2012年09月07日

高血圧の新薬、治験。降圧剤の開発状況。

今日は、製薬協のサイトの中にある「開発中の新薬」から、「高血圧」で検索した結果を下記に示します。


●旭化成ファーマ株式会社
http://www.jpma.or.jp/medicine/shinyaku/development/com0010.html

AT-877 錠・・・【剤型追加】血管拡張剤(肺高血圧症)



●日本新薬株式会社
http://www.jpma.or.jp/medicine/shinyaku/development/com0330.html

ACT-064992(マシテンタン)経口剤・・・肺動脈性肺高血圧症

NS-304 (セレキシパグ)経口剤・・・肺高血圧症


●肺高血圧症は、心臓から肺に血液を送る血管(肺動脈)の末梢の小動脈の内腔が狭くなって血液が通りにくくなり、肺動脈の血圧(肺動脈圧)が高くなる病気です。

心臓の中でも、肺動脈に血液を送る室を右心室といいます。

この右心室は高い圧力に耐えられるようにできていないため、肺動脈圧の高い状態が続くと機能が低下してしまいます(右心不全)。

長い間の研究で、さまざまな治療薬が試みられていましたが、最近、肺血管を拡張させる薬が開発され、治療効果も上がってきています。



●トーアエイヨー株式会社
http://www.jpma.or.jp/medicine/shinyaku/development/com0480.html

TY-0201(β遮断薬)経皮吸収剤・・・高血圧症



●持田製薬株式会社
http://www.jpma.or.jp/medicine/shinyaku/development/com0740.html

AJH801(シルニジピン/バルサルタン配合剤)経口剤・・・高血圧症

MD-0701(トレプロスチニル) 注射剤・・・肺動脈性肺高血圧症



●グラクソ・スミスクライン株式会社
http://www.jpma.or.jp/medicine/shinyaku/development/com0170.html

エポプロステノール 注射剤・・・プロスタグランジンI2製剤 肺動脈性肺高血圧症

GSK132576A アンブリセンタン 錠剤・・・選択的エンドセリン受容体A拮抗薬 小児肺高血圧症



●塩野義製薬株式会社
http://www.jpma.or.jp/medicine/shinyaku/development/com0240.html

S-474474 経口・・・高血圧症:アンジオテンシン受容体拮抗薬/チアジド系利尿薬



●武田薬品工業株式会社
http://www.jpma.or.jp/medicine/shinyaku/development/com0320.html

TAK-491(経口剤)・・・高血圧症

TAK-536(経口剤)・・・高血圧症

TAK-591(経口剤)・・・高血圧症



●ノバルティス ファーマ株式会社
http://www.jpma.or.jp/medicine/shinyaku/development/com0450.html

VAL489 (バルサルタン)・・・高血圧(小児用)

QTI571 (イマチニブ)・・・肺動脈性肺高血圧症

SPA100 (アリスキレン/アムロジピン)・・・高血圧症

LCZ696・・・高血圧症



●バイエル薬品株式会社
http://www.jpma.or.jp/medicine/shinyaku/development/com0540.html

BAY 63-2521 (riociguat) / 錠剤・・・肺動脈性肺高血圧症

BAY 63-2521 (riociguat) / 錠剤・・・慢性血栓塞栓性肺高血圧症

BAY 63-2521 (riociguat) / 錠剤・・・左心不全に伴う肺高血圧症

BAY q 6256 (Iloprost) / 吸入剤・・・肺動脈性肺高血圧症



●ファイザー株式会社
http://www.jpma.or.jp/medicine/shinyaku/development/com0620.html

UK-92480(シルデナフィル)・・・肺動脈性肺高血圧症



●アステラス製薬株式会社
http://www.jpma.or.jp/medicine/shinyaku/development/com0750.html

YM533(ベラプロストナトリウム) 経口・・・原発性肺高血圧症



●大日本住友製薬株式会社
http://www.jpma.or.jp/medicine/shinyaku/development/com0810.html

DSP-8153(アムロジピンベシル酸塩/イルベサルタン) 経口剤・・・高血圧症

DSP-9599(未定)・・・高血圧症



●田辺三菱製薬株式会社
http://www.jpma.or.jp/medicine/shinyaku/development/com1040.html

MT-3995・・・高血圧

MP-157・・・高血圧



以上です。

すごい数ですね。

今、数えてみたら、26種類ありました。

降圧剤は、成功すると、結構な、資金源になりますからね。

いやはや。

成功を祈ります。



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2012年09月06日

最近の高血圧の治療の変化

高血圧の治療薬が急速に変わりつつある。

1998年に日本に登場した「アンジオテンシンU受容体ブロッカー(ARB)」というタイプの治療薬が、現在では推定で降圧薬の25%以上を占めるまでに増加しているからだ。

高血圧症の専門医も「これほど急速に伸びた治療薬はないのではないか」と驚いている。  

最も新しい薬であるARBは、降圧効果に加えて臓器を保護する点が医師らに好まれ、1998年に初の製品ニューロタンが発売されて以降、一気に主力製品へと上り詰めた。

医薬品全体で見ても存在感は大きい。

2007年のARB市場は推定4900億円超(前期比15%増)と、2位のCa拮抗薬(3570億円、4%増)、3位の高脂血症薬スタチンの2900億円(6%増)にぶっちぎりの大差をつけている。

とりもなおさず、ARBの最大製品ブロプレスは日本で今最も売れている薬でもある。



さらに、最近は、合剤の高血圧の薬が多数、出てきた。

何故かと言うと、「画期的な新薬」が出ないから、今までの治療薬を組み合わせてしまいましょう、という感じだからだ。


●ARB+利尿薬

●ARB+Ca拮抗薬・・・などがある。


★エックスフォージ(ノバルティス)

選択的AT1受容体ブロッカー/持続性Ca拮抗薬合剤

本剤は、バルサルタン及びアムロジピンの配合剤である。

バルサルタンは、アンジオテンシンU受容体のサブタイプであるAT1 受容体に結合し、昇圧系として作用するアンジオテンシンUに対して拮抗することによって降圧効果を発揮する。

アムロジピンは、電位依存性カルシウムチャネルに結合し、細胞内へのカルシウム流入を抑制することで末梢血管の平滑筋を弛緩させて降圧効果を発揮する。

アムロジピンの降圧効果によって交感神経系が活性化されることで、血圧調節におけるレニン・アンジオテンシン系への依存度が増大するため、バルサルタンの降圧効果が増強されるものと考えられる。

高血圧自然発症ラットにバルサルタンとアムロジピンを併用して投与すると、それぞれの単独投与を上回る降圧効果が示された。




★レザルタス配合錠LD(第一三共)

オルメサルタン メドキソミル/アゼルニジピン配合錠

アンジオテンシン受容体遮断薬とCa拮抗薬の合剤で、前者は血管平滑筋のアンジオテンシンIIの血管収縮作用を抑えて血圧を下げ、後者は血管を拡張することにより、血圧を低下させます。


★エカード配合錠HD」および「エカード配合錠LD」(武田薬品)
(ブロプレスと利尿剤の合剤)

エカード配合錠は、1日1回の経口投与製剤で、1錠あたりカンデサルタン シレキセチル4 mg / ヒドロクロロチアジド6.25 mgを含有する「エカード配合錠LD」と、カンデサルタン シレキセチル8 mg / ヒドロクロロチアジド6.25 mgを含有する「エカード配合錠HD」の二種類の製剤があります。

当社が創製したブロプレスは、血圧を上げるホルモンのひとつであるアンジオテンシンUの働きを阻害する、アンジオテンシンU受容体拮抗剤(ARB)です。

日本では、1999年に発売を開始し、2005年にはアンジオテンシンU受容体拮抗剤として、国内で初めて慢性心不全の効能を取得しました。

一方、ヒドロクロロチアジドはサイアザイド系に分類される利尿剤で、尿の排泄を促し細胞外液量を減少させることにより、血圧を下げる効果を有します。

本剤は高血圧治療ガイドラインにおいて併用が推奨されているアンジオテンシンU受容体拮抗剤と低用量の利尿剤を組み合わせた合剤です。

また、ヒドロクロロチアジドの含量を通常用量の1/4である6.25mgとすることで、サイアザイド系利尿剤に一般的に見られる副作用を軽減できると考えられ、かつ臨床第3相試験において降圧効果の増強が認められています。



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2012年09月05日

高血圧の薬物療法(降圧薬)詳細

★治療薬選択の大まかな考え方


▼アドヒアランス向上のため原則としては1日1回投与のものを選ぶ。

▼降圧薬の投与量は低用量から開始する。

低用量から高用量への増加よりもシナジーを期待して併用療法を行った方が効果が高いと考えられている。


▼II度以上(160/100mmHg以上)の高血圧では最初から併用療法を考慮する。

併用法としてはRA系抑制薬とCa拮抗薬、RA系抑制薬と利尿薬、Ca拮抗薬と利尿薬、βブロッカーとCa拮抗薬などがあげられる。

▼最初に投与した降圧薬で降圧効果が得られなければ作用機序の異なる降圧薬に変更する。



高血圧の薬物治療は通常、単剤あるいは低用量の2剤から開始され、降圧作用が不十分な場合には用量の増大か多剤への変更、異なる作用機序を持つ降圧薬との併用療法などが行われる。

また、一概に高血圧治療薬といっても多くの種類が存在し、これらの作用機序・薬効・薬価は様々である。

高血圧の初期薬物治療においてどのような薬物を用いるかは大規模な臨床試験の結果やガイドラインに沿って行われる。

高血圧の診療ガイドラインはWHO/ISH(国際高血圧学会)によるものと米国のJNC7が国際的に主流であり、JNC7ではチアジド系利尿薬が他のグループと比較して安価で大きな治療効果が得られることから、その使用が推奨されているが、治療薬は個々の患者の病歴や合併症の有無などを考慮した上で選択されるべきである。

日本においても日本高血圧学会による高血圧治療ガイドラインが2004年に作成されており(JSH2004)、2009年1月には最新版(JSH2009)が発行された。




●●●治療薬の種類●●●

★利尿薬

利尿薬(利尿降圧薬)は尿量を増加させるための医薬品である。

そもそも尿とは血液中の不純物を除去するための機構であり、生体内で産生される老廃物は腎臓の糸球体で濾過されたのち尿中に排出される。

一方、尿は体外への水分排泄の役割も担っている。尿量が少なく循環血液量が多い状態では血圧が高くなるため、利尿薬による水分排泄は降圧効果を示す。

糸球体濾過を受けた血液由来の水分は尿細管へと移行する。

尿細管は糸球体に近い方から近位尿細管、ヘンレ係蹄(下行脚および上行脚)、遠位尿細管、集合管と呼ばれ、膀胱へと流れ込む。

糸球体濾過を受けた水分(原尿)の9割はこれらの尿細管壁から回収されることが知られている。

これを再吸収と呼び、再吸収を免れた水分のみが膀胱へと流れつき、尿として排泄される。

尿の再吸収はまず尿細管壁に存在するイオン交換体によってナトリウムイオン(Na+)の再吸収によって尿細管内外に浸透圧差が作られることにより始まる。

この浸透圧差を補正するためにNa+に付随して水も尿細管外へ移動することになり、結果として水分の再吸収が行われる。

現在発売されている利尿薬はこれらのイオン交換体の機能を調節することにより水分の再吸収を抑制し、尿量を増加させるものである。



▼サイアザイド系利尿薬(チアジド系利尿薬)

ヒドロクロロチアジド。

サイアザイド系利尿薬は遠位尿細管においてNa+およびCl-の再吸収を阻害する。

上記に示した通りチアジド系利尿薬はアメリカのガイドライン(JNC7)においてその使用が推奨されており、中程度の利尿作用を有する。



▼ループ利尿薬

ループ利尿薬は強力な利尿作用を有しているが、降圧作用はそれほど強くない。

ヘンレ係蹄上行脚においてNa+の再吸収に関与しているNa+/K+/2Cl-共輸送系を阻害する。

これにより尿細管内外の浸透圧差が緩和され、下行脚における水の再吸収が抑制される。




★カルシウム拮抗薬

カルシウム拮抗薬(英: Calcium Channel Blocker, CCB)は、血管平滑筋細胞の細胞膜上に存在する電位依存性カルシウム(Ca)イオンチャネルを阻害する薬物であり、その化学構造からジヒドロピリジン系と非ジヒドロピリジン系に細分類される。

筋肉の収縮にはイオンチャネルを介した細胞内へのCa2+の取り込みが大きな役割を担っており、Ca2+の取り込みが低下すると平滑筋の収縮が減弱化し、血圧の低下につながる。

2008年現在、臨床での使用目的に発売されているカルシウム拮抗薬は全てL型カルシウムチャネルを阻害するものであるが、カルシウム拮抗薬の中でもシルニジピンのみ交感神経細胞膜に存在するN型カルシウムチャネルも阻害する作用がある。



▼ジヒドロピリジン系

ニフェジピン(アダラートなど)やニカルジピン(ペルジピンなど)やアムロジピン(アムロジンやノルバスク)が含まれる分類である。

ニフェジピンはL型カルシウムチャネルのN部位に結合する。

血管拡張作用、降圧作用が強く、心筋への作用がほとんどない。

高血圧や冠動脈痙縮症、狭心症でよく用いられる。

陰性変力作用や催不整脈作用は殆どないと考えられている。

ニフェジピンは作用発現が早すぎて、心拍数の上昇が認められることがあったが、アダラートLなどは徐放剤とすることでその問題点を克服している。



★アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)

アンジオテンシン変換酵素(ACE)は生理活性ペプチドであり昇圧作用を有するアンジオテンシンIIの産生に関与している。

さらに、ACEは降圧物質であるブラジキニンの分解に関与する酵素キニナーゼIIと同等であり、ACE阻害薬はこの酵素活性を阻害することにより、アンジオテンシンIIの産生抑制とブラジキニンの分解抑制をもたらし、結果として降圧作用を示す。

ACE阻害薬やARBは輸出細動脈を拡張させ糸球体内圧を低下させ蛋白尿の減少を行う作用がある(腎保護作用)。

このため慢性腎臓病、糖尿病性腎症でARBと同様に好まれる傾向がある。



★アンジオテンシン受容体拮抗薬 (ARB)

上記の機構により産生されたアンジオテンシンIIはアンジオテンシン受容体を介してその作用を発現することが知られている。

アンジオテンシン受容体にはサブタイプが存在し、アンジオテンシン受容体拮抗薬(英: Angiotensin Receptor Blocker, ARB)の降圧作用はAT1受容体の遮断に基づく。

いずれも妊婦への適応は禁忌である。

ARBの標準薬はバルサルタン(Valsartan ディオパンなど) であり、世界で最も汎用され新薬開発時には、比較薬とされている。

ACE阻害薬やARBは輸出細動脈を拡張させ糸球体内圧を低下させ蛋白尿の減少を行う作用がある。



★直接的レニン阻害薬

レニンはアンジオテンシノーゲンからアンジオテンシンIヘの変換反応を触媒する酵素であり、血圧のコントロールに関与するレニン-アンジオテンシン系の上流に位置する。

直接的レニン阻害薬 (Direct Renin Inhibitor,DRI) であるアリスキレンはレニンのAsp32とAsp215の両残基に水素結合し、その活性を抑制することで降圧効果を示す十数年ぶりの新しいクラスの降圧薬である。

アリスキレンの降圧効果は持続的であり、単剤投与での24時間以上にわたって十分な降圧効果を示すとされており、ACE阻害作用を有していないためにキニン代謝による空咳などの副作用は生じにくいと考えられている。



★交感神経遮断薬

交感神経の神経筋接合部にはアドレナリン受容体が存在している。

アドレナリン受容体は大きくα受容体とβ受容体に分けられ、α受容体は血管平滑筋の収縮を介して血圧上昇に働くα1受容体とシナプス前膜に存在して抑制的なフィードバック機構として働くα2受容体が存在する。

一方、β受容体にはβ1-3の三種類のサブタイプが存在し、β1受容体を介した心機能亢進作用やβ2受容体を介した血管平滑筋弛緩作用が血圧の制御において重要である。



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2012年09月04日

高血圧の治療方法とは?

ガイドラインに定められた期間を食事療法や運動療法を行い、それでも140/90mmHgを超えている場合は降圧薬による薬物治療を開始する。

近年は大規模臨床試験がいくつも出そろい、高血圧治療指針(ガイドライン)では科学的根拠に基づいた降圧薬の選択を推奨している。

日本では依然として主治医の裁量ではあるが、その裁量を欧米の医療に即している医師と、上記のうちいくつかを改変した日本独自の考え方をもつ医師がいる(こちらのほうが多い)。

日本独自の考え方としては・・・・・・

1.Ca受容体拮抗薬は副作用が少なく血圧を大きく下げるため、多くの場合で有用である。

エビデンスが豊富で、危険因子として特に比重の高い脳出血は、同剤の開発前後で明らかに減少している。

虚血性心疾患においても、日本人では冠攣縮型狭心症の関与が大きく、Ca受容体拮抗薬が有効である。



2.降圧利尿薬は廉価であるが、耐糖能の悪化や尿酸値上昇、低カリウム血症といった副作用により、敬遠する医師が多かった。

しかし多くの臨床試験によってACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬などの最近の高価な降圧薬と同等か、それ以上の脳卒中、心筋梗塞予防、心不全改善、腎保護効果が明らかになっており、最近見直され処方する医師が増えている。


3.日本の医療は国民皆保険でありコストを考える必要はあまりないため、たとえリスクの低い患者であっても最初から高価で切れ味の良いACE阻害薬やAII拮抗薬から始めても良いが、降圧利尿薬の選択をいつも考慮する。



●薬物療法(降圧薬)概略

1.なにもリスクがない患者では、コストが安い利尿薬やカルシウム拮抗薬を第一選択とする。

60歳未満ではACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、β遮断薬なども用いられる。


2.降圧利尿薬は古典的な降圧薬であるが、低カリウム血症、耐糖能悪化、尿酸値上昇などの副作用にもかかわらず、最近の大規模臨床試験の結果では、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、Ca拮抗薬などの新しい世代の降圧薬に劣らない脳卒中、心筋梗塞予防効果が証明されており、米国では第一選択薬として強く推奨されている。

降圧利尿薬は痛風の患者には使用するべきではない。

また緑内障の発症を著しく促すことも最近明らかになっている。


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2012年08月31日

そもそも高血圧とは?

今週は、古くて、新しい病気の「高血圧」を見ていきたいと思います。

今後も、ときどき、こんなふうにある疾患について学んでいきます。


何故か?

スーパーモニターやスーパーCRCになるには、浅くてもいいので、幅広い疾患の知識が必要だからです。

何故か?

何故ならば、どんな疾患を対象としたプロトコルであったとしても、有害事象としては、なんでもありえるからです。

たとえば、「更年期障害」を対象とした治験を担当したとしても、患者さんがいつ「子宮がん」になるかわかりませんし、「糖尿病」になってしまうかもしれません。

たとえば、「高血圧」を対象としたプロトコルだとしても、患者さんが突然、「緑内障」になってしまう可能性もありますし、「肺炎」なってしまう可能性だってあります。

だから、有害事象の対応がいつでもできるように、幅広い知識を持っておいたほうがモニターもCRCもやりやすいわけです。

それに、いつでも、どんな疾患の治験でも担当できるぞ!とスタンバイしておくのが賢いモニターでありCRCです。


とまぁ、そんなこんなで、今週は「高血圧と降圧剤」についての勉強会です。

1週間を使って「高血圧と降圧剤」を学んでいきましょう。

ちなみに、僕は降圧剤を2種類、服用している。

1つは朝、「アムロジン」(カルシウム拮抗薬)で、もう1つは夜、「オルメテック」(アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB))だ。

これらの薬を服用する前の血圧は大体95と150で、最初は「オルメテック」だけだったのだが、効果が薄く、90、145位を推移していた。

そこで、「アムロジン」が追加されて、今では、大体、85、135位。

食事(減塩)の指導と体重増加に注意すること、禁煙することを言い渡されている。(ちなみに、僕の母親がやはり高血圧で治療中。)


そもそも、高血圧(Hypertension)とは、血圧が正常範囲を超えて高く維持されている状態である。

高血圧自体の自覚症状は何もないことが多いが、虚血性心疾患、脳卒中、腎不全などの発症リスクとなる点で臨床的な意義は大きい。

生活習慣病のひとつであり、肥満、高脂血症、糖尿病との合併は「死の四重奏」「syndrome X」「インスリン抵抗性症候群」などと称されていた。

これらは現在メタボリックシンドロームと呼ばれる。


高血圧のガイドラインを見てみよう。

これは、「日本高血圧学会」にある。
   ↓
「高血圧治療ガイドライン」


至適血圧 < 120 かつ < 80

正常血圧 < 130 かつ < 85

正常高値血圧 130〜139 または 85〜89

I度高血圧 140〜159 または 90〜99

II度高血圧 160〜179 または 100〜109

III度高血圧 ≧180 または ≧ 110

(孤立性)収縮期高血圧 ≧140 かつ < 90

収縮期血圧が140以上または拡張期血圧が90以上に保たれた状態が高血圧であるとされている。

しかし、近年の研究では血圧は高ければ高いだけ合併症のリスクが高まるため、収縮期血圧で120未満が生体の血管にとって負担が少ない血圧レベルとされている。

僕はI度高血圧だったわけだ。


生活習慣の修正項目

1.減塩 6g/日未満

2.食塩以外の栄養素 野菜・果物の積極的摂取*
コレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控える、魚(魚油)の積極的摂取

3.減量 BMI(体重(kg)÷[身長(m)×身長(m)])が25未満

4.運動 心血管病のない高血圧患者が対象で、中等度の強度の有酸素運動を中心に定期的に(毎日30分以上を目標に)行う

5.節酒 エタノールで男性は20-30ml/日以下、女性は10-20ml/以下

6.禁煙  

生活習慣の複合的な修正はより効果的である

*重篤な腎障害を伴う患者では高K血症をきたすリスクがあるので、野菜・果物の積極的摂取は推奨しない。

糖分の多い果物の過剰な摂取は、特に肥満者や糖尿病などのカロリー制限が必要な患者では勧められない。




●高血圧の原因

高血圧は原因が明らかでない本態性高血圧症とホルモン異常などによって生じる二次性高血圧に分類される。

本態性高血圧の原因は単一ではなく、両親から受け継いだ遺伝的素因が、生まれてから成長し、高齢化するまでの食事、ストレスなどの様々な環境因子によって修飾されて高血圧が発生するとされる(モザイク説)。


★動脈硬化症による脳内酸欠:一般的に病院で高血圧と診断される大部分の原因は、上行大動脈の動脈硬化症による脳内酸欠を防ぐため、血圧が上がっている状態のことをいう。

★遺伝:両親の一方あるいは両方が高血圧であると高血圧を発症しやすい。

★塩分:日本人の高血圧の発生には食塩過剰摂取の関与が強いとされる。日本人の食塩摂取量は1日平均12gであり、欧米人に比べて多い。日本人の食塩嗜好は野菜の漬け物、梅干し、魚の塩漬けなど日本独自の食生活と関連があるが、2004年版に発行された日本の高血圧治療ガイドラインでは1日6g未満という厳しい減塩を推奨している。

食塩(塩化ナトリウム)だけでなく重曹(炭酸水素ナトリウム)などを含む食品および胃腸薬の摂取に対しても注意が必要。

食塩の過剰摂取が高血圧の大きなリスクとなるのは、身体の電解質調節システムに原因がある。

細胞外液中でナトリウムをはじめとする電解質の濃度は厳密に保たれており、この調節には腎臓が大きな役割を果たしている。

すなわち、濃度が正常より高いと飲水行動が促され、腎では水分の再吸収が促進される。反対に、濃度が低い場合は腎で水分の排泄が進む。

結果として、血中のナトリウムが過剰の場合は、濃度を一定に保つため水分量もそれに相関して保持され、全体として細胞外液量が過剰(ハイパーボレミア:hypervolemia)となるのである。

腎のナトリウム排泄能を超えて塩分を摂取している場合、上記のメカニズムで体液量が増加して高血圧を来す。

ナトリウム過剰で高血圧をきたしやすい遺伝素因も存在することが確認されている。

ストレスや肥満、飲酒なども高血圧の発症に関与するとされる。



●高血圧の合併症

高血圧が持続すると強い圧力の血流が動脈の内膜にずり応力を加えると同時に血管内皮から血管収縮物質が分泌されることで、血管内皮が障害される。

この修復過程で粥腫(アテローム)が形成され、動脈硬化の原因となる。

慢性的疾患は大きく 「脳血管障害」、「心臓疾患」、「腎臓疾患」、「血管疾患」の4つに分類され、高血圧によって生じる動脈硬化の結果、以下のような合併症が発生する。


★脳血管障害

脳卒中
脳出血と脳梗塞およびクモ膜下出血に分類されるが、高血圧と関連が深いのは前2者である。


★心臓疾患

虚血性心疾患
心筋梗塞や狭心症などの冠動脈の硬化によって心筋への血流が阻害されることで、心筋障害をきたす疾患群をいう。

高血圧が虚血性心疾患の重大な危険因子であることは間違いがないが、高コレステロール血症、喫煙、糖尿病、肥満などの関与も大きい。

最近は腹部内臓型肥満に合併した高血圧や高トリグリセライド血症、耐糖能異常などが冠動脈疾患のリスクであるとされ、メタボリック症候群として注目されている。

肥大、心不全

高血圧が持続すると心臓の仕事量が増えて、心筋が肥大してくる。

肥大した心筋はさらに高血圧の負荷によって拡張し、最終的には心不全に陥る。

また肥大した心筋では冠動脈からの血流も減少するために、虚血に陥りやすく、不整脈、虚血性心疾患の大きなリスクとなる。


★腎臓疾患

腎障害

腎臓の糸球体は細動脈の束になったものであり、高血圧によって傷害される。

また、糸球体高血圧がレニン-アンギオテンシン系を賦活するためさらに血圧を上昇させる。

糸球体は廃絶すると再生しないため、糸球体障害は残存糸球体への負荷をさらに強めることとなる。

最終的には腎不全となり人工透析を受けなければならず、やはり社会的、経済的な負担は大きく、その進展予防は重要である。


★血管疾患

動脈瘤

胸部や腹部の大動脈の壁の一部が動脈硬化性変化によって薄くなり、膨隆した状態を大動脈瘤という。

内径が5cm以上になると破裂する可能性が高くなるので、手術適応となる。

また血管壁の中膜が裂けて、裂け目に血流が入り込み、大血管が膨隆する状態を;解離性大動脈瘤 といい、生命を脅かす危険な状態である。


閉塞性動脈硬化症

主に下肢の動脈が、動脈硬化によって著しく狭小化するか、あるいは完全に閉塞した状態をいう。

数十メートル歩くとふくらはぎが痛くなり、立ち止まると回復する場合には、この疾患を疑う。


眼障害

高血圧性網膜症や、網膜動脈・網膜静脈の閉塞症、視神経症など様々な眼障害を合併する。




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医薬品ができるまで(治験に関する話題)


posted by ホーライ at 19:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 病気の勉強 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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