2013年06月08日

『データモニタリング委員会に関するガイドライン』の理解を深める

今週は4月以降に製薬協等から発表された各種報告書を見ていきます。

今日は製薬協の「『データモニタリング委員会に関するガイドライン』の理解を深める」です。

あ!そうそう、下記の研修もあります。(レギュラトリーサイエンス エキスパート研修会)
   ↓
「中間解析(アダプティブデザイン)利用とデータモニタリング委員会ガイドラインについて」
   ↓
http://www.pmrj.jp/kenshu/html/files/yakuji/209/E140.pdf




今日の話を製薬協の資料です。
   ↓ 
「『データモニタリング委員会に関するガイドライン』の理解を深める」
   ↓ 
http://www.jpma.or.jp/about/board/evaluation/symposium/pdf/20130419/20130419.pdf


●データモニタリング委員会に関するガイドライン
   ↓
https://sites.google.com/site/zhiyanniguansurutongzhiji/detamonitoring



詳細は上記の資料をお読み頂くとして、つまみ食いをすると、重要なポイントは以下のとおりです。


●データモニタリング委員会のガイドラインについて(平成25年4月4日付薬食審査発0404第1号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)

この通知が出たのが画期的!というか「待ってました!」的に歓迎。

この通知は下記にあります。
   ↓
https://sites.google.com/site/zhiyanniguansurutongzhiji/detamonitoring

ちなみに、この通知が出た、その時に、このブログで話題にしたことがありましたが、それらもまとめて下記のサイトにのっけています。
   ↓
https://sites.google.com/site/zhiyanniguansurutongzhiji/detamonitoring/dmmonitorkaisetsu




●EDCが普及してきたので、データクリーニングが迅速に行われるようになったことで,中間解析の利用機会が,より短期間・小規模の試験に広がった。


●さらに、EDCの普及などでAdaptive Designも容易になってきた。

で、Adaptive Designって何?

Adaptive Designとは中間解析の結果に基づいて進行中の試験のデザインを変更することを意図した(“計画した”)多段階デザインの総称なんですね。

中間解析して、その結果から、プロトコルを当初のものから、デザインなどを微調整できるというわけ。

ここで、大事なことは「あとからプロトコルのデザインを変えた」のではなく、初めから、中間解析でデザイン等を変更する可能性がありますよ、宣言しておくこと。





●中間解析の結果、「残念ながら」治験を中止することもあるし、逆に「効果が絶大だということが分かったので」中止することもあるんですね。

これは雲泥の差だよね。(僕は過去に都合、3治験でこの中間解析で「Go or No go」を決める治験に関係したことがあるので、この「ヒヤヒヤ感」は痛いほどよく分かります。)



●データモニタリング委員会(Data Monitoring Comittee:DMC)は統計等の専門家の参加が必須。(リンク先の9ページ参照)



●DMCの設置はどんな時に必要か?

それは、死亡又は重篤な転帰を評価変数とした比較対照試験、大規模かつ長期にわたる臨床試験、安全性に関する事前情報の比較的少ない開発初期の臨床試験、医薬品等及び被験者の特徴からリスクが高いと想定される試験等。

僕が経験したDMC設置の治験は抗がん剤とある神経系難病の治験。

どちらも予後が悪く「死亡」などが評価変数だった。

とにかく、データモニタリング委員会(Data Monitoring Comittee:DMC)は「効果安全性評価委員会」というぐらいなので、被験者の「安全性」を重視して、DMCを設置すること。



●FDAのDMCのガイダンス案より
   ↓
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2.1. 被験者のリスクとは?

DMCを設置することの最も基本的な理由は、安全性に対する危惧が著しく大きく、そのために集積データを定期的に中間解析を行なうような状況下で、被験者の安全性を高めるためである。

我々は、以下のような場合にスポンサーがDMCの利用を検討することを推奨する。

・試験のエンドポイントが、中間解析の時点で、著しくよい結果や悪い結果がえられた場合、無益性が判明した場合に試験を予定よりも早期に中止することが倫理的に要求されるようなものである場合。

・特定の安全性の危惧に対して自明な理由がある。たとえば、投与方法の侵襲性が特に高いなど。

・治験薬に関連する重篤な毒性の可能性を示唆する事前情報がある場合。

・小児、妊婦、高齢者、終末期の患者、意思能力が低下した患者などの脆弱な集団に対して行われる試験である場合。

・試験が死亡や重篤な転帰に至るリスクが高まった集団で行われる場合。たとえ試験の目的が症状の改善など「軽い」エンドポイントであっても。

・試験が大規模で、長期、多施設である場合。


これらの性質のどれかに当てはまる試験では、DMCによる追加の監視により被験者のより良い保護が可能になる。

上で述べたように、症状の緩和を検討する短期間の試験など他の試験では、そのような委員会は般に必ずしも必要ではない。

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●「合理的な可能性の基準:CIOMS VI」のスライド(18ページ)を見ると、GCP第2条(定義)のガイダンス15(10)の理解に役立ちます。


●SUSAR(未知重篤な副作用)の緊急報告にもDMCは役立つ。

SUSARとは「Suspected Unexpected Serious Adverse Reactions」(未知重篤な副作用)の略ですね。


●治験実施中に集積データを用いる手順の例は20ページの図解を見ると理解しやすいですよ。


●中間解析に用いるデータの質は「100%クリーン」は目指すべき目標ではない」

そりゃそうだよね。

100%クリーンを目指すと、治験責任医師等にバイアスを与えかねないものね。

自然が一番!



ところで、国際共同治験の場合のDMCはどなるんだろう?

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●国際共同治験におけるDMC

「3.1 DMCの構成」より引用:

大規模な国際共同治験においてDMCを設置する場合は、可能な限り、参加する各地域又は一部地域から代表となる委員を選択することが、本来適切であると考えられる。

このような国際共同治験に日本人被験者が参加する際には、本邦における医療環境及び既存の安全性情報を踏まえて、本邦の専門家がDMC委員として参加することが望ましいが、それが困難な場合にも日本人被験者の安全性に関する検討方法等をあらかじめ考慮しておくべきである。

なお、他地域と比較して被験治療の経験及び安全性情報が乏しい場合等、日本人被験者に対する特別な安全性モニタリングが必要とされる場合には、日本人被験者の安全性を注意深く観察するために、本邦の専門家が国際共同治験に参加する意義はさらに高くなる

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FDAのガイダンス案にも国際共同治験の場合が規定されている。
   ↓
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4.1 DMC委員の構成Committee Composition
(略)
通常,国際共同試験のDMCには,試験に参加している国や地域の少なくとも一部からの代表が参加する。

しかし,参加しているすべての国の代表をDMCに参加させること現実的でない場合が多い。

我々は,4.1節の冒頭に述べた理由により,DMC委員を選ぶ際の基準として,個々の委員の専門性や経験を優先させるべきと考える。

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う〜〜む。やっぱり「専門家」とか「専門性」が重視されるのですね。



さらに過去に発表されている以下のガイダンスも参考になります。
     ↓
製薬協・日本CRO協会「中間解析実施とデータ・モニタリング委員会運営のためのガイダンス」
     ↓
http://www.jpma.or.jp/about/board/evaluation/allotment/monitoring.html



他にもQ&Aも参考になりますので、是非、報告書を一読ください。

「『データモニタリング委員会に関するガイドライン』の理解を深める」
   ↓ 
http://www.jpma.or.jp/about/board/evaluation/symposium/pdf/20130419/20130419.pdf




明日へ続く。



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posted by ホーライ at 16:14| Comment(0) | TrackBack(0) | データモニタリング委員会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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