2014年10月02日

「臨床研究に関する倫理指針」の「法制化」について

今週も先週に続き、下記のパブリックコメントのQ&Aを見ていきます。

●「臨床研究に関する倫理指針」の改正案に関する意見募集の結果について

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495080030&Mode=2


いつものとおり気になる点だけピックアップしています。

是非、全文を読まれることをお勧めします。

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改正指針の完全実施までに、半年から1年程度の猶予期間を設けていただきたいと思います。

特に、補償保険費用の支払体制を作るには時間が必要ではないかと思われます。







施行期日については補償保険の提供可能時期も踏まえて対応します。

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ICH-GCPではSponsorが保険を準備するように記述されている。

本指針では、「いかなる臨床研究も、臨床研究機関の長の責任の下で実施されることを確保し」と記述されている。

保険加入を責務とする場合、ICH-GCPでいうSponsorとしての「臨床研究機関の長」が保険契約主体となることが妥当と考える。







臨床研究機関の長が研究者を代表して加入することも想定されます。

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企業等が依頼者とならない「非治験」の臨床研究が多数実施されている現状では、公的資金による研究支援の充実が不可欠である。

指針の改定に伴い、競争的研究費制度の弾力的な運用を進める必要がある。







公的研究資金の弾力化を推進します。

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あくまでもこの指針内での定義であることは承知するが、「観察研究」と「疫学研究」に分けて指針を区別するのは、臨床研究の常識から理解が得られにくい。

「疫学研究を含まない」の記述は削除可能と思われる。







2つの指針の一体化等は次の改正時の検討課題です。

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今回の改正に当たって、本指針が各医療施設において、どのように遂行されているか厚生労働省のどの管轄部門が管理・運営するのか明らかにしてほしい。

また、それらを公表してほしい。







今後の検討課題とさせていただきます。

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利益相反に関連して伝える事柄を「ヘルシンキ宣言」等に従って具体的に示すべきです。

例えば、研究資金源などは必ず明記するべきことだと思います。







御指摘のとおりだと考えます。事例等を今後蓄積してまいります

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臨床研究の規制については、専門委員会において、法制化すべきとの意見が寄せられたが、一方で、法制化すべきでない、あるいは法制化について慎重であるべき、と考える専門家等からの意見聴取がなされておらず、審議が著しく不公正であった。

また、現在の臨床研究に関する倫理指針は、その他の倫理指針および薬事法に基づくGCPによって規制されるもの「以外」の研究を規制することを意図したものであり、そのように適応範囲が限定されている倫理指針の改正をめぐる議論において、単独で、その他多くの研究にまで影響が及ぶような法制化の問題について議論するのは、指針の改正手続きとして明らかにおかしい。

仮に法制化について議論するのであれば、別の機会をあらたに設けて、研究倫理の専門家等も委員に交えるなどの適切な対応を取った上で、賛成・反対の両方の立場から公正な議論を行う必要があるであろう。


さらに、法制化のメリットだけが強調されると、法制化による弊害が見えなくなる。

例えば、ひとたび法律として定められたならば、今後その問題点や修正の必要な点が生じる度に国会審議にかける必要がでてくる。

聖書のように引き合いに出されるヘルシンキ宣言においてさえも、1964年の初版が採択されて以来、すでに4回もの修正が加えられ、今現在5回目の修正が審議されている。

また、米国の45CFR46についても、例えば「ヒト被験者」の定義についていうならば、(1)生存する者のみが「ヒト被験者」であり、死者のデータや試料を用いた研究は、そもそも同法が適用されない、(2)被験者個人を特定することが可能な情報を含まない限りにおいては、例え生存する者を用いた研究を実施したとしても、やはり同法の適用は受けない、といった重大な問題点を有することが専門家から指摘されているものの、いまだ修正等は行われていない。

この事実は、法制化の後で修正に応じることの困難さはいずれの国に於いても同じであることを如実に物語っている。

これらの例からも明らかであるように、時代の変化や倫理的観点の変遷に常に柔軟に対応するためには、「法」という静的体系をとるのが最善かどうかは非常に疑わしいといえる。

倫理や倫理観というものは、法よりも常に動的な営みであり、またそうあるべきである。







法制化に関する意見については、様々な意見を検討して慎重に対応します。

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今般の改正の方向性は、論文を国際誌に投稿し業績を積むことを志向する研究者にとっては好ましいが、臨床研究の結果を、承認申請データとして活用し国全体としての開発力を高めようと志向する研究者にとっては、書類業務や曖昧な義務が膨大となる一方で結果が実用化に結びつかないという意味で好ましくないと考える。

iPS細胞、ES細胞、その他の幹細胞研究、分子イメージングなど、国策として推進され、侵襲性の高い研究の成果が実用化に結びつくようにするためには、諸外国と同水準の法的管理体制に置くことが必要不可欠であり、この観点からも今後法制化についての検討を継続すべきである。







法制化に関する意見については、様々な意見を検討して慎重に対応します。

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なるほど、「法制化」には、こんな、いろんな課題があるのか。このブログには記載しませんでしたが、「法制化」には賛否両論でしたね。(ホーライ)


posted by ホーライ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 臨床研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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