2013年01月30日

「GCP省令の改正案」に対するパブリックコメントと回答(3)

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今週のテーマの前に!
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★厚労省医薬食品局審査管理課 事務連絡 平成25年1月21日付
日薬連発第44号 「コモン・テクニカル・ドキュメントの電子化仕様について」に関するQ&Aについて
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T130123I0030.pdf

コモン・テクニカル・ドキュメントの電子化仕様について、今まで以下の通知で取り扱われてきました。
平成15年6月4日付医薬審発第0604001号厚生労働省医薬局審査管理課長通知「コモン・テクニカル・ドキュメントの電子化仕様について」平成22年2月6日付事務室絡「「コモン・テクニカル・ドキュメントの電子化仕様について」に関するQ&Aについて」今般、「eCTD IWG Q&A Version 1. 22」として更新されました。

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今週は「GCP省令の改正案」等に対するパブリックコメントとその回答を見ています。



薬事法施行規則等の一部を改正する省令(案)に関する意見募集の結果について(平成25年1月15日:厚生労働省医薬食品局審査管理課)

いわゆる「GCP省令の改正案」に対するパブリックコメントとその回答を見ていきましょう。(僕が作った「治験に関する通知集」に保存してあります。)
   ↓
https://sites.google.com/site/zhiyanniguansurutongzhiji/gcp-gai-zhengni-banupaburikkukomento





■■■■  意見と回答(18)  ■■■■ 

【意見】

締結済みの契約書における「治験分担医師」、「責任医師の職名」、「目標とする被験者数」の取扱いについて明示してください。

締結済み契約書においては、本改正に伴う特段の対応(変更契約等)は不要と考えてよいのでしょうか。



【回答】

すでに締結済みの契約については、改正に伴う変更契約等は不要です。

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■■■■  意見と回答(19)  ■■■■ 

【意見】

従来は目標とする被験者数の変更に伴って、治験の費用に関する事項の変更も生じていました。

今回の改正により、契約締結時点においては治験費用が確定しないことから、契約書(治験の費用に関する事項)には1症例あたりの費用を記載することでよいのでしょうか。

それともこのような頻回に変更が生じる事項については、治験依頼者と実施医療機関の間で別途その内容を合意する必要があるのか、お示しいただきたい。




【回答】

治験の費用に関する事項には費用算定が可能な内容を記載していただくことで差し支えありません。

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■■■■  意見と回答(20)  ■■■■ 

【意見】

治験の契約書に記載すべき事項が見直されることは、治験の効率化に大きく寄与するものと考えますが、「治験責任医師の職名」「治験分担医師名」の治験実施計画書への記載も不要と

していただけないでしょうか。

契約書への記載が不要でも、治験依頼者がこれらについて調査を行う必要性はかわらないこと、また職名等の変更提出先は当該医療機関であること、大病院などでは治験責任医師本人や

医事課も職名変更を把握していないこともあり、多大な労力を費やしています。




【回答】

現在も「治験分担医師名」の記載は求めていません。「治験責任医師の職名」は簡潔に記載することで差し支えありません。

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この「意見」のように、GCPでは規定していないことを「慣習」「勘違い」で記載していることもありますので、もう一度、本当にそれがGCP上、必要なのかどうかを「全て」について見

なおしたほうがいいですね。










■■■■  意見と回答(21)  ■■■■ 

【意見】

治験分担医師名や目標とする被験者数の記載が不要であれば、治験責任医師が確認しなければならない契約内容はなくなると考えますので、運用通知で示されている「治験責任医師の契

約内容の確認」は不要としていただきたいと考えます。



【回答】

治験の契約内容について治験責任医師が確認することは必要と考えます。

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話は本質から外れますが、上記の「回答」では「何故、治験責任医師が契約内容を確認しないといけないか。何故、必要なのか。」については触れていません。(質問者も、そのような

質問になっていませんが。)

なんというか、こういう「お役所的回答」ができる「心臓」を見習いたいところです^^;









■■■■  意見と回答(22)  ■■■■ 

【意見】

改正の理由が「途中で変更することが多い」とのことですが、いずれの項目も治験実施においては非常に重要な項目ばかりです。

その変更が多いということはそもそもの治験実施体制が未熟で不完全であり、我が国の治験に対する国際的な信頼を低くする恐れがあると考えます。


【回答】

貴重な御意見をありがとうございました。医師の異動もあるため、治験の途中で治験分担医師の変更が生じることはやむを得ないものと考えられます。

なお、治験責任医師の職名の変更の場合は、組織体制上の変更のみで実態は変わらないことも多いこと、目標とする被験者数は治験の進行状況に応じて適宜変更が必要な項目であること

から、契約書への記載は不要としました。

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なかなかユニークなご意見ですね。








■■■■  意見と回答(23)  ■■■■ 

【意見】

治験責任医師の職名は不要だと思いますが、実施診療科名を記載することを検討してはいかがでしょうか。

治験計画届等にも治験の実施診療科を記載するよう規定されおり、同一実施医療機関内で複数の診療科と治験実施契約を別々に締結することもあるので、実施診療科名が必要と考えまし

た。




【回答】

貴重な御意見をありがとうございました。実施診療科については記載しても差し支えありません。

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うむ。

手間が増えないといいですけれど。







■■■■  意見と回答(24)  ■■■■ 

【意見】

治験分担医師の氏名が契約書に記載されなくなるが、治験分担医師の適格性についてはIRBでの審議が必須という理解でよろしいでしょうか。

また目標症例数(変更含む)は、IRBでの審査対象ではないと考えてよいのでしょうか。




【回答】

IRBの調査審議等についてはこれまでどおりです。

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ちなみに「目標症例数」は契約書には記載不要なので、「治験依頼書」に記載するということでしょうか。(今後は統一書式からも削除して欲しいですね。)

なお、「目標症例数」の変更は「迅速審査」でも構いません、と製薬協の「治験119」にあります。(質問番号:2004-09 軽微な変更の範囲 を参照)












●「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令 第13条第2項関係」に関する意見と回答

■■■■  意見と回答(25)  ■■■■ 

【意見】

「実施医療機関の承諾が得られれば良いこととする」となっているが、実施医療機関の承諾の確認あるいは判断は何をもって行えばよいのでしょうか。



【回答】

治験依頼者と実施医療機関の間で合意しておくことで差し支えありません。

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モニターが治験事務局へ行き「契約は電子媒体でもいいですか?」と聞き、事務局が「いいですよ」と言えば、いい、というわけですね。

ところで、「電磁的方法による契約」って普及しているのでしょうか?













●「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令 第16条第6項、第26条の2第6項関係」に関する意見と回答

■■■■  意見と回答(26)  ■■■■ 

【意見】

「実施医療機関への交付先」の具体的な運用事例について、運用通知或いはQ&Aで示して頂きたい。

治験薬管理に関する手順書を「実施医療機関に交付する」とは、治験薬管理者及びその補助者等も含まれると解釈してよいのでしょうか。

また治験責任医師が治験薬管理を行う場合は治験責任医師に、さらに治験責任医師の了承があれば治験分担医師への交付も可能でしょうか。




【回答】

いずれの場合も医療機関内で治験薬が適切に管理される体制をとる必要があります。

なお、治験薬の管理責任は実施医療機関の長が負うことは変わりません。

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結局、治験薬管理者を決めて、その人に治験薬管理の手順書を交付する、ということで、原則、治験薬管理者は「薬剤師」ですね。

ただし、クリニックのように院内に薬剤師がいない場合は治験責任医師か治験分担医師が「治験薬管理者」になります。

いずれにしても、医療機関のSOPで決めておけばいいという話です。















●「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令 第20条第2項関係」に関する意見と回答

■■■■  意見と回答(26)  ■■■■ 

【意見】

製造販売後臨床試験において、重篤ではない副作用等の医療機関への報告が不要との改正については、非常にありがたいと思います。

開発が後期に進むにつれ、さらには承認後には、副作用等情報が増大化していきますので、ただでさえ、形骸化しかねない副作用等情報の取扱いを是正することに繋がると期待しており

ます。



【回答】

貴重な御意見をありがとうございました。

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■■■■  意見と回答(27)  ■■■■ 

【意見】

今回の改正でも国内既承認薬等の一部変更申請を目指した治験が除外されている等、実施者の負担軽減を考慮していただいていると存じます。

医師自らが開発した等の国内未承認薬は、そのリスクに応じた取扱いとして企業依頼治験と同様の義務が生じることはやむを得ないと理解しております。



【回答】

貴重な御意見をありがとうございました。

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上記の「医師自らが開発した等の国内未承認薬は、そのリスクに応じた取扱いとして企業依頼治験と同様の義務が生じる」というところがポイント。重要(当然)ですね。












■■■■  意見と回答(28)  ■■■■ 

【意見】

第20条第2項関係の改正案はこれで問題ないと思いますが、第20条第2項と第3項の報告ルールと医師主導治験における第26条の6第2項の報告ルールに不整合があります。

企業主導治験と医師主導治験で副作用の報告ルールに差をつけることが適切なのでしょうか。



【回答】

貴重な御意見をありがとうございました。

重篤な副作用に関しては速やかに関係者に報告し、共有できる体制をとっています。

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上記の意見は下記を指しています。
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第20条

2 治験依頼者は、被験薬について法第80条の2第6項に規定する事項を知ったときは、その発現症例一覧等を当該被験薬ごとに、当該被験薬について初めて治験の計画を届け出た日等か

ら起算して1年ごとに、その期間の満了後3月以内に治験責任医師及び実施医療機関の長に通知しなければならない。

3 治験依頼者は、前項に規定する事項のうち当該被験薬の治験薬概要書から予測できないものを知ったときは、直ちにその旨を治験責任医師及び実施医療機関の長に通知しなければなら

ない。



第26条の6

2 自ら治験を実施する者は、被験薬について法第80条の2第6項に規定する事項を知ったときは、直ちにその旨を実施医療機関の長(一の実施計画書に基づき共同で複数の実施医療機関

において治験を実施する場合には他の実施医療機関の治験責任医師を含む。)に通知しなければならない。


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これに対する当局の答えの「重篤な副作用に関しては速やかに関係者に報告し、共有できる体制をとっています。」が何を指しているのか、僕には分かりません。(T T)












■■■■  意見と回答(29)  ■■■■ 

【意見】

本条項は医療機器の臨床試験の実施の基準に関する省令の改正案に入っていませんが、同様の改正はないのでしょうか。


【回答】

今回は改正の予定はありません。

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●「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令 第56条関係」に関する意見と回答

■■■■  意見と回答(30)  ■■■■ 

【意見】

製造販売後臨床試験責任医師及び実施医療機関の長に通知する内容については、施行日以降1年ごとに重篤副作用の発現症例一覧等(従前のうち重篤例に関するもの)を用いて行うこと

でよろしいでしょうか。



【回答】

よいです。

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「よいです。」がかわいい!^^




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2013年01月27日

「GCP省令の改正案」に対するパブリックコメントと回答(2)

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今週のテーマの前に!
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★厚労省医薬食品局審査管理課 事務連絡 平成25年1月21日付
日薬連発第44号 「コモン・テクニカル・ドキュメントの電子化仕様について」に関するQ&Aについて
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コモン・テクニカル・ドキュメントの電子化仕様について、今まで以下の通知で取り扱われてきました。
平成15年6月4日付医薬審発第0604001号厚生労働省医薬局審査管理課長通知「コモン・テクニカル・ドキュメントの電子化仕様について」平成22年2月6日付事務室絡「「コモン・テクニカル・ドキュメントの電子化仕様について」に関するQ&Aについて」今般、「eCTD IWG Q&A Version 1. 22」として更新されました。

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今週は「GCP省令の改正案」等に対するパブリックコメントとその回答を見ています。



薬事法施行規則等の一部を改正する省令(案)に関する意見募集の結果について(平成25年1月15日:厚生労働省医薬食品局審査管理課)

いわゆる「GCP省令の改正案」に対するパブリックコメントとその回答を見ていきましょう。(僕が作った「治験に関する通知集」に保存してあります。)
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●「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令 第2条第20項、第21項関係」に関する意見と回答

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【意見】

改正理由として『治験調整医師が様々な業務を行うことを可能にするため』とあるが、このような考え方を推し進めるとかつての治験総括医師のような存在を生むことにはならないでし

ょうか。


【回答】

治験調整医師が様々な業務を行うことができるのは、多施設共同で行う医師主導治験において治験調整医師が代表して治験の届出をする場合のみです。

またGCP省令では治験において各々の治験責任医師が果たすべき責務についても記載しています。

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「治験総括医師」・・・・懐かしい!!

今の若者は知らないでしょうね、治験総括医師、なんて。


「治験調整医師」は「治験届」を提出することができるほかに、「治験薬」の表示の「治験依頼者の氏名及び住所(自ら治験を実施する者の氏名及び職名並びに住所)」のところに「治

験調整医師」の氏名を書くことでよくなりました。

このことはGCP省令第26条の2のガイダンス部分にあります。
    ↓
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多施設共同治験を実施する場合であって、治験実施計画書に、自ら治験を実施する者又は治験調整医師の氏名及び職名並びに住所を記載する旨を記載し、治験審査委員会の承認を得たも

のについては、自ら治験を実施する者又は治験調整医師の氏名及び職名並びに住所を記載することで差し支えないこと。

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●「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令 第7条第1項第2号等関係」に関する意見と回答

■■■■  意見と回答(9)  ■■■■ 

【意見】

第7条第1項第2号の変更(治験の依頼(実施の準備)及び管理に係る業務の委託ができる場合を現行の「一部」から「全部」とする)がかかる範囲を明確にしてください。

最終的な責任を治験依頼者が負うことを前提としていれば、全ての業務をCROへ委託することが可能なのでしょうか。



【回答】

開発業務受託機関(CRO)は治験依頼者より品質保証及び品質管理について委託を受けて行いますが、最終的な責任は治験依頼者が負うことになります。


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ちなみに当局への「治験届」と「副作用情報」の提出はCROはできません。

このことはGCP省令第12条のガイダンスにあります。
  ↓
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治験の依頼をしようとする者は、治験の依頼及び管理に係る業務の全部又は一部を委託することができる(当該受託者は開発業務受託機関とも呼ばれる。)。

ただし、治験計画の届出及び規制当局への副作用等の報告については、当該業務を、開発業務受託機関に委託することはできない。

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■■■■  意見と回答(10)  ■■■■ 

【意見】

契約はどのような体制をとるべきでしょうか。

開発業務受託機関(CRO)が医療機関と二者契約を結ぶことは可能でしょうか。

品質管理等について、文書等で今まで以上に明確にする必要がありますか。



【回答】

CROと実施医療機関の二者契約も可能ですが、その場合にも治験の依頼に係るすべての責任は治験依頼者が負うことになります。


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■■■■  意見と回答(11)  ■■■■ 

【意見】

全ての業務をCROに委託した場合、統一書式における治験依頼者名はCROになるのでしょうか。


【回答】

治験依頼者名がCROになることはありません。

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CROはあくまでも「代行者」ですから、「治験依頼者」にはなりえません。

ただし、最近はCROも業務拡大を続けていて、CROが自ら、新薬を開発することもあり、その場合はCROが「治験依頼者」になりますけれどね。








●「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令 第13条第1項関係」に関する意見と回答

■■■■  意見と回答(12)  ■■■■ 

【意見】

治験分担医師名、治験責任医師の職名の契約書への記載が不要となりましたが、治験届においても当該事項の届出は不要となるのでしょうか。

従来どおり届出が必要な場合、何をもって変更日を規定するのでしょうか。

また、変更のあった治験分担医師の治験業務開始時期はいつになるのでしょうか。



【回答】

当該事項の届出は従来どおり必要です。

変更日についてはIRBの承認された日、実施医療機関の長の了承を受けた日等が考えられますが、あらかじめ手順書の中で規定したものに従うことで差し支えありません。


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ということで、「治験届」には相変わらず「治験責任医師の職名」や「治験分担医師の氏名」が必要であり、変更日は治験依頼者が勝手に決めてよい、ということですね。

手っ取り早いには「治験届」からも「治験責任医師の職名」や「治験分担医師の氏名」を削除してもらうことなんですけれど。












■■■■  意見と回答(13)  ■■■■ 

【意見】

目標とする被験者数の契約は従来どおり、契約書に明記すべきと考えます。

治験責任医師には目標とする被験者数を集める責務があり、また費用の算出においても必要ですので、同内容について記載した書類が別途発生することが予想されます。

また被験者数の上限についても治験依頼者と実施医療機関の間で何らかの合意が必要と考えられます。



【回答】

目標とする被験者数は治験契約の項目の中でも変更が多い箇所であり、手続きの簡素化のために削除することとしましたが、治験依頼者と実施医療機関の間で必要に応じて合意すること

を妨げるものではありません。

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ちなみに「費用の算出」については「費用算定が可能な内容を記載することで差し支えない」となっています。(GCP省令第13条のガイダンス)

それと、「被験者数の上限」は決める必要は無いと僕は思います。

そもそも、何故、必要なのでしょうか?











■■■■  意見と回答(14)  ■■■■ 

【意見】

今回の改正は治験手続きの簡素化の観点から非常にありがたいと思います。

目標とする被験者数については、この数字を用いて実施医療機関の契約達成率が低いと評価されており、その結果として少数契約から開始するという事態を生んでいます。

今回の改正で一実施医療機関あたりの症例数を問うことに評価が移行していくと考えられ、データの質の向上、治験環境の適正化につながると考えます。



【回答】

貴重な御意見をありがとうございました。

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■■■■  意見と回答(15)  ■■■■ 

【意見】

現状では、症例数の追加が行われる際に契約変更が伴うことで日数が必要となり、実施に支障をきたすことがありました。

今回の改正後もあらかじめ治験依頼者と実施医療機関の間で、予定症例数を何らかの形で検討しておくことは重要と考えるが、スピードのある医療機関が多くの症例を登録することがで

き、集積性の向上にも寄与すると考えます。


【回答】

貴重な御意見をありがとうございました。

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うむ。

「スピードのある医療機関が多くの症例を登録することができ、集積性の向上にも寄与すると考えます。」
  ↓
「治験実施医療機関」も自然淘汰の時代に入ってきましたね。







■■■■  意見と回答(16)  ■■■■ 

【意見】

目標とする被験者数の契約書への記載が不要となりましたが、治験届においても当該事項の届出は不要となるのでしょうか。

従来どおり届出が必要な場合、実施医療機関における予定被験者数及び治験薬交付数の記載が難しくなりますが、どのように対処すればよいでしょうか。




【回答】

当該事項の届出は従来どおり必要です。

治験開始時の予定を記載することで差し支えありません。

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僕が現役のモニターだった頃は、治験に参加している施設は全て一律「8症例」とか書いて治験届を出していましたけれどね。(それで通っていました。)








■■■■  意見と回答(17)  ■■■■ 

【意見】

目標とする被験者数を記載しない理由として、「契約時には確定していないため」とありますが、確定した時点で別途契約を締結する必要があるのでしょうか。



【回答】

GCP省令上、特に必要ありません。

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明日へ続く


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2013年01月26日

「GCP省令の改正案」に対するパブリックコメントと回答(1)

■■■■■■  注目! ■■■■■
今週のテーマの前に!
  ↓
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コモン・テクニカル・ドキュメントの電子化仕様について、今まで以下の通知で取り扱われてきました。
平成15年6月4日付医薬審発第0604001号厚生労働省医薬局審査管理課長通知「コモン・テクニカル・ドキュメントの電子化仕様について」平成22年2月6日付事務室絡「「コモン・テクニカル・ドキュメントの電子化仕様について」に関するQ&Aについて」今般、「eCTD IWG Q&A Version 1. 22」として更新されました。

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薬事法施行規則等の一部を改正する省令(案)に関する意見募集の結果について(平成25年1月15日:厚生労働省医薬食品局審査管理課)

いわゆる「GCP省令の改正案」に対するパブリックコメントとその回答を見ていきましょう。(僕が作った「治験に関する通知集」に保存してあります。)
   ↓
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「どうでもいい回答」「回答になっていない回答」も見ていきましょう^^




●薬事法施行規則 第269条第1項16号・17号」についての意見と回答

■■■■  意見と回答(1)  ■■■■ 

【意見】

16号における治験の依頼(実施の準備)及び管理に係る業務の委託ができる範囲は「全部」ではなく「全部又は一部」の方が適切ではないでしょうか。

また17号は治験の実施に係る業務についての規定であり、全部を委託することは問題があると考えます。

治験の実施の効率化のためとの理由は理解できますが、今回の改正の背景を具体的に教えていただきたいです。



【回答】

ICH-GCPでは治験の依頼及び管理に係る業務の委託できる範囲を全部又は一部としているため、整合をとることとしました。

治験の実施に係る業務の委託できる範囲については一部のまま変更はありません。

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■■■■  意見と回答(2)  ■■■■ 

【意見】

この改正で治験の効率化が図れるとありますが、具体的には何が効率化されるのでしょうか。

今までの委託可能だった「一部」の業務の範囲は特定されていたのでしょうか。すべての業務が委託可能な場合、治験国内管理人の役割はどうなるのでしょうか。



【回答】

開発業務受託機関(CRO)は治験依頼者より品質保証及び品質管理について委託を受けて行いますが、最終的な責任は治験依頼者が負うことになります。

治験国内管理人の役割はこれまでと同様です。

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これ、「回答」になっています?

「具体的には何が効率化されるのでしょうか。」という質問に対する答えはどうやら私たちで見つけないとだめなようです。^^;









■■■■  意見と回答(3)  ■■■■ 

【意見】

今回の改正はICH-GCPとの整合性をとり、CROが治験の実施のすべてを行う事例が増加しているという実態に則したものと考えられ、治験の効率化に寄与すると考えます。



【回答】

貴重な御意見をありがとうございました。

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■■■■  意見と回答(4)  ■■■■ 

【意見】

今回の改正はICH-GCPとの整合性をとり、CROが治験の実施のすべてを行う事例が増加しているという実態に則したものと考えられ、治験の効率化に寄与すると考えます。



【回答】

貴重な御意見をありがとうございました。

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●「薬事法施行規則 第273条第3項」についての意見と回答


■■■■  意見と回答(5)  ■■■■ 

【意見】

現行の6ヵ月ごとの「治験薬重篤副作用等症例定期報告書」の提出ではなく、ICHで合意した1年ごとの「治験安全性最新報告(DSUR)」に変更するという理解でよいでしょうか。



【回答】

ICHの合意に基づき、副作用等報告として提出する書類にDSURを含めることとしました。詳細は別途通知にてお示しします。

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上記の回答にある「。詳細は別途通知にてお示しします」は下記の通知です。
   ↓
●薬事法施行規則等の一部を改正する省令の施行に関する留意事項について(厚生労働省医薬食品局審査管理課長:平成24年12月28日:薬食審査発1228第11号)
     ↓
http://www.jmacct.med.or.jp/plan/files/effect20121228.pdf

     ↓

下記のDSURの通知とセットで考えてください。

     ↓

★★ ICHのいわゆる「治験安全性最新報告(DSUR)」の通知です。上記の通知とセットです。★★
     ↓
治験安全性最新報告について(厚生労働省医薬食品局審査管理課長:平成24年12月28日:薬食審査発1228第1号)
     ↓
http://www.pmda.go.jp/ich/e/e2f_12_12_28.pdf







■■■■  意見と回答(6)  ■■■■ 

【意見】

ICHの合意に基づいて、現行の6カ月ごとの定期報告を1年ごとに切り替えることは合理的であると考えます。



【回答】

貴重な御意見をありがとうございました。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■







■■■■  意見と回答(7)  ■■■■ 

【意見】

もともとの薬事法施行規則や医薬品GCP省令には、医師主導治験の際の安全性報告に関する記述はありませんでした。

本来、「安全性定期報告」は企業(治験薬提供者)が実施すべきであり、医師/医療機関の能力の限界を超えております。

このような規則が追加されると、医師主導治験は実質的に実施不可能となってしまいます。上記追加条文は削除していただくようお願いいたします。


【回答】

医師主導治験における副作用等報告は、国内外で治験が行われていない又は製造販売承認を取得していない薬物を用いる場合には、安全性の観点から必要と考えます。

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上記のご意見はごもっともだとは思いますが、「治験」である限り、「医師主導型」とでも「企業主導型」でも安全性報告(副作用情報の報告)は必要不可欠だと思います。

被験者の安全性を守るということに対して「医師主導型」では無理、だと思うようならやめたほうがいいでしょうね。

「医師主導型」の治験薬は「企業主導型」の治験薬よりも安全、というわけではありません。

「医師主導治験は実質的に実施不可能」だと思われる場合は、対応できるスタッフを雇用するといいと思います。

でも、予算が無いから無理ということなら、じゃ、どうすればいいかを考えます。

「仕事」とは「できない理由を並べること」ではなく、「どうすればできるようになるかを考える」ことです。



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●GCPの解説(ワンポイントアドバイス)
http://gcp-explain.seesaa.net/

●GCPの問題集
http://horai-gcp-test.seesaa.net/

●基礎医学知識・薬学知識・カルテ用語の問題集
http://cra-hilevel.seesaa.net/


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2013年01月18日

「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」のガイダンスについて(4)「サンプリングSDV」と「副作用の判断」

今週は「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」のガイダンスについて」(平成24年12月28日:薬食審査発1228第7号)を見ています。
   ↓
http://www.jmacct.med.or.jp/plan/files/gcp121228_1.pdf

■■■■■ 注目!  ■■■■■
   ↓
薬事法施行規則の変更案とGCP省令の改正案に対するパブリックコメントとそれに対する回答です。
   ↓
これを読むといくつかの問題点が解決されます。
   ↓
●薬事法施行規則等の一部を改正する省令(案)に関する意見募集の結果について 厚生労働省医薬食品局審査管理課 平成25年1月15日
   ↓
http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000095750


「サンプリングSDV」について、です。

ガイダンスのPDFで言うと54頁目(表示されている頁で言うと48頁目)にはこう記載されています。
  ↓
■■■■■■■■■■■■■■

5.

(前略)

臨床研究中核病院等が当該実施医療機関及びその他の施設において治験の実施(データの信頼性保証を含む。)を適切に管理することができる場合においては、必ずしもすべての治験データ等について原資料との照合等の実施を求めるものではないこと。

■■■■■■■■■■■■■■




サンプリングSDVと言っても、治験依頼者によって考え方は様々です。

以前にも書きましたが、どれだけの割合で「抜き取る」のか?とか、どういう管理を医療機関側で実施していたら、サンプリングSDVを実施していいのか? というのは、治験依頼者が自ら考える必要があります。

参考になるのは以下のものです。
  ↓
●SDVの効率化検討(製薬協)
  ↓
http://www.jpma.or.jp/about/board/evaluation/allotment/sdv.html


●サンプリングSDVへの挑戦(モニタリング2.0)
  ↓
http://www.moni2.org/moni2/PDF/20100522-komiyama.pdf


●SDVの効率化を模索する サンプリングSDVの導入とデータ品質確保への取り組み-治験実施医療機関の視点から-
  ↓
http://jglobal.jst.go.jp/public/20090422/201102243831611375


「サンプリング」の絶対的条件は「製品が均一」である、ということですね。

たとえば、「電球」を製造している工場があったとしましょう。

その「電球」が正しく製造されているかどうかは、「全て」を壊して確認するわけにはいかないので、100個に1個の割合で「抜き取り(サンプリング)」、その1個を破壊して、調べるわけです。

でも、それは「電球」が「均一の工程」で「均一」に製造されているという「前提」があるから、できる話しですよね。

これが、「電球」が均一に製造されているとは限らない、となったら、「抜き取り」で「全体」を判断することができません。

治験のデータも同様に考えていきましょう。



話は50万光年ほど飛びますが、今回のガイダンスに「臨床研究中核病院等」という言葉が出てきます。

上記の「5」にもありますし、他にも

■■■■■■■■■■■■■■

●臨床研究中核病院等のネットワークの事務局等、当該実施医療機関以外の者が行っても差し支えない。

■■■■■■■■■■■■■■


とか。


臨床研究中核病院には下記の施設が選定されています。
 ↓
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/chiken/

<臨床研究中核病院>2012年8月6日

●北海道大学病院

●千葉大学医学部附属病院

●名古屋大学医学部附属病院

●京都大学医学部附属病院

●九州大学病院



ガイダンスの中で、わざわざ「臨床研究中核病院等」と言っているのは、それだけ「期待されている」ということなんでしょうね。

逆に「それぐらいはやってくださいね」というプレッシャーなのかもしれません^^;

ただ、「臨床研究中核病院」だから「無条件にサンプリングSDVをやっても良い」というわけではないですよね。(当然ながら。)

また、逆に「クリニックレベル」の病院であるから「無条件にサンプリングSDVはダメ」ということでもないですよね。(当然ながら。)


相手をよく見極めて、サンプリングでいけるかどうかを判定していきましょう。





さて、ガイダンスに戻ります。

ガイダンスの中に次の記載もあります。
 ↓
●●●PDFの13頁目(副作用と判断する際の参考ポイント)●●●
 ↓
■■■■■■■■■■■■■■

(10)「副作用」とは、

(前略)

因果関係の判定を行う際には、投与中止後の消失、投与再開後の再発、既に当該被験薬又は類薬において因果関係が確立、交絡するリスク因子がない、曝露量・曝露期間との整合性がある、正確な既往歴の裏付けにより被験薬の関与がほぼ間違いなく説明可能、併用治療が原因である合理的な可能性がみられない等を参考にすることができる。

■■■■■■■■■■■■■■


う〜〜〜ん。

わざわざ、ガイダンスにこういう因果関係の判定のポイントが追記されたのは、それだけ、因果関係の判定が難しいという「訴え」が多いということでしょうかね。


治験責任医師の中には「今、因果関係を判定しろと言っても無理だ。この治験薬の全てのデータが出て、他の施設の状況も考えないと、因果関係は判定できない」と言う人もいるぐらいですから・・・・・・。(この意見も分からないわけではないですが。)


とりあえず、こういう意見を言われる治験責任医師等には、今回のガイダンスの上記の説明を実施してみましょう。


ちなみに「因果関係を否定できる」場合、CRFに医師のコメントを記載してもらう治験依頼者が多いです。

その時に「生理的変動内である」と記載することが多いですが、それでは不十分だ、という指摘もあったりしますが、ほんと、どう記載すればいいの? と困ってしまいますよね。

だって、本当に「生理的変動内」なんですから。


「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」のガイダンスについて」(平成24年12月28日:薬食審査発1228第7号)
   ↓
http://www.jmacct.med.or.jp/plan/files/gcp121228_1.pdf

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2013年01月17日

「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」のガイダンスについて(3)責任の明確化

今週は「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」のガイダンスについて」(平成24年12月28日:薬食審査発1228第7号)を見ています。
   ↓
http://www.jmacct.med.or.jp/plan/files/gcp121228_1.pdf

■■■■■ 注目!  ■■■■■
   ↓
薬事法施行規則の変更案とGCP省令の改正案に対するパブリックコメントとそれに対する回答です。
   ↓
これを読むといくつかの問題点が解決されます。
   ↓
●薬事法施行規則等の一部を改正する省令(案)に関する意見募集の結果について 厚生労働省医薬食品局審査管理課 平成25年1月15日
   ↓
http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000095750


今回のガイダンスで「治験薬取扱い手順書」は「医療機関の長」ではなく「医療機関」に提出すればよくなった。(ガイダンスのPDFの49頁目。紙に表示されている頁数で言うと43頁目。
  ↓
■■■■■■■■■■■■■■

1 治験依頼者は、実施医療機関における治験薬の取扱い及び保管、管理並びにそれらの記録に際して従うべき指示を記載した手順書を定め、これを実施医療機関に交付すること。交付先は、実施医療機関の指示に従うことで差し支えない。

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今までは「医療機関の長」だったのが、医療機関の指示に従うということで、まぁ、通常は薬剤部の「治験薬管理者」に提出ですよね。


ところでGCP省令の第39条には次のように記載されている。
  ↓
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(治験薬の管理)

第39条 治験薬管理者(治験薬を管理する者をいう。)は、第16条第6項又は第26条の2第6項の手順書に従って治験薬を適切に管理しなければならない。

■■■■■■■■■■■■■■


ね?

「治験薬管理者」とは「治験薬を管理する者」なのですね。

でも、ガイダンスの該当箇所のすぐ下にはこう記載されている。
  ↓
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1 実施医療機関における治験薬の管理責任は、実施医療機関の長が負うこと。

■■■■■■■■■■■■■■


あら?

治験薬の管理責任は相変わらず「実施医療機関の長」なんですね。

いったい、どっちなの? という感じです。


こういうことをやると、「責任が不明瞭」になる。

もちろん、文字通りとれば治験薬の管理責任は「医療機関の長」なのですが、実際に、それができるの?

「建前」ではなく、現実問題として。

「医療機関の長」ができることと言ったら、「問題があった時に頭を下げる」ということだけだ。(企業の不祥事とか学校の「いじめ」問題の時にTVでよく見るよね。)


実施医療機関における治験薬の管理責任も「治験薬管理者(治験薬を管理する者をいう。)」にしたほうが、責任が一元化して明確になっていい。


日本は責任を不明確にする傾向にある。

「稟議書」がその代表だ。

あれだけたくさんの人が「押印」していたら、「じゃ、最終責任は誰にあるの?」と思う。

あるいは「連帯責任は無責任」という言葉もあるぐらいだ。



たとえば、モニターが「モニタリング報告書」を作成する。

それをリーダーが確認して、押印する。

そして、それをQCに渡し、QC担当者も確認する。

でも、監査が確認したら、「モニタリング報告書」にミスや問題があったら、それは誰の責任?

もちろん、それは「モニター」の責任なのだ。



治験に限らず、病院内で行われていることの最終責任は「全て」医療機関の長なんだろうけれど、実務の責任は誰なのかを明確にしておくほうがいいと思います、はい。


「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」のガイダンスについて」(平成24年12月28日:薬食審査発1228第7号)
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http://www.jmacct.med.or.jp/plan/files/gcp121228_1.pdf
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