2012年12月31日

2012年12月28日のGCP改正のまとめ(企業主導治験の場合)(その3)

下記の記事の続きです。
  ↓
GCPの改正のポイント(詳細版)(その2)
http://horaiseiyaku.seesaa.net/article/310825161.html



●GCPの改正について(平成24年12月28日)
   ↓
http://kanpou.npb.go.jp/20121228/20121228g00282/20121228g002820005f.html


GCP改正のポイント(平成24年12月28日づけ)


薬事法施行規則関連


●●● 治験届の「被験者数」と「治験責任医師の職名」の件 ●●●


「治験届」に関する通知で、改正ではありませんが、相変わらず、次の条文が残っています。



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(薬物に係る治験の計画の届出)

第二百六十九条  

十一  治験を行う医療機関ごとの予定している被験者数

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ここに「医療機関ごとの予定している被験者数 」がありますね。

でも、医療機関と治験依頼者との契約書の中からは「目標とする被験者数」が不要となりました。

どうするんでしょ?

治験届に提出した「予定している被験者数」を超える場合は、変更届が必要?





同様に治験届には次の項目が必要です。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

(薬物に係る治験の計画の届出)

薬事法施行規則 第二百六十九条  

八  治験を行う医療機関ごとの治験に係る業務を統括する医師又は歯科医師(以下次号において「治験責任医師」という。)の氏名及び職名

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


これまた、医療機関と治験依頼者との契約書の中からは「治験責任医師の職名」が不要となりました。

どうするんでしょ?

治験責任医師の職名が変わったら、やっぱり「治験届」の変更届は必要なのかな?


と言っても、治験届には今までどおり、必要ということなんでしょうね。

そのうち、この件について、何らかのコメントが当局から出るかもしれませんね。

「治験分担医師」も契約書には不要となりましたが、治験届には必要です。(特に追加する場合は治験変更届が必要なので注意!)



●●●  業務の委託範囲が拡大  ●●●


CROやSMOに委託できる業務の範囲が拡大しました。

今まで「一部」と書かれていたのが「全部若しくは一部」や「全部又は一部」となりました。

「医師主導型治験」でも同様です。


薬事法施行規則では以下のようになりました。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

薬事法施行規則 第二百六十九条

十六

治験の依頼をしようとする者が治験の依頼及び管理に係る業務の全部若しくは一部を委託する場合又は自ら治験を実施しようとする者が治験の準備及び管理に係る業務の一部を委託する場合にあつては、当該業務を受託する者の氏名、住所及び当該委託する業務の範囲

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■







同様に「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成9年厚生省令第28号)」では次のようになりました。

下記の条文では、今まで「一部」と記載されていた箇所が「全部又は一部」になっています。

ただし、運用通知が出ないと分かりませんが、「依頼及び管理業務は全部委託可能だが実施は一部のまま」という噂もありますのでご注意ください。
   ↓
下記のPDFの14ページ目参照
   ↓
http://www.pmda.go.jp/operations/shonin/outline/shinrai/file/h24gcp/chiken_gcp.pdf


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

(治験実施計画書)

第7条 治験の依頼をしようとする者は、次に掲げる事項を記載した治験実施計画書を作成しなければならない。

2)治験に係る業務の全部又は一部を委託する場合にあっては、当該業務を受託した者(以下この章において「受託者」という。)の氏名、住所及び当該委託に係る業務の範囲




(業務の委託)

第 12 条 治験の依頼をしようとする者は、治験の依頼及び管理に係る業務の全部又は一部を委託する場合には、次に掲げる事項を記載した文書により当該受託者との契約を締結しなければならない。




(治験の契約)

第 13 条 治験の依頼をしようとする者及び実施医療機関(前条の規定により業務の全部又は一部を委託する場合にあっては、治験の依頼をしようとする者、受託者及び実施医療機関)は、次に掲げる事項について記載した文書により治験の契約を締結しなければならない。



(業務の委託)

第 15 条の8

自ら治験を実施しようとする者又は実施医療機関は、治験の実施の準備及び管理に係る業務の全部又は一部を委託する場合には、次に掲げる事項を記載した文書により当該受託との契約を締結しなければならない。



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●●●  安全性情報の報告  ●●●


次に副作用情報の定期報告の期間が延長されました。


例えば、次のようです。

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★薬事法施行規則 第二百七十三条

3  治験の依頼をした者又は自ら治験を実施した者は、第一項第一号並びに第二号イ及びロに掲げる事項並びに同号イ(1)から(5)までに掲げる症例等の発生であつて当該被験薬等の副作用によるものと疑われるもの又はそれらの使用によるものと疑われる感染症によるもの(同号に掲げるものを除く。)について、その発現症例一覧等を当該被験薬ごとに、当該被験薬について初めて治験の計画を届け出た日等から起算して一年ごとに、その期間の満了後二月以内に厚生労働大臣に報告しなければならない。

ただし、自ら治験を実施した者が既に製造販売の承認を与えられている医薬品に係わる治験を行った場合又は既に当該被験薬について治験の依頼をした者が治験を行っている場合については、この限りではない。




★医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成9年厚生省令第28号)

第 20 条

治験依頼者は、被験薬について法第 80 条の2第6項に規定する事項を知ったときは、その発現症例一覧等を当該被験薬ごとに、当該被験薬について初めて治験の計画を届け出た日等から起算して1年ごとに、その期間の満了後3月以内に治験責任医師及び実施医療機関の長に通知しなければならない。



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上記のように「当局」にも「治験責任医師及び実施医療機関の長」にも副作用情報を「1年間ごと」に報告することになりました。


注意点としては上記のように「当局」には「期間満了後2か月以内」ですが、「治験責任医師及び実施医療機関の長」には「期間満了後3か月以内」となっている点です。

ややこしいよね。

まぁ、どちらも、今までどおり「2か月以内」に報告すればいいんでしょうけれど。


それと、医師主導型の治験では「既に製造販売の承認を与えられている医薬品に係わる治験を行った場合又は既に当該被験薬について治験の依頼をした者が治験を行っている場合については、この限りではない。」となっているので、この場合は報告は不要ということですね。

ただし、それ以外は、医師主導の治験でも副作用報告を当局や医療機関の長へ定期的(1年に1回)、報告が必要です。





●●●  医師主導型の治験における治験調整医師   ●●●


「医師主導型の治験における治験調整医師(治験調整委員会)」関係の改正がやたら、あります。


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★医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成9年厚生省令第28号)


第2条

16 この省令において「治験調整医師」とは、一の治験実施計画書に基づき複数の実施医療機関において治験を行う場合に、治験依頼者(第18項に規定する「治験依頼者」をいう。次項において同じ。)又は自ら治験を実施する者により当該実施医療機関における当該治験実施計画書の解釈その他の治験の細目について調整する業務(以下この条において「調整業務」という。)の委嘱を受け、当該調整業務を行う医師又は歯科医師をいう。


17 この省令において「治験調整委員会」とは、一の治験実施計画書に基づき複数の実施医療機関において治験を行う場合により調整業務の委嘱を受けて当該調整業務を行う複数の医師又は歯科医師で構成される委員会をいう。


22 この省令において「自ら治験を実施しようとする者」とは、その所属する実施医療機関等において自ら治験を実施するために法第 80 条の2第2項の規定に基づき治験の計画を届け出ようとする者であって、治験責任医師となるべき医師又は歯科医師(一の治験実施計画書に基づき複数の実施医療機関において共同で治験を行う場合にあっては、代表して同項の規定に基づき治験の計画を届け出ようとする治験調整医師となるべき医師又は歯科医師を含む。)をいう。


23 この省令において「自ら治験を実施する者」とは、その所属する実施医療機関等において自ら治験を実施するために法第 80 条の2第2項の規定に基づき治験の計画を届け出た治験責任医師(一の治験実施計画書に基づき複数の実施医療機関において共同で治験を行う場合にあっては、代表して同項の規定に基づき治験の計画を届け出た治験調整医師を含む。)をいう。


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上記の「16」と「17」は追加された定義です。

「企業主導治験」でも「医師主導治験」でも「治験調整医師」とは多施設共同治験において治験実施計画書の解釈、その他治験の細目の調整をする医師であるということですね。

それと、「自ら治験を実施しようとする者」とは「代表して治験の計画を届け出ようとする治験調整医師となるべき医師又は歯科医師を含む」ということです。

「医師主導治験」における「治験届」は代表して「治験調整医師」が提出することでよくて、その場合、その「治験調整医師」も「自ら治験を実施する者」になります。






●●●  治験の契約書から削除された項目   ●●●

治験依頼者と医療機関との間で締結する治験の「契約書」から次の項目が削除されました。

●治験責任医師の職名

●治験分担医師の氏名と職名(治験分担医師は契約書に記載しなくてよくなった。)

●目標とする被験者数

ただし、「治験届」には「治験責任医師の職名」と「予定している被験者数」は必要!!




●●●  「治験薬管理手順書」の提出先   ●●●

「治験薬管理手順書」の提出先が、今までは「医療機関の長」(実質上は治験事務局や治験薬管理者)でしたが、今後は名目上も「医療機関」に提出すればよい、ということになりました。





・・・・・・ということで、「企業主導治験」における大きな変更点をまとめると次のようになります。


■■■  2012年12月28日のGCP改正のまとめ(企業主導治験の場合)  ■■■

●CROに委託する業務の範囲が拡大した。

●「当局」と「治験責任医師及び医療機関の長」への副作用情報の提出期間が半年から1年になった。
ただし、期間満了後、「当局」へは「2か月以内」、「治験責任医師等」へは「3か月以内」


●治験依頼者と医療機関との間で締結する治験の「契約書」から次の項目が削除されました。

・治験責任医師の職名

・治験分担医師の氏名と職名(治験分担医師は契約書に記載しなくてよくなった。)

・目標とする被験者数

ただし、「治験届」には「治験責任医師の職名」と「予定している被験者数」は必要。


●「治験薬管理手順書」の提出先は「医療機関」でよくなった。



●●● GCPの改正のポイント(詳細版)(その2)はこちら ●●●
   ↓
http://horaiseiyaku.seesaa.net/article/310825161.html




posted by ホーライ at 16:44| Comment(0) | TrackBack(0) | GCPの改正 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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