2014年01月15日

治験依頼者への改善すべき事項:モニタリング

今週は総合機構が10月24日(東京)と10月28日(大阪)に開催した「GCP研修」の資料を見ていきます。


●平成25年度GCP研修会資料
    ↓
http://www.pmda.go.jp/operations/shonin/outline/shinrai/kenshushiryo.html#gcp



●医薬品の適合性書面調査及びGCP実地調査について
    ↓
http://www.pmda.go.jp/operations/shonin/outline/shinrai/file/h25gcp/iyakuhin_gcp.pdf




「新医薬品のGCP実地調査実績の推移」が22頁目にあります。

最近は、だいたい、80件〜100件ぐらいの実地調査が行われているのですね。

GCP実地調査の評価結果(H24年度)では、概ね「適合(改善すべき事項なし)」ですが、12%で「改善すべき事項あり」があります。

もし、「改善すべき事項あり」があった場合、その情報を組織(会社)の中で共有しているかどうかです。

繰り返し、同じ指摘事項を受けないように組織をあげて改善に取り組みましょう。




「治験依頼者への改善すべき事項の項目別推移」(24頁目)を見ると、治験依頼者に対する指摘は減少傾向にありますね。

内訳として、たとえば「モニタリング」に関連する項目として下記があがっています。(25頁目)


●資料保管の不備

●原資料と症例報告書の不整合

●治験実施計画書からの逸脱



「モニタリング不備」の中にも「把握していない」、「把握していたが、了承をしている」、「モニタリング報告書等に適切な記録を残していない」があります。

ここで「把握していたが、了承をしている」を考えてみましょう。

たとえば、併用禁止薬の中に「フェノチアジン系薬剤」があったとします。

治験中に治験責任医師からモニターに電話があり「PL顆粒を服用しているけれど、大丈夫だよね?」と聞かれて、「はい、大丈夫です」と答えたりした場合ですね。


「PL顆粒」は配合剤であり、下記の成分が配合されています。

・サリチルアミド

・アセトアミノフェン

・無水カフェイン

・プロメタジンメチレンジサリチル酸塩


上記のうち、「プロメタジンメチレンジサリチル酸塩」が「フェノチアジン系薬剤」なのですね。


併用禁止薬としては「配合剤」と「手術」が有った場合は特に注意しましょう。

手術の時には前投与で、いろんな薬が処方されますからね。




また「未知重篤な副作用情報の実施医療機関への伝達遅延」は被験者の安全性確保に多大なる影響を及ぼしますので、速やかに伝達しましょう。

「速やかに」とか「直ちに」というけれど、いったいどれくらいなの?ということは会社のSOPに記載されていると思いますので、この際、再度確認しておきましょう。

(通常、「直ちに」とは1カ月以内を指すようです。)




「医療機関種別調査対象数の推移」が30頁目にありますが、「診療所」が多いですね。開発されている新薬に生活習慣病の薬が多いせいでしょうか。


「新医薬品の海外調査」が31頁目にありますが、アメリカが多いのは当然として、欧州、アジアと各地に散らばっていますね。



最後に・・・・以下のことが最後の頁(45頁目)にあります。


リスクに基づくSDV手法:

治験の目的に照らしたデータの重要性や被験者の安全確保の観点から、当該治験の品質に及ぼす影響を考慮し、あらかじめ定められた方法に従って抽出したデータ(データ項目に限らず、症例、医師、実施医療機関及び来院時期等も含む。)を対象としてSDVを行う方法.



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2014年01月11日

新医薬品の適合性書面調査における調査結果

今週は総合機構が10月24日(東京)と10月28日(大阪)に開催した「GCP研修」の資料を見ていきます。

●平成25年度GCP研修会資料
    ↓
http://www.pmda.go.jp/operations/shonin/outline/shinrai/kenshushiryo.html#gcp


●医薬品の適合性書面調査及びGCP実地調査について
    ↓
http://www.pmda.go.jp/operations/shonin/outline/shinrai/file/h25gcp/iyakuhin_gcp.pdf



基本的なことから復習すると「適合性書面調査及びGCP実地調査によるデータの信頼性の確認」とは(7頁目)

施設から回収したCRFのデータと施設の原データとの信頼性を確認するのが「GCP実地調査」。

一方、治験依頼者側に保存されているCRF等と当局に「製造販売承認申請」した時の資料との間の信頼性を確認するのが「適合性書面調査」になるわけですね。

「原資料から承認申請資料までの信頼性を保証 (GCP、薬事法施行規則第43条信頼性の基準)」です。



ちなみに「薬事法施行規則第43条」にはこんなことが書かれています。

  ↓

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(申請資料の信頼性の基準)


第四十三条  


法第十四条第三項 後段(同条第九項 において準用する場合を含む。)に規定する資料は、医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令 (平成九年厚生省令

第二十一号)、医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令 (平成九年厚生省令第二十八号)、医療機器の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令 (平成十七

年厚生労働省令第三十七号)及び医療機器の臨床試験の実施の基準に関する省令 (平成十七年厚生労働省令第三十六号)に定めるもののほか、次に掲げるところにより、収集され、かつ、作成されたものでなければならない。


一  当該資料は、これを作成することを目的として行われた調査又は試験において得られた結果に基づき正確に作成されたものであること。


二  前号の調査又は試験において、申請に係る医薬品又は医療機器についてその申請に係る品質、有効性又は安全性を有することを疑わせる調査結果、試験成績等が得られた場合には、当該調査結果、試験成績等についても検討及び評価が行われ、その結果は当該資料に記載されていること。


三  当該資料の根拠になつた資料は、法第十四条 の規定による承認を与える又は与えない旨の処分の日まで保存されていること。ただし、資料の性質上その保存が著しく困難であると認められるものにあつてはこの限りではない。


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実地調査や書面調査は承認申請から3〜4ヶ月で実施されているようです。(8頁目)

これまた、基本的な事項の復習ですが「信頼性調査」はまず、調査をする試験(治験)が決定されます。

普通はピボタル(pivotal)な治験が選ばれる傾向が高いので、フェーズ3が調査される可能性が高くなります。

さて、調査する治験が決まったら、今度は調査の対象となる施設(治験実施医療機関)が選定されます。

どの施設が選ばれるかはケースバイケースですね。

ここ数年間で何回も調査になっている施設よりは、まだ実施されていない施設が選ばれるでしょうし、症例数が多いとかSAEが多発している施設とか、まぁ、いろいろですね。

施設が選ばれたら、今のところ、実地調査ではその施設の全症例がチェックされるようです。(もちろん、例外もありますが、全症例だと思っていたほうがいいです。)

書面調査では1施設、だいたい20%程度を抜き取ってやっているようです。(9頁目)



昔は書面調査と言えば、CRF等を総合機構まで運びこんでやっていましたが、最近は「企業訪問型書面調査」が増えているようです。(15頁目)

ありがたいことです。



さて、「新医薬品の適合性書面調査における調査結果(H24年度)」が17頁目にあります。

「照会なし」が70%です。

「通知事項あり(結果の信頼性に影響を及ぼす事項又は改善すべき事項とされた場合)」が10%です。

「適合性書面調査の照会事項内訳(H24年度)」が18頁目にありますが、「外部委託機関における記録の保存」に問題が多いようですね(紹介事項のうち45%が該当)。


新薬が承認されるまでは原資料を「外部委託機関」に保存しておいてもらうようお願いしましょう。



「新医薬品の適合性書面調査における照会事項の事例」が19頁目にあります。

最近の治験ならではの問題もあります。

   ↓

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・電子データの取り扱い・・・監査証跡の保存の適切性

・症例報告書の署名・・・eCRFにおける治験責任医師による電子署名が保証するデータの範囲

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より具体的な事例が20頁目にあります。

   ↓

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●承認申請資料として中間報告書が提出されたが、その根拠となった症例報告書に対して治験責任医師が記名押印又は署名をしていなかった。

●中間報告書を作成する際にも、治験責任医師は症例報告書を点検し、内容を確認した上で、症例報告書に署名等してください。

■■■■■■■■■■■■■■■■




「中間報告」であっても、正確なデータが要求されますので、治験責任医師がデータの信頼性をきちんと担保する意味で署名をもらいましょうね。


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2012年07月20日

企業としての姿勢、あなたという人格の姿勢

今週は総合機構から指摘されたら困るでしょう! という視点で、いや、違うか、治験の信頼性や安全性に問題がありそうな事例を紹介しました。



ときどきさ、医療機関にGCP上の問題がある場合(例えば、安全性情報なのに、IRBでは迅速審査しかやらないとか)、治験依頼者側の常套文句として次のセンテンスが使われる。

●「その件に関しては、当時、再三にわたり、医療機関側に改善を要求したが、受け入れられませんでした」

●「治験責任医師に何度も説明したが、理解が得られませんでした」

・・・・・・というような答え方ね。



そういう場合はさ、サッサと、その医療機関でやっている治験を中止するべきでしょう。

「でも、そんなこと言ったって、治験責任医師の手前、やめられない」・・・・。

「営業部からの強い要望で、その病院を治験から外せない」・・・・。

はいはい。

言い訳は何でもできます。



つまり、企業としての姿勢が問われている、ということですね。

あるいは、プロジェクトリーダーとしてのあなたの姿勢、あるいはプロトコルリーダーとしてのあなたの姿勢。

あるいは、治験責任医師としてのあなたたの姿勢、治験分担医師としてのあなたの姿勢。

CRCとしてのあなたの姿勢。

治験事務局員としてのあなたの姿勢。

IRB委員としてのあなたの姿勢。

総合機構の担当者としてのあなたの姿勢。


患者はいったい、誰を信頼したらいいのだろう?



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医薬品ができるまで(治験に関する話題)

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2012年07月19日

併用禁止薬が処方されているのですが・・・(2)

治験依頼者への実地調査において


総合機構の担当官「このこの「被験者識別コードABC−3」の件で質問があるのですが。」

ホーライ「はい。」

総合機構の担当官「この患者にPL顆粒が処方されているのですが、それは把握していますか?」

ホーライ「被験者識別コードABC−3ですね・・・・・・。この方のCRFにはPL顆粒が8月7日に処方され、患者は3日間、服用した、という記録があります。」

総合機構の担当官「そうですね。ところで、この治験では制吐薬(フェノチアジン系薬剤)の併用を禁止していますね。」

ホーライ「はい。プロトコルでそう規定しています。」

総合機構の担当官「PL顆粒には「メチレンジサリチル酸プロメタジン」が配合されおりまして、これがフェノチアジン系抗ヒスタミン剤なのですが。」

ホーライ「え!!?? そうですか?」

総合機構の担当官「はい。ここに薬理の本を持ってきましたが、ここをご覧ください。」

ホーライ「・・・・・・・本当だ。」

総合機構の担当官「これはプロトコル逸脱と思うのですが、治験依頼者の見解はどうですか?」

ホーライ「・・・・・・・確かに、こういうことでしたら、プロトコル逸脱になりますね。」

総合機構の担当官「それと、治験責任医師に確認したのですが、PL顆粒を処方する時に、モニターに出してもいいかどうか、を電話で確認しており、モニターが出してもよいという答えを得たので処方していたらしいのですが、そうですか?」

ホーライ「えっと・・・8月7日のモニタリング報告書がこれですが、確かに、そういうやりとりがあった、とここに書かれています。」

総合機構の担当官「なるほど。ところで治験実施計画書には制吐薬としてフェノチアジン系薬剤の処方を禁止していますが、これは制吐薬に限らないと思いますが、どうでしょうか?」

ホーライ「そうですね・・・・・。」

総合機構の担当官「そもそも、この制吐薬(フェノチアジン系薬剤)を併用禁止にした理由は何ですか?」

ホーライ「それは、このプロトコルにも記載されているとおり、薬物代謝酵素のCYP450 2D6を本治験薬と競合してしまうので、安全性の観点から併用禁止にしています。」

総合機構の担当官「ということは、フェノチアジン系の使われ方として制吐薬だったとしても抗ヒスタミン薬だったとしても、同じでしょうか?」

「ホーライそうですね。そういう観点では抗ヒスタミン薬として使われた場合であっても併用は禁止だと思います。」

総合機構の担当官「分かりました。これは持ち帰りまして、検討致します。」




**********

後日、総合機構から、正式に書面で連絡があり、被験者識別コードABC−3のデータは解析から削除するよう求められた。

合わせて、併用禁止薬の使用等に関するプロトコル逸脱の再発防止策を治験依頼者としてどのように対応するのかの回答も求められた。

**********


私(ホーライ)の経験では「更年期障害」の効能を持つ薬の併用を禁止していたプロトコルがあった。

その治験で漢方薬の「加味逍遙散(効能に「更年期障害」がある)が処方され、モニターは気づかなかったが、監査から指摘されたことがある。

だから、併用禁止薬については本当に、十分に注意してくださいね。


ちなみに、どこの治験依頼者も併用禁止薬の一覧表を作ることがあると思いますが、その時は「薬効群」別にするのもいいですが、是非、市販名の「五十音順」も作ったほうが併用禁止薬の使用率が格段に下がって、有効です。

そのほうが薬剤師も医師も探しやすいですからね。




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2012年07月18日

併用禁止薬が処方されているのですが・・・(1)

総合機構の実地調査にて。


総合機構の担当官「この「被験者識別コードABC−3」の件で質問があるのですが。」

★治験責任医師「はい。なんでしょうか?」

総合機構の担当官「カルテによると、「被験者識別コードABC−3」には、8月7日にPL顆粒が処方されていますが、それで間違いはないですか?」

★治験責任医師「ええと、どれどれ。・・・・・・そうですね。カルテを見る限り、そのようです。」

総合機構の担当官「そうですか。」

★治験責任医師「それで?」

総合機構の担当官「はい、それでですね、今回の治験では併用禁止薬として制吐薬(フェノチアジン系薬剤)が治験実施計画書で規定されていますね。」

★治験責任医師「ええ。そうでした。」

総合機構の担当官「ところがですね、PL顆粒には「メチレンジサリチル酸プロメタジン」が配合されおりまして、これがフェノチアジン系抗ヒスタミン剤なのですが。」

★治験責任医師「ほう。なるほど。」

総合機構の担当官「PL顆粒にフェノチアジン系薬剤が配合されていた、そういう認識はありませんでしたか?」

★治験責任医師「なかったのですが、でも、確か、この時、モニターに電話して、PL顆粒を処方するのは問題ないと言われたので処方したはずです。」

総合機構の担当官「そうですね。確かにカルテにもそういう記載がありました。ここですね。」

★治験責任医師「ああ、そうです、そうです。それです。」

総合機構の担当官「分かりました。この件につきましては、治験依頼者にも確認してみます。」




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