2013年03月31日

治験の進め方のポイント(1)

今週からしばらくは「治験の進め方のポイント」です。

もうすぐ新人のモニターが誕生しますからね。

今週からは新米モニター向けGCPセミナーです。


●治験の進め方のポイント(1)


●治験体制の確立、治験実施計画書作成、治験薬概要書の作成、症例報告書の見本の作成、同意説明文書の雛型の作成。


まず、治験関連業務の確定、適格者への割当をします。

医学専門家を指名(必須)し、治験調整医師・治験調整委員会の設置(必要に応じて)、効果安全性評価委員会の設置(必要時)、統計解析責任者の指名(必要に応じて)、CROの選定(必要に応じて)等。

治験実施計画書を作成します。

記載すべき項目は次のとおり。(答申GCPより)

なお、答申GCPは下記のページに保存してあります。
     ↓
https://sites.google.com/site/zhiyanniguansurutongzhiji/toshingcp




10 治験実施計画書

10−1 治験実施体制

10−2 背景情報

10−3 治験の目的

10−4 治験のデザイン

10−5 被験者の選択、除外、中止基準

10−6 被験者に対する治療

10−7 有効性の評価

10−8 安全性の評価

10−9 統計解析

10−10 原資料等の直接閲覧

10−11 治験の品質管理及び品質保証

10−12 倫理

10−13 データの取扱い及び記録の保存

10−14 金銭の支払い及び保険

10−15 公表に関する取り決め

10−16 治験期間

10−17 参考資料


上記のうち、特に重要なのは「被験者の選択基準」と「被験者の除外基準」です。

ここを大きく間違えると、治験がニッチモサッチモいかなくなります。

これらの基準を厳しくすると被験者の登録が進みませんが、基準の設定を間違えると有効性も安全性もやばくなります。


さらに、「有効性の評価」と「安全性の評価」。

特に「有効性の評価」、いわゆるプライマリーエンドポイントの設定を間違えるとせっかくの治験薬のポテンシャルを引き出すことができません。

また、臨床の現場を無視した「安全性の評価方法」(臨床検査の頻度や項目等)にすると、これまた、治験が進みません。

必要かつ十分な安全性の評価方法にしましょう。




さて、治験実施計画書を作成したら、今度は症例報告書の見本の作成です。

どのようなデータを集めるか?

どのようなデータを集めないのか?

医師からのコメントを求めるのか?求めないのか?

必要以上にデータを集める症例報告書にすると、モニターのSDVが大変ですし、データミスも多くなります。

また、症例報告書の見本を決定したら、今度は、カルテシール、ワークシート等を使うか、使うなら、どのようなワークシートにするかを決めます。

必要以上にワークシートに頼るようになると、ダブルでデータが発生し、混乱します。

できるだけ、ミニマムのカルテシール、ワークシートにします。


そもそもカルテシール、ワークシートとは何か?

日常診療では集めないデータだけど、今回の治験に限って集めるデータを記載するための用紙ですね。

カルテのどこかに記載されそうなデータはそこで確認しましょう。

それをまたカルテシール、、ワークシートに転記するようにすると転記ミスやSDVの二度手間です。(ALCOAの原則にも反します。)



治験薬概要書に記載すべき項目は次のとおりです(答申GCPより)

なお、答申GCPは下記のページに保存してあります。
     ↓
https://sites.google.com/site/zhiyanniguansurutongzhiji/toshingcp


11 治験薬概要書

11−3 治験薬概要書の内容

11−3−1 目次

11−3−2 要約

11−3−3 序文

11−3−4 物理的・化学的及び薬剤学的性質並びに製剤組成

11−3−5 薬理、毒性、薬物動態及び薬物代謝

11−3−6 臨床試験成績

11−3−7 データの要約及び治験責任医師に対するガイダンス


「臨床試験成績」に記載されていない副作用が「予測できない副作用」(未知の副作用)に該当します。


「データの要約及び治験責任医師に対するガイダンス」の項目には「治験薬を過剰投与した場合の処置方法」の記載も必要です。






次に必要に応じて「モニタリングに関する標準業務手順書」を作成します。

治験に特有のモニタリングとして、作成上特に注意すべき点は以下の点です。

・モニタリングの内容・タイミング(登録時の確認、SDV、中止・脱落時の臨床検査について)

・治験薬の交付・回収

・逸脱の取扱い(症例および症例データの取り扱い基準書参照)

・CRFに関する留意事項

・安全性情報の取扱い


既にあるモニタリングのSOPで問題無いなら、それで大丈夫です。

SDVマニュアルも作っておくといいですね。

さらに「治験薬の取扱い手順書」を作成します。

このあたりで、治験薬の製造、品質試験の実施、包装、表示します。

治験薬には次の項目は記載禁止です。

●「予定される販売名」

●「予定される効能・効果」

●「予定される用法・用量」


もちろん、「治験薬の使用方法」は記載可能です。(その昔、総合機構の新人担当官に、「これは予定される用法・用量に該当しますのでGCP違反です」と断定されて、焦ったことがあります。^^;)




さて、以上の作業が終わったら治験責任医師の調査・選定です。

●治験責任医師・実施医療機関の候補選定

●治験責任医師・実施医療機関候補の要件確認

●治験責任医師・実施医療機関の選定

●治験責任医師から履歴書の入手


ちなみに、治験責任医師候補者に治験の概要を説明しますが、以下の項目を記載した資料を作っておくといいでしょう。


●治験の目的

●対象疾患

●選択基準

●除外基準

●治験のデザイン(治験の種類・治験のスケジュール・主要評価項目・治験実施期間・目標症例数等)

●その他、プロトコル特有の事項


明日へ続く。




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