2012年11月30日

治験におけるITのパラダイムシフト(ホーライ製薬編:その2)

昨日に引き続き、「ホーライ製薬」の変遷ですので、ご興味の無い方はスキップしてください。


ネット上にホームページを持つと、ゲストブックを置きたくなる。(と言うか、当時はそれが「決まり」だった。)

すると、当然、ゲストブックに誰かが書き込みをして頂くとうれしくなる。(まれに、「荒らし」があって困ることもあったけれど。)

でもって、「医薬品ができるまで」はそこそこのアクセス数はあったけれど、ゲストブックへの書き込みはそれほどではなかった。

これが一変するのが「ホーライ製薬」のサイトを作った時だった。


話は前後しますが、「インフォシーク」の無料ホームページサービスがあった時に「新薬誕生」の中に「モニターの1日」というページを作った。

これです。
 ↓
http://web.archive.org/web/20020925225016/http://isweb40.infoseek.co.jp/family/horai01/monitor/monitor_1.html


文字通り、朝から晩までのモニターの行動を紹介したページだったけれど、たかだか、50行程度の文章だった。

ところが、これが意外と評判が良くて、あるCROからは、「会社のパンフレットに載せたいのですが、了解いただけませんでしょうか?」なんていうメールまできた。

それが、どこか、頭の隅にあって、ある日、ふと、「製薬会社の日常」を書いてみようと思い立った。

で、自分のネット上の「ホーライ」を取って、「ホーライ製薬」という架空の会社を想定して、書き始めた。

これが「ホーライ製薬」の始まりだ。
  ↓
http://horaiseiyaku.web.fc2.com/


当初は僕が創造した人物「デーモン部長」とか「キャサリン立川」とか「ヘンリー川崎」という名前の人物を登場させた。

なんだか、訳の分からない、いかがわしいお店の社員みたいだけど。

そこからが、僕の非常識なところなんだけれど、「冗談で」ホーライ製薬の求人募集を出した。

「ホーライ製薬に就職したい方は、ハンドルネームと希望職種と希望待遇を書いて、ゲストブックに投稿してください」と。

すると驚いたことに、「本当に」就職を希望する人がいた。

それも「社員募集」広告の2日後に。

その勇気ある社員番号1番が「みっちーK」さんだ。

ホーライ製薬の「入社履歴」のページを見ると2003/12/15に入社されたことが分かる。

●ホーライ製薬の「入社履歴」
   ↓
http://horaiseiyaku.web.fc2.com/rireki.htm


この「入社履歴」には本人がゲストブックに書いたアピールポイントもそのまま載せてあり、みっちーKさんの場合は「2年目のモニター28歳。女性。どんな気難しいドクターともうまくやる特技有り。
体力と笑顔は誰にも負けない。」とのことだ。


この勇気ある(本当に勇気がある!)みっちーKさんの入社からは、雪崩のごとく「入社社員」が増えた。


ちなみに、僕がネットに初めて書き込みをやったのはインフォシークの掲示板だったけれど、ものすごく、ものすご〜〜〜く、勇気が必要だった。

どうしてかと言うと、「自分が書いた文章が、一瞬にして、全国の人に知れ渡る」ことになる、という意識があったからだ。

今の若い人は物心ついたころから、ネットがあり、掲示板があり、プロフィールがあり、mixiあり、facebookありで、こういう僕の意識なんてはるか彼方の遺物だ。


で、ホーライ製薬に入社される方の希望職種も様々だ。

ホーライ製薬の組織図を見るとそれが分かる。

●ホーライ製薬の組織図
   ↓
http://horaiseiyaku.web.fc2.com/dep.htm


このことがきっかけで、僕自身も、自分が作ったサイトをどんな方々がご覧になっていたかが分かった。

なかには「人事部希望」とか「経理部希望」という方もいらっしゃって、「文系」の方もご覧になっていたのが、意外だった。

そして、ゲストブックへの書き込みも「医薬品ができるまで」とは比較にならないほど、飛躍的に延びたし、当然、アクセス数も増えた。

リアルの会社でも、「面白いサイトがあるので紹介します」といって、僕にメールで「ホーライ製薬」を教えてくださった方も多い。

今でもそうだが、「医薬品ができるまで」は1週間に1度、更新するが、「ホーライ製薬」はリリース時から「毎日更新」という手法をとった。

この「更新をまめにする」というのもアクセス数を増やす定石だ。

だけど、「本当に毎日書く」というのは大変なので、週末にまとめて、1週間分を書いておいて、それを毎日、ネットにアップした。(今もそうだ。)

だから、基本的に「書くことが好き」というのが、ネット更新の必須性格です。

ちなみに、よく「ホーライ」の名前の由来は何ですか?と聞かれますが、「企業秘密」です。


「ホーライ製薬」は、製薬会社の日常を「赤裸々」に紹介すると同時に僕が「こんな会社があったら、いいな」という理想も交えて作って行った。

この「ホーライ製薬」誕生から、いっきに僕と僕のサイトの知名度は広がり、ごく一部のマニアックなファンが多かった「医薬品ができるまで」当時に比べると、僕のリアルの会社生活や人生にも影響が出てきた。

電車の中で見知らぬ人が「ホーライ製薬」をプリントアウトしたものを読んでいる場面にも出くわした。

また、ある会社の社内で「メルマガ」を出したら、「GCPメルマガ」の盗用だと上層部に「忠言」されたこともあった。(その人は、それだけ、ホーライファンだといことが分かって、嬉しかったけれど。)


リアルの会社の社内を歩いていると、ホーライ製薬を見ている人が多くなった。

はたまた、ある会社の社員から「うちの会社ではとうとう、就業中にホーライ製薬の閲覧が禁止されました」というメールまでもらった。


ホーライ製薬の誕生と前後して「GCPメル“ガマ”」も出すことにした。(このあたりの歴史がもう「記憶」も「記録」も定かではない。)

何故、「“ガマ”」というか、だけど、これが「ミソ」なのです、って、どうミソなのか分からないけれど・・・・・・。

「メルマガ」と「サイト」を連動させることもアクセス数を増やすために有効だ。

そのためには、メルマガの登録者を増やす必要があるのだけれど、じゃ、どうやって増やすか?

これまた、僕の場合、まずは、知り合いに「メルマガを出すことにしましたので、よろしかったら、ご登録をお願いします」という「泣きつき作戦」に出た。

それと、当たり前だけど、メルマガの内容を役立つ内容にしないと、すぐに登録を削除される。

評判が良いと、口伝いに広がる。

メルマガの登録者数を増やすことや、サイトやブログのアクセス数を増やすための鉄則は「面白い」か「役立つ」内容にすることだ。


「メルマガ」を出すことを決める時もちょっとした勇気が必要だった。

ホームページを持つことは、まぁ、普通の人でもできるけれど、メルマガは「特殊」な人だけがやるもんだと思い込んでいたからだ。

ホームページとメルマガの決定的な違いは、ホームページは「見に来て頂く」という「受動態」だけど、メルマガは「送信する」という「能動的」だということだ。

だから、ホームページ以上に内容が重要だ。


一度閉鎖した「医薬品ができるまで」と「ホーライ製薬」を復活させたが、また、ある時期、個人的な理由でサイトの更新をしばらく止めていた。

その頃もメルマガは発行し続けたが。

その中断から復活させるきっかけになったのは、ある方から、こんなメールをもらったからだ。

「国際共同治験が多くなり始めましたが、ある人は「モニターには英語力はいらない」と言われました。ホーライさんはどう思いますか?」

もちろん、「とんでもにない!」だ。

それで、その方に返信するとともに、「ホーライ製薬」でも言わないとだめだな、と思ったのだ。

何がきっかけになるか分からないものだ。

そして、「何かを訴えたい」というものがないと始まらない。




さて、2002年頃から日本に「ブログ」が導入された。

このブログの紹介により、いっきにネットで情報を発信する人が飛躍的に伸びた。

それは技術的に楽だからだ。

ネット上に所謂、ホームページを持とうとすると、まず、サイトを作るためのソフトが必要だ。(ホームページビルダーのような。)

さらに、ネット上にサイトを公開するための「場所」が必要になる。

そして、自分のパソコンで作って、自分のパソコンに保存してある「サイト」をネット上にアップする、という作業が必要になってくる。

その点、ブログはメモ帳などにテキスト文を書いて、それをブログに投稿するだけでいい。

日本には「日記帳」サービスが割と昔からあって、それがブログになっただけなので、受け入れやすい土壌だった。

で、そのブログを使った治験やビジネスにどう使うかは、下記のサイトをご覧ください。
   ↓
「治験でブログ、ブログで治験」
   ↓
http://www.geocities.jp/horai_blog/


「ホーライ製薬」も、当初は「ホームページ」形式で更新していたが、ブログのほうが楽なので、今は、こうしてブログで「ホーライ製薬」を更新している。

ただし、デザインや複数のページを作ったり、閲覧性という点では「ホームページ」形式のほうが自由性も高く、便利だ。


ブログが日本でブームになった頃、「雨後の竹の子」状態的に様々な会社による無料ブログサービスが出現した。

それと平衡して、「日記」サイトはどんどんサービスが終わっていった。

僕は、日記サイトがブームだった頃、「ハードボイルド・ワンダーランド日記」というものを「さるさる日記」を使っていたが、今、「さるさる日記」は下記のとおりだ。
   ↓
http://www4.diary.ne.jp/user/440820/

そして、ブログが日記サイトを閉鎖させたと同じように、ツイッターやミクシィ、facebookに代表されるSNS(social networking service)がブームになると、ブログサービスを終わらせる会社も増えてきた。

しかし、そのミクシィですら、今や、ブームが去ろうとしている。

当初のミクシィは「紹介制度」を採用していて、だから、「荒らし」等の行為が少なく、安心です、というのがうたい文句だったが、ビジネスがうまくいかなくなった途端に、「フリー」で登録できるようにした。

「なんのこっちゃ?」だ。

「mixiがなくなったら困る? 困らない?」というニュースが出るくらいだ。
  ↓
http://news.nicovideo.jp/watch/nw433643


ところで、「facebook」が出現したことによるインターネットのパラダイムシフトは「実名」を使うことだ(本当はどうか分からないけれど、とりあえず、そうなっている)。

それまでは通常、ネットでは「匿名性」がいいも悪いも特徴だった。

だから、「津村ゆかり」さんも、そのことにこだわっていた。
  ↓
http://www5e.biglobe.ne.jp/~ytsumura/tokumei.html


ここに来て、「実名」が売り物の「facebook」がブームに。

時代は流れたものです。

だけど、僕としては、これまで創り上げてきた「ホーライ」という「ブランド」は「利用」していきたい。



ネットでビジネスを成功させるためには、とにかく、「人に集まってもらう」必要がある。

それで、「広告料」でビジネスを構築するわけだ。

ブログサービスでは、どれだけ、「有名人」をそのブログのサービスを使ってもらうかが、成功の鍵になっている。

「アメーバブログ」
   ↓
http://official.ameba.jp/


今年(2012年)のヒット商品である「LINE」も、多くの人が使うようになったので、「仮想商店街」を作る構想がある。

1990年初頭の頃はインターネットはビジネスにどう利用するか? が課題だったが、今は「インターネット」の存在無しではビジネスが存在しない。

「ヤフー」「グーグル」「アマゾン」「楽天」など等。

いかにして、人を集めるかが、問題だ。


「インターネット」という「培地」はこれからも変わらないだろうが、その利用方法はこれからも目まぐるしく変わるだろう。

「facebook」だって、いつ、サービスが終了するか分からない。

これまでも多くのパラダイムシフトが起こってきたが、これからも、ますますパラダイムシフトが起こるだろう。

それをどう利用するかが、ビジネスの成功にかかっている。


ところで、ここで「インターネット」と「治験」の話題を最後に取り上げます。

「GCPの運用通知の改訂」にあたってパブリックコメントを募集していたが、その時だったか、何のパブリックコメントだったか忘れたけれど、こんな意見があった。

「インターネットで治験を検索すると、『治験のバイト募集』ばかりがヒットする。この状況を何とかできないものか。」というもの。

まさに、その通りなのだが、じゃ、どうするか?

それは、『治験のバイト募集』の情報を“圧倒的”に上回る「正しい治験の情報」を治験関係者が発信すればいいのだ。

上記のコメントを出した人が、まず、ツイッターでもブログでもいいから、自分が思っている「治験の情報」を発信することが必要だ。

僕のいつものスタンスなのだけれど、世界を変えたいと思ったなら、まず、自分が行動を起こすこと。

「メール」を書くだけの「ITスキル」があれば、誰でも、いつでも、いくらでも、治験の情報を発信できる。

違う?



ちなみに、僕はもう自分でも、どこに何を書いたのか覚えていない(それもまた無責任だが)ぐらい治験について書いてきた。

「確か、こんなことを書いたはず」と思っても、どこに書いたか分からない。

それで、自分のサイトを探すためにグーグル検索を使う、というまるで「ギャグ漫画」みたいなことを本当にやっている。

ある時は「お!いいことを書いているな」と思ったら、最後に「ホーライ」と書いてあった、とかね。


それで発見したのだけれども、僕はもともと、自分が書いたことに対して「著作権」を放棄していて、自由に使ってください、というのが昔からのスタンスで(あくまでも、これは僕のスタンスね)、「治験のe-ラーニング」を公開もしていたし、今も「GCPの問題集」を公開している。

●「GCPの問題集」
  ↓
http://horaiseiyaku.web.fc2.com/gcptest.htm



で、ある日、僕は自分のサイトを探す目的でグーグルで検索していたら、下記のページを発見した。
  ↓
http://www.cracrc.com/study/cra-monitor-todo/gcp/


上記のページに下記のことが書かれている。
  ↓
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

GCP で「同意」について調べるとしたら、どこを見ますか?

答申GCPの「7 被験者の選定とインフォームド・コンセント」を思いつく人が多いことでしょう。

しかし、ここ以外にも「同意」について記載されている重要な箇所はありま す。

このように、「同意」一つをとってみても、GCP内で分散して記載されています。

これは、丸暗記するほど読んでいないと気づかないことです。

以上のことからも、「丸暗記」は必要です。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■



ここに書かれていることは、「モニターへの道」の下記のページのコピーだ。
  ↓
http://monitorhenomichi.web.fc2.com/monitor_gcp_1.htm

■どうしてGCPの“丸暗記”を勧めるのか? の項目だ。


もちろん、だからと言って、僕は何も言わない。(ありがたいと思っているぐらいだ。ただし、あくまでも、これは僕のスタンスね。)

治験環境が少しでも良くなら、それでいいと僕は思っている(繰り返しますが、あくまでも、これは僕のスタンスね。普通は著作権がありますので利用には注意しましょう!)。

僕は以前、「答申GCP」の「e-ラーニング」を作ってネットに公開して、自由に使ってくださいと書いていたが、あるSMOの方から「ホーライ」宛てにメールが来て、「ホーライさんが作ったe-ラーニングをそのまま、社内のイントラネットに載せて、それをSOPで必須学習項目として使っています。上司は「作者が自由に使っていいと言っているからいいのだ」というのですが、やっぱり、ひと言、ご連絡と思いましてメールをしました」と。


と、まぁ、長く、長く、本当に長〜〜〜く、書いてきたけれど、これが今までの僕が(ホーライ製薬が)経験したインターネットのパラダイムシフトでした。

あ〜ぁ、疲れた・・・・・・・。




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