2013年04月12日

データモニタリング委員会に関するガイドラインの意見募集の結果(5)

●今日のテーマとも関連しますが、「データモニタリング委員会に関するガイドラインについて」(薬食審査発0404第1号:平成25年4月4日:厚生労働省医薬食品局審査管理課長)が正式に出されましたので、下記のページにリンクを張っておきました。

このブログは毎週、土日に作成して、自動投稿していますので、上記の最新のガイドラインを反映していませんので、ご了承ください。
    ↓
https://sites.google.com/site/zhiyanniguansurutongzhiji/detamonitoring


●さらにGCPガイダンスの改正がありました。

「「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」のガイダンスについて」の一部改正等について」(薬食審査発0404第4号:平成25年4月4日:厚生労働省医薬食品局審査管理課長)について下記のページにリンクを張ってきました。

https://sites.google.com/site/zhiyanniguansurutongzhiji/home


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今週は「データモニタリング委員会に関するガイドラインの意見募集の結果について」を見ていきます。

ガイドラインの案と意見の結果のリンクは下記のページに張ってあります。


●データモニタリング委員会に関するガイドラインの意見募集の結果について
(データモニタリング委員会に関するガイドライン案に対するパブリックコメントの結果)
   ↓
https://sites.google.com/site/zhiyanniguansurutongzhiji/detamonitoring


今日も独断と偏見で気になるパブリックコメントとその回答を見ていきましょう。




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【意見】

「実際に中間解析を行った統計家も公開審議に参加することができる。」とありますが、独立性維持の観点から中間解析の結果を知っている統計家が同席するべきではありません。



【回答】

御意見を踏まえ、当該記載は削除しました。

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うむうむ。当然と言えば、当然ですかね。

中間解析の結果を知っている統計家が入ると(その他の人でも)、バイアスが入ってきますものね。

このあたりは「独立データモニタリング委員会」で、多々、発生しますね。

データモニタリング委員会のSOPで、そのあたりは、しっかりと情報が漏えいしないような適切な処置をとっておく必要があります。






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【意見】

治験依頼者は勧告そのものではなく、勧告に対する治験依頼者の決定事項を伝達することを記載すべきです。

治験依頼者が伝達すべきなのは勧告そのものより、それに基づく治験依頼者の判断と考えられるためです。

また、勧告に対しては実運用上はすべて伝達されるものと思いますので、「必要に応じ」という表現も削除してよいのではないでしょうか。



【回答】

御意見を踏まえ、修正しました。

また、必ずしも全ての状況で各組織等への伝達がなされるとは限らないこと、不必要な情報伝達もバイアス混入につながることが考えられるため、「必要に応じ」という記載を残しています。

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う〜〜ん。このあたり、難しいなぁ。

実際にDMCを初めて体験する治験依頼者はまごつくでしょうね。

ですので、今週の頭にも書きましたが、下記のシンポジウムがあるようですので、可能な方は是非、参加してみましょう!  
  ↓
日本製薬工業協会主催公開シンポジウム「データモニタリング委員会に関するガイドライン」の理解を深める
  ↓
http://www.jpma.or.jp/event/information/130419.html


ガイドラインの文字を読んでいるだけでは、分かったつもりでも、実際に、じゃ、やってみましょう、となると、結構、細かい所で、「これって、一体、どうするの?」というのがあると思います。

一度でも体験していると分かるのですが、新参者には理解可能でも、現実化は困難、というのが多々あります。

こういう時って、業界内の『人脈』が結構、大事で、他社の人に「ね、これって、具体的にはどうするの?」と経験者に聞くのが一番です。(と言っても、その「経験者」が必ずも「正しい」とは限らないところが、怖いのですが。)



一歩ずつ勉強していきましょう。

大事なことは「難しいから」と言って、「投げる」ことです。(せっかくの自分の成長も投げ出してしまうことになりますからね。)


今週は気になる点だけ、それもごく少数だけピックアップしていましたので、全項目を読まれることを強くお勧めします。

統計解析家って、重要なんだ、と再認識させられます。(今さらですが。)

例えば、以下のようなパブリックコメントが続きます。


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【意見】

中間解析を実施する統計家と、DMC委員の統計家両者の区別がわかりにくといため、配慮をすればこれらを一人の統計家が兼ねることも可能である旨を記載してはいかがでしょうか。




【回答】

他の御意見も踏まえ、両者が異なる役割を持ち、本来異なる者が担当するべき点を主旨とする記載としました。

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【意見】

DMCの統計家の独立性が保たれない場合は、結果にバイアスが混入する可能性が高くなるため、その重要性を強調する必要があると思います。

具体的には、「中間解析を担当する統計家は独立性に配慮する必要があり、試験デザインの設計はもとより、試験デザインの変更についての意思決定や試験の運営管理に関与させないことが適切である。」のように下線部の文言を追記してはいかがでしょうか。

中間解析を担当する統計家は、解析計画書に基づいて淡々と業務を遂行することがミッションであり、必ずしもデザインに関わる必要はかならずしもないと思われますが、さらに厳しく独立性を求める意見があった、とご理解ください。

実務上は、多くの場合、プログラマレベルのスタッフを解析担当に任命することで厳しく独立性を担保することも可能と思われます。



【回答】

御意見を踏まえ、修正しました。

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【意見】

「中間解析を担当する統計家以外の者が盲検解除されたデータを閲覧することがないよう、」という記載は、非公開審議の記述と矛盾します。

個別症例の割り付け内容を対象としているのだと思いますが、データには中間解析結果(群間比較結果)やSAE等がどちらの群かなど様々なものが含まれます。

DMCは独立、非公開であるのですから、「盲検解除されたデータ」という表現ではなく、具体的に意図するものを記載すべきと思います。



【回答】

御意見を踏まえ、DMC委員を除いては中間解析を担当する統計家のみ盲検解除されたデータの閲覧が可能とする旨に修正しました。

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【意見】

「早期中止」を「被験治療の有効性に基づく早期中止」に修正してはいかがでしょうか。

被験治療の有効性に基づく早期中止を判断する場合は、記載の通り、複数回の統計学的検定を実施することに基づく第一種の過誤確率の上昇を考慮に入れる必要があります、有効性における無効中止や、安全性を理由とした試験の早期中止を判断する場合は、検定以外の解析結果に基づく方法により判断を行い、いわゆる第一種の過誤確率を気にしない場合があります。



【回答】

御意見を踏まえ、追記しました。

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はい、出てきましたね。「第一種の過誤」。「第一種の過誤」とは何でしょうか?

第一種過誤とは(α過誤、偽陽性)、帰無仮説が実際には真であるのに棄却してしまう過誤である。

換言すれば、これはテスト結果が対立仮説を支持しているように見えるために起きる過誤である。

つまり、統計的に有意でないのに有意な差があると観測される場合に発生する。

(ウィキペディアより)

「第二種の過誤」というのもあります。どんな過誤のことでしょう? 調べてみましょう!





話は戻ります。


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【意見】

「DMCの統計家は、これら中間解析特有の統計的問題点を踏まえて、臨床試験の計画時に統計解析計画(中間解析の実施時期、実施回数、統計解析手法等)の妥当性について治験依頼者と協議しておく必要があり、また、DMCがより適切な意思決定ができるように、DMCに報告される中間データの有効性及び安全性の解析結果やその提示方法を適切に規定しておく必要がある。」とありますが、下線部のような記載では独立性が保たれないのではないでしょうか。

誤解のないよう「妥当性について治験依頼者と協議」ではなく、「妥当性をレビューし、治験依頼者に必要な勧告をすべき」というような記載にすることはいかがでしょうか。


【回答】

御意見を踏まえ、修正しました。

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いかがでした?

統計解析家って重要ですね。

統計解析に転籍してみますか?

でも、難しそうだよな・・・・統計解析って・・・・・・・・。

下記の本で勉強してみません?
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今週は「データモニタリング委員会に関するガイドラインの意見募集の結果について」を見てきました。

是非、皆さんは、DMCを活用し、治験を科学的に進めていかれますように。




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