならない。




■■■ プライバシーと秘密保持 ■■■

24. (旧23項。修正なし。)

被験者のプライバシーおよび個人情報の秘密保持を厳守するためあらゆる予防策を講じなければならない。




■■■ インフォームド・コンセント ■■■

25. (旧22項。修正なし。)

医学研究の被験者としてインフォームド・コンセントを与える能力がある個人の参加は自発的でなければならない。

家族または地域社会のリーダーに助言を求めることが適切な場合もあるが、インフォームド・コンセントを与える能力がある個人を本人の自主的な承諾なしに研究に参加させてはならない。



26. (旧24項。「研究終了後条項」(研究後のアクセス)を追加。)

インフォームド・コンセントを与える能力がある人間を対象とする医学研究において、それぞれの被験者候補は、目的、方法、資金源、起こり得る利益相反、研究者の施設内での所属、研究から期待される利益と予測されるリスクならびに起こり得る不快感、研究終了後条項、その他研究に関するすべての面について十分に説明されなければならない。

被験者候補は、いつでも不利益を受けることなしに研究参加を拒否する権利または参加の同意を撤回する権利があることを知らされなければならない。

個々の被験者候補の具体的情報の必要性のみならずその情報の伝達方法についても特別な配慮をしなければならない。

被験者候補がその情報を理解したことを確認したうえで、医師またはその他ふさわしい有資格者は被験者候補の自主的なインフォームド・コンセントをできれば書面で求めなければならない。

同意が書面で表明されない場合、その書面によらない同意は立会人のもとで正式に文書化されなければならない。

医学研究のすべての被験者は、研究の全体的成果について報告を受ける権利を与えられるべきである。



27. (旧26項。修正なし。)

研究参加へのインフォームド・コンセントを求める場合、医師は、被験者候補が医師に依存した関係にあるかまたは同意を強要されているおそれがあるかについて特別な注意を払わなければならない。

そのような状況下では、インフォームド・コンセントはこうした関係とは完全に独立したふさわしい有資格者によって求められなければならない。



28. (旧27項。修正なし。)

インフォームド・コンセントを与える能力がない被験者候補のために、医師は、法的代理人からインフォームド・コンセントを求めなければならない。

これらの人々は、被験者候補に代表されるグループの健康増進を試みるための研究、インフォームド・コンセントを与える能力がある人々では代替して行うことができない研究、そして最小限のリスクと負担のみ伴う研究以外には、被験者候補の利益になる可能性のないような研究対象に含まれてはならない。


29. (旧28項。修正なし。)

インフォームド・コンセントを与える能力がないと思われる被験者候補が研究参加についての決定に賛意を表することができる場合、医師は法的代理人からの同意に加えて本人の賛意を求めなければならない。被験者候補の不賛意は、尊重されるべきである。



30. (旧29項。修正なし。

例えば、意識不明の患者のように、肉体的、精神的にインフォームド・コンセントを与える能力がない被験者を対象とした研究は、インフォームド・コンセントを与えることを妨げる肉体的・精神的状態がその研究対象グループに固有の症状となっている場合に限って行うことができる。

このような状況では、医師は法的代理人からインフォームド・コンセントを求めなければならない。

そのような代理人が得られず研究延期もできない場合、この研究はインフォームド・コンセントを与えられない状態にある被験者を対象とする特別な理由が研究計画書で述べられ、研究倫理委員会で承認されていることを条件として、インフォームド・コンセントなしに開始することができる。

研究に引き続き留まる同意はできるかぎり早く被験者または法的代理人から取得しなければならない。



31. (旧34項。修正なし。)

医師は、治療のどの部分が研究に関連しているかを患者に十分に説明しなければならない。

患者の研究への参加拒否または研究離脱の決定が患者・医師関係に決して悪影響を及ぼしてはならない。



32. (旧25項。「バイオバンク」を追記。)

バイオバンクまたは類似の貯蔵場所に保管されている試料やデータに関する研究など、個人の特定が可能な人間由来の試料またはデータを使用する医学研究のためには、医師は収集・保存および/または再利用に対するインフォームド・コンセントを求めなければならない。

このような研究に関しては、同意を得ることが不可能か実行できない例外的な場合があり得る。

このような状況では研究倫理委員会の審議と承認を得た後に限り研究が行われ得る。


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上記の中で大事なことは以下のとおりです。

二重かっこ(『』)で囲ったところが、特に重要です。

●23. この委員会は、その機能において『透明性』がなければならず、研究者、スポンサーおよびその他『いかなる不適切な影響も受けず』適切に運営されなければならない。

●23. 『研究終了後』、研究者は研究知見と結論の要約を含む最終報告書を委員会に提出しなければならない。

●26. インフォームド・コンセントを(中略)起こり得る不快感、『研究終了後条項』、その他研究に関するすべての面について十分に説明されなければならない。

●26. 医学研究のすべての被験者は、研究の『全体的成果について報告を受ける』権利を与えられるべきである。

●32. 『バイオバンク』または類似の貯蔵場所に保管されている試料やデータに関する研究など、個人の特定が可能な人間由来の試料またはデータを使用する医学研究のためには、医師は収集・保存および/または再利用に対するインフォームド・コンセントを求めなければならない。


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2014年04月22日

ヘルシンキ宣言を読む。「社会的弱者グループおよび個人」に対する補強。

今週は「ヘルシンキ宣言」(2013年版:フォルタレザ総会(ブラジル)で修正)を見ていきます。
   ↓
http://dl.med.or.jp/dl-med/wma/helsinki2013j.pdf


2013年改訂版の焦点は、以下とおり。
   ↓
http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20131030_21.pdf

なお、「フォルタレザ総会でのヘルシンキ宣言の見直しについて(パブリックコメントのための改訂草案)」は以下のところにあります。
   ↓
http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=145967&name=2r98520000032v61_1.pdf


ちなみに1つ前の「ソウル版」は下記のページの下のほうに保存してあります。
   ↓
https://sites.google.com/site/zhiyanniguansurutongzhiji/herushinki


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今日は「リスク、負担、利益」、「社会的弱者グループおよび個人」、「科学的要件と研究計画書」を見ます。

なお、条文の数字のあとに「旧1項」等とあるのはソウル版の時のヘルシンキ宣言の項目番号を示しています。

ヘルシンキ宣言のソウル版とどこが違うのかが分かると思います。

ヘルシンキ宣言(ソウル版)と比較ができます。

旧項目番号の次にヘルシンキ宣言の改訂箇所も簡単に記載しています。



■■■ リスク、負担、利益 ■■■

16. (旧8項と21項を組み合わせている。修正なし。)

医療および医学研究においてはほとんどの治療にリスクと負担が伴う。

人間を対象とする医学研究は、その目的の重要性が被験者のリスクおよび負担を上まわる場合に限り行うことができる。


17. (旧18項:修正なし。)

人間を対象とするすべての医学研究は、研究の対象となる個人とグループに対する予想し得るリスクおよび負担と被験者およびその研究によって影響を受けるその他の個人またはグループに対する予見可能な利益とを比較して、慎重な評価を先行させなければならない。

リスクを最小化させるための措置が講じられなければならない。

リスクは研究者によって継続的に監視、評価、文書化されるべきである。



18. (旧20項:修正なし。)

リスクが適切に評価されかつそのリスクを十分に管理できるとの確信を持てない限り、医師は人間を対象とする研究に関与してはならない。

潜在的な利益よりもリスクが高いと判断される場合または明確な成果の確証が得られた場合、医師は研究を継続、変更あるいは直ちに中止すべきかを判断しなければならない。





■■■ 社会的弱者グループおよび個人 ■■■

19. (旧9項の第2文。旧9項の第1文は新7項となる。)

あるグループおよび個人は特に社会的な弱者であり不適切な扱いを受けたり副次的な被害を受けやすい。

すべての社会的弱者グループおよび個人は個別の状況を考慮したうえで保護を受けるべきである。


20. (旧17項。わずかな利益と合理的な利益に対する取り組みが組み合わせられている。社会的弱者については様々な重要原則を取り込んでいる。)

研究がそのグループの健康上の必要性または優先事項に応えるものであり、かつその研究が社会的弱者でないグループを対象として実施できない場合に限り、社会的弱者グループを対象とする医学研究は正当化される。

さらに、そのグループは研究から得られた知識、実践または治療からの恩恵を受けるべきである。





■■■ 科学的要件と研究計画書 ■■■

21. (旧12項。修正なし。)

人間を対象とする医学研究は、科学的文献の十分な知識、その他関連する情報源および適切な研究室での実験ならびに必要に応じた動物実験に基づき、一般に認知された科学的諸原則に従わなければならない。

研究に使用される動物の福祉は尊重されなければならない。



22. (旧14項。研究計画書の中に、この情報を含むよう義務付けることを明確化。)

人間を対象とする各研究の計画と実施内容は、研究計画書に明示され正当化されていなければならない。

研究計画書には関連する倫理的配慮について明記され、また本宣言の原則がどのように取り入れられてきたかを示すべきである。

計画書は、資金提供、スポンサー、研究組織との関わり、起こり得る利益相反、被験者に対する報奨ならびに研究参加の結果として損害を受けた被験者の治療および/または補償の条項に関する情報を含むべきである。

臨床試験の場合、この計画書には研究終了後条項についての必要な取り決めも記載されなければならない。

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上記の中で大事なことは以下のとおりです。

二重かっこ(『』)で囲ったところが、特に重要です。


●17. リスクは研究者によって『継続的に』監視、評価、文書化されるべきである。

●20. 研究がそのグループの健康上の必要性または優先事項に応えるものであり、かつその研究が『社会的弱者でないグループを対象として実施できない場合に限り』、社会的弱者グループを対象とする医学研究は正当化される。

●22. 研究計画書には関連する『倫理的配慮』について明記され、また本宣言の原則がどのように取り入れられてきたかを示すべきである。

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2014年04月19日

最新のヘルシンキ宣言を読む。

今週は「ヘルシンキ宣言」(2013年版:フォルタレザ総会(ブラジル)で修正)を見ていきます。
   ↓
http://dl.med.or.jp/dl-med/wma/helsinki2013j.pdf


2013年改訂版の焦点は、以下のとおり。
   ↓
http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20131030_21.pdf


●研究に関与した弱者集団の保護を一層高めること

●研究に参加した結果とて、損害を受けた被験者が適切な補償と治療を受けられるようにすること

●バイオバンクなどにおける研究試料の再利用に関するインフォームド・コンセントについての言及

●被験者に対する研究結果の通知、試験中に有益であると証明された医学的措置へのアクセスを保証する条項を事前に策定するよう、研究後の取り決めの拡大

●研究倫理委員会の権限強化(監視情報、有害事象報告、研究資金・研究結果の概要のレポート提出等)



なお、「フォルタレザ総会でのヘルシンキ宣言の見直しについて(パブリックコメントのための改訂草案)」は以下のところにあります。
   ↓
http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=145967&name=2r98520000032v61_1.pdf


ちなみに1つ前の「ソウル版」は下記のページの下のほうに保存してあります。
   ↓
https://sites.google.com/site/zhiyanniguansurutongzhiji/herushinki


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今週はほとんど、ヘルシンキ宣言のコピペだけですので、自分で読む!という方は今週はスキップしてくださいね。


今日は「序文」と「一般原則」を見ます。

なお、条文の数字のあとに「旧1項」とあるのはソウル版の時のヘルシンキ宣言の項目番号を示しています。

ヘルシンキ宣言のソウル版とどこが違うのかが分かると思います。

ヘルシンキ宣言(ソウル版)と比較ができます。

旧項目番号の次にヘルシンキ宣言の改訂箇所も簡単に記載しています。



■■■ 序文 ■■■

1. (旧1項:修正なし)

世界医師会(WMA)は、特定できる人間由来の試料およびデータの研究を含む、人間を対象とする医学研究の倫理的原則の文書としてヘルシンキ宣言を改訂してきた。

本宣言は全体として解釈されることを意図したものであり、各項目は他のすべての関連項目を考慮に入れて適用されるべきである。



2. (旧2項:本宣言が主として医師に対して表明されたものである理由を明確に説明)

WMA の使命の一環として、本宣言は主に医師に対して表明されたものである。

WMA は人間を対象とする医学研究に関与する医師以外の人々に対してもこれらの諸原則の採用を推奨する。



 
■■■ 一般原則 ■■■

3. (旧4項:修正なし)

WMA ジュネーブ宣言は、「私の患者の健康を私の第一の関心事とする」ことを医師に義務づけ、また医の国際倫理綱領は、「医師は、医療の提供に際して、患者の最善の利益のために行動すべきである」と宣言している。



4. (旧3項:医師の責務を拡大)

医学研究の対象とされる人々を含め、患者の健康、福利、権利を向上させ守ることは医師の責務である。

医師の知識と良心はこの責務達成のために捧げられる。



5. (旧5項は2つに分割。新5項は旧5項の最初の文であり、第2文は新13項となる。)

医学の進歩は人間を対象とする諸試験を要する研究に根本的に基づくものである。



6. (旧7項)

人間を対象とする医学研究の第一の目的は、疾病の原因、発症および影響を理解し、予防、診断ならびに治療(手法、手順、処置)を改善することである。

最善と証明された治療であっても、安全性、有効性、効率性、利用可能性および質に関する研究を通じて継続的に評価されなければならない。



7. (旧9項は2つに分割され、新7項は旧9項の最初の1文であり、第2文は新19項となる。)

医学研究はすべての被験者に対する配慮を推進かつ保証し、その健康と権利を擁護するための倫理基準に従わなければならない。



8. (旧6項)

医学研究の主な目的は新しい知識を得ることであるが、この目標は個々の被験者の権利および利益に優先することがあってはならない。



9. (旧11項の最初の1文。新9項の最後の1文は、旧16項の最後の1文から移動。旧16項の最初の1文は新12項となる。)

被験者の生命、健康、尊厳、全体性、自己決定権、プライバシーおよび個人情報の秘密を守ることは医学研究に関与する医師の責務である。被験者の保護責任は常に医師またはその他の医療専門職にあり、被験者が同意を与えた場合でも、決してその被験者に移ることはない。



10. (旧10項:文言を強化)

医師は、適用される国際的規範および基準はもとより人間を対象とする研究に関する自国の倫理、法律、規制上の規範ならびに基準を考慮しなければならない。国内的または国際的倫理、法律、規制上の要請がこの宣言に示されている被験者の保護を減じあるいは排除してはならない。



11. (旧13項:修正なし)

医学研究は、環境に害を及ぼす可能性を最小限にするよう実施されなければならない。



12. (旧第16項の第1文に「教育」を追加。旧16項の第2文は新9項へ移動。)

人間を対象とする医学研究は、適切な倫理的および科学的な教育と訓練を受けた有資格者によってのみ行われなければならない。

患者あるいは健康なボランティアを対象とする研究は、能力と十分な資格を有する医師またはその他の医療専門職の監督を必要とする。



13. (旧5項の第2文から移動。修正なし。旧5項の第1文は、新5項となる。)

医学研究から除外されたグループには研究参加への機会が適切に提供されるべきである。



14. (旧31項:修正なし。)

臨床研究を行う医師は、研究が予防、診断または治療する価値があるとして正当化できる範囲内にあり、かつその研究への参加が被験者としての患者の健康に悪影響を及ぼさないことを確信する十分な理由がある場合に限り、その患者を研究に参加させるべきである。



15. (新規項目。被害を受けた被験者が、補償と治療を確実に受けとれるようにする取り決めを反映している。)

研究参加の結果として損害を受けた被験者に対する適切な補償と治療が保証されなければならない。


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今回のヘルシンキ宣言では、小見出しを多くつけてくれたので、見やすくなりましたね。

で、上記の中で大事なことは以下のとおりです。

二重かっこ(『』)で囲ったところが、特に重要です。


●4. 医学研究の対象とされる人々を含め、患者の『健康、福利、権利』を向上させ守ることは医師の責務である。

●5. 医学の進歩は『人間を対象とする諸試験』を要する研究に根本的に基づくものである。

●6. 最善と証明された治療であっても、安全性、有効性、効率性、利用可能性および質に関する研究を通じて『継続的に』評価されなければならない。

●8. 医学研究の主な目的は新しい知識を得ることであるが、この目標は『個々の被験者の権利および利益に優先することがあってはならない』。

●12. 人間を対象とする医学研究は、適切な倫理的および科学的な『教育と訓練』を受けた有資格者によってのみ行われなければならない。

●15. 研究参加の結果として損害を受けた被験者に対する適切な『補償と治療』が保証されなければならない。


posted by ホーライ at 00:39| Comment(0) | TrackBack(0) | ヘルシンキ宣言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする