2014年01月11日

新医薬品の適合性書面調査における調査結果

今週は総合機構が10月24日(東京)と10月28日(大阪)に開催した「GCP研修」の資料を見ていきます。

●平成25年度GCP研修会資料
    ↓
http://www.pmda.go.jp/operations/shonin/outline/shinrai/kenshushiryo.html#gcp


●医薬品の適合性書面調査及びGCP実地調査について
    ↓
http://www.pmda.go.jp/operations/shonin/outline/shinrai/file/h25gcp/iyakuhin_gcp.pdf



基本的なことから復習すると「適合性書面調査及びGCP実地調査によるデータの信頼性の確認」とは(7頁目)

施設から回収したCRFのデータと施設の原データとの信頼性を確認するのが「GCP実地調査」。

一方、治験依頼者側に保存されているCRF等と当局に「製造販売承認申請」した時の資料との間の信頼性を確認するのが「適合性書面調査」になるわけですね。

「原資料から承認申請資料までの信頼性を保証 (GCP、薬事法施行規則第43条信頼性の基準)」です。



ちなみに「薬事法施行規則第43条」にはこんなことが書かれています。

  ↓

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(申請資料の信頼性の基準)


第四十三条  


法第十四条第三項 後段(同条第九項 において準用する場合を含む。)に規定する資料は、医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令 (平成九年厚生省令

第二十一号)、医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令 (平成九年厚生省令第二十八号)、医療機器の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令 (平成十七

年厚生労働省令第三十七号)及び医療機器の臨床試験の実施の基準に関する省令 (平成十七年厚生労働省令第三十六号)に定めるもののほか、次に掲げるところにより、収集され、かつ、作成されたものでなければならない。


一  当該資料は、これを作成することを目的として行われた調査又は試験において得られた結果に基づき正確に作成されたものであること。


二  前号の調査又は試験において、申請に係る医薬品又は医療機器についてその申請に係る品質、有効性又は安全性を有することを疑わせる調査結果、試験成績等が得られた場合には、当該調査結果、試験成績等についても検討及び評価が行われ、その結果は当該資料に記載されていること。


三  当該資料の根拠になつた資料は、法第十四条 の規定による承認を与える又は与えない旨の処分の日まで保存されていること。ただし、資料の性質上その保存が著しく困難であると認められるものにあつてはこの限りではない。


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実地調査や書面調査は承認申請から3〜4ヶ月で実施されているようです。(8頁目)

これまた、基本的な事項の復習ですが「信頼性調査」はまず、調査をする試験(治験)が決定されます。

普通はピボタル(pivotal)な治験が選ばれる傾向が高いので、フェーズ3が調査される可能性が高くなります。

さて、調査する治験が決まったら、今度は調査の対象となる施設(治験実施医療機関)が選定されます。

どの施設が選ばれるかはケースバイケースですね。

ここ数年間で何回も調査になっている施設よりは、まだ実施されていない施設が選ばれるでしょうし、症例数が多いとかSAEが多発している施設とか、まぁ、いろいろですね。

施設が選ばれたら、今のところ、実地調査ではその施設の全症例がチェックされるようです。(もちろん、例外もありますが、全症例だと思っていたほうがいいです。)

書面調査では1施設、だいたい20%程度を抜き取ってやっているようです。(9頁目)



昔は書面調査と言えば、CRF等を総合機構まで運びこんでやっていましたが、最近は「企業訪問型書面調査」が増えているようです。(15頁目)

ありがたいことです。



さて、「新医薬品の適合性書面調査における調査結果(H24年度)」が17頁目にあります。

「照会なし」が70%です。

「通知事項あり(結果の信頼性に影響を及ぼす事項又は改善すべき事項とされた場合)」が10%です。

「適合性書面調査の照会事項内訳(H24年度)」が18頁目にありますが、「外部委託機関における記録の保存」に問題が多いようですね(紹介事項のうち45%が該当)。


新薬が承認されるまでは原資料を「外部委託機関」に保存しておいてもらうようお願いしましょう。



「新医薬品の適合性書面調査における照会事項の事例」が19頁目にあります。

最近の治験ならではの問題もあります。

   ↓

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・電子データの取り扱い・・・監査証跡の保存の適切性

・症例報告書の署名・・・eCRFにおける治験責任医師による電子署名が保証するデータの範囲

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より具体的な事例が20頁目にあります。

   ↓

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●承認申請資料として中間報告書が提出されたが、その根拠となった症例報告書に対して治験責任医師が記名押印又は署名をしていなかった。

●中間報告書を作成する際にも、治験責任医師は症例報告書を点検し、内容を確認した上で、症例報告書に署名等してください。

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「中間報告」であっても、正確なデータが要求されますので、治験責任医師がデータの信頼性をきちんと担保する意味で署名をもらいましょうね。


posted by ホーライ at 03:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 当局の実地調査 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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