ICHのガイドラインで「 小児集団における医薬品の臨床試験に関するガイダンス 」というのが下記にあります。
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http://www.pmda.go.jp/ich/efficacy.htm
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http://www.pmda.go.jp/ich/e/e11_00_12_15.pdf
以下、ICHのガイドラインから重要な個所を抜粋します。
2.4.1 薬物動態
一般に薬物動態試験は,製剤開発のため及び異なった年齢群において推奨用量を裏付けることを目的とした薬物動態パラメータを決めるために実施されなければならない。
小児用製剤と成人用経口製剤の相対的バイオアベイラビリティーの比較試験は,通常,成人で行なわれるべきである。
当該医薬品が使用される小児患者の各年齢層への用量を設定するためには小児における詳細な薬物動態試験を実施すべきである。
小児集団における薬物動態試験は,一般にその疾患を有する患者で行われるべきである。
このような場合、健常小児で行うよりも個体間変動が大きくなる可能性もあるが,集積されたデータは実際の臨床における使用状態をよく反映させることになるであろう。
成人において薬物動態が線形を示す医薬品では,小児集団における単回投与の薬物動態試験を行なうことで,用量設定のための十分な情報を得ることができるであろう。
このことは反復投与試験において少数回のサンプリングを行うことによって確認できる。
成人での薬物動態(吸収,分布,排泄)が非線形である場合や,成人における単回投与と反復投与の間で効果持続時間に差が見られる場合,小児患者での定常状態における試験の必要性が示唆されるであろう。
これら方法の全ては,成人の薬物動態学的パラメータに関する情報を得ることで,より容易になる。
医薬品のクリアランス経路(腎排泄及び代謝)に関する知識と,年齢に伴うこれらクリアランス経路の変化に対する理解は,小児試験計画の立案に際し有用であることが多い。
小児集団で使用されるほとんどの医薬品に対する推奨用量は,通常,最大成人用量を最高値としたmg/kg で表す体重換算に基づいている。
一方mg/m2で表す体表面積換算に基づく用量のほうが望ましい場合もあるが,身長もしくは体長の測定誤差(特に年少の小児及び幼児)と,体重と身長から求めた体表面積の計算誤差が頻繁に生じることが臨床経験から示されている。
体表面積換算による用量が必要である医薬品(例えば,悪性腫瘍に使用される医薬品など治療域の狭いもの)に対しては,適切な用量換算を確実にするために特別な注意を払うべきである。
●薬物動態試験を実施しやすくする上での実際的な考察
小児の臨床試験では,採血量を最小限にする必要がある。
適切な採血量を治験実施計画書に規定すべきである。
治験審査委員会(IRB)や独立倫理委員会(IEC)が試験目的で採取される血液の最大量(通常はmL/kg あるいは全身血液量のパーセンテージに基づく)を規定してもよい。
採血量や穿刺回数を最少にするために幾つかの手法が利用できる。
・1試料当りに要する血液量を少なくするために,未変化体や代謝物に対して感度の高い分析方法の利用
・薬物動態解析及び安全性試験のための臨床検査(血算,血液生化学)について,少量の血液の取扱いに慣れた臨床検査機関の利用
・薬物動態解析用サンプルの採血において,可能な限りの通常の臨床検査用血液と同時に採取すること
・2.6.5で述べるような苦痛を最小限にするための留置カテーテルの使用等
・各患者からのサンプリングを最少にするポピュレーションファーマコキネティクスや最適サンプリング理論(Optimal Sampling Theory)に基づいた少数サンプリングの利用
これには次のような方法がある。
・母集団のAUC が求められるように予め設定された時刻でのサンプリングを各患者から2から4回実施する少数サンプリング法。
・成人データのモデル解析から最も有効なサンプリング時刻を設定して行うポピュレーションファーマコキネティクス解析
2.4.2 有効性
ICH E6,E9及びE10に詳述された試験デザイン,統計的原則及び対照薬の選定に関する原則が一般的には小児の有効性試験にも適用される。
しかし,小児試験には特有の問題がある。
成人の試験から小児患者へ,あるいは年長の小児患者から年少の小児患者への有効性の外挿可能性が2.4に記述されている。
有効性に関する試験が必要な場合,特定の年齢及び発育段階のサブグループに対する異なるエンドポイントを明らかにし,その妥当性を検証し,採用することが必要なことがある。
痛みのような自覚症状の測定では,異なる年齢の患者には異なる評価方法が必要である。
慢性疾患を有する小児患者においては,罹病期間や長期効果だけでなく患者の発達段階に応じてにより,当該医薬品に対する反応が変化するであろう。
早産児及び正期新生児で見られる多くの疾患は,これらの集団に特有であったり,あるいは特有な病態を示すため,年長の小児患者からの有効性の外挿は不可能であり,結果評価のための新しい方法が必要である。
2.4.3 安全性
有害事象報告について記述しているICH E2及びICH E6のICH ガイドラインは小児試験にも適用される。
有害事象の報告には,年齢に適した臨床検査の正常値及びバイタルサインの正常値を用いるべきである。
医薬品による意図しない曝露(偶発的な摂取等)により,安全性及び薬物動態に関する情報や投与量に関連した副作用について十分な理解が得られることもある。
医薬品は,身体的・知的成長及び発達に影響を与える可能性があり,また有害事象の全体像も小児患者においては異なるであろう。
発達中の身体は,成熟した成人の器官とは異なった反応を示す可能性があるので,小児患者で発生する有害事象や薬物相互作用の中には成人の試験では見られないものもある。
さらに,成長と発達の活動的過程では有害事象がすぐには現れず,成長と成熟の後期に発現する可能性がある。
骨格,行動,知能,性及び免疫の成熟と発達への影響についてその可能性を判定するには,患者が長期治療を受けている間,又は治療後の期間において長期試験や調査データが必要であろう。
2.6 小児試験の倫理的問題
小児集団は脆弱なサブグループである。
したがって,小児被験者の権利を守り,過度の危険から保護する特別な配慮が必要である。
この項の目的は,小児試験が倫理的に実施されるための枠組みを示すことである。
臨床試験に参加した小児のみならず,その他の小児集団にも有益であるために,臨床試験はその質や得られた結果の解釈が保証されるように適切に計画されなければならない。
さらに臨床試験の参加者は,ICH E6(GCP4.8.14)で述べられている極めて特別な場合を除き,当該試験から便益が得られることが期待される。
2.6.1 治験審査委員会/独立倫理委員会(IRB/IEC)
ICH E6で詳述されているIRB/IEC の役割と責務は,被験者保護の立場から重要である。
小児集団が参加する実施計画書が審議される際には,小児の倫理,臨床及び心理社会的な問題について精通しているIRB/IEC メンバー又はIRB/IEC から依頼された専門家が出席すべきである。
2.6.2 被験者の募集
被験者の募集は,(両)親,法的保護者あるいは被験者に不適切な報酬を与えない方法で行われるべきである。
小児の臨床試験において,負担軽減費用が支払われることは認められるであろう。
これらについては,いかなるものもIRB/IEC において審議されるべきである。
小児集団で試験が実施される場合,被験者が限定されることに対して妥当な理由がない限り,その国及び試験の対象疾患について人口統計学的に代表される構成員において試験がなされるべきである。
2.6.3 インフォームドコンセント及びインフォームドアセント(両親/法的保護者及び小児被験者からの同意)
原則として,小児の被験者から法的に定められた同意を得ることは出来ない。
それゆえ被験者が,臨床試験に参加することに対して両親もしくは法的保護者が責任を負うことを前提にしている。
十分なインフォームドコンセントは各国の法律や規則に従って法的な保護者から得られるべきである。
全ての被験者は,彼らが理解できる言葉や用語で臨床試験について可能な限り十分な説明を受けるべきである。
もし適切と考えられるのであれば,被験者から臨床試験に参加するための,アセント(法的規制を受けない小児被験者からの同意)を取得すべきである(年齢はIRB/IEC や適合する国の法的要求により決定される)。
治験への参加を理解できる知的レベルにある被験者は両親/法的保護者とは別に作成されたアセント文書あるいはコンセント文書に本人が署名,年月日を記入すべきである。
すべての場合において被験者本人は,試験の参加を拒否する又は試験からいつでも辞退できる権利について知らされるべきである。
苦痛を明確な言葉で表現できない患者においては彼らが過度の苦痛を感じている様子がないか注意を払うべきである。
臨床試験から離脱する本人の希望は尊重されなければならないが,重篤あるいは生命を脅かす疾患を対象とした治療目的の試験の中には,治験責任医師や(両)親,法的保護者の立場から考えて,試験に参加しないことが小児患者の福祉を危うくするような状況がありうる。
このような場合,小児患者の臨床試験への参加に際しては,両親(法的保護者)から適切なインフォームドコンセントを継続的に取得すべきである。
親権から開放された又は成熟した未成年からは自主的なインフォームドコンセントを得ることが可能である。
同意取得可能な集団で得られる情報をより脆弱な集団又は本人の同意が得られない集団から得るべきではない。
障害者又は施設に入っている小児での臨床試験は,こうした集団に主として見られる特有の疾患や病態を対象とする場合,あるいはこれら小児患者の状態により医薬品の体内動態又は薬力学効果が変化することが予想される場合に限られるべきである。
どうです?
いかがでしたか?
確かに小児の治験は課題が多いし、実践が難しい。
でも、「少子高齢化」であればあるほど、「子どもは宝」です!!
小児には小児の薬を! ね?
でないと、日本が亡びます。