2011年08月04日

抗がん剤の治験のまとめ

Atsu-4「抗がん剤の治験の第1相臨床試験の段階では人間への有効性も副作用も未確認なので、必ずしも治療効果が期待できるとは限らない。」

百年の孤独「対象となった患者さんは副作用のみ経験し、何の効果も得られないということもある。」

Atsu-4「第1相臨床試験ではすでに確立した治療法により手を施し尽くした末、「ほかに治療の手立てがない」という患者さんから治験参加の希望者を募ることになる。残酷なような気もするけれど・・・・・・。」

百年の孤独「薬剤はどのがんに効くかわからない段階なので、肺がんの患者さんとか乳がんの患者さんというふうに特定しない。」




Atsu-4「第1相臨床試験で被験者に最初に投与してみる量を「スターティング・ドーズ」という。この量は通常、マウスや犬を使った動物実験から、「体重あたり、あるいは体表面積あたり××ミリグラム」という形で決められる。」

百年の孤独「十分に安全な量を選んで決められるので、その量では通常有効性の面ではほとんど期待できない。そこで一定のルールに従って、投与量を増やしていくようになっている。」

Atsu-4「まずスターティング・ドーズで3人の患者さんを対象に投与して、副作用の種類や程度を調べる。」

百年の孤独「そして、重大な副作用がなければ別の3人に対して2倍の量を投与し、それでも重大な副作用がなければ、さらに別の3人にその1.5倍増量して、さらに次には別の3人に1.2倍に増量して投与するというふうにどこまで増やしたら重い副作用が出るかを見極めていくのだ。」

Atsu-4「もし3人のうち1人でも重い副作用が出れば、その段階でさらにその量の薬剤の投与を行う3人に追加して計6人で検討する。」

百年の孤独「その6人のうち、副作用が2人以下なら、次の投与量に進むが、3人以上の患者さんに副作用が出ると、その投与量を「最大耐用量」とする。」

Atsu-4「それ以上の投与量では、3分の2以上の患者さんに重い副作用が出る可能性が高くなって耐えられないと考えられるわけだ。 」




Atsu-4「抗がん剤の有効性(腫瘍縮小効果)は、抗がん剤を投与したことにより、完全寛解(CR)と部分寛解(PR)を示した患者さんが全体の何パーセントを占めるかで判定する。」

百年の孤独「例えばある抗がん剤を50人の患者さんに注射したとき、CRとPRを示した患者さんが20人いたとすればその抗がん剤の「腫瘍縮小効果は40パーセントである」という言い方をする。 」



Atsu-4「第3相試験は患者さん自らが治療を体験する中で、総合的な治療効果をみる試験でもある。」

百年の孤独「それは症状の緩和効果といったQOL(生活の質)など質的な問題を評価する試験でもあるのだ。 」




Atsu-4「がんを克服するためには、科学的な研究は欠かせません。その科学的な研究のひとつが人間を対象とした臨床試験です。」

百年の孤独「実際、ここ50年のがん治療をはじめ、検査、がんの発生、進行のメカニズムなどにおける飛躍的な発展は、臨床試験なくしてはあり得ませんでした。この点は誰もが認めるところでしょう。 」

Atsu-4「しかし、臨床試験に参加する患者さんにとって、個人的なメリットはあるのでしょうか。」


・その分野の専門医師による治療を受けられます。

・まだ広く使われていない、最新の治療を受けられます。

・治験中、いつも以上にあなたの状態をチェックします。

・もしこの治療が有効なものだったら、あなたは誰より早くその恩恵を受けられます。



百年の孤独「もちろん、このようなメリットだけではありません。患者さんにとってデメリットもあります。」



・新しい治療は医師も知らない副作用などがあるかもしれません。

・治療の効果や安全性が、現在の一般的な治療より劣っているかもしれません。

・新しい治療があなたに対しては、有効でないかもしれません。




Atsu-4「その他、モニターで言えば、自分が担当する領域の一般的な治療方法を知っておく必要がありますね。」

百年の孤独「抗がん剤の名前と特徴も覚えておかないとね。」
     ↓
http://www.anticancer-drug.net/molecular/


Atsu-4「今や、日本人の2人に1人がガンにかかる時代です。この分野の治験や研究が活発になることを期待しています。」





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2011年08月03日

抗がん剤の治験の大変さとは・・・・・・・

フラワー「抗がん剤の治験を実施していて、本当に、心底思うのは、新薬開発には、患者さんのボランティア精神で成り立っているってこと。再認識される。」

まきろん「なぜ?」

フラワー「だって、抗がん剤のフェーズ1は、患者さんを対象にやるでしょ?」

まきろん「そうだね。」

フラワー「その抗がん剤のフェーズ1の最初の患者さんは、「効果」が期待できるほど用量が高くないのよ。完全に抗がん剤のPKだけのために投与される、という可能性が高い。」

まきろん「それに、フェーズ1では、『これ以上、投与したら生命が危険』っていうところまで投与されるのよ!!」

フラワー「うん。患者さんには副作用が必ず出ている、っていう状態だ。」




まきろん「抗がん剤では、そのボランティア精神が強く出るけれど、本当は、他の治験薬でも、そうなのよ。」

フラワー「そうだよね。文字通り「命がけ」で治験に参加してもらっている。」

まきろん「だからさ、『本例はプロトコル逸脱なので、有効性のデータは不採用とします』なんて言ったら、それは患者さんにとって、失礼だよね。」




まきろん「抗がん剤の治験った、大変だと聞くけれど、そうなの?」

フラワー「そうね。有害事象は必発だし、死亡例もありうる。」

まきろん「そうなるとSAEの報告書の報告が多い。そうなると、チェックすべき資料が多くなる。」

フラワー「治験に参加した患者さんが死亡した場合、それが抗がん剤のせいなのか、それとも、もともとの腫瘍死なのか、の判断を医師にしてもらわないといけない。」

まきろん「効果安全性評価委員会を定期的に開催する。すると、その資料作成も大変だ。」

フラワー「効果が出るような患者さんを登録してもらわないといけない。」

まきろん「本当に大変だ。」

フラワー「でも、やりがいがあるとも言える。」

まきろん「うん。ガン組織が消えた時はモニターも嬉しいよ。」





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2011年08月02日

抗がん剤の治験・・・第3相臨床試験

まひな「第V臨床試験は、より優れた標準的治療法を確立するために行われる臨床試験である」

ヨ−イチ「第U臨床試験において安全性と腫瘍縮小効果、又は何らかのメリット(症状緩和効果等)が確認された新規抗悪性腫瘍薬の単独又は併用療法と適切な対照群との比較試験だね。」

まひな「第V臨床試験では、生存率、生存期間等をプライマリーエンドポイントとし、他の適切なエンドポイントとして安全性、妥当性の評価された方法による症状緩和効果やQOL(Quality of Life)等に関する評価を行い、これらに対し何らかの有用性が示される必要がある。」



ヨ−イチ「抗がん剤のフェーズ3の対象疾患の選定と試験計画は?」

まひな「第U相試験が行われた癌腫で有効性と安全性が確認された場合は、その癌腫について新規抗悪性腫瘍薬の臨床的有用性を生存率等のエンドポイントを用いて適切な対照群と比較検討する」

ヨ−イチ「第V相比較試験では、被験薬群に対応する対照群を設け、ランダムに割付け、薬剤の特性に応じて適切かつ可能ならば二重盲検法を採用する。」


まひな「対照群としては、対象癌腫に対する標準的併用療法の有無や患者の状態等によって、プラセボ投与群、対症療法群、標準的治療法群等がある。これらは医学的、科学的、倫理的に妥当なものでなければならない。」



ヨ−イチ「抗がん剤のフェーズ3の効果判定規準は?」

まひな「主要な評価変数は、生存率又は生存期間等である。」


ヨ−イチ「生存期間が延長されるか、も見るのね。」

まひな「そういうことだ。」

ヨ−イチ「最近では乳がんの治療薬で、生存期間の延長が期待できる新薬も出た。」
   ↓
新規抗がん剤「エリブリン」局所再発性・転移性乳がん患者様を対象とした第III相試験において全生存期間を延長
   ↓
http://www.eisai.co.jp/news/news201026.html




まひな「癌を縮小させるからと言って、必ずしも、生存期間が延長されるとは限らない。」

ヨ−イチ「副作用が強く出る可能性もあるので、抗がん剤治療は拒否する、というのも、患者の選択肢だ。」


まひな「世界中で毎年100万人を越える女性が乳がんと診断されています。この患者の約50%が15年以内に再発性・転移性乳がんと診断され、転移性乳がんの患者が5年以上生存できるのは5人に1人と言われています。」

ヨ−イチ「まだまだ、抗がん剤の治療効果は十分じゃないってことね。」

まひな「画期的な抗がん剤の登場を期待します。」




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2011年08月01日

抗がん剤の臨床開発・・・第2相臨床試験について

(フィクションです。)

●参考:「抗悪性腫瘍薬の臨床評価方法に関するガイドライン」
      ↓
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/171101-b.pdf




ゆーり「抗がん剤の開発だけど、第2相臨床試験では、第T相試験より決定された用法・用量に従って、対象とする癌腫における治験薬の臨床的意義のある治療効果、及び安全性を評価することになります。」

トトロ「第U相試験における臨床的意義のある治療効果とは、通常、一定の規準で評価される腫瘍縮小効果を指します。」

ゆーり「対象となる患者さんは?」

トトロ「まず、当たり前だけど、組織診又は細胞診により悪性腫瘍であることが確認されていることね。」

ゆーり「その上で、従来の標準的治療法ではもはや無効となってしまった患者さんね。」

トトロ「有効な既存の抗悪性腫瘍薬が無い癌腫、又はそれに相当すると考えられる癌腫(既存の抗悪性腫瘍薬の有効率が低く、適切な併用療法もないもの)では、初回治療例を対象として治験を行う。」


ゆーり「その他にも特に注意を有するのは、生理機能(造血器、心臓、肺、肝、腎等)が十分保持されていること。ただし、PS3、4の症例は除外する。」

トトロ「PSとは?」

ゆーり「PSとは以下のものです。」



PS(performance status  パフォーマンス ステータス)

全身一般状態の程度を、下記の0〜4の5段階で評価する指標。

0: 社会活動ができ、制限を受けることなく発病前と同等にふるまえる。

1: 肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や坐業はできる。

2: 歩行や身の回りのことはできるが、軽労働はできない。日中50%以上起居できる。

3: 身の回りのある程度のことはできるが、日中50%以上就床している。

4: 歩行や身の回りのある程度のこともできず、終日就床を必要とする。




ゆーり「抗腫瘍効果と副作用が観察できるよう、十分な期間(少なくとも2ヵ月以上)の生存が期待できること。」


トトロ「もし、プライマリーエンドポイントが腫瘍縮小効果である場合は、薬剤の腫瘍縮小効果を定量的に測定するために、客観的に測定可能な病変を有する患者さんを選ぶ必要がある。」


ゆーり「ところで、フェーズ2では、どういう癌種に投与できるの?」

トトロ「第T相試験で効果が認められた腫瘍、既存の抗悪性腫瘍薬との類似点やヒトがん細胞及びそれに由来する培養株等を用いた非臨床薬効薬理試験の結果等に基づいて、効果が期待できると考えられる癌腫を対象に試験を行う。」



ゆーり「統計解析はどうするの?」

トトロ「明確に規定された対象患者で有効率を推定し、算出された推定値の精度(信頼区間等)を頑健性のある方法で算出する。」

ゆーり「また、腫瘍縮小効果を評価する際には、治験薬の投与の有無によらない全適格例、又は適切な場合には治験薬の投与を受けた適格症例を対象とし、奏効率(割合)を算出すること。」



トトロ「抗がん剤の治療に関する評価?」

ゆーり「それは、RECIST(Response Evaluation Criteria In Solid Tumors)による効果判定規準等を標準とします。」
     ↓
http://www.jcog.jp/doctor/tool/C_150_0010.pdf


トトロ「個々の症例の効果判定は、原則として判定委員会のような当該施設以外の組織の確認を受けることが望ましい、とされている。」

ゆーり「GCPで言う『効果安全性評価委員会』(独立データモニタリング委員会)ね。」


トトロ「で、その効果判定規準とは?」

ゆーり「次のようになります。」


●完全奏効(complete response; CR):すべての標的病変の消失。

●部分奏効(partial response; PR):ベースライン長径和と比較して標的病変の最長径の和が30% 以上減少。

●進行(progressive disease; PD):治療開始以降に記録された最小の最長径の和と比較して標的病変の最長径の和が20% 以上増加。

●安定(stable disease; SD):PR とするには腫瘍の縮小が不十分で,かつPD とするには治療開始以降の最小の最長径の和に比して腫瘍の増大が不十分。




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2011年07月30日

抗がん剤の新薬開発計画を練る・・・抗がん剤のフェーズ1

(フィクションです。)


港野陽子「今日は、当社の新規抗がん剤のHORAIGAN001について開発計画を練ります。」


みかん「参考となるのは抗悪性腫瘍薬の臨床評価方法に関するガイドラインね。」
      ↓
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/171101-b.pdf



港野陽子「基本的な開発の流れは次のとおりです。」



第T相臨床試験では主として安全性を検討。

第U相臨床試験では腫瘍縮小効果等の有効性と安全性を検討。

第V相臨床試験では延命効果等を中心とした臨床的有用性を検討する。

承認後の製造販売後臨床試験を通じて、当該薬剤を系統的に評価するために、対象疾患、治療体系における当該薬剤の位置づけや海外での開発状況を十分に検討する。




港野陽子「抗がん剤の新薬の開発に関して、参照とすべきガイドラインと通知は次のものがある。」


●ICH E8ガイドライン「臨床試験の一般指針」

●ICH E5ガイドライン「外国臨床データを受け入れる際に考慮すべき民族的要因について」

●「外国で実施された医薬品の臨床データの取扱いについて」(平成10年8月11日医薬発第739号)が発出されたことにより、国外で既に承認されている抗悪性腫瘍薬、又は信頼できる国外での臨床試験成績が得られている治験薬では、これらの成績及び国内臨床試験成績を基に承認申請資料を作成することが可能となった。

このため、海外で臨床開発が先行している抗悪性腫瘍薬については、海外試験成績の導入を考慮し、ICH E5ガイドラインに基づいて迅速に国内開発が進むような臨床開発計画を立案することを検討する。




港野陽子「抗がん剤の承認申請時の第V相試験成績の提出についてだけど、患者数が多い癌腫を対象とした抗悪性腫瘍薬では、延命効果等の明確な臨床的有用性の検証が必須なのよね。」

みかん「つまり、当社の抗がん剤の開発で、非小細胞肺癌、胃癌、大腸癌、乳癌で、取得を目的とする効能・効果の癌腫のうち、その患者数が多い癌腫では、それぞれの癌腫について延命効果を中心に評価する第V相臨床試験の成績を承認申請時に提出することを必須だ。」

港野陽子「これらの癌では『癌組織』の縮小だけでなく、延命効果を見るわけね。」

みかん「ただね、抗がん剤の場合、他の新薬とは違って、第U相臨床試験終了時において高い臨床的有用性を推測させる相当の理由が認められる場合には、第V相臨床試験の結果を得る前に、承認申請し承認を得ることができるのよ。」

港野陽子「へー!!そうなんだ。抗がん剤の場合、フェーズ2までで新薬製造販売の申請ができる場合もあるのね。」

みかん「ただしね、その場合でも、承認後一定期間内に、第V相臨床試験の結果により速やかに、当該抗悪性腫瘍薬の臨床的有用性及び第U相臨床試験成績に基づく承認の妥当性を検証しなければならないとなっている。」

港野陽子「この第V相試験の実施場所に関しては国内外を問わないから、海外での実施でもいい。さらにさらに!海外に信頼できる第V相試験成績が存在する抗悪性腫瘍薬は、承認申請前に国内で実施する臨床試験数を最小限とし、効率よく、かつ迅速に当該薬剤の導入が図れるように臨床開発計画を立案すべきと言われている。」



●●● 抗がん剤の第T相臨床試験 ●●●

港野陽子「抗がん剤のフェーズ1では、次のことを見ます。」

a) 至適用量(optimal dose )又は臨床上適切な用量、例えば最大耐量(MTD: maximumtolerated dose)、最大許容量(MAD: maximum accepted dose)の推定

b) 薬物動態学的検討

c) 第U相試験で推奨される投与量の決定

d) 治療効果の観察

e) 治療効果を予測するマーカーの探索(分子標的薬等)



みかん「抗がん剤のフェーズ1は、どういった施設でやるの? 一般的な新薬の治験のいやゆる『フェーズ1施設』では無理だよね?」

港野陽子「無理無理! 抗がん剤のフェーズ1な、『がんセンター』などのがん治療の専門病院でやる。」



みかん「抗がん剤のフェーズ1では創薬ボランティアの方は、健常人では駄目なんでしょ?」

港野陽子「うん。副作用が強すぎるので、健常人では治験ができない。だから、がん患者さんにお願いする。それも、一般的に認められた標準的治療法によって延命や症状緩和が得られる可能性のあるがん患者を対象とすべきではない、とされている。」


みかん「開発のデザインはどうするの?」

港野陽子「単回投与(1コース投与)における安全性の確認のみならず、反復投与での蓄積毒性の有無及び安全性を確認しておく必要がある。安全性を十分に確認するってことね。」




みかん「抗がん剤のフェーズ1の評価指標(エンドポイント)はどうなるの?」

港野陽子「至適用量又は臨床上適切な用量。例えば最大耐量(MTD)又は最大許容量(MAD)、及び用量制限毒性(DLT: dose-limiting toxicity)を規定する必要がある。」

みかん「最大耐量(MTD)又は最大許容量(MAD)とは何?」

港野陽子「最大耐量(MTD)又は最大許容量(MAD)は、文字通り、『これ以上の投与量では患者に危険が出る』という投与量を見極めるのよ。」

みかん「じゃ、用量制限毒性(DLT: dose-limiting toxicity)とは何?」

港野陽子「最大耐量(MTD)又は最大許容量(MAD)の理由となる副作用のこと。たとえば、この抗がん剤では副作用として『浮腫』が出るけれど、100mg以上投与すると、その浮腫が生命維持の危険になる、というような場合、『この抗がん剤のDLTは浮腫です』となるわけ。」



みかん「その他のフェーズ1の評価指標(エンドポイント)は?」

港野陽子「次のものね」


・薬物動態(PK)及び薬物動態/薬力学(PK/PD)の評価

・腫瘍縮小効果


みかん「フェーズ1なのに、『腫瘍縮小効果』も見るの?」

港野陽子「うん。でも、このフェーズ1で縮小効果が出なくても、フェーズ2に進めることもできるんだけどね。」

みかん「さらに、増量方法だけど、投与量は薬剤使用の制限となる毒性が耐えられる範囲又は許容できる範囲までとする。」

港野陽子「ただし、毒性が少ない場合は治療効果の明らかな徴候を生じるレベル又は事前に定めたレベルまで慎重に増量する。」



みかん「一般的な増量計画としては伝統的方法であるFibonacciの変法を用いることもあったが、増量計画については、科学の進歩に従って最も適切なデザインを採用することが可能である。」

港野陽子「原則として1コース目に出現する毒性で増量や最大耐量(MTD)の1次判断を行うが、2コース目以上で出現する毒性も評価し、増量や最大耐量の1次判断の修正を行い、最終的に判断する。」

みかん「例えば、各々の用量段階には少なくとも3例のコホートによる観察を行い、Grade 3以上の薬剤との関連性を否定できない有害事象の発現が経験された場合、その段階にさらに少なくとも3例を加えた6例以上で検討を行う。各々の用量での有害事象の観察期間が終了し、解析結果が評価されるまで次の段階に増量しない。」

港野陽子「当たり前だけど、抗がん剤の治験って厳しいのね。」



みかん「その抗がん剤の増量だけど、原則として同一患者での治験薬の増量は行わない。」

港野陽子「ただし、当該患者で治験薬の有効性が確認され、当該治験薬しか有効な治療薬がなく、治療継続を患者が希望する場合等では、同一患者での増量投与を検討する場合もある。」



みかん「第T相臨床試験が終了した時点で、以下の事項についての検討が終了していることが望ましい。」


・治験薬の投与経路、投与スケジュール

・最大耐量(MTD)又は最大許容量(MAD)

・用量制限毒性(DLT)

・薬物動態と毒性の関連性

・第U相試験における推奨用量

・副作用の発現を回避、又は軽減する予防方法

・治療効果を予測するマーカー(分子標的薬等)





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