2012年11月22日

ICH-GCPとJ-GCPの違い&ホーライの1年、1ヶ月、1日


今日はちょっとプライベートなニュースをひとつ。
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■■東京薬科大学ハルモニア管弦楽団定演のお知らせ■■

東第37回定期演奏会があります!

■■■ 日時:2012年11月25日(日)

■■■ 会場:パルテノン多摩 大ホール

■■■ 開場:13時30分  開演:14時

■■■ 曲目:

・モーツァルト:「フィガロの結婚」序曲
・シューベルト:「ロザムンデ」序曲
・チャイコフスキー:交響曲第4番


■■■ 指揮:田部井 剛

■■■ 入場500円・全席自由


楽しくて、元気が出るよ!

クラシック音楽のコンサートは初めてでも、気楽に是非、どうぞ!

あなたのクラシック音楽の印象を一新するかも。

今回の演奏はかなり期待できると思う。

ちなみに、我が家の次女は「ホルン」を吹いている。
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http://harmonet.web.fc2.com/top.html

その昔、僕はこのオーケストラでトランペットをl吹いていて、
妻はバイオリンを弾いていた。

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さらにもうひとつ、おまけのお知らせ。

今では伝説になっている昔の「「ホーライ製薬」(サイト版)」にあった「二日酔いの薬の治験のプロトコル」と「その英語版」を復活させました。

「ホーライ製薬」(サイト版)」のトップページからリンクを貼ってあります。

この「二日酔いのプロトコル」はゲストブックにある日、ホーライ製薬社員の「経理担当のルーシー」さんが「二日酔いによく効く薬を開発してよ」とひと言書いたことから始まった。

そしたら、ホーライ製薬の社員の人が、すぐに「プロトコルの概略」を下記のようにゲストブックに書いてください。
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「治験薬の概略」

メカニズムはアセトアルデヒド脱水酵素(ALDH)の活性化です。

ALDHにはアセトアルデヒドが低濃度の時に働く「ALDH2」と、高濃度にならないと働かない「ALDH1」があります。

日本人の約半数は、生まれつき「ALDH2」の活性が弱いか欠けています。

このタイプはアルコール分解産物である有害なアセトアルデヒドを速やかに分解できないため、少量のアルコールでも悪酔いしやすい、お酒に「弱い」体質です。

そこで、この「ALDH2」を活性化させるという仕掛けになっております。

「モノ」は、たぶん、タンパク製剤と低分子化合物の中間あたりがよろしいかと。で、経口投与です。

なお、一部に「恋人の甘い声を純水に聞かせてあげる。その独特の波動をもった水もしくは氷」が原料という噂も有る。

「製造上の注意」

・古女房の声は使用不可


「本治験薬の開発意義」

・ある意味オーダーメイド医療


「本治験薬の安定性」

・恋人関係に依存する

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こう投稿されたら、また別の人(当然、ホーライ製薬の社員の方)が、すぐにゲストブックに次の項目を書いてくれた。
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「選択基準」(登録できる条件)

1.直近、2ヶ月で最低3回は二日酔いで午前半休取った人

2.同意取得時、満20歳以上であること(設定根拠:法律上、飲酒は20歳からなので)

3.肝機能を示す臨床検査値が正常範囲上限の2倍以内であること

4.三度の飯より、酒が好きな人


「除外基準」(登録できない人の条件)

1.同意説明文書を説明する時に、しらふでいられない人

2.治験中に避妊をやりそうもない人

3.下戸


「対象疾患」

頭痛、悪心・嘔吐、耳鳴りを伴う二日酔い

ただし、以下の全てを満たすこと
1.飲酒後6時間以上経過後の、血中アルコール濃度が
  0.03%以上、あるいは呼気中のアルコール濃度が
  0.15mg/L以上

2.会社を休みたくなるような頭痛

3.上司の顔を見たくないような悪心、
  または想像しただけでの嘔吐

4.業務上の電話には出られないような耳鳴り

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すると、またまた、すぐにまた別の人(当然、ホーライ製薬の社員)が、次の設定をゲストブックに書いてくれた。

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「主要評価項目」(薬が効いているかどうかの判断材料です)

1.治験期間内(2ヶ月)で嘘を言って午前半休を取った回数

2.悪心頻度(評価基準は以下のとおり)

 (1)上司の顔を見ると毎回悪心がある
 (2)上司の顔を見ると2回に1回は悪心がある
 (3)上司の顔を見ると5回に1回は悪心がある
 (4)上司の顔を見ると通常でも悪心がある
  

「副次評価項目」(直接的ではないけれど、薬の効果を判断する材料)

1.宴会回数(評価基準は以下のとおり)

 (1)週に1回が3回に増えた
 (2)週に1回が2回に増えた
 (3)毎日行っている

2.業務上の電話に出る頻度(評価基準は以下のとおり)

 (1)5回かかってきた電話、全てに出ない
 (2)5回のうち2回は出る
 (3)5回のうち3回以上出る
 (4)電話に出ても「担当部署に回します」と言って、全て総務に回す。


判定基準

「日本臨床二日酔い学会」が提唱している「飲酒度数」「二日酔い度」のかけあわせ評価(Geroppa Ver.2.0)

・「飲酒度基準」:アルコール度数×飲酒量×酒類係数
・「酒類係数」:蒸留酒(焼酎、ウイスキー等)=1、醸造酒(日本酒、ワイン、ビール等)=1.3
・「二日酔い度」は上記の評価項目をスコア化したもの
(ただし、民族差(ALDH2活性)が大きすぎるためICH-6大阪では、日本とロシアが対立してStep2化が見送られた経緯あり)


併用禁止薬

・「迎え酒」

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面白いので、これらをまとめて、僕が「「ホーライ製薬」(サイト版)」に「「二日酔いの薬」のプロトコール」としてアップした。

すると、すると!

別に頼んでもいないのに、やはりホーライ製薬の社員の人が「国際共同治験」に備えて「二日酔いのプロトコル(英語版)」をゲストブックに投稿してくれた。(もちろん、ボランティアで、僕は一切、金銭を払っていない。)

この頃は、無茶苦茶、楽しかった!
これって、今、流行の「オープンイノベーション」?^^


でも、こんな「おちゃめな」ことばかり、ゲストブックを使って遊んでいたわけではなく、たとえば「男性が治験に参加する場合でも避妊するか?」とか「治験の結果を被験者に知らせるべきか?」とか「モニターも業界で認定試験を行うべきかどうか」という討論もしていた。

そんなこんなをやっていた、「「ホーライ製薬」(サイト版)」なのでした。



やっと、本当に、やっと、本題に入ります。

ほとんど、多分、このブログをご覧になっている99.95%以上の人が興味が無いと思うのですが、普段、モニターを中心に人材開発・教育担当をやっているホーライがどう日々を過ごしているかを書きます。



まず、1年間という単位で言うと、大きく4月〜5月とそれ以外の2つに分かれる。

4月〜5月は、新入社員の導入研修を集中的にやっている。

鹿児島や大阪のホテルなどに缶詰めになって研修をやる。

だから、この2か月は僕はほとんど東京の自宅にいない。(僕の会社はCROなので他社から導入研修を受託することもあり、そんな時は僕だけ離脱して、その他社の導入研修に講師として行く。でも、そこでもホテル暮らし、ということが多い。)



では、新卒の導入研修ではどんなことをやっているか?

そもそも、新薬の開発手順とはどんな方法か?に始まり、医薬品をとりまく法律とか、もちろんGCPとは? SOPとは? みたいなことを2か月で「ドバッ」と詰め込むのだ。

座学あり、口頭試問あり、筆記試験あり、ロールプレイングあり、グループワークあり、笑いあり、泣きあり、なのだ。

この導入研修の一発目に、昨日書いた「患者が怠けてもモニターは死なないけれど、モニターが怠けると患者は死にます。あなた達は、そういう世界に入ったということをまず認識するように。」を言うわけです。(他社でも言っている。)


この2か月は、100%、この導入研修にかかりきりかと言うと、実は30%ぐらいは6月〜3月の継続研修のネタを考えたり、資料を作ったりしている。(僕の場合はね。)

だから、僕は2ヶ月の宿泊パックの中に十数冊のビジネス書を入れて持参する。

ということで、4月〜5月は新入社員の導入研修をやり、残りの6月〜3月は新人以外の人たち用の「継続研修」をやっている。



どの程度の割合で継続研修をやっているかというと、例えば、今月(11月)の予定はこうなっている。

まず、毎週、水曜日の午後は「ビジネス英語入門」を1時間やっている。

あとは手帳を見ながら書くと・・・・・・

11月2日(金曜日)にはリーダークラスに「モチベーションマネジメント」という研修をやった。

11月5日(月曜日)には、別の講師がやった「GCP研修」を受講。

11月7日(水曜日)に、入社2年目クラスの社員に「新薬臨床評価ガイドライン」(今月は「抗悪性腫瘍剤」のガイドライン)研修を実施。その後「英語研修」。

11月9日(金曜日)の午後に、入社1年目の社員(つまり、今年の新入社員)に、「治験薬概要書の読み方」研修を実施。

11月12日(月曜日)には臨床開発部との会議。(うちの社員はここが弱いから、こんな研修をやって欲しいとか、来年の導入研修には今年の反省を活かして、ぜひ、こんな研修をやってほしい、とか)

11月13日(火曜日)は、入社3年目の社員(モニターとQC)に、「プロトコルの概略作成」研修を実施。

11月14日(水曜日)なので「英語研修」

11月15日(木曜日)はグループ会議。(開発部から、こんな要求があったけれど、どうする?とか)

11月16日(金曜日)、つまり、今日は、中途で異動してきたモニター候補者に「プロトコル説明」のロールプレイング研修を実施。

11月20日(火曜日)は他社のモニターとQCの方を対象に研修を実施。

11月21日(水曜日)は異動者のモニター候補に対して、「モニター認定試験」を実施。その後、「ビジネス英語」

11月22日(木曜日)には、ほかの講師がやる研修を受講。

11月27日(火曜日)も、ほかの講師がやる研修を受講。

11月28日(水曜日)は「ビジネス英語」

11月29日(木曜日)はグループ会議(来年の導入研修はどうする? 継続研修の年間計画は? とか)

11月30日(金曜日)はリーダークラスに「部下の行動をどうマネジメントするか」研修を実施。

・・・・・・・と言う感じです。


だいたい、毎月、こんなペースで研修をやっています。

こんなペースの中で、例えば急に「国際共同治験の基本的な考え方」なんていうのが通知で出ると、その研修を上のスケジュールに突っ込む。


今年は特に「入社から3年目」に力を入れて、3年でスーパーモニターを育成する、というコンセプトで研修を組んでいる。

だから、毎月、必ず、1年目、2年目、3年目に対する研修がある。

プラスして、リーダー育成研修と全体研修をやる。



では、1日はどのように過ごしているか?

朝、会社に着くと、みんなもやっていると思うけれど、まずメールのチェックをやる。

その中で至急返信しなければいけないメールだけ返信して、そこでメールのチェックはいったん中断。

次に僕は「メルマガ」の作成にとりかかる。

僕は毎日、2種類のメルマガを社内に配信している。

次のものだ。

月曜日・・・・「医学英語」と「ビジネス英語」

火曜日・・・・「英語でモニタリング報告書を書こう!」と「ビジネス英語」

水曜日・・・・「1週間の業界ニュース」と「ビジネス英語」

木曜日・・・・「英会話のための英文法」と「英語による英語文献」

金曜日・・・・「GCPメルマガ」と「ビジネス英語」



これらのメルマガを午前中のだいたい1時間かけて作っている。

メルマガ作成が終了したら、僕に来ているメールのチェックの再開。

これが大体、毎日の午前中だ。


午後は研修があれば研修を実施し、研修が無い場合は、研修のアイデアを練ったり、資料を作ったり、Eラーニングを作ったりしている。

そして、バカにできないのが、研修のために会議室を予約すること。

会議室が少ないから、会議室の奪い合いだ。

研修の予定が決まったら、その案内メールも配信する。

その合間を縫って、モニターやQCからの様々な質問に答えたりしている(例えば、病院の理事長ってIRBの委員長になれますか?とか)


お昼ご飯の時間は、自分の机でパンを食べ、野菜ジュースを飲みながら、仕事をしている。

社内滞在時間を極力、少なくしたいので、とにかく集中して、これ以上ないぐらい集中して仕事をしている。

午後5時になったら、何があっても、PCのフタを閉めて、ガバッと立ち上がり「じゃ、失礼!」と帰る。


通勤時間はDoor to Doorで1時間45分。

朝の通勤電車は座れないのでiPodで英語か音楽を聴いている。

帰りの電車は座れるので音楽を聴きながらビジネス本かミステリィを読んでいる。

帰宅すると食事とお風呂に入るわけだけど、その合間を縫って次のことをやる。

日刊「モニターとCRCのためのGCPメルマガ」の作成、予約投稿の登録(これが結構、時間がかかる。)

「モニターとCRCのためのGCPメルマガ」のブログの登録

人生の達人になる方法 by ホーライの無尽蔵の投稿(上記のメルマガの登録と同一なのだが、テクニカル的な理由でふたつのブログに登録している。)

最新の医療ニュースのまとめ(1)ブログ版の投稿

最新の医療ニュースのまとめ(2)サイト版の作成

時間的に余裕があればfacebookにも「よもやま話」を投稿

塚田 淳彦 (ホーライ) facebook

あとは、家事手伝いと英語の勉強をして、ミステリィを読みながら就寝。(10時頃)

金曜日の夜から土曜日にかけては、この「ホーライ製薬(ブログ版)」のネタ作成と●「医薬品ができるまで」のネタを作成し、ブログに予約登録。

それと、週刊「モニターとCRCのためのGCPメルマガ」の作成と発行。

日曜日は、日刊「モニターとCRCのためのGCPメルマガ」の「ニュース」以外のところを作成しておく。

こういう週末の過ごし方をかれこれ10年以上、続けている。

これが極めて平凡な会社員であるホーライの1年、1ヶ月、1日の過ごし方でした。

参考になった?

ならないよね・・・・・・。

●●● 今週のおまけ ●●●

ICH-GCPとJ-GCPの違い。

ICH GCPと日本のGCPの違いです。

ネット上にも次の資料があります。

●我が国のGCPとICH-GCPの主な相違点
    ↓
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/02/dl/s0228-8u.pdf

ここには例えば次のことが書かれている。

★J-GCPでは、治験依頼者と実施医療機関が契約しなければならないと規定。

★ICH-GCPでは、治験依頼者と治験責任医師又は実施医療機関が契約しなければならないと規定。


●CH-GCPと我が国のGCPの比較とそこから生じる運用上の課題
    ↓
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/02/dl/s0228-8c.pdf

ここには例えば次のことが書かれている。

★ICH-GCPは、依頼者と治験責任医師/治験実施医療機関の間で治験内容に合意し文書を残す。

★J-GCPは、治験実施医療機関の長との契約締結が必須とされている。(GCP第13条)

★ICH-GCPは、治験責任医師/治験実施医療機関がIRBへ審議依頼する。

★J-GCPは、治験実施医療機関の長が審議依頼する。(GCP第30条)


●我が国のGCPとICH-GCPの比較
    ↓
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/02/dl/s0228-8a.pdf

ここには例えば次のことが書かれている。

★GCP省令:治験実施の可否について実施医療機関の長がIRBに意見を聴かなければならないと規定(GCP省令第30条)

★ICH-GCP:治験責任医師又は治験実施医療機関がIRBから承認を得なければならないと規定


●セミナー屋さんが企画しているものもたくさんある。たとえば・・・
   ↓
ICH-GCPとJ-GCPの実務上の違いから見る グローバル治験の国内外の差とSOP作成のポイント
   ↓
http://www.rdsc.co.jp/seminar/110406.html



まぁ、だいたい、同じことが書かれています。

ちなみにICH-GCPの日本語訳はここにある。(日本医師会の治験促進センターのサイトの「ガイドライン」のページ)
   ↓
http://www.jmacct.med.or.jp/plan/files/ICH-GCP.pdf


オリジナルの英語のICH-GCPはこちら。
   ↓
http://www.pmda.go.jp/ich/e/e6r1_97_3_27e.pdf



近々、日本のGCP省令が改訂され、よりICH-GCPに近くなるそうだ。

また、国際共同治験においてはICH-GCPの理解が必須となる。

そうなるとますます日本のGCPとICH-GCPの違いが気になる。


ICH-GCPは次の構成になっている。

ICH-GCP

1.Glossary

2.Principles of ICH-GCP

3.IRB/IEC

4.Investigator

5.Sponsor

6.Clinical Trial Protocol/Protocol Amendment

7.Investigator’s Brochure

8.Essential Documents


で、例えば日本のGCP省令とICH-GCPの定義の違いも微妙にある。

<GCP省令>

定義 第2条 治験責任医師

・実施医療機関において治験に係る業務を統括する医師又は歯科医師


<ICH-GCP>

Glossary 1.34 Investigator

●A person responsible for the conduct of the clinical trial at a trial site.

If a trial is conducted by a team of individuals at a trial site, the investigator is the responsible leader of the team and may be called the principal investigator.


Investigator 4.3 Medical Care of Trial Subjects

●A qualified physician (or dentist, when appropriate), who is an investigator or a sub-investigator for the trial, should be responsible for all trial-related medical (or dental)

となっていて、なんだかICH-GCPのほうは「Investigator」(治験責任医師)は何が何でも医師である必要もないかな、と思われるが、まぁ医師だよね。


ほかに・・・・・・

「原資料」は日本のGCPでは

<GCP省令第2条第10項・運用通知>

被験者に係る診療録、検査ノート、治験薬等の投与記録等の治験の事実経過の再現と評価に必要な記録を指す。
具体的には、症例報告書の元となる文書、データ及び記録(例:病院記録、診療録、検査ノート、メモ、被験者の日記又は評価用チェックリスト、投与記録、・・・記録等)をいうものである。


ICH-GCPでは

Source Document

<Glossary ICH-GCP 1.52>

Original documents, data, and records (e.g., hospital records, clinical and office charts, laboratory notes, memoranda, subjects‘ diaries or evaluation checklists, pharmacy dispensing records, ・・・the clinical trial).

とあり、日本のGCPでは「原資料」は「症例報告書の元となる文書」だが、ICH-GCPでは「Original」が強調されている。


ほかに・・・・・

日本のGCPではIRBの設置者の規定があるが、ICH-GCPにはない。

もちろん、「迅速審査」なんていうものはICH-GCPにはない。

IRBの審議資料に日本のGCPでは「治験の費用負担に関する資料」があるが、ICH-GCPにはない。

また、治験の契約についても日本のGCPでは細かく契約書に記載すべき事項が規定されているが、ICH-GCPにはない。

そもそも、ICH-GCPでは治験の契約では治験依頼者と治験責任医師の間で結ぶことも可能だ。

日本のGCPってさ、「医療機関の長」の出番が多すぎるんだよね。


逆に日本のGCPに無くてICH-GCPでは規定しているのもある。

たとえば・・・

8.2.12 Medical/Laboratory/Technical Procedures/Tests

・certification or
・accreditation or
・established quality control and/or external quality assessment or
・other validation (where required)

このあたりは、前回の運用通知の改訂で必要になったけれど。


あと、国際共同治験でアメリカが入っているとICH-GCPには無いけれど、FDAのガイドラインで必要になるのが、今や有名になった「Financial Disclosure(財務情報の開示)」(FDA CFR 21 Part 54)だね。

2000年の頃、外資系の製薬会社で働いていた時に本国のSOPを日本にも規定するようお達しが本社からあり、この規定を日本の治験責任医師に求めることとなった。

当時は、「え〜〜、そんなの日本の医師は嫌がると思うな。絶対に拒否すると思うな」と思ったものですが、さすがにこれだけ国際共同治験が浸透すると、今ではあまり抵抗なく、治験責任医師もこの規定を受け入れてくれてるようだ。


と、まぁ、ICH-GCPと日本のGCPは微妙に違いがあり、日本のGCPができるだけICH-GCPに近い形になってもらったほうが、国際共同治験がやりやすくなり、それがドラッグラグの解消にもつながる。

さらに、日本は国をあげて、First in human trialを日本の医療機関でできるよう促進していこうとしているし、「臨床研究・治験活性化5か年計画 2012 アクションプラン」でもうたっている。

そのためにも、ICH-GCPとJ-GCP(日本のGCP:GCP省令)の違いを少なくしてほしいものです。


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