2014年09月02日

薬理試験、トキシコキネティクス及び薬物動態試験、急性毒性試験等

さて、今週のテーマです。
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「医薬品の臨床試験及び製造販売承認申請のための非臨床安全性試験の実施についてのガイダンス」について
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http://www.pmda.go.jp/ich/m/step5_m3r2_10_02_19.pdf

普段、治験に係わっていらっしゃる方って、「非臨床試験」について、ちょっと距離を置いていません?(僕だけかな?)

でも、「治験薬概要書」を見ると、「非臨床試験」のデータが満載。

これは、やっぱり、「食わず嫌い」ではいられません。

たまには、強制的に、「非臨床試験」に関連するガイドラインを見ていきましょう!

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2. 薬理試験

安全性薬理試験及び薬力学的試験については、ICH S7A(5)で定義されている。

安全性薬理試験のコアバッテリーには、心血管系、中枢神経系、呼吸系に対する作用の評価が含まれており、ICH S7A及びS7B(5、6)に従って、これらの評価は一般的にヒトに投与する前に行われるべきである。

また、正当な理由があれば、補足的安全性薬理試験及びフォローアップ安全性薬理試験を臨床開発後期に実施してもよい。

使用動物を削減するため、インビボで評価する場合には、いずれも、可能な範囲内で、一般毒性試験に組み込んで実施することを考慮すべきである。

さらに、効力を裏づけるためのインビボ及び/又はインビトロにおける薬力学的試験は、目的とする治療標的に対する被験物質の作用機序や効果を調べることを意図している。

このような試験は、通常、医薬品開発の探索段階で実施され、通常はGLPに従って行われない。

これらの試験結果は、非臨床試験及び臨床試験の用量設定に役立てることができる。







3. トキシコキネティクス及び薬物動態試験

動物及びヒトの薬物代謝及び血漿タンパク結合データに関するインビトロ試験成績、並びに反復投与毒性試験で使用した動物種における全身暴露データ(ICH S3A:7)の評価は、通常、臨床試験の前に行われるべきである。

毒性試験で使用した動物種における薬物動態に関するさらなる情報(例えば、吸収、分布、代謝及び排泄)や薬物相互作用の可能性に関するインビトロでの生化学的な情報は、多数の被験者あるいは長期間の投与を行う前(通常、第V相試験前)に入手しておくべきである。

これらの情報は、ヒトと動物の代謝物の比較を行い、追加の非臨床試験の必要性について決定するために利用できる。

ヒトでみられた代謝物を非臨床試験で特徴づける必要があるのは、その代謝物の臨床での暴露量が、投与薬物に関連する総ての物質の暴露量の10%を超え、かつ、ヒトにおける暴露量が毒性試験での最大暴露量よりも明らかに高い場合のみである。

このような非臨床試験は、第V相試験の前に実施すべきである。

1日の投与量が10 mg未満の薬物では、代謝物の非臨床試験を実施するための指標として、投与薬物に関連する総ての物質の暴露量に対する代謝物の割合を10%よりも高く設定することが適切であろう。

ある種の代謝物(例えば、多くのグルタチオン抱合体)には毒性学的な懸念がなく、試験を実施する必要はない。

懸念すべき理由がある代謝物(例えば、ヒト特異的な代謝物)については、個々の事例に応じて非臨床試験での評価を考慮すべきである。







4. 急性毒性試験

従来、急性毒性に関する情報は2種のほ乳類における臨床適用経路及び非経口的な投与経路の両方を用いた単回投与毒性試験から得られてきた。

しかし、これらの情報は、一般毒性試験に用いられる動物種においてMTDを明らかとするために適切に実施された用量漸増試験もしくは短期間反復投与の用量設定試験からも得ることが可能である(8、9)。

いずれかの試験から急性毒性に関する情報が得られる場合には、別途に単回投与試験を実施することは推奨されない。

急性毒性を評価する試験は臨床適用経路に限ることができ、臨床投与をGLPで実施された適切な反復投与毒性試験によって担保する場合には、非GLP試験から得られたデータでよい。

また、急性毒性を評価する上で、致死性を評価指標とするべきではない。



ある特定の状況(例えば、マイクロドーズ試験、第7節)では、急性毒性又は単回投与毒性試験がヒトにおける臨床試験の実施を担保するための主たる毒性試験となることがある。

これらの非臨床試験においては、毒性試験の高用量の選択は第1.5節とは異なることがあるが、予定されている臨床用量と投与経路を保証するために適切なものでなければならない。

このような試験はGLPを遵守して実施されるべきである。



医薬品の急性毒性に関する情報は、ヒトでの過量投与時の影響を予測するために有用であり、第V相試験の開始前までに入手すべきである。

特に過量投与の危険性が高い患者集団(例えば、うつ病、疼痛、認知症)における外来での臨床試験を行う場合には、より早期に急性毒性の評価を行うことは重要である。







5. 反復投与毒性試験

通常、反復投与毒性試験について推奨される投与期間は、計画されている臨床試験の期間、治療上の適応及びその範囲に関連している。

原則として、2種のほ乳動物(1種は非げっ歯類)で実施される毒性試験の期間は、臨床試験の期間と同じか、あるいはそれを超えているべきであり、反復投与毒性試験で推奨される最長投与期間を上限とする(表1)。

反復投与毒性試験の実施にあたって適切と考えられる限界量及び暴露については、第1.5節を参照のこと。

治療上の利益が明らかに示されている状況下では、個々の事例に応じて、臨床試験を反復投与毒性試験の期間を超えて延長することができる。





5.1 臨床開発

通常、2種の動物(1種は非げっ歯類)における最短2週間の反復投与毒性試験(表1)によって、投与期間が2週間までの臨床試験の実施が支持される。

2週間よりも長期間の臨床試験は、少なくとも同じ期間の反復投与毒性試験によって、その実施が支持される。

げっ歯類での6ヶ月の反復投与毒性試験及び非げっ歯類での9ヶ月の反復投与毒性試験によって、通常、6ヶ月以上の期間の臨床試験が支持される。


例外については、表1の脚注を参照のこと。





5.2 製造販売承認

製造販売承認後は、臨床試験中と比べて、リスクに曝される対象患者の数が多くなること、及び臨床現場での管理が相対的に不十分であることから、製造販売承認にはより長期の非臨床試験を実施することが重要となる。

臨床使用期間が異なる医薬品について、製造販売承認に必要となる反復投与毒性試験の期間を表2に示した。

なお、使用期間が2週間から3ヶ月以内のものであっても、これまでの多くの経験から、推奨される適用を超えて、幅広くあるいは長期間使用されることが想定される場合(例えば、不安症、季節性アレルギー性鼻炎、疼痛)には、非臨床試験の期間は、3ヶ月を超える医薬品に推奨される期間と同等とすることが、適切であろう。





6. ヒト初回臨床投与量の算出

ヒトへの初回投与量の算出は、初めてヒトに投与する臨床試験に参加する被験者の安全を確保するための重要な要件である。

推奨されるヒト初回投与量の決定にあたっては、薬理学的な用量反応性や、薬理学的/毒性学的プロファイル及び薬物動態を含む、関連する全ての非臨床試験データを考慮すべきである。

一般的に、最適な動物種で実施された非臨床安全性試験で求められた無毒性量が、最も重要な情報となる。

また、臨床試験の開始用量は、薬力学、分子としての特性、及び臨床試験のデザインといったさまざまな要因を考慮して設定される。

利用可能なアプローチの各々については、各極のガイダンスが参考となる。

ヒトにおける早期探索的臨床試験(第7節)は、臨床開発(第5.1節)で通常求められるものよりも少ない、もしくは異なる種類の非臨床データに基づいて開始できるため、臨床試験の開始用量(及び最高用量)の算出方法も異なる。

表3に、種々の早期探索的臨床試験のデザインに推奨される開始用量の基準を示す。



posted by ホーライ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 非臨床試験関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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