2014年04月23日

ヘルシンキ宣言を読む。「倫理委員会の透明性の問題を追加」

今週は「ヘルシンキ宣言」(2013年版:フォルタレザ総会(ブラジル)で修正)を見ていきます。
   ↓
http://dl.med.or.jp/dl-med/wma/helsinki2013j.pdf


2013年改訂版の焦点は、以下とおり。
   ↓
http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20131030_21.pdf


なお、「フォルタレザ総会でのヘルシンキ宣言の見直しについて(パブリックコメントのための改訂草案)」は以下のところにあります。
   ↓
http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=145967&name=2r98520000032v61_1.pdf


ちなみに1つ前の「ソウル版」は下記のページの下のほうに保存してあります。
   ↓
https://sites.google.com/site/zhiyanniguansurutongzhiji/herushinki


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今日は「研究倫理委員会」、「プライバシーと秘密保持」、「インフォームド・コンセント」を見ます。

なお、条文の数字のあとに「旧1項」等とあるのはソウル版の時のヘルシンキ宣言の項目番号を示しています。

ヘルシンキ宣言のソウル版とどこが違うのかが分かると思います。

ヘルシンキ宣言(ソウル版)と比較ができます。

旧項目番号の次にヘルシンキ宣言の改訂箇所も簡単に記載しています。



■■■ 研究倫理委員会 ■■■

23. (旧15項。研究倫理委員会の透明性の問題を追加。)

研究計画書は、検討、意見、指導および承認を得るため研究開始前に関連する研究倫理委員会に提出されなければならない。

この委員会は、その機能において透明性がなければならず、研究者、スポンサーおよびその他いかなる不適切な影響も受けず適切に運営されなければならない。

委員会は、適用される国際的規範および基準はもとより、研究が実施される国または複数の国の法律と規制も考慮しなければならない。

しかし、そのために本宣言が示す被験者に対する保護を減じあるいは排除することを許してはならない。

研究倫理委員会は、進行中の研究をモニターする権利を持たなければならない。

研究者は、委員会に対してモニタリング情報とくに重篤な有害事象に関する情報を提供しなければならない。

委員会の審議と承認を得ずに計画書を修正してはならない。

研究終了後、研究者は研究知見と結論の要約を含む最終報告書を委員会に提出しなければならない。




■■■ プライバシーと秘密保持 ■■■

24. (旧23項。修正なし。)

被験者のプライバシーおよび個人情報の秘密保持を厳守するためあらゆる予防策を講じなければならない。




■■■ インフォームド・コンセント ■■■

25. (旧22項。修正なし。)

医学研究の被験者としてインフォームド・コンセントを与える能力がある個人の参加は自発的でなければならない。

家族または地域社会のリーダーに助言を求めることが適切な場合もあるが、インフォームド・コンセントを与える能力がある個人を本人の自主的な承諾なしに研究に参加させてはならない。



26. (旧24項。「研究終了後条項」(研究後のアクセス)を追加。)

インフォームド・コンセントを与える能力がある人間を対象とする医学研究において、それぞれの被験者候補は、目的、方法、資金源、起こり得る利益相反、研究者の施設内での所属、研究から期待される利益と予測されるリスクならびに起こり得る不快感、研究終了後条項、その他研究に関するすべての面について十分に説明されなければならない。

被験者候補は、いつでも不利益を受けることなしに研究参加を拒否する権利または参加の同意を撤回する権利があることを知らされなければならない。

個々の被験者候補の具体的情報の必要性のみならずその情報の伝達方法についても特別な配慮をしなければならない。

被験者候補がその情報を理解したことを確認したうえで、医師またはその他ふさわしい有資格者は被験者候補の自主的なインフォームド・コンセントをできれば書面で求めなければならない。

同意が書面で表明されない場合、その書面によらない同意は立会人のもとで正式に文書化されなければならない。

医学研究のすべての被験者は、研究の全体的成果について報告を受ける権利を与えられるべきである。



27. (旧26項。修正なし。)

研究参加へのインフォームド・コンセントを求める場合、医師は、被験者候補が医師に依存した関係にあるかまたは同意を強要されているおそれがあるかについて特別な注意を払わなければならない。

そのような状況下では、インフォームド・コンセントはこうした関係とは完全に独立したふさわしい有資格者によって求められなければならない。



28. (旧27項。修正なし。)

インフォームド・コンセントを与える能力がない被験者候補のために、医師は、法的代理人からインフォームド・コンセントを求めなければならない。

これらの人々は、被験者候補に代表されるグループの健康増進を試みるための研究、インフォームド・コンセントを与える能力がある人々では代替して行うことができない研究、そして最小限のリスクと負担のみ伴う研究以外には、被験者候補の利益になる可能性のないような研究対象に含まれてはならない。


29. (旧28項。修正なし。)

インフォームド・コンセントを与える能力がないと思われる被験者候補が研究参加についての決定に賛意を表することができる場合、医師は法的代理人からの同意に加えて本人の賛意を求めなければならない。被験者候補の不賛意は、尊重されるべきである。



30. (旧29項。修正なし。

例えば、意識不明の患者のように、肉体的、精神的にインフォームド・コンセントを与える能力がない被験者を対象とした研究は、インフォームド・コンセントを与えることを妨げる肉体的・精神的状態がその研究対象グループに固有の症状となっている場合に限って行うことができる。

このような状況では、医師は法的代理人からインフォームド・コンセントを求めなければならない。

そのような代理人が得られず研究延期もできない場合、この研究はインフォームド・コンセントを与えられない状態にある被験者を対象とする特別な理由が研究計画書で述べられ、研究倫理委員会で承認されていることを条件として、インフォームド・コンセントなしに開始することができる。

研究に引き続き留まる同意はできるかぎり早く被験者または法的代理人から取得しなければならない。



31. (旧34項。修正なし。)

医師は、治療のどの部分が研究に関連しているかを患者に十分に説明しなければならない。

患者の研究への参加拒否または研究離脱の決定が患者・医師関係に決して悪影響を及ぼしてはならない。



32. (旧25項。「バイオバンク」を追記。)

バイオバンクまたは類似の貯蔵場所に保管されている試料やデータに関する研究など、個人の特定が可能な人間由来の試料またはデータを使用する医学研究のためには、医師は収集・保存および/または再利用に対するインフォームド・コンセントを求めなければならない。

このような研究に関しては、同意を得ることが不可能か実行できない例外的な場合があり得る。

このような状況では研究倫理委員会の審議と承認を得た後に限り研究が行われ得る。


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上記の中で大事なことは以下のとおりです。

二重かっこ(『』)で囲ったところが、特に重要です。

●23. この委員会は、その機能において『透明性』がなければならず、研究者、スポンサーおよびその他『いかなる不適切な影響も受けず』適切に運営されなければならない。

●23. 『研究終了後』、研究者は研究知見と結論の要約を含む最終報告書を委員会に提出しなければならない。

●26. インフォームド・コンセントを(中略)起こり得る不快感、『研究終了後条項』、その他研究に関するすべての面について十分に説明されなければならない。

●26. 医学研究のすべての被験者は、研究の『全体的成果について報告を受ける』権利を与えられるべきである。

●32. 『バイオバンク』または類似の貯蔵場所に保管されている試料やデータに関する研究など、個人の特定が可能な人間由来の試料またはデータを使用する医学研究のためには、医師は収集・保存および/または再利用に対するインフォームド・コンセントを求めなければならない。




posted by ホーライ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ヘルシンキ宣言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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