2012年11月06日

(2)研修の限界と経験の重要性

研修で、こんなことをケーススタディでやった。

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ある重篤な有害事象が発生した。

当初、治験責任医師はこれを「副作用」として判断した。

しかし、モニターが、あるデータを根拠に「因果関係は否定できるのではないでしょか?」と説明したら、「たしかに」ということで因果関係が否定され「有害事象」になった。

ところが、数日たって、その医療機関から「因果関係は否定できない」となり「重篤な副作用」と報告書が送られてきた。

「あら?話が違うじゃないの」と電話で、その治験責任医師に連絡したら、その病院では副作用報告等の報告書は必ず診療部長の了承が必要で、その診療部長が「これは副作用だ」と判断し、その病院としては「因果関係が否定できる」という見解は出せないと言われた。

こんな時、あなたならどうする?

そもそも、これはどこが問題?

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・・・・というような事例検討をやった。

これをまず新人モニターの答えさせると「病院のSOPを確認する。」とか「SOPが問題」という答えになった。

しょうがないよね。

つい2、3か月前までGCPやSOPの重要性をさんざん教えられてきたからね。

次に、ベテランモニターに答えさせると「因果関係がひっくり返ったことが問題」とまっすぐに問題の本質にたどり着く。

製薬会社としては1つでも副作用が少ない薬を開発しているので、ただの有害事象だったのが、副作用となると痛い。

もちろん、副作用が正しい判断で、それを無理矢理、有害事象にする、という話ではない。

一旦は、医師も因果関係を否定したのに、その上司の所でひっくり返ったという所が問題なのだ。(その上司の判断が正しいかどうかはまた、その次の問題。)


ここで言いたいのは、「研修」というのは特に事例検討というのは「経験不足」を補うためにやるのだが、ベテランモニターが問題の本質に、ズバッとまっすぐたどり着けるのは、それまでの「経験」がものを言う場合が多い。

もちろん、想定される範囲内の出来事だけではなく、全く未知の事故に遭遇した時も、正しい判断ができるように研修を組み立てるのだけれど、それでもそれを上回る想定外の事例が起こり、「現実」は常に「研修の想定」を大きく上回る。

これが「研修」の限界だ。

そして、研修でカバーできないことはOJTや日常業務の経験を通じて学ぶしかない。

ただし、どんなに経験があっても、考える習慣が無いモニターは、経験から何も学ばない。





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