2013年03月02日

データモニタリング委員会に関するガイドライン(案)について

今週は「データモニタリング委員会に関するガイドライン(案)」(平成24年12月3日:厚生労働省医薬食品局審査管理課)についてです。
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https://sites.google.com/site/zhiyanniguansurutongzhiji/detamonitaringu-wei-yuan-huini-guansurugaidorain-an


僕が現役のモニターをやっていた頃、卵巣がんに対する抗ガン剤の治験を担当していたので、「効果安全性評価委員会」にさんざんつき合わされた。

この「効果安全性評価委員会」を開催するために治験依頼者である僕たちは膨大な資料を用意し、ホテルを予約し、委員会の進行をやり、「腫瘍」の大きさを「ノギス」で計り・・・・・と、ものすご〜〜〜〜く苦労した!

直接、担当していなかったが、同じ社内でALS(筋萎縮性側索硬化症)の治験を担当していたチームも「効果安全性評価委員会」を設置していて、その直前は徹夜で頑張っていた。




GCP省令第19条に次のようにある。
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(効果安全性評価委員会の設置)

第19条 治験依頼者は、治験の継続の適否又は治験実施計画書の変更について審議させるために効果安全性評価委員会を設置することができる。

2 治験依頼者は、前項の効果安全性評価委員会の審議に関する手順書を作成し、これに従って審議を行わせなければならない。

3 治験依頼者は、前項の審議を行ったときは、その審議の記録を作成し、これを保存しなければならない。

〈第1項〉

1 「効果安全性評価委員会」は、治験の進行、安全性データ及び重要な有効性エンドポイントを適当な間隔で評価し、治験依頼者に治験の継続、変更又は中止を提言することを目的として、治験依頼者が設置することができる治験依頼者、治験責任医師及び治験調整医師から独立した委員会であり、「独立データモニタリング委員会」とも呼ばれる。

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〈第2項〉

1 治験依頼者は、効果安全性評価委員会と協議の上、審議に関する手順書を作成すること。

2 審議に関する手順書は、治験の進行、安全性データ及び重要な有効性エンドポイントを適切な間隔で適切に評価できるよう手順を定め、治験依頼者に治験の継続、変更、及び中止又は中断等の提言が適切に行われることを確保するためのものである。

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〈第3項〉

1 治験依頼者は、効果安全性評価委員会の了承のもとに、すべての審議及び会合の記録を作成し、その記録を保存すること。


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上記の「効果安全性評価委員会」は「独立データモニタリング委員会」とも呼ばれている。

何から「独立」かというと「治験依頼者」と「治験責任医師等」から独立している、という意味だ。

だから治験責任医師の中から「効果安全性評価委員会(独立データモニタリング委員会)」の委員を選べない。

ここが「治験調整委員会」大きく違う点だ。

治験依頼者は、その分野の専門家であり、かつ治験責任医師でも治験分担医師でもない医師を集める必要がある。

ところで、「抗悪性腫瘍薬の臨床評価方法に関するガイドライン」というのがある。
   ↓
https://sites.google.com/site/zhiyanniguansurutongzhiji/lin-chuang-ping-si-fang-fani-guansurugaidorain



この「抗悪性腫瘍薬の臨床評価方法に関するガイドライン」の中に次のようにある。
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X. 第U相試験

(前略)

8. 効果判定規準

RECIST(Response Evaluation Criteria In Solid Tumors)による効果判定規準等を標準とし、科学の進歩に応じて、その治験薬により適切な規準を使用する。個々の症例の効果判定は、原則として判定委員会のような当該施設以外の組織の確認を受けることが望ましい。


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上記に「判定委員会のような当該施設以外の組織の確認を受けることが望ましい」とある。

なので、僕が担当していた卵巣がんの抗がん剤の治験でも「当該施設以外の組織」として「効果安全性評価委員会」を設置していたというわけだ。


では、どのような治験の場合、この「効果安全性評価委員会」を設置しなければいけないのか?

従来、言われていたのは「抗がん剤」のような「致死率の高い疾患」等の治験では設置することが望ましいとされていた。

だから、どこの製薬会社でもこの「効果安全性評価委員会」を設置していたわけではない。

すると、ある日、急に致死性の高い領域の治験をやることが会社で決まったら、この「効果安全性評価委員会」を設置することになり、「え〜〜!「効果安全性評価委員会」って何? どうすればいいの?」となる。

ところが、今回の「データモニタリング委員会に関するガイドライン(案)」が出ることで、どこの製薬会社でも(ある程度)「効果安全性評価委員会」をマネジメントできるようになる。




話は飛ぶが、このようにある種のノウハウが、「ガイドライン」になると、ライバル会社との差が少なくなる。(無くなることはない。)

「アルツハイマー」の新薬の効果をどのように評価したらいいか、というのは、その分野で最初に治験を行う会社が(医学専門家等のアドバイスを得ながら)試行錯誤して考えることになる。

下手な評価方法を作ってしまうと、せっかく、その治験薬に効果があるのに、それを引き出すことができなくて、治験が「ポシャル」ことになりかねない。

だから、新薬の評価方法は重要な「ノウハウ」であり、ある意味、「企業秘密」だったのだが、このような評価方法がどんどん「ガイドライン」として出てくる。
   ↓
https://sites.google.com/site/zhiyanniguansurutongzhiji/lin-chuang-ping-si-fang-fani-guansurugaidorain


でも、ガイドラインが出たぐらいで、「上手く」治験が進むわけではない。

たとえば、所謂、「治験の総括報告書のガイドライン」(治験の総括報告書の構成と内容に関するガイドライン)は出ている。
   ↓
https://sites.google.com/site/zhiyanniguansurutongzhiji/ichgaidorain-you-xiao-xing


しかし、このようなガイドラインが出ているからと言って「素晴らしい」総括報告書を誰でも作れるわけではない。(もちろん)

そこには会社の、あるいは個人のノウハウやセンスが必須だ。


だから、今度の「効果安全性評価委員会」のガイドラインが出たからと言って、データモニタリング委員会を「上手くマネジメント」できるわけではない。

(とりあえずはできるけれど。)

せめて最低限は知っておかないといけないのがガイドラインだ。




・・・・・ということで、今週は「データモニタリング委員会に関するガイドライン(案)」を見ていきます。





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