2013年02月16日

『治験に係る文書又は記録について』の改訂

■今日は「『治験に係る文書又は記録について』の改訂」です。(いわゆる「必須文書の改訂」ですね。昔の言葉ですが。)


●「治験に係る文書又は記録について」(厚生労働省医薬食品局審査管理課:平成25年2月14日:事務連絡)
      ↓
http://www.jmacct.med.or.jp/plan/files/gcp130214.pdf


●昔の「治験に係る文書又は記録について(薬食審査発第1002002 号:平 成 1 9 年 1 0 月 2 日:厚生労働省医薬食品局審査管理課長 )」はこちら(下のほうにあります。)
  ↓
https://sites.google.com/site/zhiyanniguansurutongzhiji/zhi-yanni-xiru-wen-shu-youha-ji-lunitsuite



「治験に係る文書又は記録について」の主な改訂箇所


●「薬食審査発第1002002 号」(課長通知)から「事務連絡」になった。(取扱いが緩和されたわけですね。)

●「IV.開発業務受託機関又は治験施設支援機関で保存する文書・記録」が追加された。(CROとSMOが保存すべき文書が明確になりました。)

●「写し」と「正本」の区別をなくした。(ありがたいことで。)


以下、「PDF」の頁数は、あたらしい事務連絡のPDFの頁数を示しています。(PDFファイルを開いて上のほうに表示されているページ番号です。)


●●●I 治験開始前の「治験に係る文書又は記録」●●●

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●(PDFの2頁目)

【改訂前】

注2:保存場所の「○」は、治験に係る文書又は記録を整理合理化して保存する場合の保存場所を示した。

  ↓

【改訂後】下記の文章が追加

なお、当該実施医療機関の長が設置した治験審査委員会以外の治験審査委員会を利用する等により実施医療機関の長と治験審査委員会の設置者が異なる場合には、治験審査委員会の設置者が保存すべき文書は実施医療機関での保存は不要である。

また、実施医療機関の長と治験責任医師等が同一人である場合には、実施医療機関の長と治験責任医師等との間で文書のやりとりは不要であり、治験依頼者と実施医療機関の長及び治験責任医師等との文書のやりとりについては、肩書きを連記することによって一の文書として差し支えない。







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●(PDFの2頁目)

【改訂前】

注3:実施医療機関の長及び治験責任医師等が実施医療機関で保存する文書・記録全てを示した。

  ↓

【改訂後】

注3:実施医療機関の長、治験審査委員会の設置者及び治験責任医師等が実施医療機関で保存する文書・記録全てを示した。


上記の文章では「治験審査委員会の設置者」が追加されている。




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●(PDFの3頁目)

「1. 治験審査委員会の運営に関する文書」の「1.1 治験審査委員会の設置記録 [第27条] 」の概要が次のように改訂された。

【改訂前】

実施医療機関の長又は営利を目的としない組織・団体の長が、治験審査委員会(同事務局を含む。)を設置したことを示す記録。

    ↓

【改訂後】

治験審査委員会が、必要な要件に従って設置されたことを示す記録。



記載が簡略化されました。





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●(PDF 3頁目)

【改訂前】

「2. 治験審査委員会の設置者が保存する記録 」の「2) 提出された文書 [第32条] 」の「概要」が改訂

必要に応じて、治験審査委員会が治験の実施状況に関して自ら行った調査結果を示す記録。

   ↓

【改訂後】

第32条第1項に規定する文書。必要に応じて、治験審査委員会が治験の実施状況に関して自ら行った調査結果を示す記録を含む。


「第32条第1項に規定する文書。」が追記されています。

IRBが治験の審査に使う文書です。




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●(PDF 3頁目)

「2. 治験審査委員会の設置者が保存する記録 」の「3) 会議の議事要旨」が次の名前及び概略が次のように改訂

治験審査委員会が、実施中の治験について適切に実施されているか否かを少なくとも1年に1回の頻度で継続的に審査したことを示す記録。

  ↓

「3) 会議の記録 [第28条] 」

治験審査委員会における審議の結論、審議及び採決に参加した委員及び議事要旨が記載された記録。






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●(PDF 3頁目)

「2. 治験審査委員会の設置者が保存する記録 」の「4) 書簡等」が無くなって、次の文章が追加。

  ↓

5) 会議の記録の概要 [第28条]

治験審査委員会の開催日時、開催場所、出席委員名、議題及び審議結果を含む主な議論の概要(質疑、応答などの簡潔な内容)の記録。





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●(PDF 5頁目)

「6. 治験審査委員会の意見に係る通知文書」の「6.1 治験審査委員会の通知文書」の「概要」から、次の文章が削除された。

「この場合にあっては、治験審査委員会は、実施医療機関の長と治験責任医師の肩書きを連記して文書を通知すること。」


上記の文章はその他にも3、4か所あります。




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●(PDF 6頁目)

「6. 治験審査委員会の意見に係る通知文書 」に次の「文書」が追加された。

「3) 治験審査委員会の審議・採決の出席者リスト [第36条] 」







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●(PDF 6頁目)

次の2つの「文書」がまるまる削除。

「6.2 治験依頼者又は自ら治験を実施する者が医療機関の長から入手する文書 [第32条]

「1) 審査された省令第32条に規定する文書[第36条]」




上記が指している文書は、多分、いわゆる「実施医療機関の長の指示、決定に関する文書」」ですね。(自信がありませんが。^^;)

ただし、「実施医療機関の長の指示、決定に関する文書」は「7」で規定されています。





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●(PDF 7頁目)

「7. 実施医療機関の長の指示、決定に関する文書 」の「7.2 治験の継続に関する実施医療機関の長の指示、決定に関する文書 [第32条] 」の「概要」に次の文章が追加されました。

「なお、第20条第2項及び第3項に関する治験を継続して行うことの適否についての意見に限り、6.2治験審査委員会の治験の継続に関する通知文書を実施医療機関の長に加えて治験責任医師及び治験依頼者あるいは自ら治験を実施する者にも同時に通知することで本文書に代えることができる。」




これは「GCPガイダンス」で示された「安全性情報」についての審議結果は「IRB」から「実施医療機関の長」に加えて「治験依頼者」にも報告できる、点を反映させたものですね。



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●(PDF 8頁目)

【改訂前】

「8. 治験責任医師及び治験分担医師の履歴書等の文書」

   ↓
【改訂後】

「8. 治験責任医師等の氏名を記載した文書 」




現状に合わせた改訂です。特に問題ありません。(と思います。)




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●(PDF 9頁目)

「5) 治験調整医師、治験調整委員会及び治験責任医師の責務に関する文書」の「概略」

【改訂前】

「治験調整医師を選定又は治験調整委員会を設置した場合、治験依頼者又は自ら治験を実施する者がそれらの責務を治験開始前に文書で定めたことを示す記録。」
   
   ↓

【改訂後】

「治験調整医師を選定又は治験調整委員会を設置した場合、治験依頼者又は自ら治験を実施する者がそれらの業務の範囲、手順その他必要な事項及び治験責任医師の責務を定めた文書。」




「治験開始前に」という文言が削除されていますね。

代わりに「業務の範囲」や「手順」「その他必要な手順」が追記されています。




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●(PDF 9〜10頁目)

下記の文書がまるまる削除されています。

「7) モニターの指名記録」


ただし、この「モニター指名記録」は「11. 治験依頼者又は自ら治験を実施する者の標準業務手順書 」の「2) 治験関連業務割当て記録 」に移動しました。






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●(PDF 11頁目)

「4) 電子データ処理システムのバリデーション等に関する記録」に下記のとおり「6)盲検化が行われている場合・・・・」が追記されました。

治験依頼者又は自ら治験を実施する者が、電子データ処理システムを用いる場合、下記事項を行うことを示す記録。

1)当該システムの完全性等を保証し、文書化していること

2)標準業務手順書を整備すること

3)データ修正の履歴が残せるようデザインされていること

4)データのセキュリティシステムを保持し、バックアップを適切に行うこと

5)データ修正者名簿を作成、管理すること

6)盲検化が行われている場合、盲検性が保持されること








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●(PDF 11頁目)

「5) 治験依頼者又は自ら治験を実施する者の指名者による症例報告書の変更又は修正の手順書 」の「概要」が以下のように改訂されました。

【改訂前】

「治験依頼者又は自ら治験を実施する者が指名した者によって行われる症例報告書の変更又は修正に関する手順書。」

  ↓

【改訂後】

「治験依頼者が指名した者が行う症例報告書の変更又は修正については、それらが文書に記録され、且つ、当該変更又は修正が必要なものであり、治験責任医師が承認したものであることを保証するための手順書。」







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●(PDF 12頁目)

「11. 治験依頼者又は自ら治験を実施する者の標準業務手順書 」に次の文書がまるまる追加されました。

7) 治験薬の品質管理、運搬及び交付の手順を定めた文書

治験依頼者が治験薬の品質管理、運搬及び交付を確実に行うために必要な手順を定めた文書。








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●(PDF 13頁目)

下記の文書がまるまる追加されました。

「13. 検査機関における精度管理等を保証する記録 」として、

「13.1 検査機関における精度管理等を保証する記録 」

「13.2 検査機関における精度管理等を保証する記録等を確認した記録 」







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●(PDF 13頁目)

「14. 効果安全性評価委員会に関する記録 」の「1) 標準業務手順書 」の「概要」が次のように改訂されました。

【改訂前】

「治験依頼者又は自ら治験を実施する者が設置したことを示す記録。」

  ↓

【改訂後】

「効果安全性評価委員会と協議の上、治験依頼者又は自ら治験を実施する者が作成した審議に関する手順書。」



また、次の文書が追加されました。(と言うか、別建てになりました。)

「2) 効果安全性評価委員会の設置に関する記録 」


さらに「2) 会合の記録」の概要に次の文章が追加されました。

「効果安全性評価委員会の了承のもとに、治験依頼者又は自ら治験を実施する者が作成した全ての審議及び会合の記録。 」







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●(PDF 14頁目)

「18. 治験薬の表示内容 」の「概要」

【改訂前】

本基準を遵守して治験薬の表示が行われていることを示す記録(該当する場合には、盲検性が維持されるような方法で表示)。

治験薬の容器若しくは被包に記載されている内容がこれにあたる。

  ↓

【改訂後】

治験薬の容器又は被包に記載されている内容。






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●(PDF 15頁目)

「22. 治験薬の管理に関する手順書 」の「1) 治験薬の溶解方法その他の取扱方法を説明した文書 」の「概要」から次の文言が削除されました。

「治験に関与する全ての者に知らせるもの。」





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●(PDF 16頁目)

「25. モニタリング報告書 」の「25.1 モニタリング報告書 」の概要が次のように改訂されました。

【改訂前】

「モニターによる治験開始前の医療機関への訪問及び治験に関連した連絡に関する報告書、モニターによる治験実施中の医療機関への訪問及び治験に関連した連絡に関する報告書、並びにモニターが治験終了時に、医療機関及び治験依頼者における必要な全ての活動が完了し、当該治験実施計画書に関する必須文書が適切にファイルされていることを確認し、治験依頼者又は自ら治験を実施する者に報告する文書。」

   ↓

【改訂後】

実施医療機関への訪問及び治験に関連した連絡に関して、モニターが治験依頼者又は自ら治験を実施する者及び実施医療機関の長に報告する文書。






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●(PDF 17頁目)

次の文書がまるまる削除されました。

「26. 開発業務受託機関の標準業務手順書」

ただし、これはIVの「開発業務受託機関又は治験施設支援機関で保存する文書・記録」に移動しています。(PDF 32頁目)






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●(PDF 18頁目)

「27. 治験依頼者若しくは自ら治験を実施する者又は実施医療機関と開発業務受託機関との契約書 」に次の文書がまるまる追加になりました。

「27.2 治験依頼者と運搬業者等との契約書 」






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●(PDF 18頁目)

次の文書がまるまる移動しました。

「29. 健康被害の補償に関する治験施設支援機関の手順に関する文書」
     ↓
(PDF 33頁目へ移動)

IVの「開発業務受託機関又は治験施設支援機関で保存する文書・記録」の「66. 健康被害の補償に関する治験施設支援機関の手順に関する文書 」







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●(PDF 19頁目)

「29. 治験に関する合意文書」の「29.1 治験の契約書又は承認書」の「概要」が次のように改訂。

【改訂前】

治験の実施に関し、治験依頼者と医療機関(さらに、治験依頼者が業務の一部を委託する場合にあっては、その受託者)が合意した文書。

自ら治験を実施する者の治験では医療機関の長が自ら治験を実施する者の提出した資料に基づき治験の実施を承認した文書。

   ↓

【改訂後】

治験の実施に関し、治験依頼者と実施医療機関(さらに、治験依頼者が業務を委託する場合にあっては、その受託者)が合意した文書。

なお、治験依頼者、開発業務受託機関及び実施医療機関の三者で合意の上、開発業務受託機関及び実施医療機関の二者の契約としても差し支えない。

自ら治験を実施する者の治験では実施医療機関の長が自ら治験を実施する者の提出した資料に基づき治験の実施を承認した文書。




CROと医療機関で二者契約してもよいというガイダンスに従っています。





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●(PDF 19頁目)

「31. 治験薬概要書(改訂版を含む。)」の「1) 治験薬の製剤組成を変更した場合の非臨床試験成績」が削除されています。








●●●II 治験実施中の「治験に係る文書又は記録」●●●

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●(PDF 22頁目)

「38. 記名押印又は署名ずみ症例報告書」の「38.1 記名押印又は署名ずみ症例報告書」の「概要」に次の文言が追加。

「治験責任医師は、治験依頼者による治験においては治験依頼者に提出するとともにその写しを保存する。」







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●(PDF 24頁目)

次の文書がまるまる追加されています。

「44. 治験責任医師が保存すべき治験の実施に係る文書又は記録」であり「44.1 治験責任医師が実施医療機関の長の指示に従って保存する記録 」。

さらに「治験の実施に関する重要な事項について行われた治験依頼者との書簡、会合、電話連絡等に関するものを含む。」です。




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●(PDF 26頁目)

次の文書がまるまる追加されています。

「46.2 重篤な副作用等を1年ごとに通知した発現症例一覧等」







●●● III 治験の終了又は中止・中断後の「治験に係る文書又は記録」 ●●●

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●(PDF 29頁目)

次の文言が削除されています。

「50.1 治験依頼者又は自ら治験を実施する者から医療機関の長宛」の「概要」から「長及び規制当局」が削除。






下記の「治験に係る文書又は記録」が追加されました。(CROあるいはSMOが保存すべき文書です。)

●●● IV 開発業務受託機関又は治験施設支援機関で保存する文書・記録 ●●●

●61.1 開発業務受託機関の標準業務手順書

治験に関する受託業務が本基準等を遵守して行われ、品質保証及び品質管理システムの履行、保持を保証するための標準業務手順書。




●61.2 健康被害の補償に関する開発業務受託 機関の手順に関する文書

開発業務受託機関が、治験依頼者若しくは自ら治験を実施する者又は実施医療機関とともに当該受託業務により生じた健康被害の治療に要する費用その他の損失を補償するための手順を定めたことを示す文書。




●62.1 治験依頼者若しくは自ら治験を実施す る者又は実施医療機関と開発業務受託機関との契約書

治験依頼者若しくは自ら治験を実施する者又は実施医療機関が、委託した業務に関して開発業務受託機関と契約したことを示す記録。




●63.1 治験に係る検体等の検査機関における精度管理等を保証する記録

治験に係る検体等の検査機関において、検査が適切に実施されて治験に係るデータが信頼できることを保証するため、当該検査機関における精度管理等を保証する記録。




●64.1 治験の契約書又は承認書

治験の実施に関し、治験依頼者、開発業務受託機関及び実施医療機関の三者の間で合意した文書。

なお、治験依頼者、開発業務受託機関及び実施医療機関の三者で合意の上、開発業務受託機関及び実施医療機関の二者の契約としても差し支えない。




●65.1 自ら治験を実施する者又は実施医療機関と治験施設支援機関との契約書

自ら治験を実施する者又は実施医療機関が、委託した業務に関して治験施設支援機関と契約したことを示す記録。




●66.1 健康被害の補償に関する治験施設支援機関の手順に関する文書

治験施設支援機関が、自ら治験を実施する者又は実施医療機関とともに当該受託業務により生じた健康被害に要する費用その他の損失を補償する手順を定めたことを示す文書




以上



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2012年07月06日

◆副作用等報告に関するQ&Aについて

今日は下記のサイトにある「事務連絡」を見ます。

総合機構の「医薬品医療機器情報提供ホームページ」> 医薬品関連情報 > 医薬品安全対策通知 > 医薬品関連通知
 ↓
副作用等報告に関するQ&Aについての改訂について(事務連絡:平成22年7月29日)




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Q3:【市販後】【治験】

「副作用によるものと疑われるもの」の範囲は?

また、因果関係が否定できない事例や因果関係が不明の事例は報告対象となるか?

  ↓

A3:【市販後】【治験】

ICH等において、報告対象となる副作用(Adverse Drug Reaction)とは、「有害事象のうち当該医薬品との因果関係が否定できないものを言う」とされており、我が国においても現在、事実上その範囲で情報収集がなされている。

「副作用によるものと疑われるもの」とは、「因果関係が否定できるもの」以外のものであり、「因果関係が不明なもの」も報告対象となる。


●●●●●



『「因果関係が不明なもの」も報告対象となる。』点について注意しましょう!!



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Q12:【治験】

治験前より予定していた療法又は検査を治験中に実施することのみを目的とした入院(予定手術や検査等)の場合は、報告対象から除外してよいか?

  ↓

A12:【治験】

除外してよい。

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例えば治験に参加する前から「痔核」の手術が治験中に予定されていたような場合、報告しなくてもいいというわけですね。




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Q14:【市販後】【治験】

報告期限を設定するに当たり、情報入手日を何日として取り扱うべきか?

  ↓

A14:【市販後】【治験】

情報入手日を0日として報告期限を設定すること。

なお、報告期限日が機構営業外日に当たる場合は、その翌営業日を報告期限日とすること。

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総合機構も「営業日」と言うんだ・・・・・。



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Q21:【治験】

治験局長通知において、『「治験薬概要書から予測できないもの」とは、治験薬概要書に記載されていないもの、あるいは、記載されていてもその性質、症状の程度又は発生傾向が記載内容と一致しないものであること。』とされているが、「治験薬概要書に記載されていてもその性質、症状の程度が記載内容と一致しないもの」とは何か?

  ↓

A21:【治験】

平成7年3月20日付薬審第227号厚生省薬務局審査課長通知「治験中に得られる安全性情報の取り扱いについて」に示すように、治験薬概要書に記載されている以上に特定されている(限定的)か、又は重症である事象は予測できないものに該当する。

例えば、治験薬概要書に「急性腎不全」が記載されていて「間質性腎炎」が報告された場合、「間質性腎炎」は治験薬概要書から予測できないものと判断する。

「肝炎」に対する「劇症肝炎」、「貧血」に対する「再生不良性貧血」、「白血球減少症、赤血球減少症、血小板減少症」に対する「汎血球減少症」、「白血球減少症(顆粒球減少症)」に対する「無顆粒球症」、「下痢」に対する「脱水、電解質異常を伴う下痢」等も同様である。

また、検査値異常が記載されていても、検査値異常と共に他の症状を伴っている場合(例えば、「血清カリウム低下」に対する「脱力、不整脈を伴う血清カリウム低下」)も同様である。

なお、記載された副作用に通常随伴する症状、徴候は治験薬概要書から予測可能である。(例えば、「ショック」については「ショックに伴う血圧低下、心拍数増加、尿量低下」、「再生不良性貧血」については「再生不良性貧血に伴う顔面蒼白、疲労感」等が該当する。)

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「治験薬概要書から予測できないもの」・・・・注意しましょうね!!




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Q23:【治験】

二重盲検比較試験の開鍵後、対照薬によるものであって、当該症例以外に同じ副作用の情報を入手していない場合には、当該副作用は治験薬概要書から予測できないものとして扱うのか?

  ↓

A23:【治験】

開鍵後、対照薬によるものであって、当該症例以外に同じ副作用の情報を入手していない場合、当該副作用は治験薬概要書から予測できないものとなる。

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Q60:【市販後】【治験】

医師が医薬品又は被験薬の使用による感染症の可能性を疑い医薬情報担当者等にその旨を伝えたが、当該医師は他の検査(ウイルスマーカー)結果を見て最終的に判断したいとしている場合、「A.1.6 情報源から最初に報告が入手された日」は当該医師が他の検査結果に基づき最終的に判断した日としてよいか?

  ↓

A60:【市販後】【治験】

医師が医薬情報担当者等に医薬品又は被験薬の使用による感染症の可能性を伝えた日とすること。

●●●●●



う〜〜〜ん、きりが無いな・・・・・・。


・・・・・・というように私たちの治験業界はガイドラインやガイダンスや通知、事務連絡に山のように囲まれた世界です。

それも日々、新しいモノがどんどん出てきます。

関連する通知類は、全て、目を通しておきましょう。

「知りませんでした」で済まさないようにね。





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医薬品ができるまで(治験に関する話題)

ホーライ製薬・・・架空の製薬会社の日常


2012年07月05日

◆腎性貧血治療薬の臨床評価方法に関するガイドライン

今週は治験に関連する各種ガイドライン・ガイダンスを読んでいます。

今日は「腎性貧血治療薬の臨床評価方法に関するガイドライン」について、です。


「腎性貧血治療薬の臨床評価方法に関するガイドライン」について




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腎性貧血は、慢性腎臓病の重要な合併症で、その主因は腎障害によるエリスロポエチンの産生低下と言われています。

腎機能低下に伴い腎でのエリスロポエチン産生量が低下し、生理的なヘモグロビン値を維持できない状態で、貧血の原因疾患が腎機能障害以外に認められない場合に診断される(最新の腎性貧血治療ガイドライン1)参照)。

なお、ヘモグロビンの基準値は年齢、性、人種等により異なる。

本邦における腎性貧血患者数は、日本人では血清クレアチニン2mg/dL未満、GFR30mL/min以上の患者でも腎性貧血があることを考慮すると、基礎疾患である慢性腎臓病患者数から30万人以上と推測される。

●●●●●


30万人ですよ!!

辛い病気ですね。


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U 臨床試験における評価方法に関する基本的考え方

透析(血液透析又は腹膜透析)施行中の患者及び保存期慢性腎臓病の患者における腎性貧血を対象として、腎性貧血改善効果(ヘモグロビン値等)を主要評価項目として有効性の評価を行う。

腎性貧血治療における真の最終目標は生命予後やQOLの改善である。

しかしながら、長期間の観察を必要とするため、腎性貧血治療薬の臨床評価にはヘモグロビン値等を用いることが多いので、これに準ずる。

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そうですよね、「真の最終目標は生命予後やQOLの改善」ですよね。

でも、治験ではなかなかそこまで見られませんので(観察期間が長くなるので)、ヘモグロビン値などになるわけですね。



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試験方法としては、臨床推奨用量の決定及び既承認の腎性貧血治療薬との比較を行う。

なお、被験薬の有効性、安全性を示し、更に試験方法の妥当性を検討するため、後期第2相試験(用量反応試験)又は第3相試験(検証的試験)のいずれか又は両者において必要に応じてプラセボ又は既承認の腎性貧血治療薬等の実薬を対照とした無作為化二重盲検比較試験を行う。

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うむ。

このあたりは一般的な治験と同様ですね。

この分野の特徴的な方法は以下のようです。
 ↓
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(1)切替え維持試験

腎性貧血患者では、既承認の腎性貧血治療薬で治療されている患者が多いことから、被験薬に切り替えて治療する場合の用法、用量、有効性及び安全性を検討する必要がある。

本試験では、既承認の腎性貧血治療薬によりヘモグロビン値が安定して維持されている患者を対象に、既承認薬から被験薬へ切り替えた後のヘモグロビン値が切り替える前と同様に目標の範囲内に安定して維持されるかを検討する。


(2)貧血改善試験

被験薬の貧血改善効果を検討する場合には、投与開始初期の用法、用量、有効性及び安全性を確認する必要がある。

本試験では、未治療又は既承認薬を一定期間ウォッシュアウトした患者を対象に被験薬の使用を開始し、ヘモグロビン値の上昇により貧血改善効果を検討する。

また、最新の腎性貧血治療ガイドライン等を参考にヘモグロビン値の急激な上昇がないように、被験薬の薬物動態及び薬力学的反応の関係から投与量を注意深く設定する。

●●●●●


まぁ、この分野に限らないのですが「ウォッシュアウト」があるので、治験への協力に「二の足を踏む」方もいらっしゃるでしょうね。

僕なら、二の足を踏みます。


この際「腎性貧血治療ガイドライン」も読んでおきましょうね。




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医薬品ができるまで(治験に関する話題)

ホーライ製薬・・・架空の製薬会社の日常

2012年07月04日

◆睡眠薬の臨床評価方法に関するガイドライン

今週は治験に関連する各種ガイドライン・ガイダンスを読んでいます。

今日は「睡眠薬の臨床評価方法に関するガイドライン」について、です。

「睡眠薬の臨床評価方法に関するガイドライン」について


実は僕は無茶苦茶、睡眠障害があって、どんなに強くて長時間型の睡眠薬を飲んでも必ず1時間おきに起きてしまいます。

朝までぐっすりと寝たな、と思えるのはこの10年間、ほとんどありません。

是非、そんな僕にも効果がある睡眠薬が出て欲しいものです。

それはいいといして・・・・・・
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III. 臨床評価方法

本章では、睡眠薬の開発を目的とした臨床試験に関する総論として、探索的試験及び検証的試験のデザインを決定する際の留意点について説明する。



1. 睡眠薬の臨床試験デザインに関する基本的考え方

薬剤開発においては、臨床試験により治験薬の有効性及び安全性を検討し、治験薬の有効用量とその用量範囲を明確にする必要がある。

睡眠薬の開発においては、実薬対照非劣性試験(又は同等性試験)では無効同等の可能性が排除できないことから、本試験デザインを用いて治験薬の有効性を検証することには限界があり、プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験を実施し、有効性及び安全性を検討することが必要である。

詳細は、ICH E10ガイドライン(「臨床試験における対照群の選択とそれに関連する諸問題」について:平成13年2月27日付医薬審発第136号厚生労働省医薬局審査管理課長通知)を参照されたい。


睡眠薬の開発では、不眠の症状(入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒及び睡眠後の非回復感等)に対する有効性プロファイルが明確になるように臨床試験を計画し、治験薬の特性を評価することが必要である(「III. 5. 有効性評価」の項参照)。


一般に、睡眠薬の探索的試験及び検証的試験の投与期間は、有効性及び安全性評価の観点から2〜4週間と設定される。

投与期間の設定においては、治験薬の特性を考慮し、臨床試験の目的に応じて合理的な理由に基づき設定することが必要である。

また、治験薬の有効性及び安全性評価に及ぼす影響を最小化するために、試験開始前に使用されている前治療薬のウォッシュアウト期間については、前治療薬の半減期並びに離脱症候群の発現時期及び持続期間を考慮して適切に設定すべきである。

さらに、臨床試験の計画段階から、プラセボ反応性に及ぼす要因、及びプラセボ効果を最小限とする方策について検討することが望ましい。

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うむ。

この手の治験薬では「プラセボ効果」は結構ありそうですよね。

突然、今、思い出しましたが、10年ほど前、ラジオの深夜放送を聞いていたら「睡眠薬の治験に参加しませんか?」というCMが入った。

なかなか、理にかなったCMである。


それはそうと・・・・・・。
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睡眠薬の探索的試験及び検証的試験における対象患者については、DSM-IV-TRで定義される原発性不眠症(ICD-10: 非器質性不眠症、ICSD-II: 精神生理性不眠症)と一般身体疾患又は他の精神疾患(気分障害や不安障害等)による不眠症(二次性不眠症)を明確にして実施することが適切である。

二次性不眠症については、原疾患が有効性及び安全性評価に影響を及ぼす可能性が否定できないことから、探索的試験及び検証的試験においては、原発性不眠症を対象とするのが一般的であり、二次性不眠症患者を対象とする場合には、原発性不眠症とは別に実施するべきである。


一方、長期投与試験等においては、実臨床での使用を想定し、二次性不眠症患者への投与の適切性を評価するため、原発性不眠症患者の他に二次性不眠症患者も組み入れ、当該患者における治験薬の有効性及び安全性のプロファイルを検討することが望ましい。

なお、二次性不眠症を対象とした臨床試験においては、原疾患及び合併症に対する治験薬の影響についても評価することが必要である。

睡眠には生活習慣が影響すること、服薬や睡眠調査票の記録の遵守等が有効性評価に影響を及ぼす可能性があることから、投与前の観察期間におけるこれらの遵守状況を確認する等により適切な患者を選択する方策について検討するべきである。

また同様の理由により、入院患者と外来患者を混在させて試験を実施することは避けるべきである(「III. 5. 有効性評価」の項についても参照)。

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なるほど、「睡眠には生活習慣が影響する」というわけですね。

僕は果たして「適切な患者」になるのだろうか?

それはそうと・・・・・・。
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5. 有効性評価

不眠症では、不眠症状(入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒、睡眠後の非回復感)及び翌日の心身機能の障害が認められる。

睡眠薬の開発では、これらの不眠症状及び翌日の心身機能の障害に対する治験薬の有効性プロファイルの評価が可能となるように、少なくとも以下の項目について評価することが必要である。

◆入眠潜時(入眠困難に関する評価指標)

◆中途覚醒時間及び中途覚醒回数(睡眠持続性の障害に関する評価指標)

◆総睡眠時間

◆睡眠の質及び睡眠後の回復感

◆翌日の心身機能


臨床試験においては、治験薬の特性やその時点ですでに得られている臨床試験成績等から、入眠潜時、中途覚醒時間又は中途覚醒回数、もしくは総睡眠時間等の評価変数のいずれかを主要評価項目として合理的に設定することが必要である。

また、睡眠の質及び睡眠後の回復感、翌日の心身機能についても、副次的に評価を行う必要がある。

各評価指標については、これまでに得られている試験成績も勘案し、適切な評価方法を検討することが必要である。

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僕が今、服用しているのが「マイスリー」と「ベンザリン」なのですが、翌日への持ち越し効果があって、これはなかなか辛いですね。

さらに「睡眠薬」として独特の安全性評価として「依存度」があります。
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「依存性については、その発現時期の特定が困難であることも考慮して、長期投与試験においても評価することが必要である」とのことです。



睡眠薬の治験に参加しませんか?と言われたら、どうするかな・・・・

「ポリソムノグラフィ」とか、って大変そうだな・・・・・・

でも、自分のQOLも向上させたいしな・・・・・



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医薬品ができるまで(治験に関する話題)

ホーライ製薬・・・架空の製薬会社の日常

2012年07月03日

◆医薬品開発におけるヒト初回投与試験の安全性を確保するためのガイダンス

今週は治験に関連する各種ガイドライン・ガイダンスを読んでいます。

今日は「医薬品開発におけるヒト初回投与試験の安全性を確保するためのガイダンス」について、です。


「医薬品開発におけるヒト初回投与試験の安全性を確保するためのガイダンス」について


「医薬品開発におけるヒト初回投与試験の安全性を確保するためのガイダンスに関する質疑応答集(Q&A)」について





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医薬品開発におけるヒト初回投与試験の安全性を確保するためのガイダンス

【概説】

本ガイダンスは,医薬品開発における非臨床から初期臨床試験への移行を支援するための基本的な考え方を示すものである.

被験薬をヒトに初めて投与する際のリスク要因を予測し,さらに,被験薬の品質,非臨床試験及びヒト初回投与試験に関する計画・実施について言及する.

ヒトへの初回投与量の設定,それに続く用量漸増法及び臨床試験の実施にともなう被験者リスクを低減するための考え方を示すものである.

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これから日本でも「ファースト・イン・ヒューマン」ということで、初めて人類に治験薬を投与する治験を世界に先駆けて日本でやっていこう!ということらしいので、このガイダンスは私たちには必読です。

人類に初めて治験薬を投与する場合、最も重要なのは「非臨床試験のデータ」です。

ただし、非臨床試験でもカバーできない毒性というのもあり得るので十分な注意が必要です。

この(↓)事件を忘れてはいけない!!


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リウマチ及び白血病治療新薬のためのフェーズ1治験がParexel社によって行われ、テストを受けた健常な男性ヴォランティア8名中、プラセボを投与された2名以外の6名全てが重篤な症状を示して病院に搬送された。

全員、ICUで懸命の治療を受けており、6名中4名は意識があり、わずかながら回復の兆しを見せているものの、残る2名は危篤状態(完全に植物状態)が続いている。

Parexel社によれば、この治験薬は規則に準拠して全ての必要十分な前試験(動物実験を含む)を通してあり、今回のような副作用は全く持って予想外であるとのこと。

治験に参加してプラセボ投与だったことにより難を逃れた人によると「まるでドミノのように次々と倒れていった。みんな、シャツをかきむしり、口々に熱いと訴え、頭が爆発しそうだと叫ぶ者もいた。」ということである。

投与された薬剤TGN 1412は抗CD28モノクローナル・アゴニスト抗体(アゴニスト:レセプターに働いて神経伝達物質やホルモンなどと同様の機能を示す作動薬)で自己免疫・炎症性疾患と血液悪性腫瘍のための治験薬とのことです。

要するにいわゆる化学合成品ではなく遺伝子工学的に作られた生物薬なわけです。


TGN1412 事件の教訓


この事件(事故じゃなくて、事件だね)については、他にもあるので「パレクセル 治験 TGN 1412」で検索してみよう!!

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「医薬品開発におけるヒト初回投与試験の安全性を確保するためのガイダンス」の続きに戻ります。


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3. ガイダンス主文

新規被験薬は非臨床試験によりヒト初回投与前にリスクを予測するための安全性データが収集されるが,非臨床試験ではヒトにおける重篤な有害作用を十分に予測できないことがある.

従って, 非臨床試験を吟味しヒト初回投与試験のデザインを慎重に検討することが必要とされる.

ヒト初回投与試験を計画する際,治験依頼者及び実施者は,リスク要因を考慮しリスク低減策を検討しなければならない.


3.1 リスク要因

被験薬の重篤な有害作用発現の可能性を予測するには,リスク要因を特定する必要がある.1)作用機序,2)標的分子(作用部位)の特性,3)モデル動物の妥当性について十分な情報が欠如している場合, あるいはヒトへの安全性予測が困難な場合には, ヒト初回投与時におけるリスクが増大する.

従って, 治験依頼者はヒト初回投与試験に関する以下の各項目について,被験薬ごとに検討しなければならない.

●3.1.1 被験薬の作用機序(項目名のみ)

●3.1.2 標的分子の特性

●3.1.3 非臨床試験における動物モデルの妥当性


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・・・・・・と言うことで、まずは何を置いても「リスク分析」をしておかないといけないわけですね。

当然と言えば当然ですが。

本当にちゃんとやっているのかな・・・・・。



さらに、臨床試験(治験)では、どんなことに留意すればいいのでしょうか?


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3.4 臨床試験

3.4.1 一般的な考え方

ヒト初回投与試験に参加する被験者の安全性は,有害作用発現のリスク要因を特定し,それを計画的に低減することによって高めることができる.

これらのリスク要因を低減するために,試験計画をたてる際は以下について検討すべきである.


@ 被験薬の品質に関わるリスク

A 懸念される毒性

B 適切な動物モデル(非臨床試験)から得られた知見

C 適切な被験者集団(健康人・患者)

D 予想される有害事象/副作用に対する被験者の忍容性

E 被験者の遺伝学的素因により被験薬の反応に差異がでる可能性

F 患者が他の医薬品や医療手段から利益を得られる可能性

G 被験薬の予測される治療濃度域


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・・・・・・・といことで、もちろん、治験実施計画書も慎重に設定しないといけません。

ここには記載しませんが、ガイダンスには治験実施計画書の注意点も書かれているので、見ておいてください。





そして、最も大事なのが、ヒト初回投与試験を行う医師と施設です。
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3.4.3 臨床試験の実施施設及び人員」

ヒト初回投与試験は,適切な医療施設において,必要な教育と訓練を受け,初期段階の臨床試験(つまり第I相,第U相)を実施するために十分な専門知識と経験を持つ治験担当医師と適切なレベルの訓練を受け経験を持つ医療従事者によって実施されるべきである.

これらの医師や医療従事者は,試験デザインや被験薬,その標的,作用機序及び予想される有害作用について理解していなければならず,臨床薬理学に造詣の深い者を含めるべきである.


臨床試験に従事する医療施設は,緊急事態(心肺停止状態, アナフィラキシー, サイトカイン放出症候群, 意識消失,けいれん, ショック等)に対応可能な設備や医師等を備え,また被験者の移動や治療に関する責任と業務遂行についての手順を定めた救命救急施設(外部を含む)を利用できるようにしておくべきである.


ヒト初回投与試験は,一部の抗悪性腫瘍薬等を除き、単一の治験実施計画書として同一施設で実施するのが原則である.

いくつかの施設が関与する場合には,適切な計画により全ての被験者の安全性を確保するための十分な情報伝達システムが必要である.


予期せぬ重大な被験薬の安全性情報は,このシステムにより迅速に参加施設に伝達すべきである.

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これから、日本は世界に先駆けて人類に治験薬を投与する第1相臨床試験(臨床薬理試験)を進めていく予定ですが、くれぐれも事故が起きないようにして欲しいものです。

事故は初心者が多ければ多いほど、発生しやすいですからね・・・・・・。




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