2014年09月23日

臨床研究についても特定療養費制度の適用となるよう制度的整合性をとっていただきたい

●「臨床研究に関する倫理指針」の改正案に関する意見募集の結果について

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495080030&Mode=2


いつものとおり気になる点だけピックアップしています。

是非、全文を読まれることをお勧めします。

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臨床研究についても特定療養費制度の適用となるよう制度的整合性をとっていただきたい。

今回の改正で、「介入を伴う臨床研究」は保険診療外の医療行為を含むことを明記したことと同じです。

倫理委員会では、「介入を伴う臨床研究は治験と異なるので、特定療養費制度の対象外」との認識になります。

すると、介入を伴う臨床研究の医療行為すべて保険診療外の扱いとなってしまい、結果的に通常の治験よりも実施が困難な事態となります。






一定の要件を満たす医療技術については、高度医療評価制度が活用できることとしています。

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指針概要内にある、「介入」の定義の(ア)は「通常の診療を超えた医療行為を研究として実施するもの」とされているが、何をもって「通常の診療」とみなすのか、その基準を、具体的に明示してください。






QA等で対応を検討させていただきます。

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健康な人に医薬品や未承認の製剤を投与する試験は、「介入」の定義のうち「ア」の、「通常の診療を超えた医療行為を研究として実施するもの」には該当しないのではないでしょうか。

「医療行為」とはいえないようなこうした研究を「介入を伴う研究」として実施してよいのかどうか、実施してよいならその根拠とともに、示していただきたいと思います。






個別に具体的な検討が必要と考えています。

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生活習慣病の治療成績向上には行動科学的なアプローチや健康教育が不可欠である。

禁煙指導、血糖自己測定、食事療法の遵守度などを向上させるのに最適な患者教育プログラムを開発し、従来の方法との差異を検証するためには対象群をランダム化、割付を行った研究を計画することがある。

米国であれば、研究倫理審査と研究対象者への同意説明が必要とされる臨床研究とみなされるが、日本の現状は施設毎に異なっている印象がある。

薬物投与、手術などの介入ではないが、明らかに「介入研究」に相当するが、これは臨床研究に関する倫理指針で規定するところの「臨床研究」とみなされるのか。

医療施設以外で医師・看護師が同等の教育・行動科学的な介入研究をする場合には、臨床研究に関する倫理指針の対象となるのか。医療施設以外で医療専門職でない研究者が(心理学者・教育学者など)同様の研究を実施する場合にはどうか。






医学研究を対象としており、禁煙指導、血糖自己測定、食事療法の遵守度は該当すると考えられます。

ただし、医療施設外での行動科学研究は通常指針の対象外と考えるところです。

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臨床研究における「観察研究」の意味合いが不明確である。

疫学研究指針に揃えて、介入研究と観察研究に分けられているが、臨床研究の場合、ヒト試料から材料を調製し研究に供する場合があり「観察研究」が必ずしも適切な表現ではないと思われる。介入研究より被験者のリスクの低い研究カテゴリーを設けることには同意する。






名称については、引き続き、適切なものがあれば今後の検討といたします。

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「疫学研究に関する倫理指針」との一本化が検討されるとのことなので期待していますが、少なくとも今回の改正では、改正指針の位置づけが現行指針とあまり変わっていない(依然「疫学研究を含まない」とされている)のは大変残念に思います。

改正案に述べられているような、疫学研究は「集団としてのデータを取り扱うもの」、臨床研究は「被験者毎に個別のデータを扱うもの」という定義は、おそらく世界に通用しません。

疫学は、疾病等において原因と結果を関連づけるための科学であり、・でのべた「類型による分類」(臨床研究>臨床試験>治験)とは無関係で、「目的による分類」の1カテゴリーです。「類型による分類」による臨床研究と、「目的による分類」による疫学研究は、お互いに無関係(独立)なので、それぞれに指針を作ろうとすると、重複する部分が生じるため混乱を招きます。

少なくとも人を対象とする疫学研究に関しては、すべて本指針に含むことができますので、混乱を避けるため、ぜひ一本化して欲しいと思います。






次の改正に向け検討課題とさせていただきます。

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観察研究」で用いる「試料等」の説明(注1)の中で、「検査結果等」の意味するところが不明確である。

脳波や心電図といった生理学的検査データ(診断結果ではなく数値)や、CTやMRIデータ(診断結果ではなく画像情報そのもの)、患者報告アウトカム(PRO)、精神科面接等の対人医療サービスで扱われる会話の記録、ビデオ映像等が含まれるのか明記いただきたい。

今後は、わが国においても「検査結果」(血圧、血糖値といった中間代理指標)ではなく、患者報告アウトカムを重視する臨床研究が盛んに実施されることは言を待たない。米国FDAはすでに患者報告アウトカム研究について業界向け指針を公開している。






含まれます。

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現行指針では、「臨床研究機関が小規模であること等により当該臨床研究機関内に倫理審査委員会を設置できない場合」に外部機関への審査委託を可能としていたが、今般見直しでは、この条件の解除についての議論の形跡が不明確なまま、外部への審査委託を可能とする改正が行われている。

この点は、治験についてのGCP省令でも約二年にわたり議論され、審査の通りやすい委員会に審査が流れるという「IRBショッピング」への懸念を払拭できないまま条件が解除されたが、臨床研究においては、治験のような当局による計画の事前調査が無いだけに、この懸念はさらに強い。

このような改正にあたっては、自施設以外での研究実施の適切性も審査できるような、質の保証された委員会の認定制を法令により設けるべきであり、今般見直し案のような、質の保証されない教育・研修の努力義務では極めて不十分である。

倫理審査委員会の設置者が年1回厚生労働省等に報告するとの定めを実効性のあるものに変える必要がある。






倫理審査委員会については、厚労省等が報告を受け、さらに実地調査等を行うことが出来る内容としており、倫理審査委員会に対するチェック機能を高め、質的な向上を図るものです。

教育研修については、行政が強制するものではなく、当面、質的な向上が現場で図られるよう自発的なご協力をお願いするものです。

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改正案において、倫理審査委員会を設置する学術団体として「医療関係者により構成された学術団体」とされているところを、「医療関係者“等”により構成された学術団体」と表記するなどとし、福祉用具領域における侵襲のない介入研究に関する倫理審査を、日本生活支援工学会、日本リハビリテーション工学協会、ライフサポート学会など、福祉工学、リハビリテーション工学、医用工学などの専門を主体とした学会に今後設置される倫理審査委員会で審査可能とするように配慮願いたい。






医学研究であることを踏まえ、医療関係者により構成されるものとしています。

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「基本的な考え方」のE倫理審査委員会及び、「第3 倫理審査委員会ついて」は、現行GCP省令の求める設立要件などの要件と100%整合性をとるべきではないか?

共同設置は現行のGCP省令で削除されています。

臨床研究と治験を分離して考えるのではなく、今度の指針改正で行政対応を含めて医療機関側(倫理委員会事務局)の労力提供が過大になります。

意図的に指針の倫理委員会の要件と省令GCPのIRBを同一視して、倫理委員会の統合や、能率的な試験環境が国内に整備できるように、誘導するべきではあると思う。






GCPにおけるIRBとは規定が異なるが、GCPと本指針の双方の規定を満たすものであれば、治験と臨床研究を一つの委員会で審査することは可能です。

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ちなみに、GCP省令の第27条のガイダンスには次の文章があります。(ホーライ)
    ↓
1 実施医療機関の長は、次の(1)から(8)に掲げる治験審査委員会より、治験ごとに適切な治験審査委員会を選択し、調査審議の依頼を行うこと。

(1)実施医療機関の長が設置した治験審査委員会(複数の医療機関の長が共同で設置したもの及び他の医療機関の長が設置したものを含む。)(第1号)

上の文章中に「複数の医療機関の長が共同で設置したもの」とありますので、上記の質問文の「「共同設置」は現行のGCP省令で削除されています」とありますが、事実上は認めれていると思います。

(ホーライ)

posted by ホーライ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 臨床研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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