2014年02月18日

腎性貧血治療薬の臨床評価方法に関するガイドライン(2)

今週は「腎性貧血」の治験を見ます。

●「腎性貧血治療薬の臨床評価方法に関するガイドライン」
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http://www.pmda.go.jp/kijunsakusei/file/guideline/new_drug/jinsei-hinketsu-chiryouyaku-guideline.pdf


●「腎性貧血治療薬の臨床評価方法に関するガイドライン」に関する質疑応答集(Q&A)
     ↓
http://www.pmda.go.jp/kijunsakusei/file/guideline/new_drug/jinseihinketsu-qa.pdf


●慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン
     ↓
http://www.jsdt.or.jp/tools/file/download.cgi/290/2008年版 日本透析医学会「慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン」(全文).pdf

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まずは臨床評価ガイドラインです。
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(1)対象患者選択基準

腎性貧血の診断基準に適合し、ヘモグロビン値が最新の腎性貧血治療ガイドラインにおける投与開始基準を満たしている透析施行中の患者及び保存期慢性腎臓病の患者を対象とする。

a) 導入後3ヶ月以上経過した安定期の透析(血液透析又は腹膜透析)施行中の患者

b) 保存期慢性腎臓病の患者

上記、a)あるいはb)について治験対象として選択された場合はそれぞれの性別、年齢、体重、身長、原疾患、透析歴、合併症、既往歴等を記録する。

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被験者は「透析施行中の患者」と「保存期慢性腎臓病の患者」ですね。



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3)観察項目

(1)腎性貧血改善効果を示す指標

ヘモグロビン値等


(2)身体所見及び臨床検査

脈拍数、血圧等の身体所見を記録する。

胸部レントゲン検査、心電図検査、赤血球系パラメータを含む血液学検査、鉄代謝関連検査、腎機能検査等を治験薬に応じて実施する。

異常が生じた場合には、必要な処置をして追跡検査及び観察を行う。

(3)自覚症状及び他覚所見の改善

(4)薬物動態

必要に応じて治験薬の血中濃度を経時的に測定し、薬物動態と腎性貧血に対する有効血中濃度を推定する。

(5)安全性

有害事象発現の有無、程度や臨床検査所見により安全性を検討する。

治験薬使用との関連が懸念される治療開始後の急激な血圧変化、アレルギー反応等に注意する。


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腎性とはいえ「貧血」ですので、主要評価項目は「ヘモグロビン値」ですね。



「腎性貧血治療薬の臨床試験(治験)」については、珍しく長期投与試験への患者の移行が記載されています。
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治験終了から発売までの期間において治験参加者に対して必要に応じて別途、長期継続投与試験を実施する等、実薬提供の救済措置を講じることも考慮する。

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「腎性貧血治療薬の臨床試験(治験)」に関わらず、確かな治療薬が無かったり、治験薬が非常によく効いている患者さんに対しては、その治験薬が承認されて「新薬」として患者に渡るまでの間、「長期投与試験」という形をとって、救済措置を行うことが多々あります。



フェーズ1は通常どおり実施します。


腎性貧血治療薬の治験のフェーズ2はどうでしょう?
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3−1 前期第U相試験(探索的試験)

1)目的

前期第U相試験は、被験薬を探索的に腎性貧血患者に投与する段階であり、被験薬の有効性、用量反応の初期的推測、投与回数及び安全性について検討する。

2)治験責任医師等及び治験実施医療機関

腎性貧血の診療経験豊富な臨床医が、臨床薬理学に精通した者と協力して行う。

また、被験者に対する十分な観察と管理ができ、緊急時にも十分な対処のできる複数の医療機関で行われなければならない。

3)被験者

最新の腎性貧血治療ガイドラインを参考に設定した対象患者選択基準を満たす腎性貧血患者を対象とする。

なお、初期の試験であるため、十分な情報が得られるよう頻繁に観察できる患者であることが必要である。

4)試験デザイン

最新の腎性貧血治療ガイドラインに従い、透析施行中の患者と保存期慢性腎臓病の患者に分けて、用量漸増デザイン等を用いた用量比較試験を行う。

一定の観察期間(原則として1〜2週間)をおいた後、治験薬を投与し、必要な項目を観察する。


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前に書きましたが、被験者を「透析施行中の患者」と「保存期慢性腎臓病の患者」とに分けて治験を実施する必要があります。


後期第U相試験はどうするんでしょう?
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3−2 後期第U相試験(用量反応試験)

4)試験デザイン

最新の腎性貧血治療ガイドラインに従い、透析施行中の患者と保存期慢性腎臓病の患者に分けて、原則として無作為化二重盲検法を用いた並行群間比較試験を行う。

一定の観察期間(原則として1〜2週間)をおいた後、治験薬を投与し、必要な項目を観察する。

(1)投与量

前期第U相試験の成績に基づいて、適当と推定された範囲の用法及び用量(3用量以上の比較試験が望ましい)を用いる。

必要に応じてプラセボ等を対照として用いる。

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まぁ、割と普通のデザインでよいのですね。

ただ、ウォッシュアウトあるいはベースとなる期間を設けています。(一定の観察期間(原則として1〜2週間)をおいた後、治験薬を投与し、必要な項目を観察する。)

posted by ホーライ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 腎性貧血の治験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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