2013年04月09日

データモニタリング委員会に関するガイドラインの意見募集の結果(2)

今週は「データモニタリング委員会に関するガイドラインの意見募集の結果について」を見ていきます。

ガイドラインの案と意見の結果のリンクは下記のページに張ってあります。


●データモニタリング委員会に関するガイドラインの意見募集の結果について
(データモニタリング委員会に関するガイドラインに対するパブリックコメントの結果)
   ↓
https://sites.google.com/site/zhiyanniguansurutongzhiji/detamonitoring



・・・・・と話は50億光年ぐらい飛びますが、最近はこのブログでは直接、該当する通知類にリンクを張らず、上記の「治験に関する通知集」のページにリンクを張っています。

皆様には二度手間をかけてしまい、申し訳ないのですが、これは「治験に関する通知集」のPRも兼ねて、あえてそうしています(と身勝手なことを申しております。ただ、治験に関する通知集の存在を知って欲しくて、つい、出来心です^^;)1



さて、今日もDMCのガイドライン案に対するパブリックコメントと回答の中から気になるものを見ていきましょう。


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【意見】

「中間解析とは、...有効性又は安全性に関する群間比較を意図した、割り付けを明らかにして行う解析を指す。」とありますが、 中間解析はこれに限定されるものではないと考えます。

比較試験ではなくても安全性評価の観点から独立第三者がデータモニタリングを行う場合もあります。



【回答】

試験途中でのデータの評価に対しては様々な呼称があると考えますが、本ガイドラインにおいては、比較を意図した解析を中間解析と定義しました。

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うむ。

意見にあるように、安全性の評価の観点から「独立データモニタリング委員会」をやることも確かにあります。

「独立データモニタリング委員会」はGCPで言う「効果“安全性”評価委員会」ですので、「安全性」評価を主としてやる場合もあります。特に抗がん剤の治験の場合など。


でも、とりあえず、今回のDMCのガイドラインでは「中間解析」とは「比較を意図した解析」と定義しているようです。






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【意見】

このガイドラインを日本独自に出しても、グローバル試験に適用することは現実的には困難で、無用な混乱を招くことを危惧します。

必要であればICH topicsとしてはどうでしょうか。

既に、欧米で同種のガイドライン等が公表されているのでしたら、リファレンスとして掲載をお願いします。

今後、日本独自のガイドラインを発出する際は、同時に英語版も発出されることを望みます。




【回答】

御意見をありがとうございました。

本ガイドラインは他地域のガイドラインとの整合性も考慮しながら作成しています。

本ガイドラインと関連する指針等も記載していますので、参考にしてください。

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はい、外資系の製薬会社で働いている人は、また、本社への説明に苦慮する事態でもありますね。

でも、こういうガイドライン類は厳格すぎても治験の促進にブレーキをかけますが、ある程度の「目安」があったほうがやりやすいこともあります。

特に「初めて」の場合や、新参者には。

ガイドライン類は賢く、使っていきましょう。

「ボスから、今度の治験はデータモニタリング委員会を使ってやれ、って言われたけれどさ、何? データモニタリング委員会って?」なんていう時には、こういうガイドライン類は助かります。



あ! 繰り返しますが、今週はパブリックコメントの質疑応答の中から「気になるものだけ」ピックアップしています。

全てのパブリックコメントと回答を見ていません。

あえて、スキップしたものもあります。^^;

その中には「面白いもの」もありますので、皆さんは、各自で全ての「意見」と「回答」をお読み頂くことを強くお勧めします。

まぁ、何を面白いと思うかは人それぞれですし、そもそもガイドライン案とパブリックコメントに対して「面白い」という表現は「いかがなものか」と言われるかもしれませんが、僕は不謹慎なので、ご容赦のほどを。







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【意見】

「治験実施計画書に規定された試験の中止/継続等の意思決定の基準は重要であるが、DMCにおいては、それ以外にも様々な観点から十分に問題を考慮し議論するべきである。」とありますが、これは治験実施計画書に規定されている意思決定の基準を超えてDMCで議論の上、勧告することも可能とする意図を含んでいるのでしょうか。

DMCで多面的に議論するのは重要ですが、助言・勧告の内容においては治験実施計画書及びDMC charterの範囲を超えるものではない点を明記すべきです。




【回答】

御指摘の部分は、DMCにおいて意思決定基準に沿った判断のみならず、多面的な議論を行う必要性について記載したものです。


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ふむふむ。

そうですね。

本来ならば治験実施計画書や解析計画書で意思決定の基準がバチッと決まっていればいいですが、得てして、現実は「想定外」のこともありますので、DMCで、検討することも重要な場合が発生するでしょうね。

「ルール」も大事ですが、それにあまりにも縛られすぎて、何かを(特に安全性に関するものを)見逃してもいけませんからね。






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【意見】

委員の独立性についての記述が不明瞭です。

治験依頼者との間に重大な利益相反がない、また、治験依頼者、治験責任医師からの影響をうけえない中立的な意見を述べられる立場でなければなりません。



【回答】

御意見をありがとうございます。

当該内容に関しては、DMC及びDMC委員の役割と責務、DMC委員の選定に関する留意点として記載しています。

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ええ、まさにそのとおりで、利益相反に関してはDMCに限らず、治験責任医師等にも言えますね。

きっと、そのうちに日本の治験でも、治験責任医師と治験分担医師は「ファイナンシャルディスクロジャー」が義務付けられる時代も来ることでしょう。


一般市民の方からあらぬ疑いを持たれないように、気をつけていきましょうね。

「李下に冠を正さず」「瓜田に履を納れず」ですよね。



明日へ続く。




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posted by ホーライ at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | データモニタリング委員会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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