●「抗心不全薬の臨床評価方法に関するガイドライン」
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http://www.pmda.go.jp/kijunsakusei/file/guideline/new_drug/kou-shinfuzenyaku-rinjyu-hyouka-guideline.pdf
●「抗心不全薬の臨床評価方法に関するガイドライン」に関する質疑応答集(Q&A)
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http://www.pmda.go.jp/kijunsakusei/file/guideline/new_drug/kou-shinfuzenyaku-qa.pdf
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さらに、急性心不全の治験に対して重要なこと(新薬の製造販売承認に必要な条件)が書かれています。
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5)抗急性心不全薬の承認に必要な条件
抗急性心不全薬として承認を得るためには、死亡率、罹患率を含めた急性期の予後に関する主要評価項目を用いた臨床試験において、有効性が示される必要がある。
また、急性期の生命予後のみでなく、同時に少なくとも6ヶ月以上の長期予後を悪化させないことが示される必要がある(必ずしも、長期予後の改善までが示される必要はない)。
また、急性期の臨床徴候・症状の改善が臨床試験で示されることが必要である。
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急性心不全の治験の場合「少なくとも6ヶ月以上の長期予後を悪化させないこと」が必要なのですね。(「改善」までは求められていない。)
では、慢性心不全の治験の場合はどうでしょう?
まずは「慢性心不全とは?」
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慢性心不全とは心筋の何らかの異常により心臓の収縮機能・拡張機能・調律機能に障害を生じ、心拍出能の低下または循環障害による臓器のうっ血により全身的な機能障害を呈する病態であり、長期にわたって機能障害が継続している場合をいう。
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そして、慢性心不全の治験の方法は?
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3)慢性心不全の治療目標と臨床試験のあり方
慢性心不全における治療目標は、@生命予後の改善、A社会復帰・家庭生活の維持(罹患率の改善)、B自覚症状の改善・生活における快適度(狭義のQOL)の保持である。
したがって、慢性心不全を対象とした臨床試験では、上記の治療目標の達成度を評価する必要があり、主要評価項目としては、総死亡率、心血管系罹患率、自覚症状が適切と考えられ、QOL、運動耐容能、身体所見、血行動態の変化(EFなど)、腎機能、神経体液性因子は副次評価項目として、有効性の評価に際して補助的な役割を果たすものと考えられる。
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慢性心不全の治験ではまずは、やはり「生命予後の改善」であり、「主要評価項目としては、総死亡率、心血管系罹患率、自覚症状が適切」ということです。
さらに、さらに、心不全の治験ですから・・・・・
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多くの薬剤は、申請効能・効果の内容にかかわらず、承認前に主要評価項目に死亡(率)を含む試験が必要となると考えられる。
薬剤が、新規作用機序であるか、同じクラスの薬剤が死亡率について有害な影響をもたらすことが示されている場合には、前向きの無作為化対照試験における死亡に関する検討が必要となる。
慢性心不全においては、従来国際的には死亡が主要評価項目とされてきたが、心不全による死亡率が低い本邦においては死亡を主要評価項目として第V相試験を実施することは困難なことが多いと考えられる。
また、死亡に替わる適切な代替評価項目が存在しないため、国内における第V相試験では、罹患率(入院や基礎治療の変更等)を主要評価項目とすることが、現実的な対応として許容される場合もあると考えられる。
あるいは、第V相試験として、死亡を主要評価項目とした、大規模な国際共同治験への参加が可能と判断される場合には、当該国際共同治験を検証試験と位置付けることも考えられる。
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う〜〜ん。
私も経験がありますが、昔は、「死亡」を主要評価項目とするのは、日本では倫理的ではない、というような風潮があり、その代わりにサロゲートエンドポイントとして「人工呼吸器の装着」などを使ったりしました。
*サロゲートエンドポイントとは治療行為に対する評価を短期間で行うための評価項目である。
代用エンドポイントとも呼ばれる。
それ自体では臨床上の利益とならなくても、治療上のアウトカムを合理的に予測しうる場合には、プライマリーエンドポイント(主要評価項目)として用いることができる。
では、心不全の国際共同治験では何に注意が必要でしょうか?
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抗慢性心不全薬の開発における、大規模な国際共同第V相試験への参加に際しては、以下の点に留意する必要がある。
民族差に基づく用法・用量の国内外差の存在が想定される領域であることから、国際共同第V相試験への参加の前に、通常、日本人についての用量設定のための第U相試験が必要である。
少なくとも国際共同第V相試験での検討用量が、日本人において妥当であることがあらかじめ示されている必要がある。
国内外での第U相試験の成績からでは、用法・用量を1用量に絞り込めない場合には、高低2用量などの複数用量の国際共同第V相試験を実施し、結果により承認用量を国別に検討する開発方針も可能であろう。
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さらに、もし、治験の段階で生命予後の評価が困難な場合は製販後臨床試験でそれを探る必要があります。
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第V相試験で生命予後の評価が困難な場合、製造販売後の臨床試験において、可能な限り予後を検討する必要がある。
なお、観察期間は、治療薬の種類や特性などを考慮して1年以上に設定すべきである。
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慢性心不全の治験ではQOLはどう考えればよいのでしょうか?
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慢性心不全の生命予後とQOLは必ずしも相関しないことが明らかになっている。
慢性心不全の生命予後の規定因子は、心ポンプ不全による臓器不全と突然死であり、突然死は心血管死の40〜50%を占める。
突然死の頻度は、QOLと相関がなく、QOLの良好な患者群からの発症も多い。
慢性心不全患者の治療の目標は、まず生命予後の改善であり、次にQOLの改善である。
したがって、慢性心不全治療における抗心不全薬に求められる要件も、QOL改善につながる心不全症状の改善が第一義ではなく、生命予後の改善がQOL の改善に優先されるべきである。
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