2011年08月11日

降圧剤の配合剤の治験

かぐや姫「降圧剤の配合剤の治験の場合はどうすればいいの?」

カルシファー「配合剤の安全性と有効性を検討するには、以下の二つの方法があるわね。」



■要因試験(Factorial study)

■各薬剤に対する効果が不十分な症例を対象とした試験




●要因試験(Factorial study)

かぐや姫「要因試験とは?」

カルシファー「要因試験は、併用によりいずれの薬剤の単独投与よりもより大きな効果が得られるということを示すために行われるわけ。」

かぐや姫「う〜〜んと、治験薬と併用薬の用量を組み合わせて考えればいいのね。」

カルシファー「この試験においては、プラセボ、被験薬及びもう一つの薬剤の一用量又は複数用量の組合せについて短期間のランダム化比較試験を行い、降圧効果を検討する。」


★★★★★★★★★★


要因試験(Factorial study)のデザイン

●治験薬の投与量をT1として、固定し、他剤(T)を3用量にふる。

T1D1、T1D2、T1D3


●治験薬の投与量をT2として、固定し、他剤(T)を3用量にふる(T1の時と同じ用量)。

T2D1、T2D2、T2D3


●治験薬の投与量をT3として、固定し、他剤(T)を3用量にふる(T1の時と同じ用量)。

T3D1、T3D2、T3D3


★★★★★★★★★★



かぐや姫「うんうん、なるほどね。」

カルシファー「この試験デザインによって被験薬及びもう一つの薬剤の単独使用時、並びにこれら2薬剤の各用量との組合せにおける用量反応関係を示すことができ、また、一つ又は複数の配合比の情報を得ることができるってわけよ。」

かぐや姫「結構、大変そうな試験になりそうだけど・・・・・・・。」

カルシファー「これらの試験において、すべてのグループのデータを用いることにより、反応曲面関係(response surface relationship)を示すことができる。」

かぐや姫「なるほど。」

カルシファー「低用量同士の組合せを用いた要因試験も必要な場合がある。」

かぐや姫「そうね。薬を併用するわけだから、低用量での検討も重要よね。」

カルシファー「配合剤の安全性と有効性は、各薬剤の単独治療では効果が不十分な症例を対象として、それらの薬剤を組み合わせた際の効果を検討することにより評価することができるわ。」

かぐや姫「は〜〜い、頑張ります!」


●降圧剤の種類
   ↓
http://hobab.fc2web.com/sub6-Anti_Hypertension_Drugs.htm




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2011年08月10日

降圧剤の治験で安全性の評価

かぐや姫「高血圧の薬は慢性的に使うわけだけど、この点に注意することはある?」

カルシファー「ICH E1においては、長期に使用される薬剤の場合には、通常約1,500例のデータベース(6ヶ月間について300例ないし600例、1年間について100例)があれば十分であるとされているわね。」
     ↓
『致命的でない疾患に対し長期間の投与が想定される新医薬品の治験段階において安全性を評価するために必要な症例数と投与期間について』
     ↓
http://www.pmda.go.jp/ich/e/e1_95_5_24.pdf


かぐや姫「そうか。いわゆる『長期投与試験』を実施する必要があるわけね。6か月投与で300症例、1年投与で100症例が必要になると。」

カルシファー「降圧剤の治験の場合、通常の安全性の評価に加え、血圧の過度な低下(低血圧)、起立時の変化(起立性低血圧)及びリバウンド現象についての注意が必要よ。」


かぐや姫「うん。ホーライ社長も降圧剤を飲んでいるけれど、『立ちくらみ』が増えたと言ってた。」(←これは実話です。)

カルシファー「薬剤の作用の特徴あるいは観察された事項にもよるけれど、心調律や心伝導系への作用、冠血流スチール現象、心血管系の危険因子に及ぼす影響(血糖値及び脂質レベル等)も見ることも重要ね。」

かぐや姫「なるほど。そりゃそうだわね。高血圧の薬だからね。」

カルシファー「さらに、心臓、腎臓等の主要臓器に及ぼす影響を検討することも重要よ。」



●他の降圧薬との併用療法

かぐや姫「ほかの降圧剤との併用療法についても検討したいんだけど。」

カルシファー「高血圧の治療にはしばしば併用療法が用いられるので、新薬の併用療法についても、その効果と安全性を調べることは重要よね。」

かぐや姫「そうそう。結構、併用されるからね。」

カルシファー「併用療法についての情報は、要因試験(後述)、並びに長期及び短期の臨床試験における併用使用により得ることが可能よ。」

かぐや姫「上乗せ試験は?」

カルシファー「ある降圧薬により血圧を適切にコントロールできない患者を対象とした試験により、当該薬剤に被験薬を上乗せした際の情報を得ることができるわね。」

かぐや姫「そうなのよ。」

カルシファー「適切な反応を得るために、被験薬に他の薬剤を上乗せする試験も有用なことがあるから、検討しておいて。」




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2011年08月09日

降圧剤の治験の用量反応試験

かぐや姫「降圧剤の治験で、用量反応試験はどうなの?」

カルシファー「降圧薬の降圧作用及びその他の作用についての用量反応関係を、ランダム化した固定用量を用いた用量反応試験により、詳しく検討する必要があるわ。」

かぐや姫「もちろん、用量反応関係を見るわけね。」

カルシファー「これらの試験においては、用量群を増やすことにより、より適切な評価が可能となる。」

かぐや姫「うん。これは他の治験にも言える。」

カルシファー「できれば、プラセボに加え少なくとも3用量の試験が必要である。」

かぐや姫「と言うことは、全部で4群か。」

カルシファー「通常、これらの試験には、ランダム化した固定用量の並行群間比較が用いられるが、プラセボを対照薬とした漸増試験法が用いられることもある。」

かぐや姫「漸増試験も可能か。」

カルシファー「これらの用量反応試験により、用量反応曲線の重要な部分、すなわち、最小有効用量、用量反応曲線の急峻な部分を明らかにするわけ。」

かぐや姫「そうね。」

カルシファー「さらに、増量してもそれ以上の効果がないか又は増量効果が小さくなる時の用量(最大有効用量)を明らかにすることが必要よ。」

かぐや姫「了解。」





●標準治療法との比較

かぐや姫「フェーズ3は?」

カルシファー「もちろん、新薬を現在用いられている標準的治療法と比較する試験の必要性は高いわよ。」

かぐや姫「ですよね。」

カルシファー「降圧効果を評価するためには、これらの試験において分析感度を確かめるためプラセボ群を置くか、あるいは終了期にプラセボを対照としたランダム化治療中止の時期を設ける必要があるわ。」

かぐや姫「へ〜〜!終了期にプラセボを置くのか・・・・・・。これは降圧剤の治験の特徴ね。」

カルシファー「短期間の試験においては、3群(被験薬群、実対照薬群及びプラセボ群)の比較試験は、その薬剤の有効性を示すのみならず、標準治療との比較をも可能にするので、特に有用よ。」



●長期試験

カルシファー「長期試験は長期の安全性評価に必要であるよ(後述)。」

かぐや姫「うん。納得する。」

カルシファー「その際に実対照薬を用いることにより、被験薬の長期効果の特徴をより明確にすることができる。」

かぐや姫「そうなんだ。実薬を対照とした長期試験も重要か。」

カルシファー「この場合には、分析感度の確認及び治療中止の影響を評価するために、治療期の終了時にプラセボを対照としたランダム化治療中止試験を行うことが望ましいわ。」

かぐや姫「ここでも、終了時にプラセボを置くのね。」

カルシファー「実対照薬を用いる長期試験で分析感度を検証するためのもう一つの方法は、被験者を最初に3群(被験薬群、実対照薬群及びプラセボ群)に分け、プラセボは短期間(例えば1ヶ月)に限るという方法よ。」

かぐや姫「なるほど、なるほど。」

カルシファー「長期の非盲検試験においても、引き続きプラセボを対照としたランダム化治療中止試験を行うことにより、長期の有効性を示すことができるわよ。」




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2011年08月08日

高血圧の治験の薬物動態試験及び薬力学的試験

かぐや姫「降圧剤の薬物動態試験はどうなの?」

カルシファー「薬剤の吸収・分布・代謝・排泄は薬剤により異なるので、健康成人における薬物動態試験は必須である。」

かぐや姫「そりゃそうよね。」

カルシファー「また、高血圧患者についての薬物動態に関する検討も必要である。」

かぐや姫「そうか、患者さんを使っての薬物動態試験も必要なのか。」

カルシファー「さらに、腎障害を合併している高血圧患者での薬物動態試験は必須だからね。」

かぐや姫「了解!」


カルシファー「医薬品の臨床薬物動態試験についても参考にする必要がある。」
     ↓
http://www.nihs.go.jp/phar/material/material2/ClPkQa.pdf




かぐや姫「薬力学的な試験はどうなの?」

カルシファー「降圧薬の薬力学的な特徴を明らかにするために、血行力学的作用、腎機能に及ぼす作用、神経体液性因子に対する作用等について評価する試験が必要ね。」

かぐや姫「う〜〜〜ん、検討することがたくさんあるんだ!」

カルシファー「一般的には、その作用の強さ、用量反応関係、これらの作用の時間経過等を明らかにしておくことが有用よ。」

かぐや姫「そうね。それは他の治験でも同じね。」

カルシファー「これらの試験は、原則として、プラセボを対照として実施して。」



●高血圧の治験の降圧効果評価の基本


かぐや姫「降圧剤の治験では、その降圧降下はどう評価するの?」

カルシファー「降圧効果を評価するための試験における主要評価項目(プライマリーエンドポイント)は、対照薬群と比較した場合における被験薬群のトラフ時(次回の服薬直前)の血圧の治療前値からの変化値とします。」

かぐや姫「なるほど。トラフ値が重要となるわけか。」



★★★★★★★★★★

トラフ値とは薬物を反復投与したときの定常状態における最低血中薬物濃度。

★★★★★★★★★★



カルシファー「一般的には、試験終了時の血圧に及ぼす影響が主要評価項目であるが、効果の発現する時間的経過もまた重要である。」

かぐや姫「なるほど。継時的な変化にも注目と。」

カルシファー「この点は、1週又は2週ごとにトラフ時の血圧変化を調べることによって明らかにすることができるわね。」

かぐや姫「これらの降下はどれぐらいの期間で調べればいいの?」

カルシファー「降圧効果及び用量反応関係は、4ないし12週間の短期間の試験で検討し、またこれらの短期間の試験においては、プラセボを対照として使用します。」

かぐや姫「じゃ、4週間でもいいわけか。プラセボ対照は必須なの?」

カルシファー「血圧測定は、次の理由から降圧効果を厳密に評価するための試験においては、プラセボを対照とした二重盲検比較試験が必須よ。」


■無拘束下血圧測定(ABPM)による測定を除き系統的な偏り(バイアス)を生じやすいこと

■血圧の自然変動が大きい場合があること

■また、被験薬の効果がしばしば小さいことがあること(収縮期あるいは拡張期血圧の変化がプラセボに比べて4ないし5 mmHg程度の差しかないこともある)




●血圧日内変動測定

かぐや姫「血圧の日内変動を測定したいんだけれど、これはどうすればいい?」

カルシファー「血圧日内変動測定には、自動血圧測定装置による家庭血圧測定を利用できる場合があるが、その場合には測定装置の精度検定が必要である。」

かぐや姫「そっか。装置の精度を検定しておくことね。」

カルシファー「さらに、ピーク時とトラフ時の血圧が著しく異なる場合には、投与回数を増やした試験において降圧効果のトラフ/ピーク比(T/P比)を評価します。」

かぐや姫「無拘束下血圧測定(ABPM)を採用するときの注意点は?」

カルシファー「ABPMを実施する際には、血圧の測定間隔、患者の状態等の測定法を詳しく記載し、標準化しておく必要があるわね。」




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2011年08月06日

高血圧の新薬開発計画(治験計画)を練る

参考「降圧薬の臨床評価に関する原則について」
     ↓
http://www.pmda.go.jp/ich/e/e12a_02_1_28.pdf



かぐや姫「高血圧の治験を予定しているんだけれど、どうすればいいの?」


カルシファー「まずね、降圧薬の有効性評価の基本は、薬剤の収縮期血圧及び拡張期血圧に対する効果を見ることなのね。」

かぐや姫「ふんふん。なるほど。それで?」

カルシファー「これまでの種々の予後試験では、利尿薬、β遮断薬等による治療は、心血管疾患の死亡率及び罹病率を低下させること、そしてこれらの効果は脳卒中について顕著であることが示されているのよ。」

かぐや姫「だから、まずは血圧の降下作用を調べるってことなのね。」



●高血圧の治験の試験対象集団


かぐや姫「降圧剤の治験の対象集団はどうなるの?」

カルシファー「新しい降圧薬の評価のための試験においては、まずは、多様な背景を有する本態性高血圧患者を対象とすべきであることを覚えておいて。」

かぐや姫「うん。いろんなタイプの高血圧の患者さんがいるものね。」


カルシファー「それに、試験の目的と特徴に応じて適切に被験者を選ぶことが重要なのよ。」

かぐや姫「なるほど。それは他の領域の治験でも一緒だわ。」

カルシファー「多くは軽症ないし中等症の高血圧症例であり、拡張期血圧と収縮期血圧の両者の上昇を示す症例が含まれることが望ましいと言われている。」


かぐや姫「そうか。血圧の高い方と、低い方の両方が高血圧の範囲に入る人がいいわけか。」

カルシファー「それとね、脳卒中、冠動脈疾患あるいは糖尿病等の関連する合併症を有する症例については、それらの患者の治療に必要な薬剤が当該試験の評価に影響を与えない限り、治験に組み入れるのよ。」

かぐや姫「うんうん。高血圧と関係が深い疾患だものね。治験の段階から、そういう患者さんに対する効果も見るわけだ。」

カルシファー「この時は、被験薬が合併症の治療に影響しないことに注意して。」

かぐや姫「もちろん、そうよね。」

カルシファー「年齢の上限については、一般的な治験と違って、降圧剤の治験の場合、高齢者については75歳を超える症例も含める必要があるからね。」






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