僕(ホーライ)が悪乗りしている写真を見ることができます。
↓
●「第13回CRCと臨床試験を考える会議」
上記のサイトの右下に写真がスライドショーで出ています。
そこをクリック!
すると、僕の写真もありまする。(ホーライ社長のサイン入り)
我が家の次女の「ティガー」のかぶりものを借りて写しましたです。
写真に写っている皆さん、楽しそうで元気がもらえますよ。
もうひとつ、お知らせ。
「最新の医療ニュース」を下記のブログで、毎日、配信しています。
これは「日刊GCPメルマガ」に載せている情報です。
↓
■■■ 最新の医療ニュースのまとめ(1)ブログ版 ■■■
↓
http://medical-news.seesaa.net/
一気に読みたい場合は、次のサイトが読みやすいかもしれません。(分類されていないんですけれどね。)
こちらも、毎日、更新しています。(上記のブログと同一の内容です。)
↓
■■■ 最新の医療ニュースのまとめ(2)サイト版 ■■■
↓
https://sites.google.com/site/medicalnewssite/home
さて、今週のテーマに入ります。
今週のテーマは以下の5つです。
(1)治験における「倫理」(今さらながら)
(2)治験におけるリーダーの「重要性」と「たいへんだよね」と「真のリーダーとは」
(3)治験における「MBO」と「ストレッチな目標」
(4)治験における「愛情」と「親ばか」
(5)治験における「醍醐味」と「嬉しかったこと」
今日は「治験における倫理」です。
まず、最初に言っておきますが、治験に限らず、人体に医療(治験や臨床試験を含めて)が介入する時、第一に「科学的」であることが「倫理的」です。
科学的でないものは倫理的ではありません。
非科学的なものは非倫理的です。
科学的に何の根拠もない処置を人体に施すことは、それだけで非倫理的です。
じゃ、科学的って何? となると、治験では非臨床試験の結果による治験を実施することの妥当性であり、治験におけるプロトコルの設計です。
ということで、治験における倫理を考えてみましょう。
「え、治験の倫理、今さら?」 という感じですが、今さらでも、初めてでも治験に倫理は欠かせませんのでやります。
まず、手掛かりとしてヘルシンキ宣言を見ます。
治験の原則はヘルシンキ宣言を守ることですからね。
ヘルシンキ宣言の最新版は「日本医師会」のサイトにあります。
↓
http://www.med.or.jp/wma/helsinki08_j.html
そのヘルシンキ宣言の中には例えば、次のような条文があります。
■■■■■■■■
A 序文
6 人間を対象とする医学研究においては、個々の研究被験者の福祉が他のすべての利益よりも優先されなければならない。
■■■■■■■■
「被験者の福祉が他のすべての利益よりも優先されなければならない。」とありますが、「福祉」って何? という感じですね。
ちょっと(と言うか、かなり)抽象的で分かりにくい。
なので、もう少し具体的な所を見ていきます。
科学的でなければ非倫理的であるという点が、まず次のように書かれています。
■■■■■■■■
B. すべての医学研究のための諸原則
12 人間を対象とする医学研究は、科学的文献の十分な知識、関連性のある他の情報源および十分な実験、ならびに適切な場合には動物実験に基づき、一般的に受け入れられた科学的原則に従わなければならない。
研究に使用される動物の福祉は尊重されなければならない。
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モニターは、だから、自分が担当する治験薬の動物実験(非臨床試験)のデータをしっかりと理解し、科学的・医学的にその治験薬を開発する・人体に使用することが許されているのだ、といことを納得しましょう。
ただし、動物実験(非臨床試験)の結果を過信してはいけません。
思わぬ副作用が治験で初めて出ることもありますし、有効性がそもそも人間には無い、ということは「ザラ」ですからね。
さて、次はプロトコルです。
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B. すべての医学研究のための諸原則
14 人間を対象とする各研究の計画と作業内容は、研究計画書の中に明示されていなければならない。
研究計画書は、関連する倫理的配慮に関する言明を含み、また本宣言の原則にどのように対応しているかを示すべきである。
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上記に出てくる「研究計画書」が、治験で言う「プロトコル(治験実施計画書)」ですね。
「無計画」であることは「非倫理的」。
だから、治験を倫理的に実施するために、事前にその計画と作業内容が書かれている「プロトコル」を作成するわけです。
ちなみに、話は飛びますが、「Clinical Development Plan」(CDP)というものを外資系の製薬会社は作ることが多い。
最近は内資系の製薬会社でも作るところが増えてきました。
これは、「臨床開発計画」とでも訳すのかな。
会社によって呼び方は色々ですが、フェーズ1から申請までの開発計画の概略と「次のステップに進むかどうか( go or no go decision)」の基準を予め決めておきます。
たとえば、「フェーズ3に進むためにはフェーズ2で進行性乳がんで奏効率80%以上を示すこと」とかね。
倫理の話に戻します。
「プロトコル」は治験を進めるための手順書であるだけではなく、「プロトコル」の存在そのものが治験の「倫理性」を保証しているわけです。
しかし、科学的に作られたプロトコルであっても、それが守られなければ、非倫理的になります。
大事に作りましょう、プロトコル。
そして、しっかりと理解し守りましょう、プロトコル。です。
次に大事なことがIRB(治験審査委員会)。
ヘルシンキ宣言には次のように記載されています。
■■■■■■■■
B. すべての医学研究のための諸原則
15 研究計画書は、検討、意見、指導および承認を得るため、研究開始前に研究倫理委員会に提出されなければならない。
(中略)
委員会の審議と承認を得ずに計画書を変更することはできない。
■■■■■■■■
治験のプロトコルは治験の実施に先立って、IRBで承認される必要があります。
(本当に、今さらですが。)
プロトコルが科学的かどうか、倫理的かどうかを、IRBが最終判断するわけです。
だから、もしIRBが適切に機能していないと、その病院における治験は非倫理的になります。
というか、そういうIRBの存在そのものが非倫理的です。
IRBの重要性は強調されすぎることはありません。
そのためにも下記のようなことは重要です。
↓
臨床試験受託事業協会・日本SMO協会主催
「IRBと倫理審査の審議の要点 〜審議の焦点とその問題点〜」開催のご案内
http://jasmo.org/ja/other/news/html/121102.html
さて、ここまでをまとめると。
●プロトコルを作成すること。
●プロトコルが事前にIRBで審議されること。
これらが治験の倫理性を正当化するわけです。
そして、さらに、もっと重要なことがあります。
そうです。「同意」です。
■■■■■■■■
B. すべての医学研究のための諸原則
22 判断能力のある個人による、医学研究への被験者としての参加は、自発的なものでなければならない。
家族または地域社会のリーダーに打診することが適切な場合もあるが、判断能力のある個人を、本人の自由な承諾なしに、研究へ登録してはならない。
24 判断能力のある人間を対象とする医学研究において、それぞれの被験者候補は、目的、方法、資金源、起こりうる利益相反、研究者の関連組織との関わり、研究によって期待される利益と起こりうるリスク、ならびに研究に伴いうる不快な状態、その他研究に関するすべての側面について、十分に説明されなければならない。
被験者候補は、いつでも不利益を受けることなしに、研究参加を拒否するか、または参加の同意を撤回する権利のあることを知らされなければならない。
被験者候補ごとにどのような情報を必要としているかとその情報の伝達方法についても特別な配慮が必要である。
被験者候補がその情報を理解したことを確認したうえで、医師または他の適切な有資格者は、被験者候補の自由意思によるインフォームド・コンセントを、望ましくは文書で求めなければならない。
同意が書面で表明されない場合、その文書によらない同意は、正式な文書に記録され、証人によって証明されるべきである。
■■■■■■■■
上述のごとく「被験者候補の自由意思によるインフォームド・コンセントを文書で取得する」こと。
どんなに科学的なデータがあって、立派なプロトコルがあり、それがIRBで承認されたからと言って、最後の最後に、「インフォームド・コンセント」無しに患者を治験に参加させたら、それだけで、非倫理的です。非人道的です。
本当に、本当に、今さらなのですが、大事なことは繰り返し、繰り返し、再認識する必要があります。
そして、言い続けなければなりません。
ヘルシンキ宣言の中には、他にも「プラセボを使うことの倫理性」とか「個人情報の守秘」等、重要なことがたくさん、書いてあるので、1年に1度は全てを読み直しましょう。
↓
http://www.med.or.jp/wma/helsinki08_j.html
今日のまとめです。
治験の倫理性を正当化するのは、最低限、次の3点です。(あくまでも最低限ね。)
●プロトコルを作成すること。
●プロトコルが事前にIRBで審議されること。
●インフォームド・コンセントを文書で取得すること。
治験における倫理性は治験に関わる全ての人にかかっています。
本日の最後に、先日開催された●第12回CRCと臨床試験のあり方を考える会議2012 会議録の中の●いのちの大切さのために医学は何をしてきたか、その反省という日野原先生の公演記録を読んでみましょう。
考えさせられます。
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