今週は血糖降下薬の臨床評価方法に関するガイドライン(改訂案)を見ます。
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495140050&Mode=0まだ、正式版ではありません(意見を募集中)が、速報、といことで。
今週もガイドラインの中で、私が気になる部分だけコピペしているだけですので、ご自分で読む!という方はスキップしてください。
*なお、「モニターへの道」をちょびっと更新しました。
↓
http://monitorhenomichi.web.fc2.com/index.html■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
さて、今までのガイドラインは「経口」という言葉が入っていましたが、今度の改訂により「経口」の文字が無くなり、たとえば注射剤のインスリン剤も含むことになりました。
↓
本ガイドラインは、その後の開発状況、審査経験を踏まえて、「経口血糖降下薬の臨床評価方法に関するガイドライン」の必要な改正を行うと共に、インスリン製剤等の経口血糖降下薬以外の製剤についての臨床評価方法を含めたものである。
W.インスリン製剤の評価方法
インスリン製剤は、単剤では超速効型、速効型、中間型、混合型、持効型に主に分類され、超速効型と持効型等の異なる種類の配合剤等がある。
新有効成分含有医薬品の場合は、少なくとも下記の試験を実施する。
混合型製剤や配合剤等の場合は、開発するインスリン製剤の特徴に応じて、下記の試験のうち該当する試験を実施することに加え、混合(配合)する比率や量の妥当性を裏付けるデータが得られるよう適切な試験を実施する。
18頁以降が「インスリン製剤」の項目です。
ここは、基本、「経口」と同じです。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
1. 症状とその関連項目の評価及び評価に関するその他の注意
V.1.を参照。
2. 非臨床試験
V.2.を参照。
なお、新有効成分含有医薬品の場合は、in vitro及びin vivoの両面から作用機序や薬効を説明すること。
その際、インスリン受容体への結合親和性や受容体の自己リン酸化、シグナリング分子のリン酸化への影響、腫瘍増殖誘発能、インスリン受容体発現細胞における生体反応等を説明すること。
また、インスリンアナログの場合は、IGF-1受容体を介する作用等の他のインスリン作用に対しても検討すること。
3.臨床試験
V.3.を参照。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
下記のフェーズ1の被験者の記載が多少、変わっています。
以前はこちら
↓
「比較的限定された被験者(健康志願者、場合によっては2型糖尿病患者)が対象」
改訂後はこちら
↓
「比較的限定された被験者(健康志願者、1型糖尿病患者、2型糖尿病患者)が対象」
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
3-1 第I相試験
(1)目的
第I相試験は、非臨床試験から得られた情報をもとに、治験薬をはじめてヒトに適用する臨床試験の最初の段階である。
比較的限定された被験者(健康志願者、1型糖尿病患者、2型糖尿病患者)が対象となり、治験薬のヒトにおける安全性の確認に重点がおかれる。
またこの段階で、治験薬の薬物動態学的性質の検討及び薬力学的検討もなされる。
薬物動態については、投与方法又は投与部位の違いによる影響、年齢による影響(成人と小児)、特別な患者集団(肝機能障害患者、腎機能障害患者)による影響等が検討される。
薬力学については、通常、グルコースクランプ法(*)によるグルコース注入率等に基づいた検討が行われ、被験者内変動等についての検討も行われる。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
*グルコースクランプ検査とは
糖尿病や肥満の患者さんの体の中で、インスリンの効きの良さ(インスリン感受性)がどの程度低下しているかを調べる検査です。
検査の原理
グルコースクランプ検査では、インスリンを持続的に体に注射して体の中のインスリン濃度を一定にします(これをクランプと呼びます)。
そのうえでブドウ糖(グルコース)も注射して血糖値を一定(90-100mg/dl程度)に保つようにします。
この時に必要なブドウ糖の量(注射しているブドウ糖の量)が多いとインスリンの効きは良い(インスリン感受性が高い)ことになり、必要なブドウ糖の量が少ないとインスリンの効きが悪い(インスリン感受性が低い)ことになります。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
(19頁目)
持効型インスリンについては、定常状態での薬物動態/薬力学の検討が推奨される。
混合型インスリン又は配合剤の場合は、速効型成分と持続型成分の比に応じた薬物動態/薬力学の比較検討が必要となる。
特に、配合剤の場合は単剤との薬物動態/薬力学の関係についても確認する。
(3)対象
健康成人、1型糖尿病患者又は2型糖尿病患者を対象とする。
女性、あるいは高齢者の被験者を含む場合は試験方法に対して特別な配慮が必要である。試験期間中、被験者を入院もしくは、それに準じた状態に置くものとする。
(4)試験方法
健康成人を対象とした試験では原則として二重盲検法により試験を行う。
1型又は2型糖尿病患者を対象とした試験では、類似の薬物動態プロファイルを有する既承認のインスリン製剤を対照薬とし、原則として二重盲検法により行う。
試験期間を通じ被験者は過度な運動やアルコール摂取を避け、評価指標に応じて、理想体重当たりのエネルギーを一定にした同一の基準食を摂る等、評価指標に対する影響を最小限にするよう注意する。