今週も来週も『日本版NIH(その4)』その2です。
久々ですね、日本版NIH(とは呼ばないそうですが。)
詳細は下記のサイトをご覧ください。
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http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/
上記のページの平成26年 3月31日 「第6回 健康・医療戦略参与会合」を見ます。
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http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/sanyokaigou/dai6/gijisidai.html
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次の資料を読んでみましょう。
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医療分野の研究開発に関する専門調査会報告書
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医療分野の研究開発に関する総合戦略(報告書)平成26年1月22日
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/sanyokaigou/dai6/siryou5.pdf
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●●● 4.総合戦略の位置づけ ●●
本戦略の役割は、前述の日本再興戦略における重点化すべき研究分野とその目標を策定するとともに、新たな研究開発体制を構築することである。
また、各省に計上されている本戦略の実施のために必要な医療分野の研究開発関連予算を一元化することにより、研究支援と司令塔機能に必要な予算を確保し、戦略的・重点的な予算配分を行うものである。
さらに、本戦略に基づき、「研究テーマの策定」、「研究の進捗管理」、「事後評価」「新たな研究目標の策定」など、国として戦略的に行うべき実用化のための研究を基礎段階から応用段階まで一貫して支援するものとする。
そのために基礎・臨床研究・創薬及び医療機器開発などの豊富な経験を有し、各研究制度や運用について総括するプログラムディレクター(PD)、各制度の個々のプログラムや研究分野で課題の選定、評価、フォローアップ等の実務を行う研究開発の経験のあるプログラムオフィサー(PO)等の適切な配置をするなど、本戦略を実行するための中核機能を果たす独立行政法人を設置する。
このことから本戦略は、今後の医療分野の研究開発に関する設計図ともいうべき大きな方向性を示すものである。
本戦略は、近年の科学技術の急速な進展や、医療現場と医療産業のニーズの変化にも機動的に対応できるものとする。
すなわち今後5年、10年乃至20年後における医療現場と医療研究開発及び関連産業等に関して期待される具体的将来像を描き、当面、今後5年間に国として研究開発において取り組むべき課題に関する戦略を策定する。
策定後は、新たな医療分野の研究開発の進捗等を踏まえ、必要に応じ適宜見直すとともに、新たな重要課題に取り組むこととする。
(1)基礎研究の抱える課題
近年、中国や韓国等の新興国においても基礎研究への取組が強化され、日米欧を急速に追い上げてきているなど、基礎生命科学や臨床医学分野での日本の論文の国際競争力は相対的に低下傾向にあるものの、我が国の基礎研究力は国際的にも依然高い競争力を保っている(*3)。
*3:基礎生命科学、臨床医学分野の国・地域別論文数比較
(科学技術政策研究所 調査資料204 科学研究のベンチマーキング2011)
基礎生命科学分野 論文数 トップ10%補正論文数
1998年-2000年 世界第2位 世界第4位
2008年-2010年 世界第5位 世界第7位
臨床医学分野 論文数 トップ10%補正論文数
1998年-2000年 世界第4位 世界第4位
2008年-2010年 世界第4位 世界第9位
従来は基礎研究に携わる研究者自身の開発への興味や、製薬会社における研究開発過程で見出された知見に基づいて、製品開発に至ったケースが多く、個人の見識に強く依存していた。
本戦略はこうした基礎研究力を更に充実強化し、その結果を展開する研究を促進するものであるが、この点、これまで、多くの基礎研究が論文発表で留まり、疾患の病態解明や病態に基づく創薬あるいは医療機器の開発・実用化に展開する研究は、一部先駆的な事業が実施されてはいたが、全体としては必ずしも活発ではなかった。
これは研究者の社会還元の志向性が強くなかったことに加え、これを推進する研究費や支援体制が十分ではなかったこと、さらには、成果の中から実用化につながる有望シーズを見出し、これを育成する体制や目利きが不足していたことなど、組織的なマネジメントがなされていなかったことによると考量される。
(2)臨床研究の抱える課題
我が国の臨床研究については、国際的にみていまだに課題が多く、そのため、製薬企業の治験を海外機関で実施する傾向のあることは否めない。
これは、治験や臨床研究における倫理規定、データマネージメント、安全性、品質保証などに関する国際基準がより厳格化されるなかで、我が国の対応が遅れたことが一因となっている。
治験や臨床研究においては厳密なデータ管理や各種規制への対応を行わなければならないこと、さらに、医薬品や医療機器の有効性が生命予後や心臓発作、脳卒中などの低い頻度ながらも重大な事象を指標とされるようになったことが、臨床研究の大規模化と長期化に拍車をかけた。
その結果、多くの研究費と強力な研究支援体制なしに治験や臨床研究を行うことがきわめて困難となった。
大学病院では疾患の病態研究については多くの国際的実績を挙げてきたが、研究体制の不備や人材不足等により、臨床研究や臨床試験等は十分に行われてこなかった。
国立高度専門医療研究センター(以下、「ナショナルセンター」と記載)においては、特定の疾患群の治療を対象とした病院と治療技術の実用化に軸足をおいた研究所を併設しているという特長を活かして治験・臨床研究を実施し、一定の成果を挙げてきたが、企業との連携による創薬及び医療機器開発において貢献してきたとは必ずしもいえない。
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(参考)
国立高度専門医療研究センターは、6法人(独立行政法人国立がん研究センター、独立行政法人国立循環器病研究センター、独立行政法人国立精神・神経医療研究センター、独立行政法人国立国際医療研究センター、独立行政法人国立成育医療研究センター、独立行政法人国立長寿医療研究センター)の総称である。
各法人は、国民の健康に重大な影響のある特定の疾患等に係る医療に関して、調査、研究及び技術の開発並びにこれらの業務に密接に関連する医療の提供、技術者の研修等を行うことを目的とする。
2010年4月施行の「高度専門医療に関する研究等を行う独立行政法人に関する法律」により、厚生労働省の施設等機関であった国立高度専門医療センター(略称:ナショナルセンター、NC)の各組織が独立行政法人に移行したものである。
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このため、症例集積性の向上、治験・臨床研究手続きの効率化、研究者・専門家の育成・確保、治験・臨床研究の情報公開、治験にかかるコスト・スピード・質の適正化に関して、より一層の強化が求められる。
(次週へ続く)