●病院の営業担当者がやってきた!
デーモン「珍しいですね、病院がセールスに来るなんて。」
病院の営業「ええ。当院は今年から治験をしっかりとビジネスとして成立させようと思いまして。」
デーモン「で、どのような内容で?」
病院の営業「はい。当院は首都圏に10病院、名古屋圏に5病院、関西圏に10病院を支配下にしており、全ての病院で治験ができる環境にあります。しかも、それぞれの圏内の病院は2時間以内に移動可能です。」
デーモン「それはモニターにとって好都合ですね。」
病院の営業「で、それぞれの3圏内ではセントラルIRB(*)を採用していますので、たとえば首都圏の全10病院に治験をご依頼される場合、1回のIRBで済みます。」
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*セントラルIRBとは(GCP省令第29条のガイダンスより)
5 多施設共同治験において、各実施医療機関の長が一つの治験審査委員会(いわゆる「セントラルIRB」)に調査審議の依頼を行う場合には、当該治験に参加する実施医療機関より治験調整医師等の適切な治験責任医師を選出し、その者が各実施医療機関の治験責任医師を代表して治験審査委員会において説明することで差し支えないこと。
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デーモン「なるほど。それは便利です。」
病院の営業「IRBへの申請資料は全てメールで送ってくださってもいいですし、当院で用意しているクラウドのフォルダに保存されても構いませんしDVDで送ってくださっても構いません。」
デーモン「へー、クラウドの領域に保存でいいんですね。」
病院の営業「たとえばグーグルのDrive(*1)やマイクロソフトのskydrive(*2)に当院専用の領域を保存しておりますし、あるいは直接、当院のサーバーに保存されてもかまいません。」
*1グーグルのDrive(下記の「ドキュメント」)
↓
http://www.google.com/intl/ja/about/products/
*1マイクロソフトのskydrive
↓
https://skydrive.live.com/
病院の営業「また、直接、資料をご持参される場合は最寄りの当院の傘下病院にご持参頂ければ、どこでも構いません。たとえば、御社ならば当院の新宿病院にIRB資料を運んで頂ければ、首都圏全ての10病院での事務手続きは不要です。」
デーモン「柏にある病院に持っていっても同じですか?」
病院の営業「はい。同様です。極端な話、大阪のグループ病院にご持参して頂いて、首都圏の10病院に対する手続きも可能です。」
デーモン「なるほど。」
病院の営業「また、当院では全ての治験の契約者は治験責任医師(*)になります。」
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*治験の契約者を治験責任医師にすることについて
GCP省令第13条のガイダンス
1 治験の契約は(中略)、なお、実施医療機関の契約者については、実施医療機関の長又は実施医療機関の長が選任した者の「いずれでも差し支えない」が、その責任は実施医療機関の長が負うこと。(後略)
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デーモン「それはいいですね。責任の所在がはっきりしていい。そもそも院長が治験の責任を負うなんて、現実的には・・・・・・。」
病院の営業「ですね。さらに包括的契約をして頂くことで御社の治験を優先して実施致します。」
デーモン「それは治験の包括契約(*)ということで?」
病院の営業「ええ。それとビジネスとしての御社と当医療法人との包括契約としてでもです。このビジネス契約を結ぶことで個々の治験の費用は割安にもなります。」
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*治験の包括契約について
GCP省令第13条のガイダンス
3 契約書には、次に掲げる事項が含まれていること。
なお、これら事項については、必ずしも一の契約書にすべて含まれていなくても差し支えない。(例えば、複数の治験に共通する事項等に関する基本的な契約書と、各治験の個別事項等に関する契約書を、別個に作成・締結することでも差し支えない。)
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デーモン「その治験の費用はどう算出するんですか?」
病院の営業「当院では疾患領域ごとに医師が標準的な費用を設定(*)していますが、細かいところは個別に相談致します。アクネの治験費用とオンコロジーの費用は同一にはできないもので。もちろん出来高払いです。」
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*治験の費用について
GCP省令第13条のガイダンス
(12)治験の費用に関する事項(治験に係る金銭の支払については、治験依頼者と実施医療機関との間で、文書で取り決めておくこと。)
7 第12号「治験の費用に関する事項」には、費用算定が可能な内容を記載することで差し支えない。
なお、本項の記載に基づく治験の費用の支払いは、治験の実績に応じた適正なものであること。
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病院の営業「また、当院ではローカルデータマネジャーが各病院に5名が常在しております。」
デーモン「へー!そうなんですか。それはすごいですね。」
病院の営業「ただし、その人件費はご請求させて頂きます。」
デーモン「あははは。やっぱり?」
病院の営業「しかし、その分、モニターの方の出張費や日当、人件費が浮きます。当グループで治験を行う場合、モニターの方は最小ですと、治験の開始から終了まで5回の訪問で済みます。もちろんSDVはリモートSDV可能です。」
デーモン「それは助かる。」
病院の営業「それになにより、ローカルデータマネジャーがCRFのデータを完全に保証しますので監査はもとより総合機構の実地調査でも問題になることは無いことを保証致します。」
デーモン「医師の質はどうなの?」
病院の営業「当院では治験やGCPの研修を全ての勤務医に年間40時間以上義務付けおります。また、e-ラーニングで合格しない場合、当院との契約を打ち切るシステムで。」
デーモン「やっぱり、治験の質は医師に左右されるしね。」
病院の営業「また、付帯サービスとして御社に当院の医師を派遣して「医学的知識の研修」も実施可能です。ただし、別料金ですが、格安です。」
デーモン「やるな。さすがにビジネスとして考えているだけある。」
病院の営業「肝心の被験者の集積ですが・・・」
デーモン「そこそこ。それだよ肝心なのは。」
病院の営業「当院は疾患別の患者パネル(*)を持っています。」
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*患者パネルについて
臨床研究・治験活性化5か年計画2012 アクションプラン(平成24 年10 月15 日:文部科学省・厚生労働省)
・国は、厚生労働科学研究費補助金による研究班等を設置し、臨床研究・治験における症例集積性の向上等の観点から、以下の内容等について検討を行い、厚生労働省ウェブサイト等で公表する。
1.疾患レジストリーの定義、ネットワークの特性、目的に応じた疾患レジストリー等の在り方について
2.特に求められている疾患分野や情報収集する項目
3.個人情報保護に配慮した情報提供方法 等
・治験ネットワークは、研究班の報告を踏まえて、症例集積につながる疾患レジストリー等の構築につとめるとともに、症例集積に取り組む。
・治験ネットワークは得意領域を明らかにするほか、必要時に速やかに情報を収集できる機能を用意しておく。また、収集された情報は、治験依頼者にとって真に有用なものであり、また、医療機関に必要以上に負担をかけないものとする。
・各臨床研究グループにおいても、治験に限らず臨床研究に活用できる疾患レジストリー等の構築について検討する。
・難病に関する研究班や医薬基盤研究所、難病情報センターが所有している情報を確認し、疾患毎や地域毎等にどのような情報があるのかを整理する。
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デーモン「という事は、治験のスピードも約束してくれると?」
病院の営業「はい。どこよりも早く症例を集めます。当グループの傘下にはクリニックも20施設あり、紹介制度もあります。」
デーモン「なるほど。」
病院の営業「そして、当院では治験依頼者からの「治験よろず相談窓口・治験ヘルプセンター」も持っています。治験に関してお困りのことがありましたら、あるいは当院に対する治験体制の苦情がありましたら、いつでもおっしゃってください。」
デーモン「やりますね。」
病院の営業「リモートSDVの端末は御社内に設置も可能ですし、当グループのどこの病院からも全ての傘下グループの病院のカルテをご覧になれます。大阪から東京の病院のSDVも可能です。」
デーモン「ありがたい。」
病院の営業「ただし、繰り返しますが、他院よりも基本料金は高めですのでご承知おきください。」
デーモン「製薬会社は新薬の開発に関してはお金よりも時間を大切にするから、その点は大丈夫だ。たとえば年間100億円の売り上げがある新薬は1日に約3千万円の売り上げになる。新薬を市場に出すための1日のロスは数百万円になることはザラだからね。」
●最新の医療ニュースのまとめ
http://medical-news.seesaa.net/
●iPS細胞と再生医療ニュースのまとめ
http://horai-science.seesaa.net/
●治験と臨床試験のニュースのまとめ
http://chiken-adventure.seesaa.net/
●製薬会社のニュースのまとめ
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●最新の科学のニュースのまとめ
http://horai-sciencenews.seesaa.net/
●ホーライ製薬は下記
http://horaiseiyaku.seesaa.net/
●医薬品ができるまで」は下記
http://chiken-imod.seesaa.net/
●GCPの解説(ワンポイントアドバイス)ブログ版
http://gcp-explain.seesaa.net/
●GCPの解説(ワンポイントアドバイス)サイト版
https://sites.google.com/site/gcpnokaisetsu/
●GCPの問題集(ブログ版)
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●GCPの問題集(サイト版)
https://sites.google.com/site/monitorcrcgcpmondai/
●基礎医学知識・薬学知識・カルテ用語の問題集(ブログ版)
http://cra-hilevel.seesaa.net/
●治験の略語集、治験に使われる言葉の解説(サイト版)
https://sites.google.com/site/chikenryakugo/
●お勧めのビジネス書(ランキングあり)
https://sites.google.com/site/osusumebzbook2/