2013年09月28日

治験をプロセスで管理する

今週は治験の質はプロセスで担保する、をテーマに話をしています。



以前にも「リスクに基づくモニタリング」について書きました。
   ↓
http://horaiseiyaku.seesaa.net/category/18121514-1.html



リスクに基づくモニタリングとは「まんべんなく全てのデータをモニタリングするのではなく、データの重要性に応じてSDV等をしますよ」ということ。

リスク・ベースド・モニタリングとはRisk based monitoringのことですが、中味は上記の「リスクに基づくモニタリング」と一緒です。

ただ、英語にしただけですね。




さて、それでも、いったい、リスクに基づくモニタリングとは何? と考えてしまいます。

その参考になるのが、下記の資料です。
  ↓
「リスクに基づくモニタリングとは」
  ↓
http://www.jpma-newsletter.net/PDF/2013_157_03.pdf


最近、中央モニタリングとかリモートモニタリング、リスクに基づくSDV、サンプリングSDV、Off-site Monitoring(オフサイトモニタリング)など等、いろんなモニタリングの手法が紹介されてきました。



オフサイトモニタリングとは、モニターが実際に病院へ足を運んでモニタリングするわけではなく、モニターと医療機関の担当者(CRC等)が施設訪問以外の方法で行うコミュニケーションのこと。

たとえば、電話とかテレビ会議とかスカイプを使うとか。



まぁ、どのようなモニタリング手法を使おうと目的は同じです。

「被験者の安全性の確保」と「データの信頼性の確保」。




さて、ここで頭痛薬の「頭痛いがナオール錠」の製造をあなたがやっていると仮定します。

工場でできあがった頭痛薬「頭痛いがナオール錠」は「当然」品質を確認してから、出荷します。

たとえば、この頭痛薬「頭痛いがナオール錠」は「崩壊試験」で必ず10分以内に崩壊すると規定されています。

でも、全ての「頭痛いがナオール錠」に対して崩壊試験をするわけにはいきません。

100万錠の「頭痛いがナオール錠」を製造したら、100万錠に対して崩壊試験をやったら、出荷できる「頭痛いがナオール錠」が無くなりますよね。

では、実際はどうするか?


「抜き取り試験」で崩壊試験をするわけです。

たとえば、SOP等で100万錠の中からランダムに6錠を選び、その6錠が10分以内に崩壊したら、残りの99万9994錠は合格、ということにします。

何故、こんなことができるのでしょうか?

それは、100万錠が同じ品質、一定の品質で作られているはずだという仮定があるからです。

どうしたら、100万錠が同一の品質になるのでしょうか?

頭痛薬「頭痛いがナオール錠」の品質は、出荷前の「品質試験」で品質ができあがるわけではありません。

「品質試験」をやるから「品質」があるわけではないですよね。

「品質は工程の中で織り込まれる」という考えがGMPの基本です。



その昔、こんな言葉が製薬会社の工場でも聞かれたそうです。(はるか、はるかの大昔の話です)

「おい、頭痛薬「頭痛いがナオール錠」を来週までに100万錠ぐらい作っておいて。」

「わかりました。いつものとおりでいいんですよね。」

「ああいいよ。ただし、打錠器はいつものAが調子悪そうだから、打錠器Bで、適当にやっておいて。」

「原材料はどこにありますか?」

「多分、倉庫Aにあるやつでまにあうよ。」

・・・・・・・・・・・等など。

「いつものとおり」とはどういう方法でしょう?

「適当に」とはどういうことでしょう?

「多分」でいいのでしょうか?


明日へ続く



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