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http://www.pmda.go.jp/regulatory/file/guideline/new_drug/keikou-kettoukoukayaku-rinjyu-hyouka-guideline.pdf
今日から、いよいよ、本陣に突入です。
「経口血糖降下薬の有効性の評価方法」です。
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(3) 臨床試験の評価において推奨される観察項目
経口血糖降下薬は血糖コントロールをできるだけ正常値に近づけることにより、合併症の発症・進展を抑制することを目的としている。
したがって、高度な糖代謝異常や合併症に伴う自覚症状や他覚所見については評価指標として適切ではない。
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ここが肝心です→「高度な糖代謝異常や合併症に伴う自覚症状や他覚所見については評価指標として適切ではない」
では、何を指標にすればいいのか?
それはこれらです。
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●血糖コントロール指標:HbA1cが最も推奨される。
しかし、短期間の血糖コントロール指標としてグリコアルブミン、既に比較的良好な血糖コントロールが得られている症例における食後高血糖の指標として1,5-アンヒドログルシトール(以下「1,5-AG」という。)も有用な指標である。
●血糖値:早朝空腹時の血漿グルコース濃度(以下「FPG」という。)が安定した指標として推奨される。
食後血糖値を測定する場合は、標準食を用いて、食事開始後一定時間(60分、90分、120分など)の血糖値を測定する。
糖代謝異常が軽度の場合は、75g経口ブドウ糖負荷試験(以下「75gOGTT」という。)で評価することも可能である。
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「ガイドライン」の後半を読むと分かるのですが、上記の特に「HbA1c」が新薬の重要な臨床評価指標になります。
「HbA1c」とは何か?
HbA1cは「ヘモグロビン・エイワンシー」と読みます。
高血糖状態が長期間続くと、血管内の余分なブドウ糖は体内の蛋白と結合します。
この際、赤血球の蛋白であるヘモグロビン(Hb)とブドウ糖が結合したものがグリコヘモグロビンです。
このグリコヘモグロビンには何種類かあり、糖尿病と密接な関係を有するものが、HbA1c(ヘモグロビン・エイワンシー)です。
さらに、「臨床評価」の注意点も解説されています。
代表的な注意点だけ抜き書きします。
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2型糖尿病の治療に関してはまず、食事療法、運動療法が基本であり、これらの治療のみでは血糖コントロール目標を達成できない場合に薬物療法の適応となる。
したがって、経口血糖降下薬の有効性の適正な評価のためには、食事療法、運動療法がすでに指導され、かつ直近の血糖コントロール状態が安定している症例を選択することが求められる。
さらに、被験薬の評価期間に被験者の食事療法、運動療法の内容及び遵守状況が安定していないと、血糖コントロール状態が不安定となり、適正な評価ができない原因となりうる。
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糖尿病では「食事療法、運動療法が基本」なのですね。
さらに血糖コントロールが不安定だと治験薬の評価も不安定になりますので、「食事療法、運動療法がすでに指導され、かつ直近の血糖コントロール状態が安定している症例を選択することが求められる」わけです。
では、次に「非臨床試験」のパートを見ましょう。
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治験薬の効果を動物で評価する際には、ヒトへの外挿性を考慮し、適切な種類の動物を選択する。
また、モデル動物を用いて薬効を検討する際には、自然発症モデル動物としてはdb/dbマウス(肥満2型)、ob/obマウス(肥満2型)、KK-Ayマウス(肥満2型)、GKラット(非肥満2型)、Zucker fattyラット(肥満)、ZDFラット(肥満2型)、Wistar fattyラット(肥満2型)などがある。
人為的に作成されたモデル動物としては、新生児期にストレプトゾトシンの投与により誘発された非肥満2型糖尿病モデルラットがある。
これらのモデル動物や正常動物を用い、治験薬を単回及び反復投与した時の影響について、血漿グルコース濃度や血漿インスリン濃度、その他治験薬の作用機序を考慮した適切な薬理学的評価指標により検討する。
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糖尿病を自然発症するマウスが開発されているんですね。「へ〜!」です。
その他は、一般的な非臨床試験を実施します。
ではでは、いよいよ「臨床試験」です。
まず、フェーズ1ですが、これまた、通常の治験薬とほぼ同様です。
ただし、「血糖降下薬」ですので、次の検査が重要です。
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なお試験を進めるにあたっては、被験者の安全の確保を常に優先するように心がけねばならない。
とりわけ低血糖の発現、重症化に対して十分に対応を心がけるべきである。
(中略)
糖代謝関連:血漿グルコース、血中インスリン、Cペプチド、グルカゴン、1,5-AG、グリコアルブミン、ケトン体等
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当然ながら、「糖代謝関連」が測定されますね。
ちなみにフェーズの対象者として「2型糖尿病患者」もありだと記載されています。
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第T相試験は、非臨床試験から得られた情報をもとに、治験薬をはじめてヒトに適用する臨床試験の最初の段階である。
比較的限定された被験者(健康志願者、場合によっては2型糖尿病患者)が対象となり、治験薬のヒトにおける安全性の確認に重点がおかれる。
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それと、「血糖値」が大事ですので、「食事」等が厳しく統一されています。
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(4) 試験方法
プラセボ投与群をおき、二重盲検法により試験を行う。原則として、試験期間を通じて被験者にはすべて同一の基準食を摂らせるものとする。
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上記について「「経口血糖降下薬の臨床評価方法に関するガイドライン」に関する質疑応答集(Q&A)について」(事務連絡:平成22年7月9日)にも解説があります。
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http://www.pmda.go.jp/regulatory/file/guideline/new_drug/keikou-kettoukoukayaku-qa.pdf
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標準食としては、適切な評価を行うために、少なくとも同一試験の中では、同じ組成・熱量の食事を用いて実施していただきたい。
日本人の標準的な食事内容を反映したものが望ましいが、試験の目的や薬剤の特性に応じて組成を決定しても差し支えない。
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では、明日はフェーズ2についてです。
●ハードボイルド・ワンダーランド日記
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