2013年06月13日

リスクに基づくモニタリング

●リスクに基づくモニタリング

今週は4月以降に製薬協等から発表された各種報告書を見ていきます。

今日は製薬協の「モニタリングの効率化に関する提言−治験手続の電子化、リモートSDV、Risk based monitoring−」です。
     ↓
http://www.jpma.or.jp/about/board/evaluation/allotment/monitoring_02.html


では、早速、見ていきましょう。
     ↓
モニタリングの効率化に関する提言
     ↓
http://www.jpma.or.jp/about/board/evaluation/allotment/pdf/monitoring_02_01.pdf



今日は「Risk based monitoring」です。(78ページ)

「リスクに基づくモニタリング」ですね。

ちなみに上記の78ページに「Electronic Patient-Reported Outcomes(e-PRO)」という言葉もあります。

このe-PROとは、被験者がiPad等を渡されて、そこに自分の症状(喘息発作の回数等)を記録して、ネット回線を通じて治験責任医師等が確認でき、それらのデータをそのままCRFに取り込めるというようなものです。



さて、「リスクに基づくモニタリング(Risk based monitoring)」です。

このガイドライン案が既にFDAから出ています。

Guidance for Industry Oversight of Clinical Investigations-A Risk Based Approach to Monitoring(以下、FDAガイダンス)(2011年8月24日)
  ↓
http://www.fda.gov/downloads/scienceResearch/SpecialTopics/criticalPathInitiative/UCM277529.pdf
  ↓
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●治験環境の複雑化・多様化が進む中でモニタリングを実施するために、より重要な評価項目に注目し、起こりうるあらゆるリスクの評価と、それらのリスクに応じた対策をとるRisk based approachという概念をモニタリングに取り入れる

●モニタリングは、被験者の保護、試験データの品質と完全性、適用される規制要件の遵守のために必要と考えられるプロセスに重点をおくべきであり、想定されるリスクに基づいて最も重要と考えられるデータに焦点をあてるモニタリング方法は、定期的に訪問し100%のデータを照合する方法よりも、より効果的に各実施医療機関(以下、実施医療機関)の治験実施状況を確認することができる。

●治験依頼者(データマネジメント担当者、統計解析担当者、又はモニター等)が、試験データを中央で一括に管理し、実施医療機関に対しリモートでのモニタリングを行うCentralized monitoringを導入することで、時間・費用・リソースの面での効率化に加え,訪問による確認では発見ができないデータの異常(データ間のばらつき)も速やかに発見できることが示唆されていることから、適切な場合にCentralized monitoringを取り入れることを推奨している。

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なお、上記のFDAのガイドラン案の日本語訳が次に雑誌に載っています。
   ↓
●「業界へのガイダンス:臨床試験の監視---リスクに基づくモニタリング手法(医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス Vol.44 No.6 (2013))


上記の雑誌は今月届いたばかりなので、会社にないか、あなたも確認してみよう!(来月号はEMAのガイダンス案の日本語訳を載せるらしい。)

なお、お問い合わせや定期的なお申込み等はこちらから。
   ↓
http://www.pmrj.jp/publications/pub01_01.html




うむ。中央モニタリング(Centralized monitoring)の話でも出てきていますね。


●中央モニタリングの定義
  ↓
GCP省令第21条ガイダンス第2項2:「他の方法により十分にモニタリングを実施することができる場合」とは、例えば、治験の方法(評価項目等を含む。)が簡単であり、参加実施医療機関の数及び地域的分布が大規模であるなどのために実施医療機関等への訪問によるモニタリングが困難である治験において、治験責任医師等又は治験協力者等の会合及びそれらの人々に対する訓練や詳細な手順書の提供、統計学的にコントロールされた方法でのデータの抽出と検証、治験責任医師等との電話、ファックス等による交信等の手段を併用することにより、治験の実施状況を調査し、把握することが可能かつ妥当である場合である。このモニタリングの方法は「中央モニタリング」と呼ばれる。



EUからもガイダンスが出ています。
  ↓
http://tinyurl.com/mravqln
  ↓
http://www.ema.europa.eu/docs/en_GB/document_library/Scientific_guideline/2011/08/WC500110059.pdf
  ↓
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●現状の品質管理システムそのものを見直す時期がきており、より体系的かつ優先順位を設定したリスクに基づく品質管理システムの構築、モニタリングプランの作成が推奨されている。


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ちなみに「医師主導治験等の運用に関する研究」総括研究報告書についても、この「リスクに基づくSDV」について言及しています。(10ページ)
     ↓
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/chiken/dl/130410-1.pdf


で、この「リスクに基づくSDV」とは何?ということですが、大雑把に言って、「中央モニタリング」と「サンプリングSDV」を組み合わせて実施することです。(本当に大雑把ですが、でも、とりあえず、そう考えておくと分かりやすいです。)



さて、具体的な「Risk based monitoring」の手法ですが、製薬協の提言の80ページをご覧ください。(2 Risk based approach に関するFDAガイダンスの要約、EMA及びICHにおける品質管理プロセスについて)

●試験の重要な評価項目に注目し、想定されるリスクに基づいて、最も効果的なモニタリング方法を組み合わせる

●モニタリングの方法には、統計解析担当者、データマネジメント担当者又はモニター等がCentralized monitoringを活用して、ハイリスクの実施医療機関を抽出し集中的に訪問する方法がある。


うむ。「ハイリスクの施設」? という感じですが、「この施設に対しては100%のSDVが実施」というような施設ですね。

その一方で「ローリスクの施設」というのもあるわけで、「この施設は院内にデータマネジメント部門もあり、データの品質管理をしっかりやっているので、ここはCRFを抽出して(あるいはデータを抽出)して、サンプリングSDVでいきましょう」というわけですね。

これが「リスクに基づくモニタリング(Risk based monitoring)」というわけです。




ところで、注目すべきは「当局」そのものの考え方が変わってきたというところですね。

製薬協の提言に下記のようあります。(81ページ)
   ↓
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FDAは、これまでにFDAが発表したガイダンスを踏まえ、試験のデザイン及び複雑さにかかわらず、頻繁なOn-site monitoringによって100%のデータ照合を行うことをFDAが治験依頼者に期待していると多くの治験依頼者が考えているであろうことを懸念している。

この背景には、被験者の保護及び試験全体の品質を保証する方法として、最も重要なデータに焦点をあてる等のリスク評価に基づくモニタリング方法が、定期的に全実施医療機関を訪問して100%のデータ照合を行うよりも、より効果的に実施医療機関の状況を確認する有効な方法であると合意され始めたことがある。

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100%SDVよりもサンプリングSDV(リスクに基づくSDV)のほうがデータの捏造を発見しやすい、という記述もありますね。




さらに次のような具体的な話も書いてあります。(82〜83ページ)
   ↓
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・Centralized monitoringによってリスクが高いと考えられる実施医療機関(データの異常や他の実施医療機関と比べて高頻度のエラーを認める、プロトコール逸脱又は被験者の脱落の頻度が高い実施医療機関等)を特定し、その特定した実施医療機関に対して集中的にOn-site monitoringを行う

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また、「モニタリングプランの作成」についても言及されています。(83ページ)

この「モニタリングプランの作成」が、実は「キモ」だと思います。

どのデータを重点的にSDVするか、ということを事前に決めておく、ということですね。

モニタリングプランの作成の詳細は製薬協の提言の96ページをご覧ください。




さてさて、サンプリングSDVを実施するための前提条件として施設で発生するデータに対する「品質管理」があります。

それも、個々のデータをチェックするということだけでなく、「データの発生から記録までのプロセス」を管理するという手法が必要。

あるいは、こうも言えます。まずは「品質管理プロセス」を構築することが大事。(提言の85ページ)


このあたり、「システム監査」と通じるものがあります。

「システム監査」について知りたい方は、是非、社内の監査の人に尋ねてみましょう!


●リスク評価の応用について(101ページ)
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●治験計画時:モニタリングプラン作成時のリスク特定と評価

・プロトコール毎に治験薬の特性や治験の目的、治験の相、デザイン等から重要な因子と考慮すべきリスクを特定し、リスクに応じて適切なモニタリング方法及び頻度等を検討する。


●治験開始前:実施医療機関、治験責任医師選定時の当該医療機関のリスク特定と評価

・医療機関や治験責任医師の治験経験及び治験実施環境に合わせて複数のモニタリング方法を実施医療機関毎に使い分ける


●治験実施中:治験実施中のハイリスク医療機関の特定と評価

・収集される情報に実施医療機関間の格差がある場合(例えば、一実施医療機関のみ報告される逸脱の数が多い、特定の実施医療機関にて報告される有害事象に極端な傾向がある等)、当該医療機関において治験が適切に実施されているかどうかのモニタリングを強化する必要がある


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詳細は下記、参照。
  ↓
モニタリングの効率化に関する提言(製薬協)
  ↓
http://www.jpma.or.jp/about/board/evaluation/allotment/pdf/monitoring_02_01.pdf

明日へ続く。

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  ↓
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