2014年10月11日

「臨床研究に関する倫理指針」の改正案に関する意見募集の結果について(3)

今週も先々週に続き、下記のパブリックコメントのQ&Aを見ていきます。


●「臨床研究に関する倫理指針」の改正案に関する意見募集の結果について

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495080030&Mode=2


ただし、パブリックコメントを反映させた「臨床研究に関する倫理指針」の(案)が出ているのですが、変更履歴が残っているし、まだまだ、紆余曲折しそうなので、正式に出たら、またみます。
    ↓
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000060614.pdf



それと、検討されている先生方の間では「監査」は不要なんじゃないか、という意見がありますね。(ICH-GCPでは監査は必須でないためもあるし、人材確保の問題もあるし、作業が過剰だという意見もある。)
    ↓
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000060615.pdf


「『人を対象とした医学系研究に関する倫理指針』に対するパブリック・コメント等への対応」
    ↓
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000060691.pdf



「監査に関する規定の削除の必要性について」
    ↓
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000060692.pdf


ということで、先々週の続きのパブリックコメントの続きです。


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生体臓器移植で、標準的とはいえない方法の場合、生きている人から臓器を摘出する行為は、「介入」の定義のうち「ア」の、「通常の診療を超えた医療行為を研究として実施するもの」といえるのでしょうか。

生きている人からの研究目的の臓器摘出は、摘出される人にとって「医療行為」といえるのかどうか、法的根拠とともに解説を示していただきたいと思います。







個別に具体的な検討が必要と考えています。

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臨床研究と疫学研究の差異が不明瞭である。

これまでの議事録、QA集を読んでもどちらに該当するのか判断に迷うことがある。

そもそも疫学的な方法を用いない臨床研究はありえないし、「臨床」の定義もあいまいである。

学際的な研究が増加するにつれ混乱が広がることが予想される。

米国のcommon ruleの対象は、「医学研究」「臨床研究」に限定されず「人を対象とした研究」である。

わが国でも「臨床研究」「疫学研究」「ヒトゲノム・遺伝子解析研究」等に関する倫理指針を別個にさだめずに、人を対象とする研究全体を包括する倫理指針を作成し、細則のなかで個々に特有な運用指針を定めるようにしていただきたい







2つの指針の一体化等は次の改正時の検討課題です。

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薬物の適応外使用、適応外の手術を行う研究は、臨床研究に関する倫理指針の対象となるのか、薬事法の対象となるのか。

この場合の検査・治療の費用は保険診療としてよいのか、あるいは研究目的なので療担規則からは保険請求の範囲外となるのか。

例として、IgA腎症に対するステロイドパルス療法、扁桃腺摘除術の有用性を評価するため無作為対照試験を計画した場合はどうなるだろうか。

IgA腎症に対するステロイドパルス療法は保険適応外である。

IgA腎症に対する扁桃腺摘除術も保険適応外である。

この研究を実施するにあたって参照すべき倫理指針は臨床研究に関する倫理指針でよいか。

薬事法にも準拠すべきか。

研究ではあるが、clinical equiposeが成立しており、患者に対する治療効果を期待して実施している行為であるため費用は保険診療の範囲で請求してよいと考えるがどうか。

一方、IgA腎症の患者を対象にレジストリーを作成、治療選択は担当医の判断に任せるとし、その後の予後を追跡調査する場合、「当該方法の有効性・安全性を評価するため、診療録等診療情報を収集・集計して行う観察研究(「疫学研究に関する倫理指針」についてのQ&A:Q1-7)」に該当し、疫学研究に関する倫理指針の対象になると考えられ、臨床研究に関する倫理指針の対象外となるのか。







薬事法上の適応拡大を目的とした臨床試験以外は本指針の対象であると考えられます。

適応外での医薬品等の保険との併用については高度医療その他適切な手続きなどによるものです。

対象については疫学指針のQAの通りです。



posted by ホーライ at 10:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 臨床研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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