2013年01月18日

「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」のガイダンスについて(4)「サンプリングSDV」と「副作用の判断」

今週は「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」のガイダンスについて」(平成24年12月28日:薬食審査発1228第7号)を見ています。
   ↓
http://www.jmacct.med.or.jp/plan/files/gcp121228_1.pdf

■■■■■ 注目!  ■■■■■
   ↓
薬事法施行規則の変更案とGCP省令の改正案に対するパブリックコメントとそれに対する回答です。
   ↓
これを読むといくつかの問題点が解決されます。
   ↓
●薬事法施行規則等の一部を改正する省令(案)に関する意見募集の結果について 厚生労働省医薬食品局審査管理課 平成25年1月15日
   ↓
http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000095750


「サンプリングSDV」について、です。

ガイダンスのPDFで言うと54頁目(表示されている頁で言うと48頁目)にはこう記載されています。
  ↓
■■■■■■■■■■■■■■

5.

(前略)

臨床研究中核病院等が当該実施医療機関及びその他の施設において治験の実施(データの信頼性保証を含む。)を適切に管理することができる場合においては、必ずしもすべての治験データ等について原資料との照合等の実施を求めるものではないこと。

■■■■■■■■■■■■■■




サンプリングSDVと言っても、治験依頼者によって考え方は様々です。

以前にも書きましたが、どれだけの割合で「抜き取る」のか?とか、どういう管理を医療機関側で実施していたら、サンプリングSDVを実施していいのか? というのは、治験依頼者が自ら考える必要があります。

参考になるのは以下のものです。
  ↓
●SDVの効率化検討(製薬協)
  ↓
http://www.jpma.or.jp/about/board/evaluation/allotment/sdv.html


●サンプリングSDVへの挑戦(モニタリング2.0)
  ↓
http://www.moni2.org/moni2/PDF/20100522-komiyama.pdf


●SDVの効率化を模索する サンプリングSDVの導入とデータ品質確保への取り組み-治験実施医療機関の視点から-
  ↓
http://jglobal.jst.go.jp/public/20090422/201102243831611375


「サンプリング」の絶対的条件は「製品が均一」である、ということですね。

たとえば、「電球」を製造している工場があったとしましょう。

その「電球」が正しく製造されているかどうかは、「全て」を壊して確認するわけにはいかないので、100個に1個の割合で「抜き取り(サンプリング)」、その1個を破壊して、調べるわけです。

でも、それは「電球」が「均一の工程」で「均一」に製造されているという「前提」があるから、できる話しですよね。

これが、「電球」が均一に製造されているとは限らない、となったら、「抜き取り」で「全体」を判断することができません。

治験のデータも同様に考えていきましょう。



話は50万光年ほど飛びますが、今回のガイダンスに「臨床研究中核病院等」という言葉が出てきます。

上記の「5」にもありますし、他にも

■■■■■■■■■■■■■■

●臨床研究中核病院等のネットワークの事務局等、当該実施医療機関以外の者が行っても差し支えない。

■■■■■■■■■■■■■■


とか。


臨床研究中核病院には下記の施設が選定されています。
 ↓
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/chiken/

<臨床研究中核病院>2012年8月6日

●北海道大学病院

●千葉大学医学部附属病院

●名古屋大学医学部附属病院

●京都大学医学部附属病院

●九州大学病院



ガイダンスの中で、わざわざ「臨床研究中核病院等」と言っているのは、それだけ「期待されている」ということなんでしょうね。

逆に「それぐらいはやってくださいね」というプレッシャーなのかもしれません^^;

ただ、「臨床研究中核病院」だから「無条件にサンプリングSDVをやっても良い」というわけではないですよね。(当然ながら。)

また、逆に「クリニックレベル」の病院であるから「無条件にサンプリングSDVはダメ」ということでもないですよね。(当然ながら。)


相手をよく見極めて、サンプリングでいけるかどうかを判定していきましょう。





さて、ガイダンスに戻ります。

ガイダンスの中に次の記載もあります。
 ↓
●●●PDFの13頁目(副作用と判断する際の参考ポイント)●●●
 ↓
■■■■■■■■■■■■■■

(10)「副作用」とは、

(前略)

因果関係の判定を行う際には、投与中止後の消失、投与再開後の再発、既に当該被験薬又は類薬において因果関係が確立、交絡するリスク因子がない、曝露量・曝露期間との整合性がある、正確な既往歴の裏付けにより被験薬の関与がほぼ間違いなく説明可能、併用治療が原因である合理的な可能性がみられない等を参考にすることができる。

■■■■■■■■■■■■■■


う〜〜〜ん。

わざわざ、ガイダンスにこういう因果関係の判定のポイントが追記されたのは、それだけ、因果関係の判定が難しいという「訴え」が多いということでしょうかね。


治験責任医師の中には「今、因果関係を判定しろと言っても無理だ。この治験薬の全てのデータが出て、他の施設の状況も考えないと、因果関係は判定できない」と言う人もいるぐらいですから・・・・・・。(この意見も分からないわけではないですが。)


とりあえず、こういう意見を言われる治験責任医師等には、今回のガイダンスの上記の説明を実施してみましょう。


ちなみに「因果関係を否定できる」場合、CRFに医師のコメントを記載してもらう治験依頼者が多いです。

その時に「生理的変動内である」と記載することが多いですが、それでは不十分だ、という指摘もあったりしますが、ほんと、どう記載すればいいの? と困ってしまいますよね。

だって、本当に「生理的変動内」なんですから。


「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」のガイダンスについて」(平成24年12月28日:薬食審査発1228第7号)
   ↓
http://www.jmacct.med.or.jp/plan/files/gcp121228_1.pdf

posted by ホーライ at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | GCPの改正 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。