このブログで書いた「ALCOA」についての話題とネット上にある「ALCOA」について考えるヒントになる資料をあつめて●「「モニターへの道」」に保存しました。
さて、本題です。
今日は治験に関するパラダイムシフトの企業編です。
昨日も紹介した「政策研ニュース No.37」の「Patient Reported Outcome と新薬開発−患者による直接評価に焦点をあてた新薬の臨床評価−」
↓
http://www.jpma.or.jp/opir/news/news-37.pdf
こういうレポートを読んだ時、製薬会社の「臨床開発そのもの」を考える部署の人(例えばプロジェクトマネジメント部等)の人たちは、これからのトレンドにどう反応するべきかを考えないといけない。
あ、そうそう、忘れないうちに書いておくけれど、上記の「政策研ニュース No.37」の中には「国内新薬における創出企業の国籍と治験実施国」とか「医薬品市場における日本の製薬企業の存在感」というレポートもあるので、読んでおくと参考になります。
で、こういうパラダイムシフトによって業界が大きく変わった時に生き残れる企業の条件とは「資金の多さ」や「優秀な人材が多い」とか「新薬開発パイプラインが多い」ではない。
世界が、社会が、業界が大きく激変した時に生き残れる製薬会社とは「その変化に対応できる」会社だ。
例えば、他業種で言うと、デジカメ時代に対応できなかった「コダック」が倒産するとか、携帯・ネットワークへの対応が遅れた「任天堂」の苦戦だ。
かつての世界のリーディングカンパニーと言えども、社会や業界の変化に対応できなけれれば、容赦なく業績が悪化、下手すると倒産する。
しかし、難しいのは、そのタイミングだ。
トレンドを先読みして、パラダイムシフトに他社に先駆けて方向転換すれば、業界をリードできる。
ところが、「これからはこれだ!」とトレンドを読んだつもりが、全然、その方向に社会や業界が行かずに、せっかくの先行投資が無駄になる。
だから、内資系の製薬会社は「よその出方を見よう」とか「様子待ち」することが多い。
一方で外資系は自らがトレンドを作り、自らが業界のパラダイムシフトの仕掛け人になることが多い。
パイオニア精神に富んでいるからだ。
以前にも書いたことがあるけれど、僕が外資系で働いていた時と内資系で働いていた時に、同じ言葉が全く真逆にとられる、という経験をした。
何か斬新なことをやろうとすると、「よそはどうしてる?」と外資系でも内資系でも聞かれる。
で、「よそはまだやってません」と言うと、外資系では「よし。じゃ、やろう。」となるけれど、内資系では「じゃ、他社の動向を探って、しばらく、様子を見よう」となる。
パラダイムシフトが起こると、もう、元には戻れない。(治験の総括医師に復活なんてありえない。)
変化に対応できない組織は撤退するか、多大なるエネルギーを使って、世の中の流れに追いつくかしないといけない。
ただ、注意しないといけないのは「流行」と「真のパラダイムシフト」を見分けることだ。
最近の製薬業界の「流行」は「顧みられない熱帯病」だね。
もちろん、そういう社会に役立つことは製薬業界の使命だからいいのだけれど。
「企業」という立場にたつと「アンメット・メディカル・ニーズ(Unmet Medical Needs)」とか、昔で言うと(今でももちろんあるけれど)「オーファンドラッグ」とか、本来の目的を見失って、ただ「流行しているから」という姿勢だけで、それを追いかけていると、企業としては失敗する。
いくら世の中に役立つと言っても、企業として失敗すると、それは結果的には世の中に役立っていないことになる。
急激なパラダイムシフトが起こった時に、企業に求められる重要なものとして「スピード」もある。
素早く、変化に対応しないと、その組織・企業は死滅する。
「稟議書」を待っていては遅い。
また、お役所に見られるような「縦割り社会」「縄張り争い」をやっていると、その間に世の中は激変する。
繰り返しますが、パラダイムシフトに生き残れる組織の条件は「優秀な人材がいる」や「資金が豊富だ」ではない。
「変化に素早く対応できること」だ。
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