2014年03月20日

動物実験の限界

今週は「ヒト初回投与試験の安全性を確保する方法」を見ます。
 
「医薬品開発におけるヒト初回投与試験の安全性を確保するためのガイダンス」について
   ↓
http://www.pmda.go.jp/kijunsakusei/file/guideline/new_drug_non-clinical/T120406I0010.pdf

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■




動物実験には限界があることも指摘しています(私たちはこの点、油断することがあるので、これを忘れないように!)。
   ↓
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

3.3 非臨床試験

3.3.1 動物モデルの妥当性の確認

被験薬に対するヒトと動物の生物学的反応は,質的又は量的に異なる場合がある.

一般的に,動物モデルを用いた試験は,以下に示す点でヒトでの安全性又は有効性を十分に評価できないことを理解することが重要である.

種特異性の高い被験薬で動物を用いた非臨床試験を行う場合には,被験薬に対する作用機序及び標的(作用部位)の特性を踏まえ,被験薬に対するヒトと動物の生物学的反応ができるだけ近いと考えられる適切な動物モデルで実施することが必要である.

@ ヒトで意図する薬理作用が動物で発現されるとは限らないこと

A 薬物動態学(PK)と薬力学(PD)的結果の関係についての適切な評価が行われない可能性があること

B ヒトでの毒性学的影響を適切に予測できない可能性があること

C 生物薬品の場合,ヒト内因性物質との類似性により抗体が生成したときの被験者へのリスクが異なるが,動物モデルでは必ずしも適切な評価ができないこと



動物モデルの妥当性を示す際には,以下について検討すべきである.

@ 標的分子の発現,組織分布及び一次構造

ただし,ヒトと動物との間で標的分子に高い相同性が見られる場合でも,同等の薬理作用を示すとは限らない.

A ヒト及び動物試料(ヒト型試験系も含む)を用いた交差反応性(例えばモノクローナル抗体等)

B 薬力学的側面

・ 受容体/標的への結合親和性及び占有率,並びに薬理学的活性

・ 必要且つ可能ならば、付加的機能ドメインの活性に関する動物データ(例えばモノクローナル抗体に対するFc受容体系) Fc受容体:免疫グロブリン(抗体)分子のFc部位に対する受容体である.

C 代謝及びその他の薬物動態学(PK)的側面

動物モデルの選択については,選択理由を明確にする.

妥当な動物種が存在しない場合は,相同タンパク質又はヒト型標的分子を発現している遺伝子改変動物の利用が考えられる.

相同タンパク質と標的との相互作用により,ヒトで予測される被験薬の生物学的活性が惹起される場合には,ヒトでのリスク評価に有益である.

また,ヒト細胞等を用いたin vitro試験により,適切な追加情報を得られる場合がある.

被験薬の非臨床安全性評価においては,使用する全ての動物モデルの妥当性と被験薬の評価における限界について慎重に検討すべきである.


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


上記では「ヒト細胞等を用いたin vitro試験」も有用であることが記載されていますね。

さて、それでは実際のフェーズ1の臨床試験(特に初回投与)についてはどのような点に注意すればいいのでしょうか。
   ↓
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

3.4 臨床試験

3.4.1 一般的な考え方

ヒト初回投与試験に参加する被験者の安全性は,有害作用発現のリスク要因を特定し,それを計画的に低減することによって高めることができる.

これらのリスク要因を低減するために,試験計画をたてる際は以下について検討すべきである.

@ 被験薬の品質に関わるリスク

A 懸念される毒性

B 適切な動物モデル(非臨床試験)から得られた知見

C 適切な被験者集団(健康人・患者)

D 予想される有害事象/副作用に対する被験者の忍容性

E 被験者の遺伝学的素因により被験薬の反応に差異がでる可能性

F 患者が他の医薬品や医療手段から利益を得られる可能性

G 被験薬の予測される治療濃度域


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


大事なことは「有害作用発現のリスク要因を特定し,それを計画的に低減する」です。


このような場合のプロトコルでは何に注意すべきでしょうか。
   ↓
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

3.4.2 治験実施計画書

治験実施計画書は,被験薬ごとに標的分子に関する知見をもとに以下について考察し,被験者の安全性確保に配慮し,その正当性を可能な範囲で示す必要がある.

@ 対象被験者

A 実施施設

B 初回投与量とその設定根拠

C 投与経路及び速度

D 投与期間と観察期間

E 用量群ごとの被験者数

F 同一用量群内の被験者への投与順序及び間隔

G 用量漸増の手法

H 次の用量群への移行基準

I 投与中止基準,休薬基準,再開基準

J G〜Iの判断根拠となる安全性評価手法

K 被験者への投与,用量漸増及び臨床試験の変更又は中止手順及びそれらを決定する体制と責任の所在

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


まずは「実施施設」です。

万が一を考えて、緊急事態に対応できる治験実施施設を選ぶ必要があります。

3.4.3 臨床試験の実施施設及び人員

ヒト初回投与試験は,適切な医療施設において,必要な教育と訓練を受け,初期段階の臨床試験(つまり第I相,第U相)を実施するために十分な専門知識と経験を持つ治験担当医師と適切なレベルの訓練を受け経験を持つ医療従事者によって実施されるべきである.

これらの医師や医療従事者は,試験デザインや被験薬,その標的,作用機序及び予想される有害作用について理解していなければならず,臨床薬理学に造詣の深い者を含めるべきである.

臨床試験に従事する医療施設は,緊急事態(心肺停止状態, アナフィラキシー, サイトカイン放出症候群, 意識消失,けいれん, ショック等)に対応可能な設備や医師等を備え,また被験者の移動や治療に関する責任と業務遂行についての手順を定めた救命救急施設(外部を含む)を利用できるようにしておくべきである.




また、「投与速度」も大事です(特に静注の場合)。

ゆっくり投与することで、SAEの発現に対応できます。

3.4.2.c 投与経路と投与速度

ヒトへの初回投与の投与経路及び投与速度の選択は,非臨床データに基づいて正当性を示すべきである.

一般に,静脈内投与の場合には,急速投与より,ゆっくりと点滴投与する方が安全性は高い.この点滴投与により有害作用発現の監視が容易になり,重篤な有害作用発現時には被験薬の投与中止等の対応が可能となる.





さらに、「同一用量群内の被験者への投与順序及び間隔」です。

たとえば、ヒトに対する初回投与の場合、6人のボランティアがいたとします。

このような場合、ひとりに投与したあと、十分に観察し、問題がなければ、次のヒトに投与するようにします。

これにより、重篤な副作用を「最低限」にとどめられます。

もし、6人のボランティアにいっきに投与すると、6人全員に重篤な副作用が発生する可能性があります。

それが、ひとり目に投与したあと、十分観察し、万が一、このひとり目に重篤な副作用が発生した場合、2人目以降の投与を中止するなどの措置が講じられます。


通常,ヒト初回投与試験は,群間用量漸増法で実施されるが、初回投与時には一人の被験者に被験薬を単回投与するように計画することが適切である.

その後の用量群(場合によってはプラセボ数名を含む)においてもリスクを低減するため,例えば,用量を上げるたびにまず1名で安全性を評価してから進めることがより適切である場合もある.

このような場合には,引き続く被験者への投与の前に,被験者に現れた反応及び有害事象を観察し,結果を解釈するための十分な観察期間が必要である.




では、最初に投与する治験薬の量はどのように決めればいいでしょうか?


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

3.4.2.b ヒト初回投与量の設定

ヒト初回投与量を慎重に設定することは,被験者の安全性を確保するために重要である.

入手可能な全ての情報を考慮して,初回投与量を設定すべきであるが,どのような情報をどのように利用するかは,ケース・バイ・ケースで判断すべきである.

一般にヒト初回投与量は,最も感度の高い動物種を用いた非臨床毒性試験における無毒性量(NOAEL:No Observed Adverse Effect Level)をもとに,アロメトリック補正,あるいは,薬物動態(PK)情報に基づいてヒト等価用量(HED:Human Equivalent Dose)を算出し,さらに被験薬の特性や臨床試験デザインを踏まえた安全係数を考慮し設定される.

また,例えば癌患者における従来の細胞毒性を有する被験薬のような場合では,その他の手法も考慮される。

特定のリスク要因(3.1)に影響される被験薬については,さらに付加的手法を用いて用量を設定すべきであり,薬力学(PD)に関する情報が有用な場合がある.

つまり,MABELを用いて初回投与量を設定する場合には,ヒトと動物との間で被験薬に対する生物学的活性に差異がないか検討し,以下に示す情報を含めin vitro及びin vivo試験から得られた薬物動態(PK)/薬力学(PD)に関する全ての情報(例えば薬物動態(PK)/薬力学(PD)モデルも含む)を利用すべきである.

@ ヒト及び適切な動物種由来の標的細胞を用いた受容体/標的への結合親和性及び占有率についての試験

A ヒト及び適切な動物種由来の標的細胞を用いた用量−反応曲線

B 適切な動物種を用いた薬理学的用量における推定曝露量

ヒトにおける有害作用の発現を回避するために,安全係数を適用して,MABELから初回投与量を設定する場合には,被験薬の新規性,生物学的活性,作用機序,被験薬の種特異性,用量作用曲線の型等を踏まえ,適切な安全係数を設定すべきである.

ヒトへの初回投与量を設定する上で,NOAEL,MABEL等の設定根拠の違いにより異なる値が得られた場合は,科学的根拠に基づいて初回投与量を決定する.


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■



上記に「NOAEL」や「MABEL」という言葉ありますね。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

NOAELとは最大無毒性量のこと。

複数の用量群を用いた反復投与毒性試験,生殖・発生毒性試験などの動物実験において,毒性学的なすべての有害な影響が認められなかった最高の暴露量のこと.

最大無作用量 (NOEL)と同義語として用いられることもある.

有害な影響の有無の判断は毒性学の専門家に任せられているが,生体組織の基質的変化を伴わない,血清生化学値あるいは器官重量の増減,または,代償的な変化は有害な影響と見なされる.

WHOなどの国際機関や欧米先進国ではNOELよりもNOAELを採用しており,日本でも最近はNOAELが用いられるようになってきた(一般にNOAEL≧NOELの関係にある)。

多くの場合,長期反復投与試験の結果に基づいて,一日許容摂取量 (ADI)を算出するが,NOAELが実験から求められるとは限らないので,このような場合には,推計学的手法を使ってNOAELを求める.

ベンチマークドースという数理モデルで無毒性量を推計し,NOAELと同等に扱うことが生殖発生毒性の分野ですでに行われている.

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■




■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

MABELとは推定最小薬理作用量のこと

推定最小薬理作用量(MABEL: Minimal Anticipated Biological Effect Level)

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■



私たちは治験の経験が増えれば増えるほど、治験の危険性に対して「鈍感」になります。

いつでも私たちは「得体の知れない化合物」を扱っていることを忘れないようにしましょう。


posted by ホーライ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ヒトに初めて投与する治験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月19日

治験薬の不純物等の管理

今週は「ヒト初回投与試験の安全性を確保する方法」を見ます。
 
「医薬品開発におけるヒト初回投与試験の安全性を確保するためのガイダンス」について
   ↓
http://www.pmda.go.jp/kijunsakusei/file/guideline/new_drug_non-clinical/T120406I0010.pdf

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■




世界で初めてヒトに治験薬を投与する場合、その治験薬の化学的な純度が大事です。

最初の頃はまだ化合物の精製方法が確立されていませんからね。

しつこいぐらい、治験薬に含まれる「不純物」についてガイダンスは言及しています。
   ↓
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

3.2.2 不純物等の管理

被験薬の製造工程,保存中の安定性を勘案し,安全性への影響が懸念される不純物の混入が否定できない場合には,健康被害を生じないと考えられる基準を明確にしておく.

低分子化合物のように化学合成により製造される被験薬に一定レベル以上含有される不純物に関しては,ICH Q3A,Q3B及びQ6Aガイドライン等を参考に,必要に応じて文献情報や非臨床試験結果に基づき,安全性に問題がないことを示すべきである.


生物薬品を有効成分とする被験薬には,目的物質由来不純物として凝集体や分解物,製造工程由来不純物として宿主由来タンパク質,感染性物質としてウイルスやマイコプラズマ等が混入する可能性がある.

意図しない凝集体や宿主細胞由来タンパク質は,直接・間接的に免疫原性を高めることにより有害作用を引き起こす可能性があるので可能な限り除去する.


ヒトや動物由来の細胞株を生産基材とする場合は,細胞株適格試験,及び製造工程の適切な段階で感染性ウイルス否定試験を実施することにより,ウイルス汚染等に関する被験薬の安全性を確保する必要がある(ICH Q5A及びQ5D参照).


製造工程においてヒトその他の生物(植物を除く)に由来する原料又は材料を使用している場合は,「生物由来原料基準」(平成15年5月20日厚生労働省告示第210号)を遵守する.

ウシ血清等で生物由来原料基準に適合しない原材料をやむを得ず使用している場合は,その旨を被験者に情報提供する.

剤形に応じて,無菌試験,不溶性異物検査,不溶性微粒子試験,エンドトキシン試験等を実施し,ヒトに投与する薬物として適切な品質を確保することが必要である.

試験方法として日本薬局方一般試験法が参考となる.

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


「ウシ血清」を使う場合は、「BSE(Bovine Spongiform Encephalopathy)」(牛海綿状脳症)があるので、特に注意が必要です。

また、HIVやC型肝炎の例もあるとおり、「感染性ウイルス否定試験を実施する」必要があります。


posted by ホーライ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ヒトに初めて投与する治験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月18日

リスク要因を考慮しリスク低減策を検討

今週は「ヒト初回投与試験の安全性を確保する方法」を見ます。
 
「医薬品開発におけるヒト初回投与試験の安全性を確保するためのガイダンス」について
   ↓
http://www.pmda.go.jp/kijunsakusei/file/guideline/new_drug_non-clinical/T120406I0010.pdf

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■



このガイダンスが対象としている治験薬はどんなものでしょう?


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

2. 対象とする範囲

本ガイダンスは,新規の化学薬品及び生物薬品(バイオテクノロジー応用医薬品/生物起源由来医薬品)に適用する.

ただし,遺伝子治療用医薬品及び細胞・組織利用医薬品は除く.

主として,ヒト初回投与試験前に実施される被験薬の品質確保,非臨床試験やそれに引き続くヒト初回投与試験を対象とするものである.

なお,我が国の指針及びICH M3(R2)等に記載されているマイクロドーズ臨床試験を含む早期探索的臨床試験については,該当するガイドラインを参照されたい.

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


「遺伝子治療用医薬品及び細胞・組織利用医薬品は除く」なんですね。

そりゃそうだ。これらは特殊ですからね。

マイクロドーズ試験は別のガイドラインがあるので、そちらを参照してください。

ちなみに、マイクロドーズ臨床試験とは、ヒトにおいて薬理作用を発現すると推定される投与量(以下「薬効発現量」という。)の1/100 を超えない用量又は100μg のいずれか少ない用量の被験物質を、健康な被験者に単回投与することにより行われる臨床試験をいう

「マイクロドーズ臨床試験の実施に関するガイダンス」
   ↓
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/chiken/dl/080705.pdf



さて、初回投与です。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

3. ガイダンス主文

新規被験薬は非臨床試験によりヒト初回投与前にリスクを予測するための安全性データが収集されるが,非臨床試験ではヒトにおける重篤な有害作用を十分に予測できないことがある.

従って, 非臨床試験を吟味しヒト初回投与試験のデザインを慎重に検討することが必要とされる.

ヒト初回投与試験を計画する際,治験依頼者及び実施者は,リスク要因を考慮しリスク低減策を検討しなければならない.

3.1 リスク要因

被験薬の重篤な有害作用発現の可能性を予測するには,リスク要因を特定する必要がある.

1)作用機序,2)標的分子(作用部位)の特性,3)モデル動物の妥当性について十分な情報が欠如している場合, あるいはヒトへの安全性予測が困難な場合には, ヒト初回投与時におけるリスクが増大する.

従って, 治験依頼者はヒト初回投与試験に関する以下の各項目について,被験薬ごとに検討しなければならない.

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


大事なことはリスク要因を検討し、リスクを低減する方法を考えることですね。

その際に次のことが重要です。
   ↓
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

3.1.1 被験薬の作用機序

被験薬の主薬理作用及び副次的薬理作用を理解するためには,想定される作用機序に関する知見を検討することが重要である.

in vitro及びin vivo試験系で観察された薬理作用(持続時間及び用量−反応関係)と想定される作用機序の関係を,可能な範囲で,被験薬への特異的な標的分子の特性,被験薬の受容体/標的への結合親和性と占有率から理解することが必要である.

また,これらは薬理作用の種差,遺伝的(遺伝子)多型の影響,及び薬物相互作用等の予測にも役立つ.

加えて,被験薬が複数の活性部位と結合する場合は,それぞれ単独の活性部位では認められない作用が発現する可能性も考慮すべきである.

作用機序に関連するリスク要因を検討する際には,以下について配慮することが必要である.

@ 関連する作用機序を持つ化合物を過去にヒトへ曝露した際の安全性

A 動物モデル(トランスジェニック又はノックアウト動物を含む)における,主あるいは副次的薬理作用による重篤な毒性リスクの有無

B 有効成分の分子構造に関する新規性

非臨床試験結果から予期できない有害作用が発現し得るリスクを考慮して,初回投与量の設定において推定最小薬理作用量(MABEL: Minimal Anticipated Biological Effect Level)を用いることがある.

有害反応が予期できない場合とは,同定された標的分子に作用する既存薬の情報がない場合や,標的分子が複数のシグナル伝達経路を活性化/遮断する場合(例えば,標的分子が多様な生物学的活性を惹起する場合),もしくは免疫系のように生体内で広範に発現している場合,又は生体の対応能を超えた薬理作用が発現する可能性がある場合(例えば,CD3又はCD28に対するスーパーアゴニストによるサイトカイン放出)等を指す.

なおMABELの設定の根拠とされる薬力学(PD)試験は,必ずしもGLPに準じて行わなくても良いが,信頼性の高いものであるべきである.

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


治験薬の「作用機序」をしっかりと把握することが求められています。

そこから予想されるリスクを特定しておきます。



さらに、治験薬の標的分子の検討と動物実験におけるモデルの妥当性を検討します。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

3.1.2 標的分子の特性

治験依頼者は,以下の標的分子の特性を踏まえ,利用可能な知見に基づき,ヒト初回投与のリスクを検討すべきである.

@ 標的分子の構造,組織分布(ヒトの免疫系細胞における発現を含む),細胞特異性,疾患特異性,生体内での制御機構,発現量,反応カスケードの下流への影響等,これらの要因の健康人と患者間の差異

A 標的分子の遺伝的(遺伝子)多型の有無


3.1.3 非臨床試験における動物モデルの妥当性

治験依頼者は必要に応じて,標的分子の相同性,組織分布,シグナル伝達経路及び生物学的活性について非臨床試験に用いる動物モデルとヒトとの間で比較し予想すべきである


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


posted by ホーライ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ヒトに初めて投与する治験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月15日

ヒト初回投与試験の安全性を確保する方法

今週は「ヒト初回投与試験の安全性を確保する方法」を見ます。
 
「医薬品開発におけるヒト初回投与試験の安全性を確保するためのガイダンス」について
   ↓
http://www.pmda.go.jp/kijunsakusei/file/guideline/new_drug_non-clinical/T120406I0010.pdf

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


皆さんは治験のフェーズ1を実施したことがありますか?

私はフェーズ1を担当したこともありますし、自分自身がフェーズ1の治験に参加したことがあります。

よくよく考えると、治験のフェーズ1、それも初回投与って、怖いですよね。

何が起こるか分からない。

数年前、イギリスで実施された治験のフェーズ1でとんでもなく背筋が凍る事故がありました。
   ↓
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/england/london/4807042.stm
   ↓
http://www.npojip.org/sokuho/060328.html


もっと詳しく知りたい方は「TG1412」で検索してみてください。

たとえば・・・・
  ↓
http://atdd-frm.umin.jp/slide/2011118/2-1.pdf



さて、「ヒト初回投与試験の安全性を確保する方法」です。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

概説

本ガイダンスは,医薬品開発における非臨床から初期臨床試験への移行を支援するための基本的な考え方を示すものである.

被験薬をヒトに初めて投与する際のリスク要因を予測し,さらに,被験薬の品質,非臨床試験及びヒト初回投与試験に関する計画・実施について言及する.

ヒトへの初回投与量の設定,それに続く用量漸増法及び臨床試験の実施にともなう被験者リスクを低減するための考え方を示すものである.

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


今さらですが、科学の場合、「人」ではなく「ヒト」となります。




■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

1. 序論

被験者の安全性は,考慮すべき重要課題である.特にヒトで初めて投与される被験薬の安全性は,事前に集められた科学的知見に基づいて,個々に評価されるものでなければならない.

本ガイダンスは,被験薬の非臨床試験及びヒト初回投与試験を計画する際,考慮すべきリスク要因を治験依頼者及び治験の実施に係る業務に携わる者等に例示することにより,被験者の安全性を確保するためのものである.

なお本ガイダンスにおけるヒト初回投与試験とは, 臨床試験の一般指針(ICH E8)でいう,いわゆる第I相試験のうち世界で初めてわが国で行われる新有効成分に関わる試験である.

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■



日本でも最近、ファースト イン ヒューマン試験を実施しようとしている大学病院が増えてきました。

世界で最初にヒトに投与する治験(フェーズ1の初回投与)ですね。

そんな場合、このガイドラインを守る必要があります。



■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

一般に,事前に得られた類似医薬品及び被験薬に関する科学的知見から被験薬のリスク要因が特定される.

しかしながら,被験薬の標的がヒトにおいてより特異的であるという性質や他の要因により,非臨床試験からは必ずしも安全性に関する十分な情報が得られないこともある.

健康人あるいは患者でのヒト初回投与試験の際には,多数の情報源を基に,初回投与量の設定法,それに続く用量漸増法,投与間隔,リスク管理方法を含む,ヒト初回投与試験計画を定める必要がある.

なお,ヒト初回投与試験においてリスクを増大させる可能性のある被験薬の品質についても配慮すべきである.

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


全く新規の化合物を使う治験の場合は、非臨床試験の結果が全て、ということになります。

さらに、「被験薬の品質」についても注意を払うよう求めています。(詳細は後述)

不純物が含まれていたら困りますからね。

新規化合物のしっかりとした品質が大事です。


posted by ホーライ at 07:10| Comment(0) | TrackBack(0) | ヒトに初めて投与する治験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。