急性心不全治療ガイドライン(2011年改訂版)
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http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2011_izumi_h.pdf
急性心不全の治療は大きく3段階に分けられる.
それぞれの時期に,明確な到達目標を設定する.
(1)急性期では,いかに素早く,重症度を含めて診断し,適切な治療を開始できるかがカギである.
まず,症状の改善を図り,呼吸を安定化させる.
さらに,良好な臓器灌流を得て血行動態を安定化させる.
この際,心筋障害や腎障害を最小限にすることを念頭に治療する.
これが最終的にICUやCCU入院の期間を短縮させる.
(2)患者の病態が安定したら,生命予後および心筋保護を考慮した適切な薬物療法を開始する.
また,可能な限り早期の離床を進める.
そのためには積極的な心臓リハビリを行う.非薬物療法が効果的な患者もいる.
(3)退院前に生活指導・服薬指導・食事指導などの包括的な患者・家族教育を行い,心不全増悪による繰返し入院を予防する.
最終的には,生命予後の改善だけでなく,生活の質を向上させる治療を永続的に行う.
薬物治療としては、利尿薬,硝酸薬,カルペリチド,強心薬が考えられます。
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慢性心不全治療ガイドライン(2010年改訂版)
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http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2011_izumi_h.pdf
慢性心不全の治療
自己管理能力の向上
患者の自己管理が重要な役割を果たし,自己管理能力を向上させることにより,予後は改善する.
外来患者における,毎日の体重測定や塩分制限の遵守率は約50%と報告されており,医療従事者は患者の自己管理が適切に行われているかを評価し,患者および家族に対する教育,相談支援により患者の自己管理能力の向上に努める。
欧米では1990年代半ばから慢性心不全患者を対象として疾病管理の予後に対する有効性を検証する介入試験が行われてきた.
その結果,患者教育,治療コンプライアンスの向上,訪問や電話等による患者モニタリング,治療薬の調節,看護師による管理等の疾病管理が予後の改善に有効であることが報告されている.
薬物療法の心不全増悪による再入院に対する減少効果は,ACE阻害薬で22%,β遮断薬で32%,ジギタリスで23%,スピロノラクトンで35%にとどまっており,疾病管理の効果は薬物治療の効果と同等あるいはそれ以上と考えられる.
さらに疾病管理は単独で効果を有するものではなく,それによって,最適な薬物治療が行われ,治療アドヒアランスが向上し,治療効果を最大限に引き出せる.
慢性心不全の場合は薬物治療と同等以上に日頃の疾病管理が大事ですね。
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