2013年01月16日

「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」のガイダンスについて(2)「ガイダンス」の意味合い

今回のGCP運用通知からガイダンスへの変更は何を意味をしているのでしょうか?
   ↓
「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」のガイダンスについて」(平成24年12月28日:薬食審査発1228第7号)です。
   ↓
http://www.jmacct.med.or.jp/plan/files/gcp121228_1.pdf


昔、ある「新薬臨床評価ガイドライン」に評価項目の事例として数値が記載されていた(例:0.3〜0.5程度)のだが、治験依頼者がその数値に縛られて、新薬の開発に支障をきたしたことがあった。

そこで当局は、そのガイドラインから数値を削除した。

すると、今度は別の治験依頼者から「ある程度、目安となる数値を記載してもらわないと困る」と言われて、当局も困った、という笑える実話があった。


今回の「運用通知」から「ガイダンス」に名前を変えたのは、ある有力医師が「運用通知」は「あくまでもガイダンスであることを確認したい」という発言から、ことが始まっている。

「ガイダンス」とは何か?

日本語に訳すると「手引き」みたいな感じでしょうかね。

だから、今回のガイダンスの表紙にも次のように記載されている。
  ↓
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なお、GCP省令の規定に合致し、被験者の人権の保護、安全の保持及び福祉の向上が図られ、治験の科学的な質及び試験の成績の信頼性が確保されるのであれば、本ガイダンス以外の適切な運用により治験を実施することができます。

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基本は「GCP省令」なのだ。

そこを押さえておけば、このガイダンスに縛られることなく、より良い方法があれば、それでもいいということ。

では、誰が「より良い方法」と判断するのか?

それは、そのアイデアを実施する治験依頼者であり、治験実施医療機関の人であり、治験責任医師等だ。

私たちが、「この方が、科学的な質及び成績に信頼性を確保できるし、被験者の人権や安全等も確保できる」と確信できるなら、ガイダンスに縛られることなく、新しいアイデア、方法で自分たちの責任のもと治験をやればいい。

自由裁量の余地が増えるということは、それだけ責任が増える、ということだ。



ただ、しばらくは医療機関側は困るだろうね。

今回のGCP省令の改正、ガイダンスの変更に限らず、規則が変わると毎回、治験依頼者ごとに解釈に差があり、だから、医療機関に求めることが治験依頼者ごとに違ってくる、という事態が続く。

こうなると、医療機関は悲鳴をあげるよね。

統一してほしい!と。

治験依頼者ごとに言うことが違う!と。


でも、逆もあるんだけれどね。

医療機関ごとに「提出する書類」が異なるので、治験依頼者側も「統一して欲しい!」となる。

それで「統一書式」ができたわけだけど。


とにかく、「自分でよく考える」ことだ。

たとえば、「押印」が不要になった書類に、医療機関が自主的に「シャチハタ」で押印したら、「シャチハタではだめです」なんていうアホなことは言わないようにしようね。

そもそも「押印」が不要の書類なんだから、その書類に押印されているのが「シャチハタ」でも「実印」でも「三文判」でも「署名」でもいいわけですよ。


とにかく「よ〜〜〜く、考えよう!」ね。



「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」のガイダンスについて」(平成24年12月28日:薬食審査発1228第7号)
   ↓
http://www.jmacct.med.or.jp/plan/files/gcp121228_1.pdf

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2013年01月12日

「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」のガイダンスについて(1)主な変更点

今週はいわゆる「GCP運用通知」の改正を見ていきます。

今回の改正で最も大きなポイントは、その通知のタイトルですね。

「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」のガイダンスについて」(平成24年12月28日:薬食審査発1228第7号)です。
   ↓
http://www.jmacct.med.or.jp/plan/files/gcp121228_1.pdf



(ちなみに上記のリンクは日本医師会の治験促進センターにアップされている通知にリンクしています。重宝するなぁ、日本医師会の治験促進センターって。すごく治験の促進(特に医

師主導型の治験の促進に大きく貢献していると思う。)



今回の通知から「ガイダンス」であることを前面に打ち出しています。

その表紙にはこう記載されています。
  ↓
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なお、GCP省令の規定に合致し、被験者の人権の保護、安全の保持及び福祉の向上が図られ、治験の科学的な質及び試験の成績の信頼性が確保されるのであれば、本ガイダンス以外の

適切な運用により治験を実施することができます。


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条件付きですが「本ガイダンス以外の適切な運用」で治験を実施することも可能であることを明記しています。

とは言ってもね、実質、まずは、このガイダンスが基本に動くとは思います。

しかし、その後、時間が経つと画期的なアイデアが出てきて、「良い方向」で治験が効率的に運用される可能性もあるわけです。

逆に、パワーのある治験依頼者(製薬会社)の勝手な解釈で、今以上に、複雑になる可能性もあります。

どうか、前者であることを願って止みません。


なお、蛇足ながら、念のために言うと上記のガイダンス(通知)を見ると四角い枠で囲んであるところは「GCP省令」ですので、これは動かしようがありません。

その枠外に記載されている部分が「ガイダンス」なので、ここが変更可能ということですね。





さて、今回のGCP運用通知の改正で「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」のガイダンスについて」となってからの主な変更点は上記のPDFファイルの2ページ目に下記のように

記載されています。
  ↓
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●旧運用通知からの主な改正点


1.多施設共同治験を実施する場合、自ら治験を実施しようとする者及び自ら治験を実施する者として、治験責任医師だけでなく、代表して治験の計画を届け出ようとする治験調整医師

及び届け出た治験調整医師も含めることとした。(医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成9年厚生省令第28号。(以下「GCP省令」という。)第2条第22項、第23項)


2.治験の依頼(実施の準備)及び管理に係る業務を委託することができる範囲を「全部又は一部」とした。(GCP省令第2条、第7条第1項、第12条第1項、第13条第1項及び第2

項、第14条、第15条の4第1項、第15条の8第1項、第15条の9、第29条)


3.治験の契約に当たって文書に記載する必要がある事項のうち、治験責任医師の職名、治験分担医師の氏名及び職名、目標とする被験者数の記載を不要とした。(GCP省令第13条第

1項)


4.治験の文書による契約について、電磁的方法により締結する場合にあっては、実施医療機関の長ではなく実施医療機関の承諾が得られれば良いこととした。(GCP省令第13条第2

項)


5.治験薬の管理に関する手順書については、実施医療機関の長ではなく実施医療機関に交付すれば良いこととした。(GCP省令第16条第6項、第26条の2第6項)


6.治験依頼者は、被験薬の副作用によるものと疑われる疾病等の副作用等症例について、初めて治験の計画を届け出た日等から起算して1年ごとに、その期間の満了後3月以内に治験

責任医師及び実施医療機関の長に届け出ることとした。(GCP省令第20条第2項)


7.製造販売後臨床試験の際、製造販売後臨床試験依頼者が製造販売後臨床試験責任医師と実施医療機関に通知している重篤ではない副作用等報告(薬事法施行規則第253条第1 項第3号

に規定するもの)は不要とした。(GCP省令第56条)


8.臨床研究中核病院等が他の実施医療機関とネットワークを形成した場合、共同で事務局を設置し、治験の契約を行うことができることとした。(GCP省令第13条、第38条)


9.あらかじめ、治験依頼者等、治験審査委員会等及び実施医療機関の長の合意が得られている場合は、副作用に関する通知に限り、治験依頼者等は治験審査委員会等に直接通知するこ

とができることとした。(GCP省令第20条第2項及び第3項、第26条の6第2項、第32条第3項、第40条第1項)


10.実施医療機関の長は、了承した治験分担医師及び治験協力者のリストの写しを保存しなくてもよいこととした。(GCP省令第36条、第43条第1項)


11.記名押印又は署名することが規定されていない文書については、規定された内容が記
載されている場合にあっては正本と写しの区別は不要とした。(GCP省令第13条第2項、第32条、第36条)


12.その他の記載整備


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こういう箇所を読むときの注意点は必ず「本文」をあたる、ということです。

たとえば上記の変更点の3のうしろに(GCP省令第13条第1項)と記載されていますね?

そしたら、必ず、その(GCP省令第13条第1項)のガイダンス部分を確認しましょう。

上記の表紙のところだけ読んで分かったつもりにならずに、必ず、該当の場所を読んで、どのように記載されているかを見ます。

そうすると、上記の文面から自分が理解したこととは違うことを発見します。

たとえば、僕は上記の「9.あらかじめ、治験依頼者等、治験審査委員会等及び実施医療機関の長の合意が得られている場合は、副作用に関する通知に限り、治験依頼者等は治験審査委

員会等に直接通知することができることとした。(GCP省令第20条第2項及び第3項、第26条の6第2項、第32条第3項、第40条第1項)」を読んで、「あぁ、なるほど、副作用情報

はIRBに直接通知すればいいんだ。医療機関の長には不要なのね」と思ったのですが、実際のガイダンスは以下のとおりです。

  ↓
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4 あらかじめ、治験依頼者、治験審査委員会等及び実施医療機関の長の合意が得られている場合においては、第20条第2項及び第3項に関する通知に限り、治験依頼者は、治験責任医師

及び実施医療機関の長に加えて治験審査委員会等にも同時に通知することができる。
また、この場合においては、第40条第1項の規定に基づき実施医療機関の長が治験審査委員会等に文書により通知したものとみなす。


(PDFで言うと53頁。画像に出ている頁で言うと47頁目。)

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おお!「治験責任医師及び実施医療機関の長に『加えて』治験審査委員会等にも同時に通知することができる。」なんだ! ですね。

IRBに通知すれば病院長には「不要」ではなくて、病院長に「加えて」IRBに通知することができる、という記載なんですね。


そういうことで、必ず、本文をあたりましょう。



さて、上記の「●旧運用通知からの主な改正点」の最後に、ちらっと「12.その他の記載整備」とあります。

これが、実は「くせもの」なんですね。

丹念にガイダンスを読むと、「あら?こんなことも書かれている!」というのが意外とあります。(それも、結構、興味深いものが。)


今日はそれらをピックアップしたいと思います。(僕が興味を持ったところだけですので、これが全てではありません。なので、必ず「自分」で「全文」を読みましょう!)



とりあえず、僕が興味を持った順番に紹介します。

まずは、「サンプリングSDV」について、です。

ガイダンスのPDFで言うと54頁目(表示されている頁で言うと48頁目)にはこう記載されています。
  ↓
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5.

(前略)

臨床研究中核病院等が当該実施医療機関及びその他の施設において治験の実施(データの信頼性保証を含む。)を適切に管理することができる場合においては、必ずしもすべての治験デ

ータ等について原資料との照合等の実施を求めるものではないこと。

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上記のように「すべての治験データ等について原資料との照合等の実施を求めるものではない」ということです。

つまり100%のSDVを求めるものではない、つまり、サンプリングSDVでもいいですよ、と記載されています。

ただし、もちろん、条件付きですね。

「治験の実施(データの信頼性保証を含む。)を適切に管理することができる場合において」はいいですよ、ということです。


これで、保守的な治験依頼者も胸を張って(別に張らなくていいですが)、サンプリングSDVを実施できます。

でも、だからと言って、「当局がいいと言ったからサンプリングSDVをやった。でも、実際にはデータはボロボロでした」という言い訳は通じません。

治験依頼者が自らの判断と責任で、やるべきですね。(言うまでも無く。)

サンプリングSDVの実施が可能な条件として、まずは、そのもととなる(病院で発生する)データの信頼性とCRFへの反映がシステマティックに管理されている、ということがあります。

「グダグダ」なもとでサンプリングSDVを行って、最終的に困るのは治験依頼者ですので、しっかりとそこは見ていきましょう。






ガイダンスの思わぬ追加事項をさらに見ていきましょう。

「治験の契約」関係で言うとまずは「●旧運用通知からの主な改正点」にもあるとおり、「ネットワークの事務局が治験の契約を支援する業務」を行ってもよいということが、PDFの30

頁目に記載されています。
  ↓
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実施医療機関と治験の依頼をしようとする者との契約を支援する業務に関しては、臨床研究中核病院等のネットワークの事務局等、当該実施医療機関以外の者が行っても差し支えない。

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「改正点」に記載されていませんが、同じく「契約書」に関しては、PDFの29頁目に次のように記載されています。
  ↓
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契約書には、次に掲げる事項が含まれていること。

なお、これら事項については、必ずしも一の契約書にすべて含まれていなくても差し支えない。(例えば、複数の治験に共通する事項等に関する基本的な契約書と、各治験の個別事項等

に関する契約書を、別個に作成・締結することでも差し支えない。)

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上記のとおり「包括的な契約」を結んでおいて、個別の事項は別に契約書を作る、ということも可能なんですね。

ついでに「契約者」は「院長」ではなく「院長が指名した者」でもよいとなっています。(PDFの29頁目)




さらに、「契約書」関係です。(PDFの31頁目)
  ↓
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第12号「治験の費用に関する事項」には、費用算定が可能な内容を記載することで差し支えない。

なお、本項の記載に基づく治験の費用の支払いは、治験の実績に応じた適正なものであること。

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上記の文章は以前の運用通知に無かったものです。

注目すべきは「験の費用の支払いは、治験の実績に応じた適正なものであること」です。

「出来高払い」にしましょうね、ということですね。

「前納制で返却無し」は止めましょうね。

(しかしなぁ、僕が現役のモニターだった頃、国立系の病院はほとんどが「前納制で返却無し」で、「出来高」はできない、いったん、国に入ったお金は返せません!と言い張られたも

のですけれどね。 ・・・・やればできるじゃん! ですね。)




IRBに提出する書類で興味深いのはPDFの99頁目の次の文書です。
  ↓
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(6)その他治験審査委員会が必要と認める資料(企業との連携がある場合、利益相反に関する資料等)。

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「利益相反」は最近はうるさくなりましたからね。

場合によっては、「利益相反」に関する資料をIRBから要求される、ということです。

どんな資料を作ればいいんだろう?

参考になるかどうか分かりませんが、下記のようなものがあります。

「厚生労働科学研究における利益相反(Conflict of Interest:COI)の管理に関する指針」
  ↓
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/kenkyujigyou/i-kenkyu/index.html






さて、あとは、ガイダンスのページの順番に気づいた点を記載します。(繰り返しますが、あくまでも僕の興味の範囲内のことしか記載しませんので、これが全てではありません。)


今までのGCP運用通知からの変更点、追加事項です。



●●●PDFの10頁目(治験調整委員会を構成する人)●●●
 ↓
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(前略)

なお、治験協力者等も治験調整委員会を構成する委員となることは可能である。

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「治験協力者」も「治験調整委員会を構成する委員」になれるのですね。

ところで「治験調整委員会を構成する委員」とは、どんな委員なのでしょう?

治験協力者が「薬剤師」の場合、当然、「治験調整医師」にはなれませんね、医師ではないのですから。

なので、治験調整医師ではないけれど、多施設共同治験で、治験の調整を行う委員にはなれる、ということなのでしょうか。(詳細は僕は分かりません。)





●●●PDFの13頁目(副作用と判断する際の参考ポイント)●●●
 ↓
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(10)「副作用」とは、

(前略)

因果関係の判定を行う際には、投与中止後の消失、投与再開後の再発、既に当該被験薬又は類薬において因果関係が確立、交絡するリスク因子がない、曝露量・曝露期間との整合性があ

る、正確な既往歴の裏付けにより被験薬の関与がほぼ間違いなく説明可能、併用治療が原因である合理的な可能性がみられない等を参考にすることができる。

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●●●PDFの15頁目(検査機器の精度管理について)●●●
 ↓
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(前略)

なお、確認すべき検査の範囲や具体的な確認方法は、各検査データの当該治験における位置づけ(主要評価項目であるかどうか等)を考慮し、治験依頼者と実施医療機関との間で取り決

めること。

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●●●PDFの19頁目(治験実施計画書に監査担当者の氏名等の記載が不要となった)●●●
 ↓
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(前略)

ただし、監査担当者の氏名、職名、電話番号等は記載しなくても差し支えない。

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●●●PDFの26頁目(医療機関の長へ提出する資料の一体化)●●●
 ↓
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2 本条各号に規定する文書は、必ずしも個別の作成を求めるものではなく、記載すべき内容が確認できる場合にあっては、複数の文書を1つにまとめることが可能であること。


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●●●PDFの27頁目(CROは治験届及び副作用報告を提出する行為を受託できない)●●●
 ↓
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(前略)

治験計画の届出及び規制当局への副作用等の報告については、当該業務を、開発業務受託機関に委託することはできない。


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●●●PDFの29頁目(CROと医療機関の二者契約)●●●
 ↓
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(前略)

なお、治験依頼者による治験の準備及び管理に関する業務、実施医療機関における治験の実施に関する業務が円滑に実施できる場合にあっては、治験の依頼をしようとする者、開発業務

受託機関及び実施医療機関の三者で合意の上、開発業務受託機関及び実施医療機関の二者の契約としても差し支えない。

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●●●PDFの33頁目(治験国内管理人の責務)●●●
 ↓
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1 本邦内に住所を有しない治験の依頼をしようとする者に選任された治験国内管理人は、治験の依頼の基準に従い、本邦内における治験の依頼に係る一切の手続を行うとともに、厚生労

働大臣に治験の計画の届出等を行うこと。

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●●●PDFの48頁目(治験薬での英語表記)●●●
 ↓
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(前略)

欧米等で承認のある未承認薬を用いたブリッジング試験等の場合であって、治験実施計画書にその旨を記載し、治験審査委員会の承認を得たものについては、英文で記載することで差し

支えない。

(中略)

また、国際共同治験又は欧米等で承認のある未承認薬を治験薬として用いる試験等の場合であって、英文等で販売名等が記載されているものを治験薬として用いるときは、実施医療機関

において適切に管理がなされるための必要な措置を講じておくこと。

■■■■■■■■■■■■■■


上記で注目すべき点は「欧米等で承認のある未承認薬を用いたブリッジング試験等の場合であって」という点です。

さらに「国際共同治験又は欧米等で承認のある未承認薬を治験薬として用いる試験等の場合であって」

こういう場合もあり得る(認められている)といことですね。

国内では未承認で、外国では承認されているものを治験薬として試験をしてもよい、ということです。(これは以前からも言われていましたが、その点を明記し、さらに注意を促してい

ます。)






●●●PDFの101〜102頁目(副作用情報をIRBが審査して、その結果を通知できる相手)●●●
 ↓
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4 治験依頼者による治験においては、あらかじめ、治験依頼者、治験審査委員会等及び実施医療機関の長の合意が得られている場合には、第20条第2項及び第3項に関する治験を継続し

て行うことの適否についての意見に限り、治験審査委員会等は、実施医療機関の長に加えて治験責任医師及び治験依頼者にも同時に文書により意見を述べることができる。

この場合、本条第6項の規定に基づき、治験審査委員会等の意見を実施医療機関の長が治験依頼者及び治験責任医師に文書により通知したものとみなす。

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●●●PDFの110頁目(ネットワークの治験事務局設置は可能)●●●
 ↓
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(中略)

なお、臨床研究中核病院等が他の実施医療機関とネットワークを形成する場合においては、複数の実施医療機関の長が共同で治験事務局を設置して差し支えないが、その責任は各実施医

療機関の長が負うこと。

■■■■■■■■■■■■■■






●●●PDFの117頁目(治験協力者と治験分担医師を追加する場合)●●●
 ↓
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(前略)

実施医療機関の長の了承を受けた時点から業務を分担して差し支えないが、治験分担医師については治験審査委員会による審査が必要となること。


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以上が、ざっと「GCPのガイダンス」を読んで、僕が気づいた(興味を引いた)点です。



「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」のガイダンスについて」(平成24年12月28日:薬食審査発1228第7号)
   ↓
http://www.jmacct.med.or.jp/plan/files/gcp121228_1.pdf


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2013年01月10日

GCP運用通知の改正!●GCP改正で何が変わる?5(治験の効率化を目指して)


■■■■■■■■■■  必見!!!  ■■■■■■■■■■
         ↓
「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」のガイダンスについて(平成24年12月28日:薬食審査発1228第7号)
         ↓
http://www.jmacct.med.or.jp/plan/files/gcp121228_1.pdf

いわゆる「GCP運用通知」の改正ですね。

今度から、「ガイダンス」と名前が変わるようです。

●●●上記の通知より●●●

旧運用通知からの主な改正点

1.多施設共同治験を実施する場合、自ら治験を実施しようとする者及び自ら治験を実施する者として、治験責任医師だけでなく、代表して治験の計画を届け出ようとする治験調整医師及び届け出た治験調整医師も含めることとした。(医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成9年厚生省令第28号。(以下「GCP省令」という。)第2条第22項、第23項)

2.治験の依頼(実施の準備)及び管理に係る業務を委託することができる範囲を「全部又は一部」とした。(GCP省令第2条、第7条第1項、第12条第1項、第13条第1項及び第2項、第14条、第15条の4第1項、第15条の8第1項、第15条の9、第29条)

3.治験の契約に当たって文書に記載する必要がある事項のうち、治験責任医師の職名、治験分担医師の氏名及び職名、目標とする被験者数の記載を不要とした。(GCP省令第13条第1項)

4.治験の文書による契約について、電磁的方法により締結する場合にあっては、実施医療機関の長ではなく実施医療機関の承諾が得られれば良いこととした。(GCP省令第13条第2項)

5.治験薬の管理に関する手順書については、実施医療機関の長ではなく実施医療機関に交付すれば良いこととした。(GCP省令第16条第6項、第26条の2第6項)

6.治験依頼者は、被験薬の副作用によるものと疑われる疾病等の副作用等症例について、初めて治験の計画を届け出た日等から起算して1年ごとに、その期間の満了後3月以内に治験責任医師及び実施医療機関の長に届け出ることとした。(GCP省令第20条第2項)

7.製造販売後臨床試験の際、製造販売後臨床試験依頼者が製造販売後臨床試験責任医師と実施医療機関に通知している重篤ではない副作用等報告(薬事法施行規則第253条第1 項第3号に規定するもの)は不要とした。(GCP省令第56条)

8.臨床研究中核病院等が他の実施医療機関とネットワークを形成した場合、共同で事務局を設置し、治験の契約を行うことができることとした。(GCP省令第13条、第38条)

9.あらかじめ、治験依頼者等、治験審査委員会等及び実施医療機関の長の合意が得られている場合は、副作用に関する通知に限り、治験依頼者等は治験審査委員会等に直接通知することができることとした。(GCP省令第20条第2項及び第3項、第26条の6第2項、第32条第3項、第40条第1項)

10.実施医療機関の長は、了承した治験分担医師及び治験協力者のリストの写しを保存しなくてもよいこととした。(GCP省令第36条、第43条第1項)

11.記名押印又は署名することが規定されていない文書については、規定された内容が記
載されている場合にあっては正本と写しの区別は不要とした。(GCP省令第13条第2項、第32条、第36条)

12.その他の記載整備



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         ↓
治験の依頼をしようとする者による薬物に係る治験の計画の届出等に関する取扱いについて(治験届についての変更ですね)
         ↓
http://www.jmacct.med.or.jp/plan/files/ct1228_2.pdf





今週はGCP省令の改正を中心に見てきました。(来週は上記の「ガイダンス」を見ていきたいと思います。)

あなたはどう思いましたか?

「なんだ、期待外れだな。もっと治験の業務が軽減されると思ったのに」とか?


僕は思うのですが、「治験業務の煩雑さ」は実は「治験依頼者」に内在しているのでは?

たとえば簡単な話し、「症例報告書」に「同意取得日」を記載するようになっていることがほとんどでは?(なかには「再同意」の日まで記載するCRFもあったりして。)

でも、それって、本当に「症例報告書」に必要なデータですか?

もちろん「同意取得日」は重要な事項ですし、モニターは絶対に確認する必要がありますが、でも、それと「症例報告書に必要なデータ」かどうかは別の話しです。


それ以外にも「併用薬の投与経路」とか、被験者の「身長と体重(もちろん、こういう情報が必要な治験もありますが)」とか「過剰な検査」とか二度手間、三度手間の「過剰なワーク

シート」の使用とか。


そういうことを見直すほうが、治験の業務量(特にCRFの作成とSDV)がはるかに軽減されると思います。

さらに、それは、当局の承認を得る必要も無く、自分たちでできることです。

「症例報告書」のデータ記載欄をひとつずつデータ収集の必要性という観点でチェックしてみましょう。

「今までも集めていたから」という理由だけで惰性で集めているデータがありませんか?


もちろん、GCP省令も改善の余地があるでしょう。

でも、それを待つよりももっと早くて確実な方法が、自分たちを見直すことです。(その気になれば、明日から、すぐに改善・業務の削減ができます。)

まずは、そこから見直していきましょう。

いつまでも「当局頼り」や「当局の細かい指摘のせい」「治験が大変なのはGCPのせい」にならずにね。


15年前、ICH-GCPが導入され、「治験の国内空洞化」を作ったのは私たち、製薬業界です。

治験の国内空洞化を作ったのは「ICH-GCP」ではありません。

日本では治験が進まないから海外でやろうと選択したのは理由がどうあれ、「私たち」です。

「新GCP」のせいではありません。

「私たち」のせいです。


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         ↓
「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」のガイダンスについて(平成24年12月28日:薬食審査発1228第7号)
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http://www.jmacct.med.or.jp/plan/files/gcp121228_1.pdf


■■■■■■■■■■  必見!!!(その2)  ■■■■■■■■■■
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治験の依頼をしようとする者による薬物に係る治験の計画の届出等に関する取扱いについて(治験届についての変更ですね)
         ↓
http://www.jmacct.med.or.jp/plan/files/ct1228_2.pdf


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●GCP改正で何が変わる?4(治験薬管理手順書の提供の変更に関して)

■■■■■■■■■■  注目!!!  ■■■■■■■■■■
         ↓
●『薬事法施行規則等の一部を改正する省令の新旧対照表(厚生労働省)』<<<<==●●必見!!●●

要するにGCP省令の改正の新旧対照表ですね。
   ↓
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/hourei/H130104I0022.pdf



●薬事法施行規則等の一部を改正する省令<<<<==●●「官報」よりは見やすいです。必見!!●●
   ↓
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/hourei/H130104I0020.pdf


●GCP改正の詳細
  ↓
http://horaiseiyaku.seesaa.net/article/310825161.html


●GCP改正のポイント(企業主導治験の場合)
  ↓
http://horaiseiyaku.seesaa.net/article/310834992.html




GCP省令の改正により、いわゆる「治験薬管理手順書」は「医療機関の長」から「医療機関」に提出することでよくなりました。

実際には、「医療機関」のどなたに提出するのかは、それぞれの医療機関のSOPに従う必要があります。

まぁ、これまでも、実際には医療機関の長に「治験薬管理手順書」を提出することは無かったわけですが、これで名実ともに、医療機関の長へ提出する必要が無くなりました。



こうして、「医療機関の長」の仕事が減ってくるのはいいことです。

つまり、責任が明確になってくるわけです。

ついでに、「契約」も「治験依頼者」と「治験責任医師」との間で締結することも可能にしてくれるともっといいのですが。

「副作用情報」もそうですね。

治験依頼者から医療機関の長への報告は不要にして、治験責任医師だけに副作用情報を提供し、治験責任医師からIRBへその情報を提供する、というようなやりかたがすっきりとしていい

と思います。

もっと「治験責任医師」の責任範囲を広げて、かつ、「治験責任医師」の責任を明確にしていく方向がいいと思うのですが・・・・・・・。



「そんなに責任をとれないよ」というような医師は、そもそも治験を行わなければよくて、「それでも治験を行うよ」という医師だけが残ったほうが、治験全体の質もスピードもあがる

と思います。


GCP省令をICH−GCPにもっと近づけて欲しいものです。



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要するにGCP省令の改正の新旧対照表ですね。
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2013年01月09日

●GCP改正で何が変わる?3(安全性情報の提供の変更に関して)

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●『薬事法施行規則等の一部を改正する省令の新旧対照表(厚生労働省)』<<<<==●●必見!!●●

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●GCP改正の詳細
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●GCP改正のポイント(企業主導治験の場合)
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GCP省令の改正で「副作用情報の定期報告」の期間が「半年」から「1年」になりました。

これは当局への報告も同様で、これまでの「半年」から「1年」になりました。

ただし、当局への報告は期間満了後「2か月以内」ですが、治験責任医師及び医療機関の長へのの報告は「3か月以内」と異なります。

もちろん、当局と治験責任医師等に一緒に「2か月以内」に両方に報告してもいいわけなので、治験依頼者としてはSOP等で両方とも「2か月以内」としたほうが、話がややこしならなく

ていいかも、ですね。


それよりも、この定期的副作用報告の報告する内容が大幅に増えそうです。

下記のPDFの20〜25ページ目参照
   ↓
http://www.pmda.go.jp/operations/shonin/outline/shinrai/file/h24gcp/chiken_gcp.pdf


上記を見ると、「ファーマコビジュランス(pharmacovigilance)」関係の部署の業務が飛躍的に増加することが予想されますね。

きっと人手不足になることでしょう。

(この関係に転職するのも手かも。)


こういう業務を、それこそアウトソーシングしたいでしょう。

そうなると、CROも、社内に(あるいは委嘱等で)臨床薬理に強い医師を確保する必要が出そうです。


医薬品を開発段階から販売後まで一貫として安全面で管理する、という方向性は今後も強化されるでしょうね。

大変ですが、大事なことです。


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