2013年05月31日

治験の中止・中断、契約の解除、開発の中止

今週も引き続き、治験の進め方のポイント、モニタリングの基礎です。(第8週目)

●治験の中止・中断、契約の解除、開発の中止

●治験依頼者による治験の中止・中断、開発の中止の検討


・モニターは、有害事象・重大な逸脱・継続した逸脱等の重要な情報を漏れなく集めて治験依頼者に報告する。

・モニターは、収集した情報が治験の中止・中断、開発の中止に至るかについては、治験依頼者からの指示を受ける。


【注意点】

・治験依頼者は、治験の継続に影響を与える新たな知見が得られた場合や医療機関のGCP等の重大なまたは継続した不遵守により治験に支障を及ぼすと認められる時、治験の中止・中断、開発の中止をしなければならない。

・実際に治験の中止・中断、開発の中止の検討を行うのは、治験依頼者である。




●開発の中止

・モニターは治験薬の開発が中止された場合、医療機関の長、治験責任医師等にその旨および理由を説明する。

★「治験の中止」と「開発の中止」の違い

「治験の中止」とはたとえば「治験薬ABCの卵巣がんのフェーズ2を中止する」というようなことで、「開発の中止」とはたとえば「治験薬ABCの全てのがん種の抗がん剤としての開発を中止する」ということ。



【注意点】

・治験依頼者は被験薬の開発中止を決定した場合、すべての医療機関の長(事務局)、治験責任医師および規制当局にその旨を文書で通知する。

・医療機関の長は治験依頼者が開発の中止を決定し、その旨を通知してきた場合、治験責任医師とIRBに文書で報告する。

・治験依頼者は「開発中止届書」を規制当局に提出する。

・開発中止の理由として、例えば「期待した薬効が得られないこと」又は「重篤な有害事象が発生したこと」等が挙げられる。




●治験依頼者による全医療機関での治験の中止・中断

★「中止」と「中断」の違い

「治験の中止」は、その時点で治験を止めること。「治験の中断」は、いったん、ここで治験をストップするが、再度、治験を再開する可能性がある場合のこと。


【注意点】

・治験依頼者は治験を中止・中断する場合、全ての医療機関の長及び治験責任医師ならびに規制当局にその旨を文書で通知する。

医療機関の長はIRBにその旨を詳細に伝える。また、必要に応じて治験の契約解除を行う。

・治験依頼者は治験を中止した場合、「治験中止届書」を規制当局に提出する。




●治験依頼者による一つの医療機関での治験の中止・中断

・モニターは医療機関で治験が適切に行われているかどうか調べる。

重大または継続したGCP不遵守、プロトコル逸脱が認められた場合、治験が適切に行われるように指導する。

それでも改善されない場合は治験依頼者にその旨を伝え、今後の対応について相談する。


・治験依頼者は当該医療機関での治験を中止・中断する場合、速やかにその旨と理由を「治験の中止、中断又は被験薬の開発中止の通知文書」にて医療機関の長に通知する。

・治験依頼者は当該医療機関での治験を中止・中断した場合、「治験計画変更届書」を規制当局に提出する。





●医療機関からの治験の中止・中断(治験責任医師・治験審査委員会)

・モニターは医療機関側から治験の中止・中断した旨を知らされた場合、治験依頼者にその旨を報告する。

また、医療機関の長より「治験の中止又は中断の報告書」を受領する。


【注意点】

・治験責任医師が治験を中止・中断した場合、医療機関の長にその旨と中止・中断についての詳細を文書にて説明を行う。

医療機関の長(事務局)は、IRBと治験依頼者にその旨を詳細に文書にて伝える。

・IRBが治験の中止・中断を決定し、その旨を通知してきた場合、医療機関の長(事務局)はこれに基づいた治験の継続に関する「医療機関の長の指示、決定に関する文書」を、治験審査委員会の「治験の継続に関する通知文書」の写しとともに、治験責任医師と治験依頼者に伝える。

・他の医療機関で重篤な有害事象が発生したことにより、当該施設での治験が中止・中断される可能性もある。





●治験の事後処理

・治験が何らかの理由で中止・中断された場合、モニターは治験依頼者、治験責任医師と相談し、被験者への適切な治療および事後処理を保証しなければならない。


【注意点】

・治験が何らかの理由で中止・中断された場合、治験責任医師はその旨を被験者に速やかに伝え、適切な治療および事後処理を保証しなくてはならない。

・治験が中止・中断された場合、当該治験に参加して頂いていた被験者のフォローアップについては、治験責任医師および治験依頼者とよく話し合って決めていく。

このとき被験者が不利益を被らないようにすることを最重要とする。


●事後処理とはどのようなものがあるでしょうか?

事後処理は被験者が治験に参加したことで、不利益が生じないようにすることです。
  
例えば、中止後の副作用の治療費用、検査、追跡調査等が該当します。




今週で「治験の進め方のポイント、モニタリングの基礎」は、とりあえず終了!!

長い間、お疲れ様でした。

なお、「治験の進め方のポイント、モニタリングの基礎」の第1週から第8週まで、まとめて下記のサイトに保存してあります。
   ↓
「モニターへの道」
   ↓
http://monitorhenomichi.web.fc2.com/index.html


●医薬品ができるまで」は下記
http://chiken-imod.seesaa.net/

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http://archive.mag2.com/0000102664/index.html

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