2014年09月30日

倫理審査委員会の要件及び責務

今週も先週に続き、下記のパブリックコメントのQ&Aを見ていきます。


●「臨床研究に関する倫理指針」の改正案に関する意見募集の結果について

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495080030&Mode=2


いつものとおり気になる点だけピックアップしています。

是非、全文を読まれることをお勧めします。

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倫理審査委員会について、類似の委員会をこの指針に適合する倫理審査委員会に再編成することで対応可能であることが規定されているが、GCPとほぼ同様であることから、GCPにおける治験審査委員会での審議を可能とする。としてもよいのではないか。

一方で倫理審査委員会の要件及び責務をGCPと同様に規定しても差し支えないのではないか。

それができない場合には、薬食審査発第0326001号(平成20年3月26日)の運用通知改正にて示された下記についても盛り込むことを検討いただきたい。

A 「実施医療機関の長が設置した治験審査委員会」には、改正前のGCP省令第27条第1項第1号及び第5号に掲げる治験審査委員会が含まれることから、実施医療機関の長は、複数の医療機関の長が共同で設置した治験審査委員会及び他の医療機関の長が設置した治験審査委員会に調査審議を行わせることができること。







GCPにおけるIRBとは規定が異なるが、GCPと本指針の双方の規定を満たすものであれば、治験と臨床研究を一つの委員会で審査することは可能です。

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倫理審査については、いわゆる「中央(セントラル)委員会」への審議の付託が可能となる改定案となっています。

この方向性は、多施設共同研究の実施基盤として重要と考えます。

しかし、重篤な有害事象等による補償や、過誤等による賠償等の問題が発生した場合の責任主体等についてより詳細なシミュレーションを実施しない限り、指針の運用にあたり解釈の混乱が生じる可能性があります。







責任主体は実施臨床研究機関、研究者となります。

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今、倫理審査委員会の質が問われていますが、これは単に理念上の問題ではなく、質の高い倫理審査委員会で承認されていない研究は世界に通用せず、国際共同研究ができなくなってきています。

日本には約3000の倫理審査委員会があると推定されますが、このような乱立状態は避けなければなりません。

委員の教育・研修をきちんと行い、審査能力を常に磨いている委員会のみ国が認定し、そうでない委員会は廃止して、質の高い倫理審査委員会に審議を集中させるべきです。







倫理審査委員会は外部のものも利用できることとする一方で、報告義務、当局の実地調査を規定し、水準の向上を図ることとしています。

これにより、倫理審査委員会の集約化等の意見や動きに対応することも可能になると考えているところです。

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都合で委員会に出席できない委員は、採決権はないとしても、意見を述べることができるようにするべきです。

意見があれば事前に提出してもらい、委員会で参考意見として取り上げるべきです。







各施設の運用での判断が必要です。

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委員の要件について、一人で複数の要件を満たすと見なしてもよいか、一人の委員は一つの要件しか満たさないとみなすべきか明記する必要があると考えられます。

さらに、同じ機関内、あるいは別の機関において、倫理審査委員会の委員を兼任できるかどうか、及び委員の利益相反の開示の方針について考え方を示す必要があると考えます。







現場で様々な運用があり、画一的な見解はありません。

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介入研究は、その性質からも、かならず倫理審査委員会の審査を受けねばならないものと思われますが、観察研究につきましては、施設内の特定の担当部門において、倫理審査委員会への付議の要否を事前に審査させるなどした交通整理が必要なのではないでしょうか。

事実、疫学指針では、このような規定があり、倫理審査委員会があらかじめ指名する者がこのような判断をすることができるようになっております(「疫学研究に関する倫理指針」第1-4-(3)参照)。

そもそも、このような混乱が起こりますのは、臨床研究倫理指針における臨床研究の定義のためのように思えてなりません。

本指針では、「医療における疾病の予防方法、診断方法及び治療方法の改善、疾病原因及び病態の理解並びに患者の生活の質の向上を目的として実施される医学系研究であって…」とされていますが、疾病原因や病態の解明を目的とした介入研究は極めて稀であります。

一方、多くのこの目的の基礎系研究は観察研究であり、また、介入研究にくらべ膨大な数の研究がこれまで行われ、また現在も行われています。

臨床研究を「診断方法及び治療方法の改善を目的とした医学系研究で、介入研究であるもの」(狭義の臨床研究)と定義しなおすか、もしくは、観察研究に配慮した交通整理の方途を与えるか、どちらかの対応が求められているものと思われます。







「あらかじめ指名する者による倫理審査委員会の付議の要否の判断」を改正に追加いたします。

また、今回の指針の改正は疫学研究に関する倫理指針との整合性をとったものとなっています。

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倫理審査委員会を、臨床研究機関の長の判断で自由に外部に依頼していいようにしてしまったことには、大きな問題があると思います。

倫理委員会の教育・研修や、情報公開だけでは十分でありません。

他の機関から依頼を受けて審査をすることのできる倫理審査委員会の条件、基準を設けて、認定を受けた倫理審査委員会だけが、依頼を受けられるようにするべきだと思います。







厚労省等が報告を受け、さらに実地調査等を行うことが出来る内容としており、倫理審査委員会に対するチェック機能を高め、質的な向上を図るものです。

教育研修については、行政が強制するものではなく、質的な向上が現場で図られるようご協力をお願いするものです。

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指針改正の専門委員会で、市民団体に所属している専門委員の方から、倫理審査委員会の委員の候補となる市民をプールして研修を行い委員に推薦するシステムが紹介されていましたが、これがなぜ全く無視されてしまったのかわかりません。

これはとてもよいシステムなので採用すべきだと思います。

採用しないのなら、その理由を改正指針公表時に示してください。







市民団体に属する委員からの提言については、改正指針に対応し、実証研究として実施される予定です。

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これ(↑)。へぇ〜〜!です。

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本指針を適切に運用するためには、倫理審査委員個人の「質」を担保することが必要だと思います。

臨床研究を十分に理解している人が委員にならないと、意味のない議論がなされることもあるので、倫理審査委員になるための条件を示すべきだと思います。

東京大学の生命・医療倫理教育研究センターでは、その人材育成のために生命・医療倫理学入門コース(CBEL)等が開催されています。

私自身もかつてそれに参加して初めて、倫理審査を行うということの意義を学ぶことができました。

研究者に対する責務と同様に、研究者が提案する研究計画を審査する人の資質条件をも明確にすべきだと思います。

そして、倫理審査委員も評価を受けるべきだと思います。

倫理審査する人もされる人もお互いに公平な評価を受けることで初めて、臨床研究全般の倫理と科学的質を高めることにつながるのではないでしょうか。

指針の整備と連動した倫理審査委員の質向上に向けた事業展開を期待します。








教育、啓発活動の進展と併せて、今後の課題とさせていただきます。

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医薬品(GCP対象外)等または食品(疫学研究)等の製造販売業者が医療機関に臨床試験を依頼する場合、「主たる研究機関」に製造販売業者、「分担研究機関」に医療機関が該当すると考え、製造販売業者が他の倫理委員会の承認を受けている場合には医療機関は迅速審査を行うことができる、と解釈して問題ないのか。








主たる研究機関が医薬品等の製造販売業者と解されるものではありません。


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教育って大変なんだよね。(ホーライ)

posted by ホーライ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 臨床研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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