2012年07月13日

こんな勉強方法もある!「新薬審査報告書」を用いて(5)

総合機構の最終判断は以下のように記載されています。
 ↓
■ ■ ■ ■ ■ ■

W.総合評価

提出された資料から、本剤の関節リウマチに対する有効性は示されており、本剤はDMARDの一つとして新たな治療の選択肢になり得ると考える。

一方、高用量(125 mg/日)ではあるものの本剤単独投与で汎血球減尐症による死亡例が発現しており、肝機能障害、胃腸障害等も高頻度に発現していること、また、本剤の主な投与対象の一つと想定されるMTX効果不十分例に対するMTX併用投与時の安全性については、MTX併用試験の結果から単独投与と比較し顕著なリスクの増大は認められなかったものの、当該試験は、40 kg未満の低体重患者、70歳以上の高齢者等のよりリスクが高いと考えられる患者が除外されるなど、実際の医療現場で想定される患者層が必ずしも反映されていないこと等を踏まえると、本剤の臨床使用に当たっては十分な安全対策を講じる必要があり、製造販売後調査において本剤の安全性を引き続き慎重に検討する必要があると考える。

専門協議での検討を踏まえて特に問題がないと判断できる場合には、本剤を承認して差し支えないものと考える。

■ ■ ■ ■ ■ ■



以上の総合機構の報告を踏まえて、専門協議及びその後の医薬品医療機器総合機構(以下、「機構」)における審査の概略は、以下のとおりである。となります。
 ↓
■ ■ ■ ■ ■ ■

(1)本剤の臨床的意義について

専門協議において、機構は、本剤の臨床試験では重要な有害事象として、125 mg/日での死亡例も含む汎血球減尐症をはじめ、肝機能障害、胃腸障害等が比較的高頻度に発現しているが、用量の遵守を徹底すること、定期的な血液検査を義務付けること、本剤の使用を専門医に限定すること等の安全対策を講じることにより、本剤のリスクは管理可能と考えること、また、関節リウマチ(RA)の治療において、現時点では、標準的薬剤としてメトトレキサート(MTX)を投与し、MTXで効果不十分なRA患者に対しては、生物製剤等の使用を考慮するという標準的治療法が確立していると考えられるが、主にMTXの使用が困難な患者に対して、本剤は新たな治療の選択肢となり得ると考えることについて、意見を求めた。


上記の機構の判断は専門委員よりおおむね支持され、本剤の安全性については十分な留意が必要であるものの、適切な安全対策が講じられ、専門医が使用する場合には対処可能と考えるとの意見が提出された。

また、一部の専門委員からは、抗リウマチ薬としてMTX及び生物製剤が普及している現在、本剤のようなDMARDを開発する意義は尐ないとの意見が提出されたが、臨床担当の専門委員からは、MTXや生物製剤を用いることが困難な患者も尐なからず認められることから、新たな作用機序に基づくDMARDにより、治療の選択肢を増やすことの意義はあるとの意見、また本剤とMTXとの併用効果が示された意義は大きく、治療の選択肢として期待し得るとの意見等が提出された。

機構は、提出された臨床試験成績に基づき、本剤のRAに対する有効性は示されていると考えることから、審査報告(1)に示した安全対策に加え、後述のとおり、製造販売後に投与症例全例を対象とした調査等を実施し、安全対策を徹底することにより、本剤のベネフィットはリスクを上回ると判断した


(中略)


V.総合評価

以上の審査を踏まえ、機構は、下記の承認条件を付した上で、効能・効果及び用法・用量を以下のように整備し、承認して差し支えないと判断する。

本剤の再審査期間は8年、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断する。

[効能・効果] 関節リウマチ

[用法・用量] 通常、成人にはイグラチモドとして1回25 mgを1日1回(朝食後)から開始し、4週間後をめどに1回25 mgを1日2回(朝食後、夕食後)に増量し、経口投与する。

[承認条件] 製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。

■ ■ ■ ■ ■ ■


さて、いかがだったでしょうか?

その気になれば、勉強のためのネタはネットの中にたくさん有ります。

それを使うかどうかは、あなたしだいです。(いつものことですが。)




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2012年07月12日

こんな勉強方法もある!「新薬審査報告書」を用いて(4)

さらに私たちにとって気になる「書面調査」と「実地調査」については以下のように記載されています。

ここまで公開されているのを知っていましたか?
  ↓
■ ■ ■ ■ ■ ■

88ページより


V.機構による承認申請書に添付すべき資料に係る適合性調査結果及び機構の判断

1.適合性書面調査結果に対する機構の判断

薬事法の規定に基づき承認申請書に添付すべき資料に対して書面による調査が実施され、その結果、提出された承認申請資料に基づき審査を行うことについては支障ないものと機構は判断した。

2.GCP実地調査結果に対する機構の判断

薬事法の規定に基づき承認申請書に添付すべき資料のうち、5.3.1.2.1(E1試験)、5.3.1.2.2(E2試験)、5.3.3.1.1(E22試験)、5.3.3.3.1(E23試験)、5.3.5.1.1(E24試験)、5.3.5.1.2(E25試験)、5.3.5.2.1(E26試験)、5.3.5.2.2(E27試験)、5.3.5.2.3(E28試験)、5.3.5.2.4(E29試験)、5.3.5.2.5(E30試験)に対して、20●●年●●月の製造承認申請に伴い、厚生労働省及び機構によるGCP実地調査が実施された。

その結果、E25試験及びE29試験が実施された一実施医療機関において、治験審査委員会が適切に開催されていなかったことから、当該医療機関において実施された2試験全9症例は厚生労働省によりGCP不適合と判断された。

■ ■ ■ ■ ■ ■

うむ。

IRBが適切に開催されていなかった医療機関の治験のデータは「厚生労働省」により「GCP不適合」と判断されていますね。




さらに厳しい事態が発生していたことが下記から分かります。
  ↓
■ ■ ■ ■ ■ ■

また、E24試験及びE28試験が実施された一実施医療機関において、治験審査委員会の審議に関する記録及び原資料(外来診療録、同意文書、患者日誌等)が保存されていなかったこと、治験実施計画書からの逸脱及び原資料と症例報告書との不整合が多数認められたことから、機構は、当該医療機関の治験責任医師等は医薬品GCP等を十分に理解して治験を実施していたとは言い難く、当該医療機関において実施された2試験全14症例についてGCP不適合と判断した。

■ ■ ■ ■ ■ ■



いいですか?

「治験責任医師等は医薬品GCP等を十分に理解して治験を実施していたとは言い難く、当該医療機関において実施された2試験全14症例についてGCP不適合と判断した。」ですよ。

治験責任医師に対しては厳しい態度が必要ですね。


ときどき「営業のためにその医師を治験からはずせない事情」を言っている会社もあったりしますが、気をつけたほうがいいですよ。

さらに続きます。
  ↓
■ ■ ■ ■ ■ ■

その他、一部の実施医療機関において、重篤な有害事象発現に係る実施医療機関の長及び治験依頼者への報告遅延、説明文書における治験の方法に係る事項の一部未記載等が認められた。

治験依頼者においては、上記事例に関しモニタリングで適切に把握していない事例等が認められた。

以上より、機構は、GCP不適合とした41症例については、承認申請資料から削除等の措置を講じることが適当であると判断した。

■ ■ ■ ■ ■ ■


「そうか、GCP不適合となっても、そのデータを削除すればいいんだな」なんて、絶対に、ぜっ〜〜〜〜たいに思わないこと!!!

いいですか?

患者は命をはって治験に参加しているんですよ。

それなのに、そのデータが削除なんてなったら、患者に失礼です!!


(明日へ続く)




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2012年07月11日

こんな勉強方法もある!「新薬審査報告書」を用いて(3)

さて、有効性はどんなもんでしょうか?

報告書を見てみましょう。
  ↓
■ ■ ■ ■ ■ ■

(2)国内前期第2相パイロット試験(5.3.5.2.1 E26<19●●年●●月〜19●●年●●月>)

米国リウマチ学会(ACR)の診断基準(1958年)を満たした20歳以上70歳未満の日本人RA患者(目標症例数24例)を対象に、本剤の安全性及び有効性を予備的に検討するため、非盲検非対照試験が実施された。

(中略)

GCP不適合症例(診療録未保存)3例を除く総投与症例数19例すべてが安全性解析対象とされ、本試験開始2日目に軽度の皮疹により中止した1例を除く18例が有効性解析対象とされた。

主要評価項目である有効性解析対象における医師の評価による最終全般改善度における改善率(「改善」以上を達成した症例の割合)は38.9%(7/18例;「著明改善」3例及び「改善」4例)であり、「不変」5例、「悪化」1例であった。

(中略)

以上より申請者は、本剤はNSAIDとしての薬効を期待して開発を始めたが、本治験においてNSAIDでは一般に改善が認められない炎症性パラメータ(CRP及び赤沈)の改善が認められたことから、次相以降はDMARDとして開発を進めることとしたこと、また本治験で用いた用量では副作用発現率が高く、安全性に問題があると判断したことを説明している。


■ ■ ■ ■ ■ ■


ほほほ〜〜、と感想を持ったりします。

二転三転していますね。

新薬の開発はそう簡単ではない、ということが身に沁みます。

さて、しきり直して以下のように開発が再開しています。
  ↓
■ ■ ■ ■ ■ ■

(3)初期第2相試験(5.3.5.2.2 E27<19●●年●●月〜19●●年●●月>)

ACRの診断基準(1958年)を満たし、一定の活動性を有する15 20歳以上70歳未満の日本人RA患者(目標症例数36例)を対象に、本剤のDMARDとしての安全性及び有効性を予備的に検討するため、非盲検非対照試験が実施された

■ ■ ■ ■ ■ ■



ところでさ、上記のように何故、年月日がマスキングされているんだろう? と思った人はいますか?

何故でしょう。

考えてみましょうね。


それはいいとして・・・・・・・
  ↓
■ ■ ■ ■ ■ ■

GCP不適合症例(診療録未保存)6例を除く総投与症例数35例のうち、貧血の合併症により組み入れ対象として不適格と判明し投与13日後に中止した1例(当該症例は副作用及び臨床検査値異常を認めなかった)を除く34例が安全性解析対象(このうち概括安全度採用例及び随伴症状採用例は34例、臨床検査値異常変動採用例は32例)とされ、投与期間不足5例及びウォッシュアウト期間不足1例を除く28例が有効性解析対象とされた。

(中略)

申請者は、50及び75 mg/日ではいずれも50%以上の改善率を示し、特に重篤な副作用は発現しなかったことから、用量設定試験における用量幅は50〜75 mg/日とすることが妥当であると判断した旨を説明している。

■ ■ ■ ■ ■ ■



・・・・・・ということで至適用量が50〜75 mg/日というふうに決まりました。

次に「後期第2相漸増法試験」を実施しています。
 ↓
■ ■ ■ ■ ■ ■

(5)国内後期第2相漸増法試験(5.3.5.2.3 E28<19●●年●●月〜19●●年●●月>)

ACRの診断基準(1987年)を満たした20歳以上80歳未満の活動性を有する日本人RA患者(目標症例数70例)を対象に、漸増法により本剤の用法を探索し、安全性及び有効性を検討するため非盲検非対照試験が実施された。

用法・用量は、本剤25 mg/日(朝食後分1)を4週間投与後に50 mg/日(朝・夕食後分2)へ増量し、さらに12週間(計16週間)経口投与することとされた。

総投与症例数79例のうち、GCP不適合症例(診療録未保存)2例及び完全解析除外例5例(除外基準違反1例、4週未満の脱落3例<症状悪化2例、合併症発現1例>、4週以降来院無し1例)を除く72例が安全性解析対象(このうち概括安全度採用例は69例、副作用採用例は68例、臨床検査値採用例では65例)とされ、GCP不適合症例6例(診療録未保存2例及び治験実施施設の不適合4例)及び完全解析除外例5例を除く68例が有効性解析対象(このうち最終全般改善度採用例は8週未満脱落例等を除外した60例)とされた。


(中略)

申請者は、本剤25 mg/日(分1)を4週間経口投与後に50 mg/日(分2)に増量する漸増投与法は、安全性及び有効性を担保し得る投与法であると判断した旨を説明している。

■ ■ ■ ■ ■ ■


ところで、上記を見ると、ここまで治験が「非盲検非対照試験」で行われていますね。

どうしてでしょうか?

考えてみましょう。


さて、いよいよ「国内第3相比較試験」です。
 ↓
■ ■ ■ ■ ■ ■

ACRの診断基準(1987年)を満たし、活動性を有する20歳以上の日本人RA患者(目標症例数:本剤群134例、SASP群134例、プラセボ群67例、計335例)を対象に、本剤の有効性及び安全性を検討するため、プラセボに対する優越性及びサラゾスルファピリジン(SASP)に対する非劣性を検討するため無作為化二重盲検並行群間比較試験が実施された。

用法・用量は、本剤については投与開始4週間までは25 mg/日(分1)、5週以降は50 mg/日(分2)、SASPについては1000 mg/日(分2)と設定され、ダブルダミー法により28週間経口投与することとされた。

■ ■ ■ ■ ■ ■


うむ。

フェーズ3では「無作為化二重盲検並行群間比較試験」でやっていますね。

その結果が以下のように記載されています。
  ↓
■ ■ ■ ■ ■ ■

総投与症例数376例(本剤群147例、SASP群156例、プラセボ群73例)のうち、GCP不適合4例(治験実施施設不適合)、GCP不遵守1例、観察項目又は実施時期・期間の不備5例、服薬違反1例及び盲検化不十分1例の計12例を除く364例(本剤群139例、SASP群153例、プラセボ群72例)が有効性のFAS(Full Analysis Set)解析対象集団(このうち非劣性解析対象採用例は207例<本剤群103例、SASP群104例>、優越性解析対象採用例は196例<本剤群132例、プラセボ群64例>)とされ、安全性解析対象集団はGCP不遵守1例、観察項目又は実施時期・期間の不備5例、中止脱落29例(副作用の発現がない場合)、服薬違反1例の計30例(除外理由の重複例有り)を除く346例(本剤群131例、SASP群147例、プラセボ群68例)とされた。

■ ■ ■ ■ ■ ■



上記に「FAS(Full Analysis Set)解析対象集団」という言葉が出てきますね。

この「FAS」とは何でしょう?

答えは下記にあります。
  ↓
「臨床試験のための統計的原則」


有効性の結論はこうなっています。
  ↓
■ ■ ■ ■ ■ ■

58ページ

以上より申請者は、本剤の有効性はSASPと同程度と考えられ、安全性についてはSASPとは異なるプロファイルを有すると考えられる旨を説明している。

■ ■ ■ ■ ■ ■


さらに「長期投与試験」とか「トランスアミナーゼ試験」とか「高齢者試験」とか「MTX併用試験」とか・・・・・など等。

最終的にはこのようになります。
  ↓
■ ■ ■ ■ ■ ■

68ページ

<機構における審査の概略>

(1)有効性について

@関節痛等の症状に対する軽減効果について

機構は、第V相比較試験において、DMARDの一つであるSASPに対するACR20改善率の非劣性が示されたことから、日本人RA患者における関節痛等の症状の軽減に対する本剤の有効性は示されたものと判断する。

また、第V相MTX併用試験において、投与24週におけるTM群のACR20、50及び70改善率はそれぞれ69.5%、38.4%及び17.1%であり、PM群(それぞれ30.7%、15.9%及び5.7%)に比べ有意な改善が認められたことを踏まえると、臨床現場において本剤の主な投与対象になると想定される、MTX効果不十分なRA患者に対する本剤とMTXの併用投与により関節痛等の症状の軽減において十分に高い改善効果が得られることが示されたものと判断する。

■ ■ ■ ■ ■ ■


さらに重要なのは「(2)本剤の臨床的位置付けについて」という点ですね。70ページにあります。


そして問題となる「安全性」については、下記のことがらが72ページから87ページまで、相当数の考察がなされています。


1)単剤投与時の安全性について

@汎血球減少症について

A肝障害について

B胃腸障害及び腎障害について

C間質性肺炎について

D低体重患者及び腎障害患者における安全性について


2)MTX併用時の安全性について

@第V相比較試験(本剤単独投与とSASPとの比較試験)と第V相MTX併用試験における有害事象発現状況の相違について

A肝障害について

B胃腸障害及び腎障害について

C血液障害について

D高齢者における安全性について


上記の事柄に対して「機構」はどう考え、「申請者」はどう答えているのか、その結果、何故、「機構」は納得したのか、というあたりをつぶさに観察してみましょう。

これだけで1ヶ月は勉強になります。(明日へ続く・・・・明日はちょっとショッキングなことが・・・・・。)



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2012年07月10日

こんな勉強方法もある!「新薬審査報告書」を用いて(2)

いよいよ、「ケアラム錠(コルベット錠)」のベールを1枚ずつ剥いでいきます。(マスキングが多いのですが・・・・・・)
  ↓
■ ■ ■ ■ ■ ■

1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況等に関する資料

本剤の有効成分であるイグラチモド(本薬)は、19●●年に富山化学工業株式会社で創出されたクロモン骨格を有する疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)である。

本邦においては、プラセボ及びサラゾスルファピリジン(SASP)との比較試験、長期投与試験等の成績を基に、関節リウマチ(RA)に対する本剤の有効性及び安全性が確認されたとして、20●●年月に製造承認申請が行われた。

■ ■ ■ ■ ■ ■


うむ。プラセボやSASPとの比較試験が行われた、と。


さらにこんなことも書かれています。
 ↓
■ ■ ■ ■ ■ ■

特に、肝障害、骨髄抑制等を副作用として有するMTXとの併用時における安全性に懸念があったことから、審査の過程において、本剤とMTXの併用時の安全性を検討するための追加臨床試験を実施すべきとの結論に至り、申請が取り下げられた。

■ ■ ■ ■ ■ ■

ほ〜〜〜〜、申請が取り下げられた経緯があるんですね。

だから、時間がかかったんだ、と感想も持つ。


海外での開発は?
 ↓
■ ■ ■ ■ ■ ■

海外においては、19●●年から英国にて第T相臨床試験が実施されたが、RA患者を対象とした初期第U相試験については、50 mg/日を超える用量では肝機能及び血液学的検査における安全性に懸念があるとの理由から、英国規制当局及び倫理委員会と試験デザインに関する合意が得られず、開発は中断された。

■ ■ ■ ■ ■ ■



なるほど、なるほど、と。

イギリスでは安全性の問題があるので開発が中止されているのですね。

そういう薬が日本では承認されたのだ、という認識をまず持ちましょう。

相当、副作用に注意しないといけないね。




「審査報告書」の5ページから39ページまでCMCやら非臨床のデータなのでスキップして(本当はこれらのパートも読むと勉強になるよ)、臨床試験について見てみましょう。

41ページです。
  ↓
■ ■ ■ ■ ■ ■

(2)健康成人での検討(5.3.3.1.1: 臨床第T相試験<19●●年月〜19年●●月>)

1)単回経口投与試験

日本人健康成人男性(20〜26歳、各6例)を対象として、本剤(T-614P、PhI処方)25 mg(25 mg錠×1)、50 mg(25mg錠×2)、100 mg(100 mg錠×1)及び200 mg(100 mg錠×2)を食後に単回経口投与したときの血漿中未変化体、代謝物M1及びM2の薬物動態パラメータは表2のとおりであり、それぞれのCmax及びAUCは投与量の増加に伴い上昇した。

未変化体及びM1のt1/2はそれぞれ5.29〜7.05時間及び36.0〜47.2時間と投与量に関係なくほぼ一定であったが、M2のt1/2は投与量の増加に伴い延長する傾向が認められた。

未変化体のCmax及びAUCについて、体重60 kgに基準化して投与量との関係を検討したところ、いずれも投与量にほぼ比例して増加した。

■ ■ ■ ■ ■ ■

なるほど。

投与量に応じて血中濃度も上がると。


その他にも「食事の影響試験」や「高齢者における検討」等が検討されていることが分かりますね。

そして、このようなデータに対して総合機構の審査をやっている人も疑問を持ったり、懸念を持たれたりします。

そうなるとこんなことになります。
  ↓
■ ■ ■ ■ ■ ■

44ページより

<審査の概略>

(1)高齢者における本剤の薬物動態について

機構は、高齢者における本薬の血漿中薬物濃度が非高齢者と比較して高値を示していることから、高齢者への投与時の用量調節等の必要性について説明するよう求めた。


申請者は、反復投与時の未変化体、M1及びM2のCmax及びAUCは非高齢者に比べ高齢者でやや高い値であったものの、両群ともに個体間変動が大きく、大きな分布の重なりがみられていること、また申請用法・用量で実施された試験(漸増法試験、比較試験、長期投与試験)において高齢者と非高齢者の有効性及び安全性に大きな差が認められなかったこと(長期投与試験におけるACR20 10改善率:高齢者48.4%<15/31例>、非高齢者46.6%<54/116例>、長期投与試験28週集計時の副作用発現率:高齢者52.8%<67/127例>、非高齢者52.5%<211/402例>)から、高齢者における減量の必要性はないものと考える旨を説明した。

なお、添付文書においては高齢者で血漿中薬物濃度が高くなる可能性について記載し、注意喚起を図る旨の説明がなされた。

機構は、現時点では以上の回答を了承するが、本剤の副作用発現には用量依存的な傾向がみられており、高齢者では低体重の患者が比較的多いと想定されること等を踏まえ、高齢者における本剤投与時の安全性及び有効性については、製造販売後調査等においてさらに検討する必要があると考える。


■ ■ ■ ■ ■ ■


上記の文章で「機構は」と冒頭に書かれている文章が総合機構からの質問で、それに対する答えが「申請者は」で始まる文章です。

とりあえず現時点では了承するけれど、相当に注意すること、というのが分かります。

新薬の承認申請すると、上記のように総合機構の人が有効性や安全性で懸念点があると、その都度、製薬会社に質問がきます。

すると、製薬会社は必死になって回答書を作成します。

この回答書を作成するのも1ヶ月かかったり、ざらにします。

そして、その回答書に対して、また総合機構から質問が来たりします。

ね? 大変でしょ?

自分ならどう答えるかを考えるのが勉強になります。


それはいいとして、44ページの下の欄外に気になることが書かれています。
  ↓
■ ■ ■ ■ ■ ■

これらの症例は薬物動態試験の実施が契約書に記載がない又は薬物動態試験の実施について患者の同意が取得されていないことからGCP不適合とされ、薬物濃度データは不採用として取り扱われている。

■ ■ ■ ■ ■ ■


「おっと!」という感じですが、「契約書に記載がない」又は「患者の同意が無いままに試験が行われていた」という「とんでもないこと」が書かれています。

うむうむ。

ね? 勉強になるでしょ。

どうしてこんなことになったのでしょうか?

さらにさらに、46ページには以下のことが書かれています。
  ↓
■ ■ ■ ■ ■ ■

(iii) 有効性及び安全性試験成績の概要

<提出された臨床試験結果の概略>

有効性及び安全性の評価資料として、RA患者を対象とした第U相パイロット試験(E26)、初期第U相試験(E27)、第U相用量設定試験(E24)、第U相漸増法試験(E28)、第V相比較試験(E25)、第V相トランスアミナーゼ試験(E30)及び国内第V相長期投与試験(E29)、並びに国内第V相MTX併用試験(E25-1及び2)の成績が提出された。

また、安全性評価資料として、健康成人を対象とした国内第T相試験(E22)及び第V相高齢者試験(E23)の成績が提出された。

なおこれらの臨床試験の一部においてはGCP不適合の治験実施施設(2施設)に組み入れられた症例及び診療録が保存されておらずGCP不適合とされた症例(19例)が存在するが、各臨床試験について、これらの症例の有効性及び安全性の解析対象からの削除は試験成績に大きな影響を与えないことが確認されている。

■ ■ ■ ■ ■ ■



「GCP不適合とされた症例(19例)」というのは相当ですよ。

上記の最後の文です。

「臨床試験の一部においてはGCP不適合の治験実施施設(2施設)に組み入れられた症例及び診療録が保存されておらずGCP不適合とされた症例(19例)が存在する」です。

え〜〜っと、診療録(カルテ等)が保存されていないとですね、データの信頼性が絶対に担保されません。

ですから、こういう場合は、即、GCP違反で、データの削除が要求されます。

そりゃそうだよね。

ちなみに総合機構が主催する研修会に出た時の僕の感想ですが、100%「GCP違反でデータの削除」が求められるのは「原資料」が確認されない場合です。

原資料(カルテ等)が無いとCRFに記載されたデータの信頼性を確認しようがありませんからね。(明日へ続く)


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2012年07月06日

こんな勉強方法もある!「新薬審査報告書」を用いて(1)

今週は、こんな方に対する提案です。
  ↓
●「うちの会社は外用剤が専門だからモニターとして視野が狭くなっていないか心配」

●「我が社はこの5年間新薬の承認が無いので、勉強不足かもしれない」

・・・・・・と思われている方に、こんなものでも勉強できますよ、という紹介です。

自己啓発に使ってください。



今週ご紹介するのは「新薬の審査報告書」と「申請資料」を勉強のツールとして使う方法です。

まずは、下記のサイトを訪問してください。

総合機構(PMDA)の下記参照

総合機構(PMDA)
 ↓
承認情報(医薬品)
 ↓
検索ページ
 ↓
●販売名等を入れずに検索を実行
 ↓
●気になる新薬の「審査報告書」と「申請資料」をクリックして表示する。


「審査報告書」とは独立行政法人医薬品医療機器総合機構がデータの信頼性やGXPの基準を守って新薬を開発したかどうかなどを審査し、その結果を厚生労働省の医薬食品局審査管理課に提出して、その課が作成した新薬の製造販売承認申請に対する審査結果と概要を述べたものです。

いっぽう、「申請資料」とは製薬会社(新薬の製造販売承認申請者)が作成した資料です。

どちらもご覧になっても勉強になります。


今週は下記の医薬品の「審査報告書」を見ていきます。

[販売名] @コルベット錠25 mg、Aケアラム錠25 mg

[一般名] イグラチモド

[申請者] @富山化学工業株式会社、Aエーザイ株式会社

[申請年月日] 平成23年8月31日

平成24年4月27日

医薬食品局審査管理課
  ↓
■ ■ ■ ■ ■ ■

[審議結果]

平成24年4月19日に開催された医薬品第二部会において、本品目を承認して差し支えないとされ、薬事・食品衛生審議会薬事分科会に報告す

ることとされた。

なお、本品目は生物由来製品及び特定生物由来製品に該当せず、再審査期間は8年とし、原体及び製剤ともに劇薬に該当するとされた。


[承認条件]

製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背

景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。


■ ■ ■ ■ ■ ■


上記を見ると、まずは「承認しますよ」という結果が出ていますね。

メデタシ、メデタシです。

で、「ケアラム錠(コルベット錠)」とは何の薬かというと・・・・・・[効能・効果] 関節リウマチということが審査報告書を見ると分かります。


さて、もっと詳しく見ていきましょう。
  ↓
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「審査報告書」の3ページより

[審査結果]

提出された資料から、本剤の関節リウマチ(RA)に対する有効性は示されており、本剤は新規の疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)として、新たな治療の選択肢になり得ると考える。

一方、安全性については、重要な有害事象として、高用量(125 mg/日)での死亡例も含む汎血球減少症をはじめ、肝機能障害、胃腸障害等が比較的高頻度に発現していることなどから、本剤の臨床使用に当たっては十分な安全対策を講じる必要があり、製造販売後調査において本剤の安全性を引き続き慎重に検討する必要があると考える。

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ほうほう「新たな治療の選択肢になり得る」とありますね、いいですね。

ただし治験の最中に死亡例も出ているということで要注意です。


ここで「疾患修飾性抗リウマチ薬」とありますが、これは何のことでしょうか?

分からない言葉が出てきたら、すかさずネットで検索する。

すると下記のことが分かります。
  ↓
関節リウマチ(RA)治療における抗リウマチ薬の位置づけ


なるほど、「疾患修飾性抗リウマチ薬とは」・・・抗リウマチ薬は疾患修飾性抗リウマチ薬(disease modifying anti─rheumatic drugs:DMARDs)ともよばれ,炎症自体を抑える作用はもたないがRAの免疫異常を修飾することによって,RAの活動性をコントロールする薬剤である。


「ほうほう、リウマチの薬って、こんなふうになっているのね」ということが、まず、勉強になりますね。

「リウマチの薬なんて、私には関係ないね」という人は、自分で自分の可能性を狭めていることに気づいてください。

分からない言葉が出てきたら、その都度、丁寧にネット検索します。


それはさておき、審査報告書の続きを見ましょう。

ちなみにさ、審査報告書に載っている化学構造式を見ると、ワクワクしない? しないか・・・・・。(僕は有機合成を専攻していたもんで)

審査報告書には安全性についても触れていますね。
  ↓
「死亡例も含む汎血球減少症をはじめ、肝機能障害、胃腸障害等が比較的高頻度に発現していることなどから、本剤の臨床使用に当たっては十分な安全対策を講じる必要があり、製造販売後調査において本剤の安全性を引き続き慎重に検討する必要がある」



さらに審査報告書に「MTX」という単語(略語)が出ています。

これは何だろう? ということで「MTXとは」というフレーズでネット検索してみると・・・・・

ウィキペディアで以下のように説明されています。
 ↓
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メトトレキサート(Methotrexate : MTX)とは、葉酸代謝拮抗剤に分類される抗悪性腫瘍薬(抗がん剤)、抗リウマチ薬である。 商品名は、抗がん剤としては、メソトレキセート (販売 : ワイス/武田)、抗リウマチ薬としては、リウマトレックス(同左)、メトトレキサート(沢井ほか)など。

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「ほうほう、MTXとはメトトレキサートのことで、しかもMTXは抗がん剤としても抗リウマチ薬としても使えるんだ!」って感じですね。

そこで、報告書を見直すと・・・・
 ↓
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また、8mg/週超のMTX併用時の安全性、MTX以外のDMARDや生物製剤併用時の安全性、MTX併用時の40 kg未満の低体重患者、70歳以上の高齢者における安全性等について、臨床試験ではデータが得られていないが、これらの情報は実臨床において重要な情報と考えられることから、可能な限り速やかに情報を収集できるよう、本剤が投与された症例のデータが一定数集積されるまでの間は、投与症例全例を対象とした製造販売後調査を実施し、得られた情報を臨床現場に逐次提供する必要があると考える。

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まぁ、どうでもいいのですが、なんでこんなに一文(句読点まで)が長いんだろう?

「ビジネス文書の書き方研修」を受けていないのかな? などと思いながら、さらに報告書を見ます。(明日に続く・・・秘密のベールが・・・・)



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posted by ホーライ at 22:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 新薬の審査について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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