なお、ガイドラインそのものについては、既にお話済みです。
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http://horaiseiyaku.seesaa.net/category/12608675-1.html
「治験の総括報告書の構成と内容に関するガイドライン」に関する質疑応答集(Q&A)について
平成24年10月18日 厚生労働省医薬食品局審査管理課 事務連絡
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http://www.pmda.go.jp/ich/e/E3qanda_12_10_18.pdf
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質問7
E3ガイドラインの10.2項では,「重要な治験実施計画書からの逸脱("important protocol deviation")」を集計することを求めている。
しかし,同ガイドラインの別添IVa(被験者の内訳)では,治験実施計画書からの逸脱("protocol violation")が原因で試験中止に至った被験者数を提示することを推奨している。
しかし,"protocol deviation","protocol violation"のいずれの用語もICHは定義していなかった。
"protocol deviation ","important protocol deviation","protocol violation"はどのように区別されるのか。
これらの用語の意味を明確にしてほしい。
また,試験における重要な治験実施計画書からの逸脱の定義について,治験依頼者は柔軟に対応してよいのか。
(注意)
このQ&Aに含まれる治験実施計画書からの逸脱に関する解説は,E3ガイドラインのStep4文書(英文)における問題を扱っている。
Step4文書の本文では治験実施計画書からの逸脱を表す用語として,一貫して"protocol deviation"が用いられていたが,別添VIa「患者の内訳」にのみ"protocol violation"が用いられていた。
日本のE3ガイドラインの通知(平成8年5月1日薬審第335号)では,"protocol deviation"及び"protocol violation"の両方に対して同一の訳語「治験実施計画書からの逸脱」が与えられていたため,用語の違いによる問題は生じていない。
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回答7
「治験実施計画書からの逸脱(“protocol deviation“)」には,治験実施計画書に規定された試験デザインや手順からのいかなる変更,相違,乖離も含まれる。
「重要な治験実施計画書からの逸脱(important protocol deviation)」は,治験実施計画書からの逸脱のうち,試験データの完全性,正確性,信頼性,あるいは被験者の権利,安全性,福祉に大きな影響を及ぼす可能性がある逸脱を指す。
例として,ある特徴を有する被験者集団を確実に構成するために設定された重要な適格性基準を満たさない被験者を組み入れた場合や,主要評価項目の解析に必要なデータを収集できなかった場合など,試験の科学的価値の低下につながる恐れがある場合である。
"protocol violation"と"important protocol deviation"は,治験実施計画書の規定からの大きな乖離を指すために,同意語として用いられることがある。
また,"violation"という用語は,規制上,他の意味でも用いられる。
しかし,E3ガイドラインの別添IVa(被験者の内訳)では,試験の規定からの変更,相違,乖離で,被験者又は治験担当医師のいずれによるものかに関わらず,試験中止に至った場合を"protocol violation"としている。
("protocol violation"に該当する被験者を試験の解析に含めるべきかどうかについては,別の問題である)。
用語の混乱を避けるため,治験依頼者は以下のフローチャートに示すように,別添IVaの“protocol violation”を “protocol deviation”に置きかえることを推奨する。
ただし,治験依頼者は,提示する情報が上述の“protocol violation”の定義と概ね一致するのであれば,別の記述を選択してもよい。
E3ガイドラインでは,「重要な治験実施計画書からの逸脱」と一般的にみなされることから,セクション10.2で記述し,付録16.2.2の一覧表に含めるべき逸脱を例示している。
個々の試験における「重要な治験実施計画書からの逸脱」の定義は,試験デザイン,重要な手順,試験データ,治験実施計画書に記述された被験者保護の方針,試験データの解析計画などによって決定される。
E3ガイドラインは柔軟な運用が認められていることから,治験依頼者は,試験での要件に応じて,E3ガイドラインで提示された「重要な治験実施計画書からの逸脱」の例の変更又は追加を行うことが可能である。
なお,大きな変更又は追加を行った場合には,審査員に対してその旨を明確に説明するべきである。
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今週のQ&Aを見て、言えるのは「ガイドライン」はあくまでも「ガイドライン(指針)」なので、それに固執しなくてもいいってことですね。
それは「GCPガイダンス」でも言えます。
「GCPガイダンス」は、わざわざ、「これにこだわる必要もない」という記載があるぐらいです。
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薬食審査発1228第7号
平成24年12月28日
厚生労働省医薬食品局審査管理課長
なお、GCP省令の規定に合致し、被験者の人権の保護、安全の保持及び福祉の向上が図られ、治験の科学的な質及び試験の成績の信頼性が確保されるのであれば、本ガイダンス以外の適切な運用により治験を実施することができます。