2012年12月15日

経口血糖降下薬の臨床評価ガイドライン

今週のテーマの前にご連絡です。

先週の「総合機構の指摘とその対策2012年版」を「臨床開発モニター・治験モニターへの道」にまとめてアップしておきました。

今週のテーマに関連する「糖尿病」についても過去に、このブログで解説していますが、それも同様に「モニターへの道」にアップしておきました。

それ以外にも「がんと抗がん剤」と「高血圧」も同様です。



ブログって、投稿が簡単で便利なのですが、唯一の難点が「話の順番が逆になる」ことなんですよね。

たとえば、過去にも「糖尿病」についても、このブログで解説しているのですが、解説を読むには日付の古いほうから新しい方へ「下から上へ」読まないといけない。
    ↓
http://horaiseiyaku.seesaa.net/article/269608255.html


読みやすくするために、このブログで書いたことも、まとめて読んだ方が分かりやすいものは、順次、「臨床開発モニター・治験モニターへの道」にまとめて保存していきたいと思います。

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と言うことで、今週は「糖尿病と経口血糖降下薬の臨床評価」について学びます。

今後も、ときどき、こんなふうにある疾患について学んでいきます。


何故か?

スーパーモニターやスーパーCRCになるには、浅くてもいいので、幅広い疾患の知識が必要だからです。

何故か?

何故ならば、どんな疾患を対象としたプロトコルであったとしても、有害事象としては、なんでもありえるからです。



たとえば、「更年期障害」を対象とした治験を担当したとしても、患者さんがいつ「子宮がん」になるかわかりませんし、「糖尿病」になってしまうかもしれません。

たとえば、「高血圧」を対象としたプロトコルだとしても、患者さんが突然、「緑内障」になってしまう可能性もありますし、「肺炎」なってしまう可能性だってあります。

だから、有害事象の対応がいつでもできるように、幅広い知識を持っておいたほうがモニターもCRCもやりやすいわけです。

それに、いつでも、どんな疾患の治験でも担当できるぞ!とスタンバイしておくのが賢いモニターでありCRCです。


とまぁ、そんなこんなで、今週は「経口血糖降下薬の臨床評価方法に関するガイドライン」と「糖尿病」についての勉強会です。

1週間を使って「血糖降下薬」を学んでいきましょう。




では、今週は「『経口血糖降下薬の臨床評価方法に関するガイドライン』について」です。
    ↓
http://www.pmda.go.jp/regulatory/file/guideline/new_drug/keikou-kettoukoukayaku-rinjyu-hyouka-guideline.pdf

このガイドラインは、あくまでも「経口」の治験薬のガイドラインである点をまず注意しておきましょう。


いや〜〜!

驚いた!

このガイドラインを読んで、糖尿病の(経口剤)治験って、大変なんだ!ということがよ〜〜〜〜く分かりました(特にフェーズ3と長期投与試験で。これは金曜日に書きますが。)



本質から外れますが、この(↑)ガイドラインは他の分野の「臨床評価ガイドライン」に比べると、病気の概略や問題点が多く書かれていて、結構、このガイドラインだけでも勉強になります。


たとえば、3ページ目から「糖尿病の特徴」があります。

ここから概略を抜粋すると「糖尿病の特徴」は次のようになります。
   ↓
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1. 疾患の概念

糖尿病とは・・・・

インスリン作用の不足により起こる慢性高血糖を主徴とし、種々の特徴的な代謝異常を伴う疾患群である。

その発症には遺伝因子と環境因子がともに関与する。

代謝異常の長期間にわたる持続は特有の合併症を来しやすく、動脈硬化症をも促進する。

代謝異常の程度によって、無症状からケトアシドーシスや昏睡に至る幅広い病態を示す。

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なるほど、糖尿病は『特徴的な代謝異常を伴う疾患群』なのですね。

あとで出てきますが、糖尿病の三大合併症は「腎臓」「網膜」「神経」に出てきます。

この「合併症」が患者のQOLを著しく低下させるわけです。

「血糖」が多少、上がるだけでは、まぁ、なんともないのですが、これが長期間続くと出てくる「合併症」が怖い。



次に「糖尿病」の分類が書かれています。
  ↓
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2. 糖尿病の分類

糖尿病の発症機序や病態に関しては、インスリン分泌の障害とインスリン作用の障害の両面からとらえる必要がある。

すなわち、膵ベータ細胞におけるインスリン分泌の異常と、筋肉や肝臓、脂肪といったインスリン標的臓器におけるインスリン作用の障害が血糖値の上昇をもたらし、糖尿病発症へと進展する。

(中略)

1型、2型、という用語は、成因論的分類に用いられるものであり、その成因分類では、膵β細胞の破壊的病変でインスリンの欠乏が生じることによって起こる1型糖尿病、インスリン分泌低下とインスリン感受性低下の両因子により発症する2型糖尿病、特定の原因によるその他の型の糖尿病、妊娠糖尿病の4群に分けられている。


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ふんふん。

「糖尿病」は4つに分類されるというわけですね。

1型糖尿病・・・インスリンの欠乏によっておこる

2型糖尿病・・・インスリン分泌低下とインスリン感受性低下によっておこる

3型糖尿病・・・特定の原因によっておこる

4型糖尿病・・・妊娠糖尿病


モニターが(CRCも)新しい領域の疾患を担当することになったら、まず、大枠を把握することから始めましょう。

「大枠→詳細」という理解の仕方は「新しい仕事を覚える・始める」時も同様です。



さて、上記の4つの糖尿病の詳細がガイドラインにも書かれています。

1型糖尿病は以下のように説明されています(要約)。
  ↓
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1型糖尿病はβ細胞の破壊により発症するもので、通常は生存のためにインスリンが必要なインスリン依存状態に至る。

さらに1型糖尿病は、A.自己免疫性とB.特発性に分類される。

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1型糖尿病は「インスリン依存状態」になってしまうのですね。

つまり「インスリン」が無いと生きていけないという非常に苦しい病気です。

この1型糖尿病の患者さんには、いわゆる「インスリン製剤」が使われます。




次に2型糖尿病です。
  ↓
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2型糖尿病はインスリン分泌低下とインスリン感受性の低下が主体となるものであり、日本人の糖尿病の大多数を占める。

この両因子の関与の程度は症例によって異なっており、インスリン分泌低下を主体とするものと、インスリン抵抗性が主体で、それにインスリンの相対的不足を伴うものなどがある。

膵β細胞機能はある程度保たれているため、インスリン依存状態となることは尐ない。

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ここで暗記すべきは日本人の糖尿病の大多数は「2型糖尿病」だということです。




次は3型糖尿病です。
  ↓
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(3) その他特定の機序、疾患による糖尿病

ミトコンドリア遺伝子異常のように単独で糖尿病を発症するような糖尿病の原因遺伝子がいくつか同定され、これらは『その他の特定の機序、疾患によるもの』の中でも、『遺伝因子として遺伝子異常が同定されたもの』として分類された。

一方、膵疾患や内分泌疾患による糖尿病など、いわゆる二次性の糖尿病は『他の疾患、条件に伴うもの』としてここに含まれる。

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最後が4型糖尿病です。
  ↓
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妊娠糖尿病は、妊娠中に発症もしくは初めて発見された糖尿病、と1999年の『糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告』で定義されており、2008年の『妊娠糖尿病の定義、スクリーニング、診断基準に関する提言』においても新しい知見が得られるまでの間はこの定義が維持されることとなった。

従って、妊娠糖尿病には、(1)以前から未発見の糖尿病があり、妊娠中の検査で初めて発見されたもの、(2)以前から軽度の糖代謝異常があり、妊娠中に初めて糖尿病型を呈するに至ったもの、(3)妊娠中に糖尿病型よりも軽い糖代謝異常が初めて出現したもの、が含まれる。

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以上が「糖尿病」の4つの分類でした。


ちなみに、糖尿病は英語でDiabetes Mellitus(DM)です。


以下、ウィキペディアより。

1674年、イギリスの臨床医学者トーマス・ウィリスはヨーロッパで当時奇病とされていた多尿症の研究をしていた。

ウィリスは尿に含まれる成分を何としても知りたいと考え、患者の尿を舐めてみたところ、甘かったことが本病確認のきっかけとされている。


う〜〜ん、よく患者の「尿」を舐めたよね。

探究心の強い科学者の偉大なところです。



「糖尿病」の名称は、血糖が高まる結果、尿中に糖が排出されることに由来する。

しかし尿中に糖が排出されること自体は大きな問題ではない。

1型糖尿病の場合、放置すると容易に急激な高血糖と生命の危険も伴う意識障害を来す糖尿病性ケトアシドーシスを引き起こしかねないため、インスリン注射などの積極的な治療により強力に血糖値を下げることが基本的な治療目標となる。





●ハードボイルド・ワンダーランド日記
http://hard-wonder.seesaa.net/
posted by ホーライ at 08:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 臨床評価ガイドライン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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