『コンパニオン診断薬及び関連する医薬品に関する技術的ガイダンス等について』
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http://www.pmda.go.jp/kijunsakusei/file/companion/companion20131226.pdf
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1.3. 適用範囲
本ガイダンスは、課長通知に示されるコンパニオン診断薬及び関連する医薬品を適用範囲とする。
なお、本ガイダンスの2.1.では、これまでに得られている知見等を踏まえて主にコンパニオン診断薬を用いて医薬品の投与対象患者を特定する場合を想定しており、また2.1.1.及び2.1.3.では、その中でも分子標的薬等の事例を想定している。
しかし、これらの考え方は、記載された事例以外の場合、すなわち医薬品の用法・用量の最適化や投与中止の判断を目的としたコンパニオン診断薬等についても適用可能と考える。
1.4. 基本的考え方
バイオマーカーを測定するコンパニオン診断薬の承認申請に際しては、当該コンパニオン診断薬の性能を担保したデータが必要であり、またコンパニオン診断薬に関連する医薬品の承認申請に際しては、性能が担保されたコンパニオン診断薬により投与対象患者を特定する際の臨床的有用性を示すデータ等が必要である。
2. コンパニオン診断薬に関連する医薬品開発時の臨床試験
2.1. バイオマーカーによる患者特定に関する留意点
これまでに得られている知見等を踏まえ、主にバイオマーカーを用いて投与対象患者を特定する医薬品の臨床試験に際して、特に留意すべき点について以下に述べる。
なお、以下に記されているバイオマーカー陽性又は陰性については、臨床的カットオフ値を踏まえて判定された結果を示している。
2.1.1. 分子標的薬等における開発早期のバイオマーカー陰性例の取扱い
疾病に関わる特定のバイオマーカーを標的とした医薬品、すなわち分子標的薬等を開発する際、コンパニオン診断薬によるバイオマーカーの測定結果に基づき、例えば、その投与対象を陽性例のみに絞る場合等がある。
分子標的薬等については、理論上は、バイオマーカー陽性例で当該医薬品のより高い有用性が期待されるが、バイオマーカー陰性例を開発早期の段階から除外した場合、バイオマーカーの臨床的カットオフ値の妥当性を判断するためのデータが得られない、又は当該医薬品の投与が有用となる対象患者集団が的確に特定されたか否かを判断できないなど、バイオマーカー陽性例と陰性例でのベネフィット・リスクバランスの違いについて比較検討することが困難となる。
したがって、早期の段階から陰性例の検討の必要性を視野に入れた医薬品の開発戦略を立てることが重要であり、例えば探索的な用量反応性試験等の医薬品開発早期の臨床試験において、原則としてバイオマーカー陽性例及び陰性例の双方を臨床試験に組み入れて検討すべきである。
ただし、非臨床試験又は臨床試験データ(後ろ向きの解析結果も含む)などから、バイオマーカー陰性例に対して当該医薬品の有効性が示される可能性が極めて低い場合、又は毒性が強い医薬品であり投与対象が広範で不合理なリスクにさらされ安全性に関する懸念が強く示唆される場合など、バイオマーカー陰性例を臨床試験に組み込むべきでない相当の理由がある場合はこの限りではない。
なお、各臨床試験の段階におけるバイオマーカー陰性例の取扱いに関しては、当該臨床試験開始時までに得られている情報に基づいて検討する必要があり、試験デザインの検討にあたってはPMDA と相談することが望ましい。
2.1.2. 前向きな検証的臨床試験実施の必要性について
バイオマーカーに関連した医薬品の有効性の検証及び安全性の検討を行う際には、通常の医薬品と同様、原則として前向きな無作為化比較試験を実施する必要がある。
また、当該医薬品の開発においてバイオマーカーの適格性を検討する必要がある場合、過去に実施された臨床試験の保存試料等を用いて後ろ向きの解析を行うことがある。
このような検討は推奨されるものであるが、後ろ向きのバイオマーカーの解析結果は探索的な検討に留まることから、後ろ向きの解析結果からバイオマーカー陽性例のみに対する有用性が示唆された場合には、別途、当該バイオマーカー陽性例を対象とした前向きな無作為化比較試験を実施することが望ましい。
また、前向きな無作為化比較試験の実施に際しては、医薬品の有効性を検証することだけではなく、バイオマーカーの適格性についても併せて検討できるよう試験デザインを工夫することが望ましい。
一方で、前向きな無作為化比較試験の実施が困難な場合として、例えば以下に示す
3 つの場合が挙げられる。
@ 安全性に関連するバイオマーカーについて、極めて重篤な有害事象に関連することが示唆されている場合など、前向きな無作為化比較試験によるバイオマーカーの適格性検証が倫理的観点から困難な場合。
A 有効性に関連するバイオマーカーであっても、バイオマーカーを用いて対象患者を限定することにより、症例数の観点から無作為化比較試験の実施が極めて困難となる等、前向きな無作為化比較試験によりバイオマーカーの適格性を検証することが困難又は適切でない場合。
B 後ろ向きの解析結果が以下の状況であることを考慮した場合など、後ろ向きの解析であることによるバイアスの可能性等を考慮しても、当該後ろ向きの解析結果等を主体としたバイオマーカーの評価が許容できる場合。
適切に計画・実施された無作為化比較試験を対象とし、原則として可能な限りすべての登録被験者からデータが得られていること
一定の分析法バリデーションが実施された測定法を用いていることバイオマーカーに関する適切な仮説及び統計解析が、データを解析する前に定義されていること多重性の調整等、統計学的に適切な解析が計画・実施されていること
上記の4 つの状況に該当する独立した複数の試験結果から一貫性のある解析結果が得られていること
いずれにしても、このような場合には、後ろ向きの解析に基づく開発の進め方などについてPMDA と相談することが望ましい。