2014年02月27日

抗慢性心不全薬の承認に必要な条件

今週は「抗心不全薬」の治験を見ます。

●「抗心不全薬の臨床評価方法に関するガイドライン」
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http://www.pmda.go.jp/kijunsakusei/file/guideline/new_drug/kou-shinfuzenyaku-rinjyu-hyouka-guideline.pdf


●「抗心不全薬の臨床評価方法に関するガイドライン」に関する質疑応答集(Q&A)
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http://www.pmda.go.jp/kijunsakusei/file/guideline/new_drug/kou-shinfuzenyaku-qa.pdf


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慢性心不全の治験ではどのように生命予後を検討すればいいのでしょうか?
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5)生命予後に及ぼす治療薬剤の評価

慢性心不全の予後は、5年生存率が50〜60%と報告されている1が、1年予後と5年予後の間に乖離はみられない。

しかし、これまでの慢性心不全に対する複数の臨床試験で6ヶ月予後と1年予後の間に乖離がみられることから、少なくとも1年以上の経過観察による長期予後の追跡が必要である。

予後の解析には、科学的に妥当な症例数とプロトコールに沿った検討が必要であるが、死亡に代わる代替指標は存在しないため、全死亡あるいは心血管死のいずれかを主要評価項目に含めるべきである。

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慢性心不全の治験では、半年(6か月)ではなく、「少なくとも1年以上の経過観察による長期予後の追跡」が必要です。



では、「抗慢性心不全薬の承認に必要な条件」とはなんでしょう?
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抗慢性心不全薬の目的は、患者の生命予後改善とQOL改善である。

両者が満足できる場合が最も望ましいが、両者の改善に不一致がある場合、生命予後改善がQOL改善より優先される。

したがって、生命予後改善が認められれば、QOLの改善が認められなくても薬剤の承認を考慮する。

しかし、QOLの悪化が著しい場合(例えば、臥床安静を余儀なくさせられる、高頻度に呼吸困難を訴えるなど)、その内容・程度・頻度により承認されない場合あるいは、条件付承認となる場合が考えられる。



一方、生命予後の改善は認められないが、生命予後の悪化がみられない場合、QOL改善が認められれば、慢性心不全治療に有用な薬剤と考え承認を考慮する。

しかし、QOL改善が運動耐容能の改善によらない場合、抗心不全薬とは定義されない可能性もあることに留意する必要がある。

生命予後改善もQOL改善もみられない場合は承認しない。

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う〜〜ん、難しいなぁ、玉虫色だ。

え〜〜っと、つまり、慢性心不全の薬としては「生命予後改善がQOL改善より優先される」。

だから、「生命予後改善が認められれば、QOLの改善が認められなくても薬剤の承認」される。

でも、生命予後を改善しても、「QOLの悪化が著しい場合(例えば、臥床安静を余儀なくさせられる、高頻度に呼吸困難を訴えるなど)」は、「承認されない」こともある。

そんでもって、さらにさらに、生命予後を改善しなくても、悪化させずにQOLを改善する場合は「承認されることもありうる」ということ。

これで正しい?



ところで、QOLの改善には向精神薬も考慮されるんですね。
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精神・心理的な側面はQOLの大きな規定因子である。

しかし、身体的要因が精神的要因に影響を与えることも少なくない。

温熱療法や運動療法、転地療法(環境の変化)には、このような効果も含まれると考えられる。

選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)や睡眠改善薬など直接的な向精神作用が期待できる薬剤もある。

また薬剤以外に、家族や医療供給者からのサポートやコミュニケーションもQOL 改善に大きく寄与することは言うまでもない。

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「抗心不全薬の臨床評価方法に関するガイドライン」に関する質疑応答集(Q&A)です。

まずは、「プラセボ」について。
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Q1

抗急性心不全薬及び抗慢性心不全薬の開発においては、第V相試験を実施する以前のいずれかの段階で当該被験薬のプラセボ単独投与に対する優位性を示す必要があると解されるが、当該領域においてこのような評価は可能か。

また、第V相試験でプラセボを対照薬として採用しない場合において、当該被験薬がプラセボより有用であることをどのように実証すればよいか。




A1

第V相試験を実施する以前のいずれかの段階で当該被験薬のプラセボ単独投与に対する優位性を示す必要がある。

必ずしも、臨床現場で実際に適応と考えられる対象患者集団を試験対象としてハードエンドポイントで有効性を示すことを求めるものではないため、試験対象患者の設定や、有効性の評価項目の設定を適切に行うことにより、当該被験薬のプラセボ単独投与に対する優位性を示すことは可能である。

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「プラセボ単独投与」に対する優位性を示す必要がある。

「ハードエンドポイントとは」

“死亡”“心筋梗塞”“脳卒中”といったエンドポイントと,“狭心症”“PCI/CABG”“心不全の悪化”“心不全や狭心症による入院”“一過性脳虚血発作(TIA;Transient Ischemic Attack)”のようなエンドポイントでは何が違うのでしょうか? 

それは,定義,診断の厳密さと客観性の問題,それに患者にとっての重要度(重篤性)だと思います。

つまり,前者は重篤で患者医師双方に重要であり,客観的に判定しやすいエンドポイントです。

一方,後者は主観が混じるため厳密な判定が難しく,そもそも定義が難しいエンドポイントで,重要性も前者に比較すると低いのです。

前者をハードエンドポイント,後者をソフトエンドポイントと呼ぶこともあります。

問題は,客観性に問題があり重要度が低いエンドポイントほどよく発生し,介入試験においてはそれで差がつくことが多いということなのです。



さらにプラセボの問題。
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Q5

急性心不全の場合、プラセボを対照薬とすることを原則とすることは非倫理的であると考えられ、標準的抗心不全薬を用いるべきと考えるが如何か。




A5

既存の標準的抗心不全薬を併用したときの上乗せ効果を検討する試験デザインとする等の工夫により、プラセボ群の設定は可能である。

また、プラセボ群の設定は基本的に必要と考えられる。

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「罹患率」について。
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Q6

抗慢性心不全薬の第V相検証試験において、罹患率(入院や基礎治療の変更等)を主要評価項目とすることが、現実的な対応として許容される場合に該当する例を示してほしい。




A6

海外で生命予後の改善が検証されており、当該海外試験成績が日本において利用可能な場合には、国内における第V相検証試験では、罹患率(入院や基礎治療の変更等)を主要評価項目とすることが現実的な対応として許容される場合もあると考えられる。

なお、国内外で生命予後の改善が検証されていない場合には、国内における第V相検証試験において、罹患率の評価がなされるのみでは不十分と考えられるが、このような場合にも、国内臨床試験において、生命予後の悪化がみられず、罹患率の改善傾向が示されると共に、QOL改善が認められれば、承認が考慮される場合もあると考えられる。

但し、QOL改善が運動耐容能の改善によらない場合、抗心不全薬とは評価されない可能性がある。

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「有病率」と「発症率」と「罹患率」の違い。


有病率はある一時点において疾病を有している人の割合で、どのくらいの医療サービスが必要なのかなどの判断に使われています。

有病率を使って表すのは慢性疾患です。


有病率は、「ある疾病を有する人数/対象者数 ×100」 です。

これを使う時にはいつの時点の有病率なのかを指定する必要があります。



発症率は食中毒などの感染症が集団発生した時に用いられます。

たとえば、中学校で食中毒が集団発生したとします。

その場合の発症率は、

食中毒発症者数/その集団で疾病リスクのあった人数(給食を食べた人)×100 となります。



罹患率は、ある集団において一定期間(通常は1年)における疾病の発症頻度であり、人口10万対で表します。

罹患率の求め方は、

ある期間における疾病の新規発症者数×10万/同期間の対象集団の観察人年×10万

です。

観察人年とは何人の対象者を何年間観察したかを表すので、これらを掛けて算出します。

posted by ホーライ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 心不全の治験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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